JP2583436B2 - ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、成形用ポリカーボネート系樹脂組成物に関
する。更に詳しくはポリカーボネートが本来有する機械
的特性、電気的特性および耐熱性などの好ましい性質を
損うことなく、ポリカーボネートの欠点と言われている
耐衝撃性の厚み依存度を改良した形成用ポリカーボネー
ト系樹脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
一般に、ポリカーボネートは、機械的及び電気的特性
などに優れている為に、エンジニアリング樹脂として各
種の機械部品、電気絶縁材、自動車部品などの多くの用
途に使用されるようになってきたが、耐衝撃性の厚み依
存性が大きく、厚肉製品には使用され難いなどの問題点
があった。
上記問題の解決の為に、種々の検討がなされており、
例えば、特公昭40−24191号をはじめとして数多くの提
案がなされているが、未だ充分であるとは言い難く、さ
らに厚み依存度の少ないポリカーボネートが要求されて
いた。
〔発明の目的〕
本発明は、上記欠点を改善するためになされたもので
あって、その目的とするところは、ポリカーボネートが
本来有する機械的及び電気的特性、耐熱性を損うことな
く耐衝撃性の厚み依存度が小さいポリカーボネート系樹
脂組成物を提供することにある。
〔発明の概要〕
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、 (A)ポリカーボネート60〜99重量部と、 (B)α,β−不飽和カルボン酸エステル含有量が2〜
22モル%であるエチレン−α,β−不飽和カルボン酸エ
ステル共重合体に、不飽和シラン化合物を0.01〜8重量
%の割合でグラフト重合させたシラン変性共重合体1〜
40重量部 とからなるポリカーボネート系樹脂組成物 である。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、(A)ポ
リカーボネートと(B)シラン変性共重合体からなり、
必要に応じて無機質充填剤を添加することも可能であ
る。
本発明の(A)ポリカーボネートは、種々のジヒドロ
キシアリール化合物とホスゲンとの反応によって得られ
るもの、またはジヒドロキシアリール化合物とジフェニ
ルカーボネートとのエステル交換反応によって得られる
ものがあげられる。
代表的なものとしては2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンとホスゲンの反応で得られるポリカー
ボネートがある。
ポリカーボネート原料となるジヒドロキシアリール化
合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェ
ニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジ
フェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシフェニルスル
フィド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニ
ルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホ
キシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェ
ニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシフェニルスル
ホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニ
ルスルホンなどがあげられる。
好ましいのは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン〔ビスフェノールA〕である。
本発明で用いる(B)シラン変性共重合体は、α,β
−不飽和カルボン酸エステル含有量が2〜22モル%、好
ましくは4〜20モル%のエチレン−α,β−不飽和カル
ボン酸エステル共重合体に、不飽和シラン化合物を0.01
〜8重量%、好ましくは0.1〜4重量%をグラフト重合
したものである。
共重合体を構成するα,β−不飽和カルボン酸エステ
ルとしては、アクリル酸又はメタクリル酸のエステルが
好適であり、具体的にはアクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、ア
クリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリ
ル酸イソブチルなどを代表例としてあげることができ
る。共重合体中、これらエステルが2種以上用いられて
もよく、あるいは少量であれば他の単量体が共重合され
ていてもよい。共重合体中のエステル含有量は組成物の
耐衝撃改良効果を勘案すると、前記のような範囲とする
のが好ましい。
該共重合体として、メルトフローレート(JIS−K−6
760、190℃、2160g)が通常0.3〜300dg/分、とくに0.5
〜200dg/分の範囲のものを使用するのが好ましい。
上記共重合体にグラフトされる不飽和シラン化合物と
してはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、
ビニルトリアセトキシシランなどのビニルシラン類,ア
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシランなどのアクリル系シラン
類などが挙げられる。とくにアクリル系シラン類を用い
たシラン変性共重合体は保存安定性に優れる。
エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合
体への不飽和シラン化合物の好適なグラフト量は、その
種類によっても若干異なるが、組成物の耐衝撃性改善効
果や色調などを考慮すると、0.01〜8重量%、とくに0.
1〜4重量%である。これらのグラフト方法はすでに知
られているように、代表的には過酸化物のようなラジカ
ル開始剤を用い適当な溶媒中であるいは押出機などを用
いる溶融法で行うことができる。このような方法で得ら
れるシラン変性共重合体として好適なものは、メルトフ
ローレートが0.01〜200dg/分,とくに0.1〜50dg/分のも
のである。かかるメルトフローレートのものを得るため
には、グラフト重合における反応条件、例えばラジカル
開始剤の種類、量、反応温度、圧力、時間などを適宜選
択すればよい。
(A)(B)成分の配合割合は、(A)成分が60〜99
重量部に対して(B)成分が40〜1重量部、好ましくは
(A)成分80〜99重量部に対して(B)成分20〜1であ
る。
(B)成分がこれより少ないと耐衝撃性の厚みによる
影響が小さくならず改良効果が認められない。又(B)
成分がこれ以上多くなると本来ポリカーボネートが有す
る剛性、耐熱性等が損なわれる。
本発明の組成物は、前記(A)(B)成分を同時に、
あるいは任意の順序で溶融し混合することができる。一
般には単軸押出機、2軸押出機、ニーダーなどを用い、
250〜310℃程度で溶融混練するのがよい。
本発明の組成物に、エチレン−アクリル酸エチル共重
合体,エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチ
レン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−メタ
クリル酸メチル共重合体などのエチレン−α,β−不飽
和カルボン酸エステル共重合体或いは、エチレン−メタ
クリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エ
チレン−メタクリル酸−アクリル酸イソブチル共重合
体、エチレン−メタクリル酸−アクリル酸n−ブチル共
重合体の2元及び3元のエチレン−α,β飽和カルボン
酸系共重合体などの他のオレフィン系樹脂を物性が損な
われない程度に添加することができる。
又本発明の組成物に、要求物性によって無機質充填剤
を任意に添加することができる。無機質充填剤として
は、ガラス繊維,炭素繊維、アルミニウム繊維、しんち
ゅう繊維、アルミニウム粉、亜鉛粉、シリカ、アルミ
ナ,シリカ−アルミナ、亜鉛華、炭酸カルシウム、炭酸
バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カル
シウム、カオリン、タルク,雲母、ベンナイト,珪ソウ
土、珪砂、石英粉、カーボンブラック、ガラス粉等があ
げられる。
最も用いられるのはガラス繊維であり、組成物の耐熱
性、寸法安定性、摩耗性などを向上することができる。
添加量は樹脂成分〔(A)+(B)〕100重量部に対し
て5〜100重量部、好ましくは10〜60重量部である。
この組成物中にシラン成分が含まれていることから、
無機質充填剤との親和性が良好である。
本発明の組成物にはまた、酸化防止剤、耐候安定剤、
滑剤、帯電防止剤、有機又は無機の顔料、難燃剤、難燃
助剤などが添加されてもよい。
本発明の組成物は、押出成形、射出成形、ブロー成形
などの各種成形法によって種々の成形品とすることがで
きる。
例えば、コネクター、コンピュータ部品、チューナ
ー、エアコン部品などの電気部品、或いはカーヒーター
ファン、インスツルメントパネル、バンパー、ホイール
カバーなどの自動車部品など多くの用途へ使用すること
ができる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、耐衝撃性の厚み依存度の少ないポリ
カーボネート系樹脂組成物を使用した製品を得ることが
できる本発明の効果を実施例により説明する。
なお、実施例、比較例における物性の測定方法を下記
へ示す。
MFR(メルトフローレート) JIS−K−6760 温度190℃、荷重2160g 曲げ弾性率 ASTM−D−790 270℃で射出成形した試片を用いた IZOD衝撃強度 ASTM−D−256 270℃で射出成形したIZOD試片(厚み3.2mmと厚み6.4m
m)に後ほど切削でVノッチを入れたものを測定試片と
した。
測定温度23℃ 実施例−1 シラン変性共重合体の作製 共重合体100重量部へγ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン2重量部を単軸押出機を用いて、22
0℃の温度下で2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチル
パーオキシ)ヘキサンを0.2部を使用してグラフト重合
させた。原料及び生成物の性状を表1に示す。
組成物の調整及び測定 表1のポリカーボネート95重量部とシラン変性共重
合体5重量部とを2軸押出機を用いて270℃で混練を
行った。得られた組成物の物性を測定する為に、射出成
形(成形温度270℃,金型温度90℃)にて測定用の試片
作製を行った。これらの試片を用いて、前述の測定方法
に準じて、曲げ弾性率及びIZOD衝撃強度の評価を行っ
た。結果を表2に示す。
実施例2〜3,比較例1〜2 表−2に示す組成内容で実施例−1と同様な方法にて
実験を行った。結果を表−2に示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリカーボネート60〜99重量部と (B)α,β−不飽和カルボン酸エステル含有量が2〜
    22モル%であるエチレン−α,β−不飽和カルボン酸エ
    ステル共重合体に不飽和シラン化合物を0.01〜8重量%
    の割合でグラフト重合させたシラン変性共重合体1〜40
    重量部、 とからなるポリカーボネート系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】共重合体中のα,β−不飽和カルボン酸エ
    ステルが、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステ
    ルである請求項(1)記載の組成物。
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