JP5283535B2 - 示差走査熱量計 - Google Patents
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Description
又、熱分析装置の冷却機構自身に冷却ヘッドの挿入孔を設けて外部の電気冷却装置を取外し可能に接続すると共に、この挿入孔に連通する排気流路を設けて冷却機構自身のガス冷却を可能とした示差走査熱量計が開示されている(特許文献2)。
さらに、円筒形のディスクを備えた冷却フランジを、熱抵抗器を介してヒートシンクの下方に接続した走査熱量計が開示されている(特許文献3)。
又、特許文献3記載の技術の場合、冷却フランジ(冷却ブロック)10の頂面12の上に外部の冷却装置を載置するため、冷却装置の冷却ヘッドが冷却フランジ10上の熱抵抗器9に直接対向するようにして近接し、冷却ヘッドと熱抵抗器9間で空気層を介した無視できない熱流入が生じる。これは、通常、冷却ヘッドと熱抵抗器9間に100℃以上の温度差があるためである。この場合、冷却ヘッドと熱抵抗器9間で輻射や対流などによる熱的影響が生じ、ヒートシンクへの熱伝導のアンバランスや不安定化を招く。一方で、冷却ヘッドを熱抵抗器9から遠ざけて冷却フランジ10と接触させると、冷却フランジ10内に熱抵抗が生じて自身の温度分布が大きくなり、冷却効率が低下する。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、外部の冷却装置によって冷却される冷却ヘッドを冷却ブロックに接続する場合に、ヒートシンクと冷却ブロックとの間の熱抵抗体への冷却ヘッドからの熱流入を抑制し、冷却速度や測定精度を向上できると共に、冷却効率も高めた示差走査熱量計の提供を目的とする。
このように冷却ヘッドの上面が接続部より上方にはみ出さないので、熱抵抗体が冷却ヘッドに直接対向せず、熱抵抗体と冷却ヘッドの間での空気層を介した熱流入を抑制することができる。又、冷却ヘッドの内孔に嵌合した側壁が接続部より外側に位置しているので、横方向から見たとき、冷却ヘッドの内面と接続部との間には必ず間隔が形成される。そのため、冷却ヘッドの内面と熱抵抗体とが直接接触することが防止される。又、冷却ヘッドの内孔と側壁との嵌合部から熱伝導が行われるので、他の嵌合部(例えば冷却ヘッド下面と冷却ブロック上面)からの熱伝導に比べて熱抵抗体へ至る熱流路が短くて済み、冷却速度を早くし、冷却効率を高めることができる。
さらに、冷却ヘッド内面が側壁を囲むように接するので、冷却ヘッドと冷却ブロックとの間の熱伝導損失が少なく、冷却効率を高めることができる。
このようにすると、突出部を冷却ヘッドの内孔に嵌合すればよいので、確実な嵌合を行うことができる。
このようにすると、冷却ヘッドの外周と外周環の内面との接触部からも熱伝導が行われ、冷却ヘッドと冷却ブロックとの間の熱伝導損失がさらに少なくなり、冷却効率をより一層高めることができる。
図1は本発明の第1の実施形態に係る示差走査熱量計1の構成を示す断面図である。示差走査熱量計1は、測定試料及び基準物質を収納するヒートシンク10と、ヒートシンク10の外周に巻回されて該ヒートシンクを加熱する巻線状のヒータ12と、ヒートシンク10と離間しつつ該ヒートシンクの下方に位置する冷却ブロック20と、ヒートシンク10と冷却ブロック20との間に接続されてこれらの間に熱流路を形成する熱抵抗体14と、外部の電気式冷却装置(図示せず)によって冷却される冷却ヘッド30と、測定試料と基準物質との温度差を熱流差信号として出力する示差熱流検出器(熱電対用端子)3,5とを備えている。
なお、ヒータ12の外側は図示しないカバーで覆われている。
さらに、ヒートシンク10の下筒10bの内面に制御熱電対18が取り付けられ、ヒートシンク10の温度を測定する。制御熱電対18の出力は、公知のPID制御回路からなるPID演算部71によって演算され、演算結果がヒータドライブ(駆動回路)72に出力され、ヒータ12の温度を制御可能になっている。
ヒートシンク10の上筒10aの上端には蓋11が着脱可能に載置され、ヒートシンク10内部を外気から遮断している。
ヒートシンク10は、耐熱性の観点、及び温度分布を小さくするため、高熱伝導率物質である純Ag等からなり、サンプルの熱的な変化に対して充分な熱容量を有している。
冷却ブロック20はヒートシンク10を冷却する冷却源として機能し、冷却ブロック20の熱容量は冷却能力、ヒータ12の能力、後述する熱抵抗体14の熱抵抗値等に応じて設定される。又、温度分布を小さくすると共にコストの点から、冷却ブロック20は高熱伝導率物質であるCu、Al等からなっている。
そして、上端面20uのうち熱抵抗体14の下端との接続部20cが、特許請求の範囲の「熱抵抗体との接続部」に相当する。
熱抵抗体14を純Feから形成すると、以下のような純Feの熱伝導率の温度依存性を利用してヒートシンク10の最高/最低到達温度の幅を広げることができる。純Feは、他の金属に比べ、高温では熱伝導率が低下し、低温では熱伝導率が上昇する。
そして、冷却ヘッド30を冷却ブロック20の上方に被せ、内孔30iに突出部20pを嵌合することにより、内孔30iの側面と突出部20pの外周面20pwとが接し、冷却ヘッド30と冷却ブロック20との間で熱伝導するようになっている。又、冷却ヘッド30の下面と冷却ブロック20の上面との接続部分でも熱伝導が行われる。
ここで、内孔30iへの突出部20pの嵌合をし易くするために、内孔30iの側面と突出部20pの外周面20pwとの間にクリアランスを適宜設けてもよい。その場合、当該クリアランス部分に熱伝導グリス等を充填するとなおよい。また、冷却ヘッド30の下面と冷却ブロック20の上面との接続部分に熱伝導グリスを用いればよいことは言うまでもない。
なお、冷却ヘッド30と冷却ブロック20とは図示しないネジ等によって固定される。又、冷却ヘッド30の外形は冷却ブロック20の外形より大きく、冷却ヘッド30が冷却ブロック20上面を完全に覆っている。この場合、冷却ヘッドと冷却ブロックとの接触面積は、冷却ヘッドの冷却能力との関係で必要十分な面積となるように設定すればよい。
ここで、「冷却ヘッド30の上面」とは、冷却ヘッド30をブロック20に取り付けた際に最も上側(ヒートシンク10側)に位置する部分をいう。
なお、冷却ヘッド30の上面30uが接続部20cより上方にはみ出さなければ、必ずしも冷却ヘッド30の上面30uが接続部20cより下方に位置しなくてもよく、冷却ヘッド30の上面30uと接続部20cとが面一でもよい。
さらに、冷却ヘッド30内面が突出部20pを囲むように接するので、冷却ヘッド30と冷却ブロック20との間の熱伝導損失が少なく、冷却効率を高めることができる。特に、間隔Fを小さくすると(但し、0でない有限の大きさ)、冷却ヘッド30から冷却ブロック20を経て熱抵抗体14に至る熱流路が短くなるので、冷却効率が向上する。
第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様な円筒状の突出部21pが冷却ブロック21の上方に突出し、突出部21pより外側で平坦面を構成すると共に、冷却ブロック21の外周縁に沿って平坦面から外周環21rが立ち上がっている。外周環21rは突出部21pを外側から離間しつつ囲んでおり、突出部21pの外周、冷却ブロック21の平坦面、及び外周環21rの内周によって溝21gが区画されている。
一方、冷却ヘッド31の外形は溝21gの外周とほぼ同一であり、冷却ヘッド31を上方から冷却ブロック21に被せると、冷却ヘッド31の内孔31iに突出部21pの外周面21pw(特許請求の範囲の「側壁」に相当)を嵌合しつつ、冷却ヘッド31が溝21g内にぴったりと嵌るようになっている。
なお、第1の実施形態と同様、熱抵抗体14の下端が冷却ブロック21の上端面21uに接続されて接続部21c(特許請求の範囲の「熱抵抗体との接続部」に相当)を形成している。
又、冷却ヘッド31の内孔31iに突出部21pを嵌合すると共に、突出部21pの外周が接続部21cより外側に位置しているので、横方向から見たとき、内孔31iの側面と接続部21cとの間には必ず間隔(Fと同様)が形成される。そのため、冷却ヘッド31の内面と熱抵抗体14とが直接接触することが防止される。
さらに、第2の実施形態においては、冷却ヘッド31が溝21g内に収容されるため、冷却ヘッド31の外周と外周環21rの内面との接触部からも熱伝導が行われ、冷却ヘッド31と冷却ブロック21との間の熱伝導損失が第1の実施形態よりさらに少なくなり、冷却効率をより一層高めることができる。
なお、外周環21の一部には切り欠き21tが形成され、冷却ヘッド31の側方に延びる接続部31cと干渉しないようになっている。
第3の実施形態において、冷却ブロック22は、第2の実施形態の冷却ブロック21を上下反対向きに配置した構成をなしている。つまり、円筒状の突出部22pが冷却ブロック22の下方に突出し、突出部22pより外側で平坦面を形成すると共に、冷却ブロック22の外周縁に沿って平坦面から外周環22rが立ち下がっている。外周環22rは突出部22pを外側から離間しつつ囲んでおり、突出部22pの外周、冷却ブロック22の平坦面、及び外周環22rの内周によって溝22gが区画されている。
一方、冷却ヘッド32の外形は溝22gの外周とほぼ同一であり、冷却ヘッド32を下方から冷却ブロック22に被せると、冷却ヘッド32の内孔32iに突出部22pの外周面22pw(特許請求の範囲の「側壁」に相当)を嵌合しつつ、冷却ヘッド32が溝22g内にぴったりと嵌るようになっている。
なお、支柱50は、外周環22rの下端縁に取り付けられている。
そして、冷却ヘッド32は冷却ブロック22より下方にあるため、冷却ヘッド32の上面32uが接続部22cより下方に位置している。このため、熱抵抗体14が冷却ヘッド32に直接対向しないので、熱抵抗体14と冷却ヘッド32の間での空気層を介した熱流入を抑制することができる。
又、冷却ヘッド32の内孔32iに突出部22pを嵌合すると共に、突出部22pの外周が接続部22cより外側に位置しているので、横方向から見たとき、内孔32iの側面と接続部22cとの間には必ず間隔(Fと同様)が形成される。そのため、冷却ヘッド32の内面と熱抵抗体14とが直接接触することが防止される。
さらに、第3の実施形態においても、冷却ヘッド32が溝22g内に収容されるため、冷却ヘッド32の外周と外周環22rとの接触部分からも熱伝導が行われ、冷却ヘッド32と冷却ブロック22との間の熱伝導損失が第1の実施形態よりさらに少なくなり、冷却効率をより一層高めることができる。
第4の実施形態において、冷却ブロック23は、突出部を有しない略直方体状をなし、中心に丸孔23hが貫通している。又、冷却ブロック23の内部には、冷却ブロック23の外周に沿って矩形断面の空洞23aが設けられ、空洞23aは、冷却ブロック23の下面に取り付けられた冷却ガス導入配管40D及び冷却ガス排出配管41Dに連通している。なお、各配管40D,41Dは冷却ブロック23の下面から90度曲げられて側方に延びている。
一方、冷却ヘッド33は外形が略直方体をなし、中心に冷却ブロック23の外形よりやや大きい矩形孔33iが貫通している。又、冷却ヘッド33の側壁から外部の電気式冷却装置(図示せず)との接続部33cが延び、電気式冷却装置によって冷却ヘッド33が冷却されるようになっている。
又、第4の実施形態において、熱抵抗体14の下端は、冷却ブロック23の上面23uに、かつ丸孔23hの外周に沿って接続されて接続部23c(特許請求の範囲の「熱抵抗体との接続部」に相当)を形成している。
又、冷却ヘッド33の内孔33iに冷却ブロック23の側壁23sを嵌合すると共に、側壁23sが接続部23cより外側に位置しているので、横方向から見たとき、内孔33iの側面と接続部23cとの間には必ず間隔(Fと同様)が形成される。そのため、冷却ヘッド33の内面と熱抵抗体14とが直接接触することが防止される。
又、冷却ヘッドを冷却する外部の冷却装置は、電気式冷却装置に限られず、液化窒素などを気化させたり圧縮空気を送気するガス冷却装置であってもよい。後者の場合、冷却ヘッド内にガス冷却装置からのガスを出入させる流路を設ければよい。
3、5 示差熱流検出器(熱電対用端子)
10 ヒートシンク
12 ヒータ
14 熱抵抗体
20、21、22、23 冷却ブロック
20c、21c、22c、23c 熱抵抗体との接続部
21g、22g 溝
21r、22r 外周環
20p、21p、22p 突出部
20pw、21pw、22pw 側壁(突出部の外周面)
23s 側壁
30、31、32、33 冷却ヘッド
30i、31i、32i、33i (冷却ヘッドの)内孔
30u、31u、32u、33u 冷却ヘッドの上面
Claims (3)
- 測定試料及び基準物質を収納するヒートシンクと、前記ヒートシンクを加熱するヒータと、前記ヒートシンクと離間しつつ該ヒートシンクの下方に位置する冷却ブロックと、前記ヒートシンクと前記冷却ブロックとの間に接続されてこれらの間に熱流路を形成する熱抵抗体と、前記冷却ブロックに取外し可能に嵌合されるための内孔を有し外部の冷却装置によって冷却される冷却ヘッドと、前記測定試料と前記基準物質との温度差を熱流差信号として出力する示差熱流検出器とを備え、
前記冷却ブロックのうち前記熱抵抗体との接続部より外側に、前記内孔と嵌合する側壁が形成され、
前記冷却ヘッドの上面が前記接続部より上方にはみ出さないように配置される示差走査熱量計。 - 前記側壁は、前記冷却ブロックの上方又は下方に突出する突出部の外周面である請求項1記載の示差走査熱量計。
- 前記冷却ブロックの上面又は下面には、前記突出部と、該突出部を外側から離間しつつ囲む外周環とによって区画される環状の溝が形成され、
前記内孔に前記突出部を嵌合しつつ前記冷却ヘッドが前記溝に収容される請求項2記載の示差走査熱量計。
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