JPH04348265A - 均熱帯を備えた示差型熱分析装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、基準物質と測定試料と
を比較することによって測定試料の性質の温度依存性を
測定する示差型熱分析装置に関する。特に、測定試料及
び基準物質を取り囲む均熱帯を備えた示差型熱分析装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】測定試料と基準物質とを比較する形式の
熱分析装置、すなわち示差型熱分析装置として、例えば
、示差熱分析装置（ＤＴＡ）、示差走査熱量測定装置（
ＤＳＣ）などがあることは既に知られている。

【０００３】例えば、従来の示差走査熱量測定装置（Ｄ
ＳＣ）の代表的な一例として図４に示すものがある。同
図において、銀、アルミナ（Ａｌ２Ｏ３）などによって
形成された円筒状のヒータボデイ１の側壁内部にヒータ
線２が螺旋状に埋設されている。また、ヒータボデイ１
の内部空間には、その空間を上下に仕切る上方から見て
円盤状の感熱板３が設けられている。

【０００４】感熱板３の中央には２つの試料皿４，４が
載置されていて、右側の試料皿４内に、測定対象である
測定試料５が収容され、左側の試料皿４内に熱的に安定
な物質である基準物質６が収納されている。

【０００５】試料皿４，４が載置された部分の感熱板３
の底面には、熱電対７の上端が接着されている。熱電対
７の下端は熱量測定回路８に接続されている。熱量測定
回路８は、測定試料５と基準物質６との間に温度差が発
生したとき、その温度差を補償するように測定試料５又
は基準物質６のいずれかに熱を供給し、その供給した熱
量を検出して、グラフ上にプロットする。よってこのグ
ラフには、横軸に時間をとり縦軸に供給熱量の変化をと
った、いわゆる熱量変化曲線が得られる。この熱量変化
曲線に現れる瞬時的なピーク曲線を読み取ることにより
、測定試料５に発生した熱変化を知ることができる。

【０００６】上記形式の示差走査熱量測定装置（ＤＳＣ
）においては、ヒータボデイ１内の温度分布が不均一で
あり、それ故、ヒータボデイ１から測定試料５及び基準
物質６へ向かう輻射熱が不均一となって、測定の結果得
られる上記熱量変化曲線におけるベースライン、すなわ
ち測定試料５と基準物質６との間に温度差がない場合の
基準線に乱れが生じ、信頼性の高いピーク曲線判別がで
きなくなるおそれがあった。

【０００７】上記の問題を解消するため、従来の熱分析
装置においては、感熱板３の上であって測定試料５及び
基準物質６とヒータボデイ１との間に、円筒状の筒材で
ある均熱帯９を設けていた。この均熱帯９によって測定
試料５及び基準物質６の両方を取り囲むことにより、ヒ
ータボデイ１から両者に向かう輻射熱を均一にしようと
するものである。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
従来の熱分析装置においては、測定試料５及び基準物質
６の両方を同時に１つの均熱帯９によって取り囲むよう
にしたので、以下のような問題が発生していた。すなわ
ち、測定試料５の反応熱が均熱帯９を介して短時間の間
に基準物質６と熱交換してしまい、測定の結果得られる
熱量変化曲線におけるピーク曲線の幅が広くなって鋭敏
なピーク曲線が得られず、信頼性の高い測定ができない
という問題があった。

【０００９】本発明は、従来装置における上記の問題点
に鑑みてなされたものであって、測定の結果得られる熱
量変化曲線におけるベースラインの乱れを防止しつつ、
ピーク曲線が現れる場合にはそのピーク曲線が鋭敏なピ
ーク曲線となって現れるような熱分析装置を提供するこ
とを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係る示差型熱分析装置は、基準物質と測定
試料とを比較することによって測定試料の性質の温度依
存性を測定する示差型熱分析装置であって、測定試料及
び基準物質を取り囲む均熱帯を備えた示差型熱分析装置
において、上記均熱帯を、測定試料及び基準物質に対応
して１つずつ設け、それらの均熱帯によって測定試料及
び基準物質を個別に取り囲むようにしたことを特徴とし
ている。

【００１１】

【作用】測定試料及び基準物質は、各均熱帯によって取
り囲まれるので、ヒータからそれら測定試料及び基準物
質へ向かう輻射熱が各均熱帯によって均一化される。よ
って、測定の結果得られる熱量変化曲線におけるベース
ラインに乱れが発生することが防止される。

【００１２】また、均熱帯は、測定試料及び基準物質の
各々に対応して個別に設けられるので、測定試料に発生
した反応熱が均熱帯を介して基準物質に短時間に流れ込
むという現象が回避される。従って、測定の結果得られ
る熱量変化曲線において測定試料の反応熱に対応してピ
ーク曲線が現れる場合、そのピーク曲線は幅の狭いきわ
めて鋭敏なピーク曲線となる。

【００１３】以上のように熱量変化曲線におけるベース
ラインが安定化され、出現するピーク曲線が鋭敏となる
ので、測定試料に発生する熱的変化をきわめて高い精度
で判定することが可能となる。

【００１４】

【実施例】図１は、本発明の一実施例である示差走査熱
量測定装置（ＤＳＣ）を示している。同図において、図
４に示した従来装置と同一の部材は同一の符号を付して
その説明は省略する。

【００１５】図１に示した実施例が図４の従来装置と異
なる点は、従来１つであった均熱帯９（図４）に代えて
、２つの均熱帯１９，１９を設けたことである。これら
の均熱帯１９は、図２に示すように、円筒状に形成され
ていて、その材質としては、感熱板３と同じ材質、例え
ば白金が用いられる。各均熱帯１９は、それぞれ個別に
測定試料５及び基準物質６を包囲しており、測定試料５
及び基準物質６の両者は、個々の均熱帯１９によって互
いに空間的に分離されている。

【００１６】この実施例は以上の構成より成っているの
で、ヒータボデイ１から測定試料５及び基準物質６へ向
かう輻射熱は、各均熱帯１９によって均一化された後に
測定試料５及び基準物質６に取り込まれる。従って、測
定の結果得られる熱量変化曲線におけるベースライン、
すなわち測定試料５に熱的変化が発生していないときの
基準線に乱れが発生することがなくなる。

【００１７】また、測定試料５に熱的変化が発生してそ
こから反応熱が放射された場合、従来（図４）であれば
その反応熱が、測定試料５と基準物質６の両者を同一空
間内で包囲する均熱帯９を介して短時間の間に基準物質
６へ流れ込んでいた。これに対して本実施例では、測定
試料５及び基準物質６が個々の均熱帯１９，１９によっ
て別個独立に包囲されているので、測定試料５から基準
物質６への短時間内での反応熱の流れ込みが防止される
。従って、測定の結果得られる熱量変化曲線に現れるピ
ーク曲線が鋭敏に立ち上がり、しかも鋭敏に立ち下がる
。この結果、測定試料５に発生した熱的変化をきわめて
高精度に判定できる。

【００１８】図３は均熱帯に関する変形例を示している
。この変形例のように、均熱帯の形状は円筒形に限らず
角筒形とすることもできる。また、均熱帯２９の一部２
９ａを矢印Ａ−Ａ’のように感熱板３に対して着脱可能
に設定しておくと都合が良い。さらに、均熱帯２９の適
所に開口３０を設けておけば、測定試料５のまわりに不
活性ガスその他のガスを流すような測定に対して都合が
良い。

【００１９】以上、好ましい実施例をあげて本発明を説
明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、
種々に改変可能である。例えば、本発明は示差走査熱量
測定装置（ＤＳＣ）に限らず、示差熱分析装置（ＴＧ）
、示差熱重量測定装置（ＴＧ−ＤＴＡ）などといった他
の示差型熱分析装置にも適用できる。

【００２０】

【発明の効果】本発明によれば、均熱帯を設けてあるに
も拘らず、測定試料に発生した反応熱が短時間の間に基
準物質へ流れ込むことが防止されるので、測定の結果得
られる熱量変化曲線においてピーク曲線が発生する場合
、そのピーク曲線を鋭敏なものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る示差型熱分析装置の一実施例を示
す側面断面図である。

【図２】図１の要部を示す斜視図である。

【図３】本発明の他の実施例の要部を示す部分斜視図で
ある。

【図４】従来の示差型熱分析装置の一例を示す側面断面
図である。

【符号の説明】

１　　ヒータボデイ ２　　ヒータ線 ３　　感熱板 ４　　試料皿 ５　　測定試料 ６　　基準物質 １９　　均熱帯 ２９　　均熱帯

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　基準物質と測定試料とを比較すること
   によって測定試料の性質の温度依存性を測定する示差型
   熱分析装置であって、測定試料及び基準物質を取り囲む
   均熱帯を備えた示差型熱分析装置において、上記均熱帯
   を、測定試料及び基準物質に対応して１つずつ設け、そ
   れらの均熱帯によって測定試料及び基準物質を個別に取
   り囲むようにしたことを特徴とする均熱帯を備えた示差
   型熱分析装置。