JP2589909B2 - 乾燥処理装置 - Google Patents

乾燥処理装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は食品、工業材料、生ご
み、産業廃棄物等の被乾燥物を処理する乾燥処理装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】乾燥処理装置は加熱源により、電気ヒー
ターを用いる方式、燃焼熱を用いる方式、マイクロ波を
用いる方式等が挙げられる。電気ヒーターを用いる乾燥
処理装置は安全性、制御性は優れているが、放熱損失が
大きく、乾燥効率を高めるのが困難となる。燃焼熱を用
いる乾燥処理装置はガス燃料、液体燃料等を用いるた
め、装置全体が複雑で大型になり、安全性にも難点があ
る。これらに対し、マイクロ波を用いる乾燥処理装置は
マイクロ波が被乾燥物中の水分に選択的に吸収されるた
め、乾燥効率が高く、装置全体が複雑で大型になること
もなく、含水率の高い被乾燥物の乾燥処理に適したもの
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のマイクロ波を用いる乾燥処理装置にも以下に
示すような課題がある。マイクロ波の強度分布が不均一
になりやすいため、被乾燥物を均一に乾燥し難く、乾燥
終了時近傍でも下部の被乾燥物が湿っていることが多か
った。特に被乾燥物が生ごみの場合には、下部に煮汁が
残ることになり、非衛生的である。また、被乾燥物から
発生した水蒸気が排出後に結露し、室内外を汚染するこ
とがある。マイクロ波を乾燥後も被乾燥物に照射し続け
ると被乾燥物が発火する危険性もある。本発明はマイク
ロ波による乾燥方式に着目し、被乾燥物から発生する水
蒸気の凝縮性能と乾燥処理の均一性を高めるとともに、
被乾燥物の容積を減少させ、衛生的な処理を行なうこと
ができる乾燥処理装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、被乾燥物を収納する被乾燥物収納部と、被乾
燥物収納部の外側に位置する凝縮部と、凝縮部蓋と被乾
燥物を加熱するマイクロ波発振器と、凝縮部の外面を冷
却する送風ファンと、凝縮水流出部と、被乾燥物収納部
を傾斜させた状態で回転させる手段とを設け、マイクロ
波導入口を凝縮部の底面部に位置させた乾燥処理装置を
構成するものである。
【0005】さらに、被乾燥物収納部を被乾燥物収納内
容器と被乾燥物収納内容器の外側に位置する円筒状断熱
容器に分離し、円筒状断熱容器を凝縮部に固定し、マイ
クロ波透過材で形成した被乾燥物収納内容器のみを回転
させる構成としている。
【0006】また、被乾燥物収納部の側面を円筒状断熱
容器で形成し、底面をマイクロ波透過材で形成して一体
化し、被乾燥物収納部を傾斜させ、被乾燥物収納部の底
面下部に回転と着脱可能な接続部を設け、回転軸をモー
ターで回転させるとともに、回転補助具を凝縮部の内側
に接するように円筒状断熱容器の上端部に設けた構成と
する。
【0007】
【作用】上記構成により、被乾燥物を被乾燥物収納部に
投入した後、マイクロ波発振器を作動させると、マイク
ロ波は凝縮部の底面部から被乾燥物収納部内の被乾燥物
を加熱し始める。特に被乾燥物中の水分に対し、マイク
ロ波は選択的に吸収され、水蒸気を発生し被乾燥物は乾
燥していく。マイクロ波を被乾燥物の下部から照射する
ため、被乾燥物が生ごみの場合でも下部に煮汁が残るこ
となく、衛生的である。マイクロ波導入口を凝縮部の底
面部に位置させることにより、装置をコンパクト化しや
すく、構成部蓋からのマイクロ波のもれ防止も容易とな
る。また、マイクロ波発振器とともに送風ファンも作動
させ、凝縮部の外面を空冷することにより、被乾燥物か
ら発生した水蒸気の大半を凝縮部の内面で結露させ凝縮
水とし、凝縮水流出部から凝縮部の外部に排出する。さ
らに、マイクロ波発振器、送風ファンの作動とともに被
乾燥物収納部を傾斜させた状態で回転させることによ
り、被乾燥物は攪はんし、被乾燥物を均一に乾燥させる
とともに、伝熱促進を図り被乾燥物から発生する水蒸気
の凝縮性能を高めるようにしている。被乾燥物の攪はん
により、被乾燥物の容積も減少させることができる。
【0008】さらに、円筒状断熱容器を被乾燥物収納内
容器の外側に位置させることにより、被乾燥物からの放
熱を抑制し、高効率化を達成することができる。マイク
ロ波透過材で形成した被乾燥物収納内容器のみを回転さ
せるため、回転に要するトルクを低減することができ
る。
【0009】また、被乾燥物収納部を一体化することに
より、装置として構成の簡素化を図ることができる。
【0010】
【実施例】以下、図面を用いて具体的説明を行なう。図
1は本発明の第1の実施例を示す断面図である。図1に
おいて、被乾燥物1を収納する被乾燥物収納内容器2の
外側に円筒状断熱容器3を位置させており、円筒状断熱
容器3の外側に凝縮部4を設けている。被乾燥物収納内
容器2は耐熱性の優れたマイクロ波透過材で形成してい
る。円筒状断熱容器3としては内部を減圧した金属性
(マイクロ波反射材)の容器を用いた。凝縮部4の上部
には凝縮部蓋5を設けており、凝縮部4、凝縮部蓋5は
マイクロ波反射材で形成している。凝縮部蓋5はヒンジ
6により、開閉可能にしている。被乾燥物1から発生す
る水蒸気7がもれないように凝縮部蓋5には蓋パッキン
8を設けている。水蒸気7の温度を検出するように温度
検出器9を凝縮部蓋5の斜め上部に設置している。凝縮
部蓋5の下側には断熱材10を設けている。また、マイ
クロ波導入口11を凝縮部4の底面部に位置させてお
り、マイクロ波導入口11に導波管12、マイクロ波発
振器13を接続している。凝縮部4の外面を空冷するた
めの送風ファン14を送風ファン支持具15により、凝
縮部4に取り付けている。本実施例では、被乾燥物収納
内容器2を水平から約45度傾斜させているが、傾斜角
度は任意である。被乾燥物収納内容器2の下部には回転
軸16と着脱可能な接続部17を設け、回転軸16を回
転させるモーター18を設けている。モーター18のモ
ーター軸19を接続軸受け20で回転軸16と接続して
いる。モーター18はモーター支持具21により、凝縮
部4の底面部に取り付けている。凝縮水22がモーター
18側へもれないように回転軸16と回転軸受け23の
間にOリング24を設けている。円筒状断熱容器3と回
転軸16を支持するために支持台25を設置し、円筒状
断熱容器3と支持台25の間には支持パッキン26、支
持シート27を設けている。支持台25はマイクロ波透
過材で形成している。被乾燥物収納内容器2が円筒状断
熱容器3の内面に接しながら回転できるように被乾燥物
収納内容器2の上端部に回転補助具として、コロ28を
設けている。被乾燥物収納内容器2の上部には被乾燥物
収納内容器2の内径を小さくするように内容器リング2
9も設けている。凝縮部4の下部には凝縮水流出部30
を設けており、凝縮水流出部30の一部から吸気ファン
31により被乾燥物1から発生するガス(臭気を含む)
を吸引させるとともに、ガスを吸引させるガス吸引管3
2に触媒装置33を設けている。凝縮水流出部30の下
側には凝縮水排出通路34を設けている。
【0011】続いて、作動についての説明を行なう。図
1において、被乾燥物1を被乾燥物収納内容器2に投入
した後、凝縮部蓋5を閉じる。マイクロ波発振器13を
作動させると、マイクロ波は導波管12を通り、凝縮部
4の底面部に設けたマイクロ波導入口11から凝縮部4
内に照射される。凝縮部4内に照射されたマイクロ波は
マイクロ波透過材で形成した支持台25、被乾燥物収納
内容器2を透過し、被乾燥物1を加熱し始める。特に被
乾燥物1中の水分に対し、マイクロ波は選択的に吸収さ
れ、水蒸気7を発生し被乾燥物1は乾燥していく。マイ
クロ波を被乾燥物1の下部から照射するため、被乾燥物
1が生ごみの場合でも下部に煮汁が残ることはなく、衛
生的である。マイクロ波導入口11を凝縮部4の底面部
に位置させることにより、装置をコンパクト化しやす
く、凝縮部蓋5からのマイクロ波のもれ防止も容易とな
る。また、マイクロ波発振器13とともに送風ファン1
4も作動させ、凝縮部4の外面を空冷する。凝縮部4の
外面を空冷することにより、被乾燥物1から発生した水
蒸気7の大半を凝縮部4の内面で結露させ凝縮水22と
し、凝縮部4下部の凝縮水流出部30から排出する。凝
縮水流出部30からは下水道の経路に詰まりが発生する
ような固形分は排出しないため、環境に悪影響を与える
ことがない。さらに、マイクロ波発振器13、送風ファ
ン14とともにモーター18も作動させ、被乾燥物収納
内容器2を傾斜させた状態で回転させる。被乾燥物収納
内容器2を傾斜させた状態で回転させることにより、被
乾燥物1を攪はんし、被乾燥物1を均一に乾燥させると
ともに、伝熱促進を図り被乾燥物1から発生する水蒸気
7の凝縮性能を高めることもできる。被乾燥物1の攪は
んにより、被乾燥物1の容積も減少させることができ
る。また、温度検出器9で処理中に被乾燥物1から発生
する水蒸気7の温度上昇を検出することにより、被乾燥
物1を発火させることなく、マイクロ波乾燥処理を終了
させることができる。被乾燥物1から発生するガス(臭
気を含む)は触媒装置33を通過させ、臭気を除去した
後、吸気ファン31に下流側に排出する。
【0012】円筒状断熱容器3を被乾燥物収納内容器2
の外側に位置させることにより、被乾燥物1からの放熱
を抑制し、高効率化を達成することができる。一般に凝
縮性能を高めようとして凝縮部4外面の空冷を強化する
と、被乾燥物1からの放熱損失が増大しやすいが、円筒
状断熱容器3の設置により、凝縮性能の向上と高効率化
を両立させることが可能となる。円筒状断熱容器3を凝
縮部4に固定し、マイクロ波透過材で形成した被乾燥物
収納内容器2のみを回転させることにより、マイクロ波
を下方から照射しやすくなるとともに、回転に要するト
ルクを低減することができる。
【0013】被乾燥物収納内容器2の下部に回転軸16
と着脱可能な接続部17を設けることにより、被乾燥物
収納内容器2のみを取り出すことができるため、汚れが
付着しても容易に洗浄できるようになっており、利便性
も良い。回転補助具としてのコロ28を円筒状断熱容器
3の内側に接するように被乾燥物収納内容器2の上端部
に設けることにより、円滑な回転を実現することができ
る。
【0014】被乾燥物収納内容器2の上部に被乾燥物収
納内容器2の内径を小さくする内容器リング29を設け
ることにより、被乾燥物1が被乾燥物収納内容器2から
こぼれにくくなっている。
【0015】マイクロ波導入口11を凝縮部4の底面部
の回転軸16中心よりも斜め上部に位置させることによ
り、回転機構部との配置区分を明確にして省スペース化
を図るとともに、被乾燥物1に対するマイクロ波照射の
均一化を図っている。
【0016】被乾燥物1から発生する水蒸気7の温度を
検出する温度検出器9を凝縮部蓋5の斜め上部に設置す
ることにより、上昇してくる高温の水蒸気7を検出でき
るため、検出応答性を高めることが可能となる。
【0017】次に、本発明の第2の実施例を図2に示
す。実施例1とは異なり、図2では円筒状断熱容器3を
側面とし、マイクロ波透過材で形成した被乾燥物収納部
底35を底面として被乾燥物収納部を一体化している。
被乾燥物収納部が凝縮部4の内面に接しながら回転でき
るように円筒状断熱容器3の上端部に回転補助具とし
て、コロ28を設けている。円筒状断熱容器3の上部に
は円筒状断熱容器3の内径を小さくするように内容器リ
ング29も設けている。支持パッキン26、支持シート
27は不要であり、支持台25よりも小さい支持筒36
を設けている。
【0018】被乾燥物収納部を一体化することにより、
装置として構成の簡素化を図ることができる。円筒状断
熱容器3も一度に取り出すことができるため、汚れが付
着しても容易に洗浄することができ、衛生的である。
【0019】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の乾燥処
理装置によれば、次のような効果を得ることができる。
マイクロ波乾燥時に凝縮部の外面を空冷し、被乾燥物か
ら発生した水蒸気の大半を凝縮部の内面で結露させ凝縮
水とすることにより、乾燥中の臭気を低減することがで
きる。マイクロ波を被乾燥物の下部から照射するため、
被乾燥物が生ごみの場合でも下部に煮汁が残ることはな
く、衛生的であり、装置としてもコンパクト化を図りや
すい。さらに、マイクロ波発振器、送風ファンの作動と
ともに被乾燥物収納部を傾斜させた状態で回転させるこ
とにより、被乾燥物を攪はんし、被乾燥物を均一に乾燥
させ、容積を減少させるとともに、伝熱促進を図り被乾
燥物から発生する水蒸気の凝縮性能を高めることもでき
る。
【0020】また、円筒状断熱容器を被乾燥物収納内容
器の外側に位置させることにより、被乾燥物からの放熱
を抑制し、高効率化を達成することができる。マイクロ
波透過材で形成した被乾燥物収納内容器のみを回転させ
ることにより、回転に要するトルクを低減することがで
きる。
【0021】被乾燥物収納部を一体化することにより、
装置として構成の簡素化を図ることができる。凝縮水流
出部からは下水道の経路に詰まりが発生するような固形
分は排出しないため、環境に悪影響を与えることなく、
クリーンで衛生的な処理を行なうことができる。マイク
ロ波による乾燥処理方式としているため、排気ガス特性
が悪化することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における乾燥処理装置の
断面図
【図2】本発明の第2の実施例における乾燥処理装置の
断面図
【符号の説明】
2 被乾燥物収納内容器 3 円筒状断熱容器 4 凝縮部 9 温度検出器 11 マイクロ波導入口 13 マイクロ波発振器 14 送風ファン 18 モーター 28 コロ 29 内容器リング 30 凝縮水流出部 31 吸気ファン 33 触媒装置

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被乾燥物を収納する被乾燥物収納部と、前
    記被乾燥物収納部の外側に位置する凝縮部と、凝縮部蓋
    と、前記被乾燥物を加熱するマイクロ波発振器と、前記
    凝縮部の外面を冷却する送風ファンと、前記被乾燥物収
    納部を傾斜させた状態で回転させる手段とを設け、前記
    被乾燥物収納部の底面の一部をマイクロ波透過材で形成
    し、マイクロ波導入口を前記凝縮部の底面部に位置させ
    たことを特徴とする乾燥処理装置。
  2. 【請求項2】被乾燥物収納部を被乾燥物収納内容器と前
    記被乾燥物収納内容器の外側に位置する円筒状断熱容器
    に分離し、前記円筒状断熱容器を凝縮部に固定し、マイ
    クロ波透過材で形成した前記被乾燥物収納内容器のみを
    回転させることを特徴とする請求項1記載の乾燥処理装
    置。
  3. 【請求項3】被乾燥物収納部を傾斜させた状態で回転さ
    せる手段として、被乾燥物収納内容器の下部に回転軸と
    着脱可能な接続部を設け、前記回転軸をモーターで回転
    させるとともに、回転補助具を円筒状断熱容器の内側に
    接するように前記被乾燥物収納内容器の上端部に設ける
    ことを特徴とする請求項1、または2記載の乾燥処理装
    置。
  4. 【請求項4】被乾燥物収納内容器の上部に前記被乾燥物
    収納内容器の内径を小さくする内容器リングを設けたこ
    とを特徴とする請求項1、または2記載の乾燥処理装
    置。
  5. 【請求項5】被乾燥物を収納する被乾燥物収納部と、前
    記被乾燥物収納部の外側に位置する凝縮部と、凝縮部蓋
    と、前記被乾燥物を加熱するマイクロ波発振器と、前記
    凝縮部の外面を冷却する送風ファンとを設け、マイクロ
    波導入口を前記凝縮部の底面部に位置させ、前記被乾燥
    物収納部の側面を円筒状断熱容器で形成し、底面をマイ
    クロ波透過材で形成して一体化し、前記被乾燥物収納部
    を傾斜させ、前記被乾燥物収納部の底面下部に回転軸と
    着脱可能な接続部を設け、前記回転軸をモーターで回転
    させるとともに、回転補助具を前記凝縮部の内側に接す
    るように前記円筒状断熱容器の上端部に設けたことを特
    徴とする乾燥処理装置。
  6. 【請求項6】マイクロ波導入口を凝縮部の底面部の回転
    軸中心より斜め上部に位置させたことを特徴とする請求
    項1,2、または5記載の乾燥処理装置。
  7. 【請求項7】被乾燥物から発生する水蒸気の温度を検出
    するように温度検出器を凝縮部蓋の斜め上部に設置した
    ことを特徴とする請求項1,2、または5記載の乾燥処
    理装置。
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