JP2585728B2 - 熱分析装置 - Google Patents

熱分析装置

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JP2585728B2 JP63164752A JP16475288A JP2585728B2 JP 2585728 B2 JP2585728 B2 JP 2585728B2 JP 63164752 A JP63164752 A JP 63164752A JP 16475288 A JP16475288 A JP 16475288A JP 2585728 B2 JP2585728 B2 JP 2585728B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、試料と標準試料とを同時に昇・降温させて
これらの温度差を測定することにより前記試料の熱的変
化を観測する熱分析装置に関する。
[従来の技術] 試料と標準試料とを同時に昇・降温させてこれらの温
度差を測定することにより前記試料の熱的変化を観測す
る熱分析装置として、従来から、示差熱分析装置(DTA;
Differential Thermal Analysis)、あるいは、示差走
査熱量計(DSC;Differential Scanning Calorimeter)
が知られている。これらは、いずれも、試料の転移温度
や転移熱等の試料の熱的性質を定性的あるいは定量的に
観測する極めて有効な手段として広く用いられている。
ところで、上述のような熱分析装置においては、試料
に熱的変化がないときは、これらの間に温度差が生じな
いことが前提である。つまり、いま、このような装置で
全く熱的変化のない試料(つまり、標準試料と同じ熱的
性質を有する試料)について測定し、その結果を、縦軸
に試料と標準試料との温度差をとり、横軸に試料の温度
(または、時間)をとったグラフに曲線として示した場
合、装置が完全であれば、この曲線は横軸に平行な直線
となるはずである。
そして、通常、この直線をベースラインといい、この
ベースラインからのずれを読み取って試料の熱的性質を
解析する。
したがって、このベースラインの安定性がこの種の装
置の性能を左右する一つの重要な要素となっている このベースラインの安定性を図るため、従来より種々
の試みがなされているが、その一つに、熱伝導性に富む
円形の板材料で構成された感熱板を用い、この感熱板の
表面であって該感熱板の円の中心を中心として互いにほ
ぼ点対象となる位置にそれぞれ試料と標準試料とを載置
し、該感熱板の外周部を加熱もしくは冷却を行う昇・降
温手段に熱的に結合した方式の装置が知られている(例
えば、中川英昭ほか、熱測定7,11,1980参照)。
[発明が解決しようとする課題] ところが、近年にいたり、装置の高感度化の要請が益
々高まるに従い、上述の感熱板を用いた方式であっても
その要請に十分応えることができなくなってきた。
すなわち、上記感熱板を用いた方式の装置によって従
来の最高感度以上の極めて高い感度(超高感度)で測定
すると、試料の昇・降温とともに、ベースラインに不規
則な階段状の乱れが生じ、これがため、上述のような超
高感度の測定に支障をきたすということが判明した。
本発明の目的は、上述の問題点を除去した熱分析装置
を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者等は、上記問題点を鋭意究明し、種々の試行
錯誤を繰り返した結果、前記感熱板に切り込みをいれる
という、極めて簡単な方法によって、前記ベースライン
の乱れをほぼ完全に除去できるという事実をみいだし
た。本発明は、この事実に基づいてなされたもので、以
下の構成を有する。
試料と標準試料とを同時に昇・降温させてこれらの温
度差を測定することにより前記試料の熱的変化を観測す
る熱分析装置であって、前記試料と標準試料とを載置し
てこれらをほぼ同一の熱的条件下におく感熱板と、該感
熱板に熱的に結合されて前記試料及び標準試料を昇・降
温させる昇・降温手段と、前記試料と標準試料との温度
差を測定する温度差測定手段とを備え、 前記感熱板は、略円板状をなした熱伝導性の板状材料
で構成され、該円板の中心を中心として互いにほぼ点対
称となる部位に前記試料と標準試料とをそれぞれ載置す
ることができる試料載置部及び標準試料載置部が形成さ
れ、前記円板の中心を中心とする略円形の領域であって
前記試料載置部及び標準試料載置部が含まれる領域内に
は切り込みを設けずに連続した板体とされ、この領域の
外の領域に切り込みが設けられたものであり、かつ、前
記円板の外周部が前記昇・降温手段に結合されているも
のであることを特徴とする熱分析装置。
[作用] 前記構成によれば、感熱板に切り込みを設けたことに
よって、切り込みを設ける前には生じていた超高感度で
のベースラインの乱れがほぼ完全になくなることが確認
されている。
本発明者等の考察によれば、このような作用が得られ
る理由は、以下の通りであると推察される。
すなわち、前記感熱板と昇・降温手段とを熱的に結合
するために、これらは機械的に結合されるが、前記感熱
板に切り込みがない場合は、昇・降温の際に、両者の熱
膨張その他の熱的挙動に差異が生じ、これがため、いず
れか一方もしくは両者に歪みを生じさせ、その結果、前
記試料と標準試料との間の熱的バランスを崩し、ベース
ラインの乱れを生じさせるものと思われる。
これに対し、前記感熱板に切り込みを設けた場合に
は、該切り込みが前記感熱板と昇・降温手段との熱的挙
動の差異にもとづく歪みを吸収し、前記試料と標準試料
との熱的バランスを崩すのを未然に防止する作用をする
ものと考えられる。
[実施例] 第1図は本発明の一実施例にかかる熱分析装置を示す
図である。
第1図において、符号1は昇・降温手段、符号2は前
記昇・降温手段1に熱的に結合された感熱板である。
前記昇・降温手段1は、略円筒状をなした熱伝導性の
材料からなる均熱ブロック11と、この均熱ブロック11の
外周に設けられ、該均熱ブロック11を加熱もしくは冷却
する加熱・冷却手段12とから構成されている。
前記感熱板2は第2図にその平面図を示したように、
円板状をなした熱伝導性の材料で構成され、該感熱板2
の円の中心Oを中心として互いにほぼ点対称となる部位
が円形状に突出され、それぞれ試料載置部2aと標準試料
載置部2bとが形成されている。また、前記感熱板2の半
径方向外周よりの円環状の領域には、外周から中心に向
かって半径の1/2以下の長さに延長されたスリット状の
切り込み3,…,3が形成されている。さらに、前記感熱板
2はその外周部を残した中央部が一方の側、すなわち、
図中下方側に断面略台形状となるように突出され、テー
パ状部2cが形成されている。
そして、前記感熱板2は、その外周部が前記均熱ブロ
ック11の上部に形成された大径部11aと小径部11bとの間
の段差部11cに接するようにして前記大径部11aに挿入さ
れ、次に、固定リング13が前記大径部11aに圧入され、
該固定リング13と前記段差部11cとで前記感熱板2の外
周部が把持されるようにして支持されている。すなわ
ち、前記感熱板2は、前記均熱ブロック11を介して前記
加熱・冷却手段12に熱的に結合されている。
また、前記感熱板2の試料載置部2a及び標準試料載置
部2bの裏面のほぼ中心部にはそれぞれ温度検出手段とし
ての熱電対4及び5が接続されている。
これら熱電対4,5は、前記均熱ブロック11の小径部11b
に形成された遮熱壁11dに設けられた貫通孔11eを通して
外部に導かれ、制御回路部6に接続されている。
すなわち、これら熱電対4,5は、前記試料載置部2a及
び標準試料載置部2b上にそれぞれ載置された試料7及び
標準試料8の温度を検出するもので、これら試料7及び
標準試料8の温度に対応した起電力を生じこれを前記制
御回路部6に送出する。
前記制御回路部6は、演算処理回路や温度コントロー
ル回路等を内蔵するもので、前記熱電対4の起電力を検
出して試料の温度に対応する信号に変換するとともに、
前記熱電対4,5の起電力の差をとってこの差に対応する
信号に変換し、これらを記録・表示手段9に送出して試
料の温度及び試料7と標準試料8との温度差の表示をさ
せ、さらに、前記加熱・冷却手段12を制御してその温度
をコントロールするものである。なお、前記熱電対4,5
と制御回路部6とは、試料と標準試料との温度差を測定
する温度差測定装置を構成する。また、前記均熱ブロッ
ク11の大径部11aの上部には蓋11fを被せることができる
ようになっている。
上述の装置によって熱分析を行うときは、前記感熱板
2の試料載置部2a及び標準試料載置部2b上にそれぞれ試
料7及び標準試料8を載置し、前記制御回路部6をによ
り前記加熱・冷却手段12をコントロールし、前記試料7
及び標準試料8の温度を昇・降温させ、その際、前記記
録・表示手段9によって記録もしくは表示された温度差
を読み取ることにより行う。なお、この場合、この温度
差から転移熱等の値を定量的に求めるときは、該温度差
を、装置定数等を含む一定の数式にいれて演算処理を行
う等の必要がある。
上述の実施例によれば、超高感度測定においてもベー
スラインに不規則な階段状のずれは全くみられず、良好
な測定が可能であった。
すなわち、ほぼ同一の条件下において従来例と前記実
施例との比較を行った結果、1mcal/sフルスケール(記
録紙の目盛り幅で135mmフルスケール)の感度での測定
で、従来例では、ベースラインに約7〜66μcal/s(記
録紙の目盛り幅で1〜9mm)の階段状のずれがみられる
場合があった、上記実施例ではベースラインのずれを全
く認めることができなかった。
第3図は、本発明の他の実施例の一部を示す図であ
る。
この実施例では、前記一実施例における感熱板2のか
わりに感熱板20を用いたもので、その他の構成は前記一
実施例と同じである。
前記感熱板20は、その半径方向外周よりの円環状の領
域に、外周から向かって半径の1/2以下の長さに延長さ
れた4個のスリット状の切り込み31,…,31と、該スリッ
チ31,…,31の先端部を通る円上に形成された4個の円弧
状の切り込み32,…,32とが形成されている。
なお、前記感熱板20は、該感熱板20の円の中心Oを中
心として互いにほぼ点対象となる部位が円形状に突出さ
れ、それぞれ試料載置部20aと標準試料載置部20bとがそ
れぞれ形成されている。
この実施例によっても、前記一実施例と同様の作用・
効果が得られることが確認されている。
なお、本発明は、感熱板に形成される切り込みの位
置、形状もしくは数が前記各実施例に示されたものに限
定されるものではなく、前記各実施例の切り込みに類似
する位置、形状もしくは数の範囲で通常考えられる種々
の変形例であってもよいことが確認されている。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明は、感熱板に切り込みを
いれるという、極めて簡単な構成によって、超高感度の
測定においてもベースラインの乱れのない熱分析装置を
得たものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例にかかる熱分析装置を示す
図、第2図は第1図に示される感熱板2の正面図、第3
図は本発明の他の実施例における部分構成を示す図であ
る。 1……昇・降温手段、2,20……感熱板、 3,31,32……切り込み、4,5……温度差測定手段の一部を
構成する熱電対、6……温度差測定手段の一部を構成す
る制御回路部、7……試料、8……標準試料。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料と標準試料とを同時に昇・降温させて
    これらの温度差を測定することにより前記試料の熱的変
    化を観測する熱分析装置であって、前記試料と標準試料
    とを載置してこれらをほぼ同一の熱的条件下におく感熱
    板と、該感熱板に熱的に結合されて前記試料及び標準試
    料を昇・降温させる昇・降温手段と、前記試料と標準試
    料との温度差を測定する温度差測定手段とを備え、 前記感熱板は、略円板状をなした熱伝導性の板状材料で
    構成され、該円板の中心を中心として互いにほぼ点対称
    となる部位に前記試料と標準試料とをそれぞれ載置する
    ことができる試料載置部及び標準試料載置部が形成さ
    れ、前記円板の中心を中心とする略円形の領域であって
    前記試料載置部及び標準試料載置部が含まれる領域内に
    は切り込みを設けずに連続した板体とされ、この領域の
    外の領域に切り込みが設けられたものであり、かつ、前
    記円板の外周部が前記昇・降温手段に結合されているも
    のであることを特徴とする熱分析装置。
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