JP2587355Y2 - プロジェクタ型灯具用コンデンサーフレネルレンズ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、プロジェクタ型の灯具
に使用するコンデンサーレンズの改良に係り、特に外周
部の分光現象を改善したプロジェクタ型灯具用コンデン
サーフレネルレンズに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より自動車のプロジェクタ型のヘッ
ドランプとして、図９に示すように、コンデンサーレン
ズ５０の後方光軸上に楕円反射鏡面５３を有するリフレ
クタ５２を配置し、該リフレクタ５２の第一焦点位置に
点灯用のバルブ５４を設けると共に、第二焦点位置とコ
ンデンサーレンズ５０の焦点が略一致するような光学系
を構成し、光軸に向かってシェード５５を突設した構造
のものが使用されている。そして、図１１に示すよう
に、シェード５５によって照射光束の一部をカットし
て、自動車の前照灯として適合した配光パターンＰを形
成している。

【０００３】しかし、この種のプロジェクタ型灯具は、
コンデンサーレンズ５０が曲率が大きい厚肉のレンズに
よって形成されているため、該レンズの外周部で分光現
象が生じるようになり、配光パターンＰにおいてカット
ラインＣＬ近傍（図１１に矢印Ａで示す部分）で色ムラ
が発生する。また、レンズ厚によって灯具全体の重量が
増大するといった欠点があった。

【０００４】このため、従来より上記プロジェクタ型灯
具のコンデンサーレンズ５０を薄くするために、図１０
に示すようなコンデンサーフレネルレンズ５１を構成し
たものもある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかし、該コンデンサ
ーフレネルレンズ５１は、図９のコンデンサーレンズ５
０を破線で示すように径方向に等間隔同芯円状に分割し
た部分を平面上に並べ替えたものであるから、レンズの
重量が軽減する利点はあるものの、外周部での分光現象
が解消されない。更に、フレネル型にしたことにより、
肉厚の変化の大きい周辺部（矢印Ｂ）において該周辺部
のフレネルステップが、レンズをガラスで成形した場合
は成形固化時にダレを生じ、また樹脂によって成形した
場合は固化時の収縮によるヒケを生じるため、そのフレ
ネルステップの形状が全面で均一にならず、該部で屈折
した光束が図１１に矢印Ｃで示すような不規則な配光ム
ラとなって現れ、眩光になるという問題を有していた。

【０００６】本考案は、上記問題に鑑みてなされたもの
であり、レンズを軽量化するためにフレネル型に成形し
たコンデンサーレンズにおいて、外周部の分光現象を抑
制すると共に、周辺部のフレネルステップが均一にな
り、配光ムラを解消したプロジェクタ型灯具用コンデン
サーフレネルレンズを提供することを目的とするもので
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案に係るプロジェクタ型灯具用コンデンサーフ
レネルレンズは、略楕円反射鏡面を有するリフレクタの
前方光軸上に配置し、該リフレクタの第一焦点位置に点
灯用のバルブを設けると共に、第二焦点位置とコンデン
サーレンズの焦点が略一致するような光学系を構成して
なるプロジェクタ型灯具に使用するフレネル型のコンデ
ンサーレンズであり、該コンデンサーレンズのフレネル
ステップのステップ幅を、各フレネルステップの底面積
がそれぞれ同一の面積になると共に、各フレネルステッ
プの体積も略同一になるように、中央から周辺に向かっ
て徐減するように構成したことを要旨とするものであ
る。

【０００８】また、上記周辺部のフレネルステップのレ
ンズ面を、理論的非球状曲面によって構成した内側部フ
レネルステップのレンズ面の焦点と焦点位置を異にする
拡散曲面とした構成にしたことを要旨とするものであ
る。

【０００９】

【作用】上記構成によれば、フレネルレンズのレンズス
テップのステップ幅を、中央から周辺部に向かって徐変
減少する構造にしたことにより、外周部のフレネルステ
ップの高さが異常に高くなることがなくなる。これによ
って、肉厚の変化を小さくすることができるため、レン
ズの製造に際して、ガラスで成形する場合のダレや、樹
脂で成形する場合のヒケを解消し、全面に亙って均一な
フレネルステップを構成することが可能となり、不規則
な配光ムラを除去することができる。

【００１０】また、周辺部のコンデンサーフレネルレン
ズステップ部を、拡散ステップ又は内側部のレンズステ
ップより焦点距離の長いレンズステップに変更したこと
により、該部透光の分光現象が抑制され、該部を透過す
る光束を拡散する。これによって、プロジェクタランプ
のシェードによって形成されるカットライン上の色ムラ
を少なくすると同時に、該カットライン上に照射する光
束を完全に制御されたものとすることができる。

【００１１】

【実施例】以下、本考案に係るプロジェクタ型灯具用コ
ンデンサーフレネルレンズの実施例を図面に従って説明
する。図１乃至図３は、本考案の第一の実施例を示すも
のであり、正面形状が略真円のコンデンサーフレネルレ
ンズ１であり、光軸を回転軸とした回転対称体を形成し
たものである。このレンズのフレネルステップＳ１，Ｓ
２，…Ｓｎは、各フレネルステップＳ１，Ｓ２，…Ｓｎ
のリング形状の底面積が、それぞれ同一の面積になるよ
うに、光軸となる中央から配置形成してある。各フレネ
ルステップＳ１，Ｓ２，…Ｓｎのステップ幅Ｐ１，Ｐ
２，…Ｐｎは、それぞれのフレネルステップＳ１，Ｓ
２，…Ｓｎの体積が略同一になるように、ステップ幅Ｐ
１，Ｐ２，…Ｐｎは、中央から周辺に向かって徐減する
（Ｐ１＞Ｐ２＞…＞Ｐｎ）構造になっている。

【００１２】また、最外周のフレネルステップＳｎ、又
は該最外周のフレネルステップを含む外周部は拡散ステ
ップ３となっており、該拡散ステップのレンズ面は、内
側のフレネルステップの理論的非球状曲面のレンズ面２
によって構成する該コンデンサーフレネルレンズ１の焦
点Ｆ１と焦点位置Ｆ２を異にする、該レンズ面２より曲
率半径が大きいか、又は逆向きの曲率半径を持った凹曲
面状からなる拡散曲面４を構成してある。

【００１３】上記のように構成したコンデンサーフレネ
ルレンズ１は、従来のプロジェクタ型灯具と同様にリフ
レクタの前方光軸上に配置して使用するものである。そ
して、上記コンデンサーフレネルレンズ１の構成によれ
ば、外周部のフレネルステップの高さが異常に高くなる
ことがなくなり、肉厚の変化を小さくすることができる
と共に、内側のフレネルステップと略一様な肉厚変化に
することができる。

【００１４】上記構成のように、拡散ステップ３が分光
現象が大きくなるコンデンサーフレネルレンズ１の外周
部に構成してあり、該部を透過する光束を拡散するた
め、図４の配光パターンＰに示すように、カットライン
ＣＬ上の色ムラが非常に少なくなり、またカットライン
ＣＬ上にも制御された光束を出すことができるため、自
動車のヘッドランプとして使用した場合、道路標識等の
視認距離を増大することができる。そして、外周部のフ
レネルステップを小さくして肉厚の変化が小さくなるた
め、レンズの製造に際して、ガラスで成形する場合のダ
レや、樹脂で成形する場合のヒケを解消し、全面に亙っ
て均一なフレネルステップを構成して不規則な配光ムラ
を除去することができる。

【００１５】また、内周部と外周部のフレネルステップ
が、単位面積当りの体積が略一定となるようなステップ
幅によって構成されているため、従来のフレネルレンズ
と比較して薄くなり、重量が軽減すると共に、製造に際
しての成形サイクルも短縮して製造コストを引き下げる
ことができる。

【００１６】次に図５及び図６は、本考案に係るプロジ
ェクタ型灯具用コンデンサーフレネルレンズの第二の実
施例を示すものであり、前記第一の実施例と異なる構造
部分について説明する。レンズの中央部を含む範囲Ｄの
部分は、光軸を回転対称軸としたフレネルステップの理
論的非球状曲面のレンズ面２によって構成する焦点Ｆ１
を構成する。また、周辺部Ｅ，Ｇのレンズステップは、
上半部最外周のレンズステップが焦点Ｆ２，下半部外周
のレンズステップが焦点位置Ｆ３となるように、それぞ
れ数ステップで段階的に徐変すると共に、上半部と下半
部の部分Ｅ，Ｇは各フレネルステップ毎に円周方向に焦
点を徐変した構造になり、Ｖ−Ｖ線断面における各終点
距離の長さには、Ｆ１＜Ｆ２＜Ｆ３の関係を持たせてあ
る。

【００１７】図７は、本考案に係るプロジェクタ型灯具
用コンデンサーフレネルレンズの第三の実施例を示すも
のであり、レンズの正面形状を楕円形に構成したもので
ある。このレンズのフレネルステップＳ１，Ｓ２，…Ｓ
ｎは、それぞれ同楕円率によって形成したステップライ
ン５によって区画され、各ステップ幅Ｐ１，Ｐ２，…Ｐ
ｎは、一方向（例えばＶ−Ｖ方向）を基準に採ったと
き、その基準ライン上の単位面積におけるフレネルステ
ップＳ１，Ｓ２，…Ｓｎの体積が略同一になるように設
計されている。従って、ステップ幅Ｐ１，Ｐ２，…Ｐｎ
は、中央から周辺に向かって徐減する（Ｐ１＞Ｐ２＞…
＞Ｐｎ）ようになる。

【００１８】また、中央部のフレネルステップに対する
周辺部のレンズステップは、前記第一実施例のように拡
散ステップを構成しても、或は焦点距離を長くしたレン
ズステップにすることもできる。そして、該構成のコン
デンサーフレネルレンズ１を光学系に配置したプロジェ
クタ型灯具では、図８に示すようにレンズの長軸方向に
拡散した前照光束の配光パターンＰを形成することがで
き、この配光は破線で示す前記第一及び第二の実施例の
レンズの配光パターンと比較すると明確である。

【００１９】

【考案の効果】本考案に係るプロジェクタ型灯具用コン
デンサーフレネルレンズは、上記の如くフレネルレンズ
のレンズステップのステップ幅を、中央から周辺部に向
かって徐変減少する構造にしたことにより、外周部のフ
レネルステップの高さが異常に高くなることがなくな
り、肉厚の変化を小さくすることができるため、レンズ
の製造に際して、ガラスで成形する場合のダレや、樹脂
で成形する場合のヒケを解消し、全面に亙って均一なフ
レネルステップを構成することが可能となり、不規則な
配光ムラを除去することができる。

【００２０】また、周辺部のコンデンサーフレネルレン
ズステップ部を、拡散ステップ又は内側のレンズステッ
プより焦点距離の長いレンズステップに変更したことに
より、分光現象が抑制されると共に該部を透過する光束
を拡散するため、例えば自動車用ヘッドランプとして使
用した場合、プロジェクタランプのシェードによって形
成されるカットライン上の色ムラを少なくすると同時
に、該カットライン上に照射する制御された光束によ
り、路面の上方に設置された道路標識等の視認距離を増
大することができる。

【００２１】更に、本考案の構成によれば、従来のフレ
ネルレンズと比較してレンズの肉厚が薄くなり、重量が
軽減すると共に、製造に際しての成形サイクルも短縮し
て製造コストを引き下げることができる等の特徴を有す
るものであり、本考案の実施により得られる効果は極め
て大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るプロジェクタ型灯具用コンデンサ
ーフレネルレンズの第一の実施例を示す正面図である。

【図２】同レンズの径方向断面図である。

【図３】図２におけるＩＩＩ部の拡大図である。

【図４】同レンズを備えたプロジェクタ型灯具の配光パ
ターンを示す説明図である。

【図５】本考案に係るプロジェクタ型灯具用コンデンサ
ーフレネルレンズの第二の実施例を示す正面図である。

【図６】図５におけるＶ−Ｖ線断面図である。

【図７】本考案に係るプロジェクタ型灯具用コンデンサ
ーフレネルレンズの第３の実施例を示す正面図である。

【図８】同レンズを備えたプロジェクタ型灯具の配光パ
ターンを示す説明図である。

【図９】コンデンサーレンズを備えたプロジェクタ型灯
具の正断面図である。

【図１０】従来のプロジェクタ型灯具用コンデンサーフ
レネルレンズを示す正面図（ａ）と径方向断面図（ｂ）
である。

【図１１】同従来のレンズを備えたプロジェクタ型灯具
の配光パターンを示す説明図である。

【符号の説明】

１ コンデンサーフレネルレンズ ２ 内側フレネルステップのレンズ面 ３ 周辺部フレネルステップ ４ 周辺部フレネルステップのレンズ面 Ｓ１，Ｓ２…Ｓｎ フレネルステップ Ｐ１，Ｐ２…Ｐｎ ステップ幅

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 略楕円反射鏡面を有するリフレクタの前
   方光軸上に配置し、該リフレクタの第一焦点位置に点灯
   用のバルブを設けると共に、第二焦点位置とコンデンサ
   ーレンズの焦点が略一致するような光学系を構成してな
   るプロジェクタ型灯具に使用するフレネル型のコンデン
   サーレンズであり、該コンデンサーレンズのフレネルステップの ステップ幅
   を、各フレネルステップの底面積がそれぞれ同一の面積
   になると共に、各フレネルステップの体積も略同一にな
   るように、中央から周辺に向かって徐減するように構成
   したことを特徴とするプロジェクタ型灯具用コンデンサ
   ーフレネルレンズ。
2. 【請求項２】 前記周辺部のフレネルステップのレンズ
   面が、理論的非球状曲面によって構成した内側部フレネ
   ルステップのレンズ面の焦点と焦点位置を異にする拡散
   曲面を構成したことを特徴とする請求項１のプロジェク
   タ型灯具用コンデンサーフレネルレンズ。