JP2581852B2 - 芳香族ジアゾ化合物及びその製造法並びにそれを用いた感光性組成物 - Google Patents

芳香族ジアゾ化合物及びその製造法並びにそれを用いた感光性組成物

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JP2581852B2
JP2581852B2 JP3153295A JP15329591A JP2581852B2 JP 2581852 B2 JP2581852 B2 JP 2581852B2 JP 3153295 A JP3153295 A JP 3153295A JP 15329591 A JP15329591 A JP 15329591A JP 2581852 B2 JP2581852 B2 JP 2581852B2
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勝彦 菅生
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高感度で保存安定性が
良くしかも合成が容易な新規感光性芳香族ジアゾ化合物
およびその製造方法ならびにそれを用いた感光性組成物
に関する。
【0002】
【背景技術】従来より感光性平版印刷原版や感光性スク
リーン印刷原版の感光性被覆層に添加する感光性物質と
しては、ジフェニルアミン−4−ジアゾニウム塩(学術
用語では4−フェニルアミノベンゼンジアゾニウム塩)
とホルムアルデヒドとの縮合物(通称ジアゾ樹脂)が代
表的化合物として用いられてきた。このような多官能性
ジアゾ縮合物の製造は、米国特許第2679498号、
同2922715号、同2946683号、同3050
502号、同3311605号、同3163633号、
同3406159号および同3277074号等の明細
書に記載されている。これらのジアゾ縮合物は実用的感
光性物質として多くの長所を持っているが、改良すべき
諸問題も併有している。
【0003】その第1の問題点はこれらのジアゾ縮合物
が有機溶媒に対して比較的溶けにくいことである。これ
らのジアゾ化合物のジアゾニウム基の対イオンとしてハ
ロゲンイオン、リン酸イオン等の無機イオンを用いた場
合は勿論、ベンゼンスルホン酸、トリエンスルホン酸や
アルキルスルホン酸等のスルホン酸のイオンを用いて
も、グリコールエーテル、アルコール、ケトン等の有機
溶媒への溶解性が十分ではない。このような有機溶媒に
対する溶解性が低いことは、これらのジアゾ縮合物を感
光性平版印刷原版の感光剤として使用する場合の欠点に
なっている。
【0004】そこでこれらの欠点を改良するための検討
も種々行われている。例えば特公昭53−24449号
公報にはジアゾニウム基の対イオンとして2−ヒドロキ
シ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸など
の特殊な化合物を使用すると有機溶媒に対する溶解度が
高くなることを見出している。また特公昭49−453
23号公報、特開昭62−156656号公報ではジフ
ェニルアミン−4−ジアゾニウム塩の縮合剤としてホル
ムアルデヒドの代りに4,4′−ビスメトキシメチルジ
フェニルエーテルなどの特殊な化合物を使用することに
より同様な改良ができることを明らかにしている。さら
に特開平2−3049号公報ではこのような特殊な縮合
剤としてヘキサメトキシメチルメラミンがよいことを見
出している。
【0005】第2の問題点としてはジフェニルアミン−
4−ジアゾニウム塩を基本構造単位とするジアゾ縮合物
は420〜500nmの可視領域にも吸収を有し、この波
長の光を吸収して分解するので、白色灯下での取り扱い
が困難であり、これは、製造上および使用上の重要な欠
点となっている。
【0006】このような第2の問題点と前記の第1の問
題点を同時に解決する方法として、従来型ジアゾ化合物
とは化学構造が基本的に異った新型の多官能性ジアゾ化
合物も検討されるようになった。このようにして得られ
た新型ジアゾ化合物は、従来型のジフェニルアミン−4
−ジアゾニウム塩の代りに、4−ジアルキルアミノベン
ゼンジアゾニウム塩を基本構造単位としているのが最大
の特色である。たとえば、特開昭54−30121号公
報と特開昭61−273538号公報では2個以上の4
−ジアルキルアミノベンゼンジアゾニウム塩をエステル
結合で結合して、多官能性ジアゾニウム塩にしている。
また特公平1−57332号公報では4−ジアルキルア
ミノベンゼンジアゾニウム塩をポリアルキルアミンの形
で結合して多官能性ジアゾニウム塩にしている。これら
の新型多官能性ジアゾ化合物は何れもすぐれた性能を持
っているが、製造が一般に容易ではない。また前記2種
の公開特許公報記載のエステル結合で多官能性にしたジ
アゾ化合物では、エステル結合が加水分解しやすいとい
う欠点がある。
【0007】第3の問題点としては、感光性スクリーン
印刷原版に用いられるジアゾ化合物では、水に対する溶
解度が大きいことが必要条件である。この点に関して
は、現在までの研究では、ジフェニルアミン−4−ジア
ゾニウム塩をホルムアルデヒドで縮合した従来型ジアゾ
化合物以上の性能を持ったジアゾ化合物は報告されてい
ない。なお、特開平2−11198号公報でジフェニル
アミン−4−ジアゾニウム塩と、ヒドロキシ安息香酸な
どをホルムアルデヒドで縮合して、水溶性の大きい多官
能性ジアゾ化合物を得ているが、これらの化合物は露光
後の平版印刷用原版のアルカリ性水溶液による現像性を
良くするために開発されたもので、スクリーン印刷用と
しては改良になっていない。
【0008】第4の問題点として、現在使用されている
ジフェニルアミン−4−ジアゾニウム塩のホルムアルデ
ヒドによる縮合物の光に対する感度が不十分なことであ
る。このために現用の多官能性ジアゾ化合物を感光剤と
する感光性組成物では実用的露光時間を短縮することが
困難であり、露光時間を短くすると、現像後の画像がか
っ色に着色しやすいという欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来の技
術には未解決の諸問題が多く残されている。これらの諸
問題を含め、本発明の目的を要約すると次のようであ
る。 1)白色灯下での取り扱いが可能な多官能性ジアゾ化合
物の開発。 2)平版印刷用原版の感光剤として適当な有機溶媒に対
する溶解度が大きく、しかもアルカリ性水溶液を主成分
とする現像液で現像しやすい多官能性ジアゾ化合物の開
発。 3)スクリーン印刷用原版の感光剤として適当な、水溶
性の大きい多官能性ジアゾ化合物の開発。 4)光に対する感度の高い多官能性ジアゾ化合物の開
発。 5)合成方法が簡易な多官能性ジアゾ化合物の開発とそ
れらの化合物のコストの低い製造方法の確立。 6)以上のようにして得られた新規な多官能性ジアゾ化
合物の性能を有効に利用した感光性組成物の開発。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々検討
の結果、前記1)〜6)の目的を達成するのに最適な新
規芳香族ジアゾ化合物を見い出し本発明を完成させた。
かかる知見に基づく本発明に係る芳香族ジアゾ化合物
は、次記「化30」に示す一般式(I)で表わされる原
子団を1分子中に2個以上結合した化合物である。
【0011】
【化30】
【0012】
【化31】
【0013】
【化32】
【0014】上記「化30」に示す一般式(I)におけ
るX- の具体例は次のようである。Cl- ,Br- ,HS
O4 - ,1/2SO4 2-, H2PO4 - ,1/2HPO4 2- ,HSO3 - ,1/2Z
nCl2Cl- ,1/2ZnCl2Br- ,BF4 - ,PF6 - ,ベンゼンス
ルホン酸アニオン,トルエンスルホン酸アニオン,ドデ
シルベンゼンスルホン酸アニオン,メシチレンスルホン
酸アニオン,ナフタレンスルホン酸アニオン,ナフタレ
ンジスルホン酸アニオン,2−ヒドロキシ−4−メトキ
シベンゾフェノン−5−スルホン酸アニオン,メタンス
ルホン酸アニオン
【0015】上記一般式(I)におけるZ1 の具体例と
しては次の「化33」に示すものが好適である。この具
体例で明らかなように、これらの基に含まれている置換
アラルキル基はジアゾニウム塩や亜硝酸に対して反応性
を有しない。
【0016】
【化33】
【0017】上記「化30」に示す一般式(I)におけ
るR3 の具体例としては次の「化34」、「化35」に
示すものが好適である。これらの具体例で明らかなよう
に、これらの基に含まれている置換アリール基はジアゾ
ニウム塩や亜硝酸に対する反応性を持っていない。すな
わち、「化34」、「化35」に示すものは分子中に水
酸基やアミノ基等の反応性基を有しないので、一般式
(I)中に存在するジアゾニウム(−N 2 + )と分子内
または分子間で結合してアゾ化合物に変化することがな
く、この結果、光に対して不活性となるおそれがない。
【0018】
【化34】
【0019】
【化35】
【0020】上記「化30」に示す一般式(I)で表わ
される原子団を1分子中に2個以上結合してなる芳香族
ジアゾ化合物の代表例(第1〜第5のタイプの芳香族ジ
アゾ化合物)を以下に示す。
【0021】第1のタイプの芳香族ジアゾ化合物は次記
「化36」に示す一般式(II)で表わされる芳香族ジア
ゾ化合物である。
【0022】
【化36】
【0023】
【化37】
【0024】
【化38】
【0025】
【化39】
【0026】
【化40】
【0027】
【化41】
【0028】
【化42】
【0029】
【化43】
【0030】
【化44】
【0031】
【化45】
【0032】
【化46】
【0033】
【化47】
【0034】第2のタイプの芳香族ジアゾ化合物として
は、次記「化48」に示す一般式(III)で表わされる芳
香族ジアゾ化合物である。
【0035】
【化48】
【0036】
【化49】
【0037】
【化50】
【0038】
【化51】
【0039】
【化52】
【0040】
【化53】
【0041】
【化54】
【0042】第3のタイプの芳香族ジアゾ化合物は長い
鎖状分子であって、次記「化55」に示す一般式(IV)
で表わされる芳香族ジアゾ化合物である。
【0043】
【化55】
【0044】
【化56】
【0045】
【化57】
【0046】第4のタイプの芳香族ジアゾ化合物は、第
3のタイプと同様長鎖状分子であるが、ベンゼンジアゾ
ニウムを連結する原子団が均一ではなくて、2種以上の
異なった次記「化58」に示す一般式(V)で表わされ
る芳香族ジアゾ化合物である。
【0047】
【化58】
【0048】ただし上記「化58」に示す一般式(V)
中で、n〜ni は0〜4の整数を、またn1 +n2 +n
3 +……+ni =2〜20を表わし、X- ,R5 ,R6
はそれぞれ式(IV)のX- ,R5 ,R6 と同じ意味を表
わす。Q2 1〜Q2 i は式(IV)のQ2 に属する2価の基で
あって、しかもQ2 1〜Q2 i は同一の基ではなくて少な
くとも2種類以上の異なった原子団を表わす。
【0049】第5のタイプの芳香族ジアゾ化合物は、1
分子中に、前記「化1」に示す一般式(I)で表わされ
る原子団を2個以上と、さらに次記「化59」に示す一
般式(VI)で表わされる原子団を同分子中に1個以上有
する化合物である
【0050】
【化59】
【0051】上記第5のタイプの芳香族ジアゾ化合物
は、第1〜4のタイプの芳香族ジアゾ化合物の誘導体と
して次記「化60」,「化61」,「化62」に示す一
般式(II′),(III′),(V′)で表わされる。
【0052】
【化60】
【0053】
【化61】
【0054】
【化62】
【0055】前記「化60」,「化61」,「化62」
に示す一般式(II′),(III′),(V′)において、
Eはアルキル基,置換アルキル基,アリール基,置換ア
リール基,アラルキル基,置換アラルキル基を表わし、
その代表的なものは次記のようである。 ・C1 〜C20のアルキル基。 ・ハロゲン,水酸基,カルボキシル基,スルホンアミド
基の置換したC1 〜C20のアルキル基。 ・フェニル基,ナフチル基,およびそれらのアルキル置
換体。 ・ハロゲン,カルボキシル基,スルホンアミド基の置換
したアリール基。 ・ベンジル基,アリール基にカルボキシル基やスルホン
アミド基の置換したアラルキル基。
【0056】次に本発明に係る芳香族ジアゾ化合物の製
造方法を製造方法(I)〜製造方法(IX)で示す。先ず
本発明の第1の芳香族ジアゾ化合物の製造方法(製造方
法(I))としては、次記「化63」に示す一般式(VI
I)で表わされるp−アミノアシルアニリドまたはその置
換体と、次記「化64」に示す一般式(VIII)で表わさ
れるポリグリシジルエーテルとを、有機溶媒中で反応さ
せ、さらに一般式(VII)のR7 が水素原子であって、反
応後もその水素原子が残存している場合には、その残存
水素原子をR3 で置換して、次記「化65」に示す一般
式(IIAC)で表わされる化合物とし、さらに、硫酸、塩
酸、リン酸の1種またはその混合物の水溶液を反応して
アミノ基の保護基であるアシル基(AC )を水素原子で
置換し、次記「化66」に示す一般式(IIa )で表わさ
れる芳香族アミノ化合物とし、この芳香族アミノ化合物
を亜硝酸などのジアゾ化試薬でジアゾ化して第1のタイ
プの芳香族ジアゾ化合物を製造することを特徴とする。
【0057】
【化63】
【0058】
【化64】
【0059】
【化65】
【0060】
【化66】
【0061】本発明の第2の芳香族ジアゾ化合物の製造
方法(製造方法(II))としては、次記「化67」に示
す一般式(VII)で表わされるp−アミノアシルアニリド
またはその置換体と、次記「化68」に示す一般式(I
X)で表わされるポリグリシジルアミノ化合物とを、有
機溶媒中で反応させ、さらに一般式(VII)のR7 が水素
原子であって、反応後もその水素原子が残存している場
合には、その残存水素原子をR3 で置換して、次記「化
69」に示す一般式(IIIAC)で表わされる化合物とし、
さらに、硫酸、塩酸、リン酸の1種またはその混合物の
水溶液を反応してアミノ基の保護基であるアシル基(A
C )を水素原子で置換し、次記「化70」に示す一般式
(IIIa )で表わされる芳香族アミノ化合物とし、この芳
香族アミノ化合物をジアゾ化試薬でジアゾ化して第2の
タイプの芳香族ジアゾ化合物を製造することを特徴とす
る。
【0062】
【化67】
【0063】
【化68】
【0064】
【化69】
【0065】
【化70】
【0066】本発明の第3の芳香族ジアゾ化合物の製造
方法(製造方法(III))としては、次記「化71」に示
す一般式(X)で表わされるアニリンまたはその同族体
と、次記「化72」に示す一般式(VIII)で表わされる
ポリグリシジルエーテル化合物とを、有機溶媒中で反応
させ、さらに一般式(X)においてR7 が水素原子であ
って、反応後もその水素原子が残存している場合には、
その残存水素原子をR3 で置換し、ニトロソ化試薬を反
応させて、次記「化73」に示す一般式(IINO)で表わ
される芳香族ニトロソ化合物を合成し、そのニトロソ基
をアミノ基に還元して、前記「化66」に示す一般式
(IIa )で表わされる芳香族アミノ化合物とし、これを
ジアゾ化して第1のタイプの芳香族ジアゾ化合物を製造
することを特徴とする。
【0067】
【化71】
【0068】
【化72】
【0069】
【化73】
【0070】本発明の第4の芳香族ジアゾ化合物の製造
方法(製造方法(IV))としては、次記「化74」に示
す一般式(X)で表わされるアニリンまたはその同族体
と、次記「化75」に示す一般式(IX)で表わされるポ
リグリシジルアミノ化合物とを、有機溶媒中で反応さ
せ、さらに一般式(X)においてR7 が水素原子であっ
て、反応後もその水素原子が残存している場合には、そ
の残存水素原子をR3 で置換し、ニトロソ化試薬を反応
させて、次記「化76」に示す一般式(IIINO)で表わさ
れる芳香族ニトロソ化合物を合成し、そのニトロソ基を
アミノ基に還元して、「化70」に示す一般式(IIIa
で表わされる芳香族アミノ化合物とし、これをジアゾ化
して第2のタイプの芳香族ジアゾ化合物を製造すること
を特徴とする。
【0071】
【化74】
【0072】
【化75】
【0073】
【化76】
【0074】本発明の第5の芳香族ジアゾ化合物の製造
方法(製造方法(V))としては、次記「化77」に示
す一般式(XI)で表わされるp−アミノアシルアニリド
またはその置換体に、次記「化78」に示す一般式(VI
IIn=2)で表わされるジグリシジルエーテルの一種類か、
または次記「化79」に示す一般式(IXn=2)で表わされ
るジグリシジルアミノ化合物の1種類を有機溶媒中で反
応させ、反応後も一般式(XI)の−NH2 の水素原子が
残存している場合には、さらに次記「化80」に示す一
般式(XII)で表わされるモノグリシジルエーテルを反応
させ、製造方法(II)と同様な反応によりAC をHで置
換し、さらにジアゾ化反応を行って長い鎖状分子である
第3のタイプの芳香族ジアゾ化合物を製造することを特
徴とする。
【0075】
【化77】
【0076】
【化78】
【0077】
【化79】
【0078】
【化80】
【0079】本発明の第6の芳香族ジアゾ化合物の製造
方法(製造方法(VI))としては、前記「化77」に示
す一般式(XI)で表わされるp−アミノアシルアニリド
またはその置換体に、前記「化78」に示す一般式(VI
IIn=2)で表わされるジグリシジルエーテルと前記「化7
9」に示す一般式(IXn=2)で表わされるジグリシジルア
ミノ化合物の少なくとも2種類以上の混合物を有機溶媒
中で反応させ、反応後も前記「化77」に示す一般式
(XI)の−NH2 の水素原子が残存している場合には、
さらに前記「化80」に示す一般式(XII)で表わされる
モノグリシジルエーテルを反応させ、製造方法IIと同様
な反応によりACをHで置換し、さらにジアゾ化反応を
行って、長い鎖状分子である第4のタイプの芳香族ジア
ゾ化合物を製造することを特徴とする。
【0080】本発明の第7の芳香族ジアゾ化合物の製造
方法(製造方法(VII))としては、前記「化30」に示
す一般式(I)で表わされる原子団を1分子中に1個以
上有し、かつホルムアルデヒトなどのカルボニル試薬と
反応して縮重合物を与える化合物を、硫酸またはリン酸
中でホルムアルデヒトまたはそれを発生する試薬と反応
させることを特徴とする。
【0081】本発明の第8の芳香族ジアゾ化合物の製造
方法(製造方法(VIII))としては、前記「化65」に
示す一般式(IIAC)で表わされる原子団を1分子中に1
個以上有し、かつホルムアルデヒトなどのカルボニル試
薬と反応して縮重合物を与える化合物を、酸性溶媒中で
ホルムアルデヒドなどのカルボニル試薬を発生する試薬
と反応させて、前記「化65」に示す一般式(IIAC)で
表わされる原子団を1分子中に1個以上結合した化合物
を合成し、その後脱アシル化反応、ジアゾ化反応を行う
ことを特徴とする。
【0082】本発明の第9の芳香族ジアゾ化合物の製造
方法(製造方法(IX))としては前記「化77」に示す
一般式(XI)で表わされるp−アミノアセトアニリドま
たはその置換体と前記「化29」に示す一般式(XIII)
で表わされるアミノ化合物とを所望の割合に混合し、有
機溶媒中で製造方法(I),(II),(V)および(V
I)と同様な方法でグリシジル化合物と反応させ、次に
強酸水溶液を反応させてアシルアミノ基の保護基
(AC )をHで置換し、さらにジアゾ反応を行うことを
特徴とする。
【0083】また、本発明に係る感光性組成物は、前記
「化30」に示す一般式(I)で表わされる原子団を1
分子中に2個以上結合した芳香族ジアゾ化合物とバイン
ダーとを含有し、さらに必要に応じて色材あるいは安定
剤等の補助剤とを含有することを特徴とする。
【0084】以下本発明の内容を説明する。
【0085】本発明で得られた新規芳香族ジアゾ化合
具体例(式(1)〜(24)を次記「化81」〜「化
104」に示す。ただし本発明はこれに限定されるもの
ではない。
【0086】
【化81】
【0087】
【化82】
【0088】
【化83】
【0089】
【化84】
【0090】
【化85】
【0091】
【化86】
【0092】
【化87】
【0093】
【化88】
【0094】
【化89】
【0095】
【化90】
【0096】
【化91】
【0097】
【化92】
【0098】
【化93】
【0099】
【化94】
【0100】
【化95】
【0101】
【化96】
【0102】
【化97】
【0103】
【化98】
【0104】
【化99】
【0105】
【化100】
【0106】
【化101】
【0107】
【化102】
【0108】
【化103】
【0109】
【化104】
【0110】以上、本発明によって得られる新規芳香族
ジアゾ化合物の具体例を化学構造式で示したが、これら
の化合物の単品を工業的に高純度で製造することは困難
である。例えば前記「化81」に示す式(1)の化合物
でm=0となる次記「化105」に示す式(1m=0)のジ
アゾ化合物を高純度で工業的に合成することは困難であ
るが、式(1m=0)の化合物を主成分とし、これと式
(1)のmが1〜8に相当するより分子量の大きいジア
ゾ化合物との混合物ならば工業生産が可能である。
【0111】
【化105】
【0112】このような混合物になる理由は、本発明の
製造方法(I)または(III)に記載したように、式
(1)の化合物の製造にはエチレングリコールジグリシ
ジルエーテルが重要な原料になっているが、このジグリ
シジルエーテルを高純度で工業的に製造することが困難
なためである。上記のように式(1)の化合物は、工業
的には混合物として得られる。しかし混合物であっても
これらの化合物は何れも一般式(I)で表わされる原子
団を1分子中に2個以上結合した化合物に該当する新規
化合物であり、感光性組成物の感光剤として適当であ
る。
【0113】本発明の多官能性ジアゾ化合物は、式
(1)から式(24)に例示したように、その分子構造
は多様であるが、これらの化合物のジアゾニウムに起因
する分光特性はほとんど同じであって、それらの水溶液
の近紫外部のUVスペクトルの最大吸収波長λmax は何
れも372〜382nmの範囲に存在し、420〜500
nmの可視領域には吸収がない。
【0114】この例をジフェニルアミン−4−ジアゾニ
ウム塩を基本構造とする現用の多官能性ジアゾニウム化
合物と比較して図1に示した。したがって本発明による
ジアゾ化合物は白色灯下での取り扱いが可能であって、
これらのジアゾ化合物の製造上あるいは感光剤としての
使用上の大きな利点になっている。これにより先に記述
した〔発明が解決しようとする課題〕に記載した目的の
1)を本発明によって達成することができた。
【0115】また〔発明が解決しようとする課題〕に記
載した目的の2)と3)は、先に記述したように、ジア
ゾ化合物の有機溶媒または水に対する溶解性の問題であ
る。前記のように、本発明によって、分子構造の多様な
多種類の多官能性ジアゾ化合物が得られるようになっ
た。これらの多様な多官能性ジアゾ化合物の、有機溶媒
または水に対する溶解性も当然多様であるから、平版印
刷用またはスクリーン印刷用に最適の溶解性を持った多
官能性ジアゾ化合物を提供することができる。
【0116】本発明のジアゾ化合物は何れも、現用の
“ジアゾ樹脂”よりは光に対して高感度である。このこ
とは本発明のジアゾ化合物の最もすぐれた特性の一つで
あって、前記の第4の問題点を解決することができた。
現用の“ジアゾ樹脂”と本発明による多官能性ジアゾ化
合物のpH3の水溶液中における光分解率曲線を図2に示
した。
【0117】本発明のジアゾ化合物の第5のすぐれた特
性は、現用の“ジアゾ樹脂”に比較して、保存安定性が
良いことである。ジアゾ化合物は保存中に混在する水分
と反応して分解する。保存安定性の促進実験を実施例1
2で行った結果が図3であって、本発明のジアゾ化合物
は保存安定性が高いことを示している。
【0118】本発明の新規芳香族ジアゾ化合物は既知合
成反応の組合せによって、容易に製造することができ
る。これらの製造工程の第1段の合成反応は、本発明の
製造方法(I)〜(VI)に記載したように、アニリン同
族体とグリシジルエーテルまたはグリシジルアミノ化合
物との反応である。例えば製造方法(I)記載の第1段
の合成反応を次記「化106」に示す。
【0119】
【化106】
【0120】一般にエポキシ化合物とアミンとの反応で
は第二アルコールと第一アルコールの2種類の異性体を
生じることが知られている。次記「化107」に示す反
応はその代表的例であって、エポキシ環にフェニル基や
エチレン基のような共役二重結合を持った基や電子供与
性基が結合していると、第一アルコールを副生しやすい
(J.K.Addy,R.M.Laird,R.E.Parker,J.Chem.Soc.,1961.1
970)。
【0121】
【化107】
【0122】この反応の例とは逆に、エポキシ環の近く
に電子求引性基があると第一アルコールは生成しにく
い。グリシジルエーテルではエポキシ環の近くに電子求
引性の酸素原子が存在するため、グリシジルエーテルと
アミンとの反応では主生成物は第二アルコールであっ
て、第一アルコールは生成しにくい(L. Shechter,J.Wy
mstra,R.P.Kurkiy,Ind.Eng.Chem., 48,94(1956) 。
【0123】したがって、「化106」に示す式(VII)
の化合物と式(VIIIe)の化合物の反応による主生成物は
前記「化106」に示す第二アルコールの式(IACE
であって、第一アルコールの次記「化108」に示す式
(IACEi)の化合物は生じにくい。
【0124】
【化108】
【0125】その結果、本発明の新規芳香族ジアゾ化合
物では、一般式(I)で表わされる原子団(第二アルコ
ール)を1分子中に2個以上結合した化合物を主成分と
している。
【0126】本発明の製造方法(I)または(II)の一
般式(VII)で表わされるp−アミノアシルアニリドの具
体例を次記「化109」,「化110」に示す。ただし
本発明はこれに限定されるものではない。
【0127】
【化109】
【0128】
【化110】
【0129】本発明の製造方法(III)または(IV)記載
の一般式(X)で表わされるアニリンまたはその同族体
の具体例を次記「化111」に示す。ただし本発明はこ
れに限定されるものではない。
【0130】
【化111】
【0131】本発明の製造方法(I)または(II)記載
の、一般式(VIII)で表わされるグリシジルエーテル原
子団または一般式(IX)で表わされるグリシジルアミノ
原子団を1分子中に2個以上結合した化合物の具体例
を、次記式(46)〜式(61)に示す。ただし本発明
はこれに限定されるものではない。一般にポリグリシジ
ルエーテルまたはポリグリシジルアミンの単一化合物を
高純度に工業生産することは困難である。グリシジル基
のエポキシ基が反応性が高く、これらのグリシジル基を
持った化合物の合成反応中に、エポキシ環による逐次反
応がおきて、多量体を副生しやすいからである。たとえ
ば、エチレングリコールとエピクロロヒドリンとを反応
させて、エチレングリコールジグリシジルエーテルを製
造する場合には次記「化112」に示す式(46)で表
わされる混合物になる。
【0132】
【化112】
【0133】式(46)でmは0〜20の整数である。
本発明の新規ジアゾ化合物の合成用グリシジルエーテル
としては式(46)のm=0で表わされる化合物が特別
の場合以外は良いのであるが、そのような単一化合物を
工業的に合成することは困難である。しかしながら、m
=0の化合物を主成分とし、mが1〜8の化合物が混合
していても、本発明の化合物の合成原料としては何ら不
都合はない。さらに次記「化113」〜「化127」に
示す式(47)〜式(61)にその具体例を示す。
【0134】次記「化113」に示す式(47)を主成
分とする2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン(ビスフェノールA)とエピクロロヒドリンとを縮
合して得られるジグリシジルエーテル。
【0135】
【化113】
【0136】次記「化114」に示す式(48)を主成
分とする2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブ
ロモフェニル)プロパン(テトラブロモビスフェノール
A)とエピクロロヒドリンとを縮合して得られるジグリ
シジルエーテル。
【0137】
【化114】
【0138】次記「化115」に示す式(49)を主成
分とするビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンとエピ
クロロヒドリンとを縮合して得られるジグリシジルエー
テル。
【0139】
【化115】
【0140】次記「化116」に示す式(50)を主成
分とするジヒドロキシベンゼンとエピクロロヒドリンと
を縮合して得られるジグリシジルエーテル。
【0141】
【化116】
【0142】次記「化117」に示す式(51)を主成
分とするビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンとエ
ピクロロヒドリンとを縮合して得られるジグリシジルエ
ーテル。
【0143】
【化117】
【0144】次記「化118」に示す式(52)を主成
分とするプロピレングリコールとエピクロロヒドリンと
を縮合して得られるジグリシジルエーテル。
【0145】
【化118】
【0146】次記「化119」に示す式(53)を主成
分とする1,6−ヘキサンジオールとエピクロロヒドリ
ンとを縮合して得られるジグリシジルエーテル。
【0147】
【化119】
【0148】次記「化120」に示す式(54)を主成
分とするグリセリンとエピクロロヒドリンとを縮合して
得られるポリグリシジルエーテル。ただし式(54)で
C3H5(OH)3 はグリセリンを表わし、nは2または3を表
わす。
【0149】
【化120】
【0150】次記「化121」に示す式(55)を主成
分とするペンタエリトリトールとエピクロロヒドリンと
を縮合して得られるポリグリシジルエーテル。ただし式
(55)でC5H8(OH)4 はペンタエリトリトールを表わ
し、nは2〜4の整数を表わす。
【0151】
【化121】
【0152】次記「化122」に示す式(56)を主成
分とするソルビトールとエピクロロヒドリンとを縮合し
て得られるポリグリシジルエーテル。ただし式(56)
でC6H8(OH)6 はソルビトールを表わし、nは2〜6の整
数を表わす。
【0153】
【化122】
【0154】次記「化123」に示す式(57)を主成
分とするフェノール・ホルマリン縮合物とエピクロロヒ
ドリンとを縮合して得られるポリグリシジルエーテル。
ただし式(57)でPFRはフェノール・ホルマリン縮
合分子よりn個のフェノール性OH基を除いた原子団を
表わし、nは2〜10の整数を表わす。
【0155】
【化123】
【0156】次記「化124」に示す式(58)を主成
分とするエチレン尿素とエピクロロヒドリンとを縮合し
て得られるジグリシジルアミノ化合物。
【0157】
【化124】
【0158】次記「化125」に示す式(59)を主成
分とする4−クロロアニリンとエピクロロヒドリンとを
縮合して得られるジグリシジルアミノ化合物。
【0159】
【化125】
【0160】次記「化126」に示す式(60)を主成
分とするイソシアヌル酸とエピクロロヒドリンとを縮合
して得られるポリグリシジルイソシアナート。
【0161】
【化126】
【0162】次記「化127」に示す式(61)を主成
分とする4,4′−ジアミノジフェニルメタンとエピク
ロロヒドリンとを縮合して得られるポリグリシジルアミ
ノジフェニルメタン。
【0163】
【化127】
【0164】本発明の製造方法(VII)記載の、一般式
(I)で表わされる原子団を1分子中に1個以上含み、
かつホルムアルデヒドなどのカルボニル試薬と反応して
縮重合物を与える化合物の具体例の化学構造式を次記
「化128」に示す。ただし本発明はこれに限定される
ものではない。
【0165】
【化128】
【0166】前記「化128」に示す式(62),式
(64)の化合物をホルマリンと縮重合させて得た多官
能性ジアゾ化合物が前記「化101」,「化102」に
それぞれ示す式(21),式(22)の化合物である。
【0167】本発明の製造方法(VIII)記載の一般式
(IIAC)で表わされ原子団を1分子中に1個以上含み、
かつホルムアルデヒドなどのカルボニル試薬と反応して
縮合物を与える化合物の具体例の化学構造式を次記「化
129」に示す。ただし本発明はこれに限定されるもの
ではない。
【0168】
【化129】
【0169】前記「化129」に示す式(67),式
(68)を用い、ホルムアルデヒドと縮合、脱アセチル
化、ジアゾ化して得られた多官能性ジアゾ化合物が前記
「化100」,「化102」にそれぞれ示す式(2
0),式(22)の化合物である。
【0170】本発明の新規芳香族ジアゾ化合物は、前に
も述べたように、既知合成反応の組合せによって、比較
的容易に製造することができる。合成方法の細部につい
ては後記の実施例で述べるが、各合成工程の概要は次の
ようである。
【0171】1)一般式(VII)または(X)で表わされ
るアニリン同族的と一般式(VIII)または(IX)で表わ
される原子団を持ったグリシジル化合物との反応は発熱
反応であり、50℃以上になると副反応を生じやすいか
ら、外部冷却を行って、反応温度を20〜40℃に保つ
のがよい。反応溶媒としては2−メトキシエタノール、
1−メトキシ−2−プロパノール、1,4−ジオキサ
ン、ジメチルアセトアミド、酢酸、ピロピオン酸,乳酸
またはそれらの混合物が適当である。なかでも酢酸,乳
酸を用いると反応が順調に進行する。
【0172】アミンとエポキシ化合物の反応ではカルボ
ン酸が反応促進の触媒作用を持っており(加倉井敏夫、
野口達弥、有合化誌18,485(1960),工化63,294(1960),
工化64,398(1961))、一般式(VII)で表わされるアニリ
ン同族体の溶媒としても酢酸がすぐれている。
【0173】2)一般式(IIAC)で表わされる化合物を
一般式(IIa )で表わされる化合物に脱アシル化するの
には、アルカリ性加水分解と酸性加水分解の両方とも適
用可能であるが、酸性加水分解の方が、この反応の前後
の工程との関係で有利である。この反応に用いられる酸
としては、硫酸、塩酸、リン酸の何れも適当である。ア
セトアニリド同族体の酸性加水分解の実験例は多いから
(例えばJ.R.Johnson,T.Sandborn,Organic Synthesis C
oll.Vol.I,111)、それらの方法に準じて行うことができ
る。
【0174】3)一般式(IIa )で表わされる化合物を
ジアゾ化して一般式(I)で表わされる原子団を持った
化合物にするのには、4−アミノ−N,N−ジメチルア
ニリンのジアゾ化反応の工業的操作方法が公表されてい
るので(PB report74026 P.2963 〜5)、それに準じて
行うことができる。
【0175】4)一般式(IINO)で表わされる化合物の
合成およびその還元による一般式(IIa )で表わされる
化合物への変換も4−ニトロソ−N,N−ジメチルアニ
リンの工業的合成方法とその還元方法に準じて行うこと
ができる。
【0176】本発明によって得られた一般式(I)で表
わされる原子団を1分子中に2個以上有する化合物を主
成分とする新規な芳香族ジアゾ化合物は前述のように感
光剤としてすぐれた性能を有している。したがって本発
明の新規な芳香族ジアゾ化合物を感光剤として使用する
ことにより、新規で性能のすぐれた各種の感光性組成物
を得ることができる。このような各種の新規感光性組成
物のなかでも、感光性平版印刷原版,感光性スクリーン
印刷原版,着色画像形成感光材料がすぐれた性能を有し
ているので、これらについて以下に詳細な説明を行う。
ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0177】本発明は、新規な芳香族ジアゾ化合物を用
いることにより、性能のすぐれた感光性平版印刷原版を
製造することができる。例えば平版印刷版の製造には、
本発明のジアゾ化合物と種々の天然または合成樹脂とを
混合して使用することが出来る。それらの樹脂は、十分
なインキ受容性であり、通常の有機溶媒に可溶性であ
り、本発明の芳香族ジアゾ化合物と相溶性で、フィルム
形成性でなければならない。次に耐摩耗性と適度の弾力
性を有することが必要である。
【0178】これらの樹脂の例としては、クレゾール樹
脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩
化ビニル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、
ポリ酢酸ビニル等のα,β不飽和カルボン酸類のポリマ
ー及び、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート等のアクリレート類、アル
キルメタクリレート類、アクリルアミド、N−エチルア
クリルアミド等のアクリルアミド類、ビニルエーテル
類、ビニルエステル類、スチレン類等々の重合性モノマ
ーから選択された共重合体等が挙げられる。
【0179】本発明の感光性組成物における本発明の感
光性ジアゾ化合物の含有量は支持体の種類、目的により
異なるが、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは
3〜20重量%である。
【0180】本発明に用いる感光性組成物には、以上に
説明した成分の他、必要に応じてさらに染料、顔料、塗
布性向上剤、可塑剤等を添加することが出来る。
【0181】前記の染料としては、例えばビクトリアピ
ュアーブルーBOH(保土ヶ谷化学社製)、オイルブル
ー#603(オリエント化学社製)、パテントピュアブ
ルー(住友三国化学社製)、クリスタルバイオレット、
ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグ
リーン、エリスロシンB、ベイシックフロシン、マラ
カイトグリーン、オイルレッド、m−グレゾールパープ
ル、ローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミ
ノフェニルイミノナフトキノン、シアノ−p−ジエチル
アミノフェニルアセトアニリド等に、代表されるトリフ
ェニルメタン系、ジフェニルメタン系、オキサジン系、
キサンテン系、イミノナフトキノン系、アゾメチン系、
または、アントラキノン系の色素が挙げられる。
【0182】染料は、感光性組成物中に通常約0.5〜
10重量%、好ましくは約1〜5重量%含有させる。
【0183】塗布性向上剤としては、アルキルエーテル
類(例えば、エチルセルロール、メチルセルロース)、
フッ素系界面活性剤類(例えば、フロラードFC−43
0(住友3M社製))や、ノニオン系界面活性剤類(例
えば、プルロニックL−64(旭電化社製))が挙げら
れ、塗膜の柔軟性、耐摩耗性を賦与するための可塑剤と
しては、例えばブチルフタリル、ポリエチレングリコー
ル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸
ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、
リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テ
トラヒドロフルフリル、アクリル酸、又はメタクリル酸
のオリゴマーが挙げられ、画像部の感脂性を向上させる
ための感脂化剤としては例えば、特開昭55−527号
公報記載のスチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコ
ールによるハーフエステル化物等が挙げられ、安定化剤
としては例えば、ポリアクリル酸、酒石酸、リン酸、亜
リン酸、有機酸(アクリル酸、メタクリル酸、クエン
酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホ
ン酸、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン−
5−スルホン酸等)等が挙げられる。これらの添加剤の
添加量はその使用対象目的によって異なるが、一般に全
固形分に対して、0.01〜30重量%である。
【0184】上述の感光性組成物を支持体表面に塗布乾
燥させることにより感光性平版印刷版が得られる。
【0185】支持体としては、平版印刷版として適性を
有する紙、プラスチック、アルミニウム等の板が用いら
れる。
【0186】塗布溶剤としては、メチルセロソルブ、1
−メトキシ−2−プロパノール、メチルセロソルブアセ
テート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテー
ト等のセロソルブ類、ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノ
ン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン等が挙げ
られる。これら溶剤は、単独であるいは2種以上混合し
て使用する。
【0187】塗布方法は、従来公知の方法、例えば、回
転塗布、ワイヤーバー塗布、ディプ塗布、エアーナイフ
塗布、ロール塗布、ブレード塗布及びカーテン塗布等が
可能である。塗布量は固形分として0.2〜10g/m
2 が好ましい。
【0188】感光性組成物を設層する支持体としては、
特にアルミニウム板が好ましい。しかし、アルミニウム
板を無処理のまま使用すると、感光性組成物の接着が悪
く、また、感光性組成物が分解する欠点がある。この欠
点をなくすため、従来種々の提案がなされている。例え
ば、アルミニウム板の表面を砂目立てした後、ケイ酸塩
で処理する方法(米国特許第2,714,066号)。
有機酸塩で処理する方法(米国特許第2,714,06
6号)。スルホン酸及びそれらの誘導体で処理する方法
(米国特許第3,220,832号)。ヘキサフルオロ
ジルコン酸カリウムで処理する方法(米国特許第2,9
46,683号)。陽極酸化する方法および陽極酸化
後、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液で処理する方法(米
国特許第3,181,461号)等がある。
【0189】本発明において感光性組成物を設層するア
ルミニウム板としては、表面に砂目立て処理を施し、陽
極酸化した後、封孔処理したものが好ましい。砂目立て
処理する方法としてはアルミニウム板表面を脱脂した
後、ブラシ研磨法、化学研磨法、電解エッチング法等が
ある。
【0190】陽極酸化処理は、電解液として硫酸、クロ
ム酸、蓚酸、リン酸、マロン酸等を1種又は2種以上含
む溶液を用い、アルミニウム板を陽極にして電解するこ
とにより行う。形成された陽極酸化皮膜量は1〜50mg
/dm2 が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2
ある。ここで陽極酸化皮膜量は、例えばアルミニウム板
をリン酸クロム酸溶液(85%リン酸水溶液35mlと、
酸化クロム(VI)20gとを1リットルの水に溶解して
生成)に浸漬して酸化皮膜を溶解し、板の皮膜溶解前後
の重量変化を測定することにより求めることが出来る。
【0191】封孔処理としては、沸騰水処理、水蒸気処
理、ケイ酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理等があ
る。この他にアルミニウム支持体に対して、水溶性高分
子化合物や、フッ化ジルコン酸等の金属塩の水溶液によ
り下引処理を施すことも出来る。
【0192】このように処理されたアルミニウム支持体
に上述の感光性組成物を塗布して、感光性印刷版が得ら
れる。そして、このような支持体を用いたときには特
に、感光性組成物層の保存安定性および支持体との接着
性がより良好で、かつ露光現像後鮮明な画像を与え、極
めて長い印刷工程において鮮明な画像を有する印刷物を
与えることが出来る。
【0193】このようにして得られた感光性平版印刷版
は公知の方法により使用することが出来る。典型的には
感光性印刷版にネガ型フィルムを密着させ露光し、少量
(10wt%以下)の有機溶媒を含む弱アルカリ性水溶液
により現像し、印刷版とする。このようにして製作され
た平版印刷版は枚葉、オフ輪印刷機において使用するこ
とが出来る。
【0194】すなわち、線画像、網点画像等を有する透
明原画を通して露光し、次いで、水性現像液で現像する
ことにより、原画に対してネガの画像が得られる。露光
に好適な光源としては、超高圧水銀灯、カーボンアーク
灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ストロボ
等が挙げられる。
【0195】本発明の感光性組成物を用いて得られる感
光性平版印刷版の現像処理に用いられる現像液は公知の
いずれのものであっても良いが、好ましくは特定の有機
溶媒と、アルカリ剤と、水とを必須成分として含有す
る。ここに特定の有機溶媒とは、現像液中に含有させた
とき上述の感光性組成物層の非露光部(非画像部)を溶
解または膨潤することが出来、しかも常温(20℃)に
おいて水に対する溶解度が10重量%以下の有機溶媒を
いう。このような有機溶媒としては上記のような特性を
有するものでありさえすればよく、以下のもののみに限
定されるものではないが、これらを例示するならば、酢
酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢
酸ベンジル、エチレングリコールモノブチルアセテー
ト、乳酸ブチル、レブリン酸ブチル等のカルボン酸エス
テル;エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノン等のケトン類;エチレングリコールモ
ノブチルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテ
ル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジ
ルアルコール、メチルフェニルカルビノール、n−アミ
ルアルコール、メチルアミノアルコール等のアルコール
類;キシレン等のアルキル置換芳香族炭化水素;メチレ
ンジクロライド、エチレンジクロライド、モノクロロベ
ンゼン等のハロゲン化炭化水素等がある。これら有機溶
媒の中では、エチレングリコールモノフェニルエーテル
とベンジルアルコールが特に有効である。また、これら
有機溶媒の現像液中における含有量は、おおむね1〜2
0重量%であり、特に2〜10重量%のときに好ましい
結果を得る。
【0196】他方、現像液中に含有されるアルカリ剤と
しては、 (A) ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化カ
リウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第二また
は第三リン酸のナトリウムまたはアンモニウム塩、メタ
ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無
機アルカリ剤 (B) モノ、ジまたはトリメチルアミン、モノ、ジま
たはトリエチルアミン、モノまたはジイソプロピルアミ
ン、n−ブチルアミン、モノ、ジまたはトリエタノール
アミン、モノ、ジまたはトリイソプロパノールアミン、
エチレンイミン、エチレンジアミン等の有機化合物等が
挙げられる。 好ましくは(A)のケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウ
ム、(B)の有機アミン化合物であり、特に好ましいも
のは(A)のケイ酸ナトリウム、(B)のジまたはトリ
エタノールアミンである。これらアルカリ剤の現像液中
における含有量は通常0.05〜8重量%である。
【0197】また、保存安定性、耐刷性等をより以上に
高めるためには、必要に応じて水溶性亜硫酸塩を現像液
中に含有させることが好ましい。このような水溶性亜硫
酸塩としては、亜硫酸のアルカリまたはアルカリ土類金
属塩が好ましく、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリ
ウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸マグネシウム等がある。
これらの亜硫酸塩の現像液組成物における含有量は通常
0.05〜4重量%で、好ましくは0.1〜1重量%で
ある。
【0198】また、上述の有機溶媒の水への溶解を助け
るために一定の可溶化剤を含有させることも出来る。こ
のような可溶化剤としては、用いる有機溶媒より水溶性
で、低分子のアルコール、ケトン類を用いるのが良い。
また、アニオン活性剤、両性活性剤等も用いることが出
来る。このようなアルコール、ケトン類としては例えば
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、
アセトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテ
ル、メトキシエタノール、メトキシプロパノール、4−
メトキシ−メチルブタノール、N−メチルピロリドン等
を用いることが好ましい。また、活性剤としては例えば
イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、n−ブ
チルナフタレンスルホン酸ナトリウム、N−メチル−N
−ペンタデシルアミノ酢酸ナトリウム、ラウリルサルフ
ェートナトリウム塩等が好ましい。これらアルコール、
ケトン類等の可溶化剤の使用量について特に制限はない
が、一般に現像液全体に対し約30重量%以下とするこ
とが好ましい。
【0199】本発明の感光性組成物は、高感度、高耐刷
力である。また、弱アルカリ水溶液により、迅速に現像
することが出来る。しかも、最適な現像条件の範囲(い
わゆる現像ラチチュード)が広いので現像処理が容易で
ある。
【0200】本発明の感光性組成物のもう一つの好まし
い利用態様は、スクリーン印刷版用感光材料としての使
用である。
【0201】本発明のジアゾ化合物と水溶性樹脂(例え
ばポリビニルアルコール、スチリルピリジニュウム基を
ペンダントさせたポリビニルアルコール等)を混合して
スクリーン印刷感光液が得られる。また、これらにポリ
酢酸ビニルエマルジョンやアルコール類のモノアクリレ
ートまたは、ジアクリレート、トリアクリレート等のビ
ニルモノマーを加えることも出来る。
【0202】この感光性組成物をポリエステル、ナイロ
ン、ポリエチレン等の合成樹脂または、これら樹脂への
ニッケル等の金属蒸着加工物あるいはステンレス等から
なるスクリーンメッシュ上に、本発明の組成物の塗布お
よび乾燥を繰り返して、厚さ10〜400μmのスクリ
ーン印刷版を得ればよい。
【0203】本発明の感光性組成物は、高感度で、耐イ
ンキ性の高いスクリーン印刷版が得えられる。
【0204】また、本発明の感光性組成物の他の好まし
い利用態様は、着色画像形成感光材料としての使用であ
る。
【0205】本発明の感光材料に用いられる透明支持体
としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポ
リカーボネート、セルローストリアセテート等の透明な
プラスチックフィルム等を挙げることが出来る。
【0206】光により不溶化し、水のみで溶出現像が可
能な皮膜形成性の水溶性高分子物質としては、ポリビニ
ルアルコール、ゼラチン、カゼイン、グルーアルギン酸
類、ガム類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル
酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、ポリアク
リルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロ
リドン等多くのものが挙げられる。
【0207】着色剤については、水に分散可能な顔料で
あれば広範囲に選択出来る。また、水溶性あるいはアル
コール可溶性の染料等も使用出来る。
【0208】光により不溶化する着色層には上記成分以
外にも暗反応を防止する安定化剤や該着色層を透明支持
体上に設けるに当り、その塗工性改良のためレベリング
剤や消泡剤、界面活性剤等を必要に応じて添加すること
が出来る。
【0209】また該着色層を設けるに当り、上記成分は
主として水に溶解または分散して混合されるが、脱泡や
塗工性改良を目的として、必要に応じてアルコール類等
の水に可溶性の有機溶剤を希釈剤として一部使用するこ
とも出来る。
【0210】該着色層の厚さは網階調再現性など解像度
の点からできうる限り薄い方が良いが、染色性からは厚
い方が良いわけで、その両者のバランスから2〜5μm
が最適である。該着色層は透明支持体上に直接塗設して
も良いが、接着性等を向上させるべく必要に応じて、そ
れらの間に中間層を設けることは有効である。特に支持
体としてポリエチレンテレフタレートフィルムを使用す
る場合には本発明の着色層は密着性が不十分になるため
ポリエステル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリウレタン
系等の合成樹脂を主体として中間層を設けることは特に
好ましい。
【0211】上記着色層や中間層を透明支持体上に塗設
するに当たっては、従来公知のいかなる方法によっても
良くピンホール等がなく均一な塗膜さえ得られれば特に
限定されるものではない。
【0212】本発明の感光材料を露光するのに使用され
る光源は、着色層を有効に不溶化させるものであれば良
く、各種水銀灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、
メタルハライドランプ、ケミカル蛍光灯等を使用するこ
とが出来る。
【0213】その他、本発明のジアゾ化合物と親水性ま
たは、疎水性のバインダー樹脂とからなる感光性組成物
を露光、現像してパターンを形成する用途に広く用いら
れる。なおこれら感光性組成物には、さらに染料、顔料
等の色材を加えて使うことも出来る。これらの用途とし
ては、フォトレジスト材料、フォトマスク、校正材料、
第二原図等が考えられる。
【0214】
【実施例】以下に、本発明を実施例により説明するが、
本発明は、これらに制限されるものではない。
【0215】実施例1〜9には本発明の芳香族ジアゾ化
合物の合成例を示した。実施例10〜12に本発明の芳
香族ジアゾ化合物の物性の測定実験を示した。実施例1
3〜17に本発明の芳香族ジアゾ化合物を用いた感光性
組成物の例を示した。実施例18には本発明の芳香族ジ
アゾ化合物の化学構造の確認のための基礎実験を示し
た。段落番号「0131」〜「0133」に記述したよ
うに、本発明の主要な原料の一つのであるポリグリシジ
ル化合物の工業製品は混合物であって、純粋な単一化合
物を得ることは困難である。したがって本発明の芳香族
ジアゾ化合物も特殊な場合以外は混合物として得られ、
その化学構造の確認を単一化合物のように行うことは困
難である。そこで実施例18では単一化合物として得や
すい特殊なグリシジル化合物を使用して、本発明の合成
反応の基礎実験を行い、得られた化合物の化学構造の確
認を行った。この実験により本発明の芳香族ジアゾ化合
の化学構造を確認することができた。
【0216】実施例1 [芳香族ジアゾ化合物(11)の合成]酢酸90gにp
−アミノアセトアニリド15.0g(0.1mol )を溶
解し、かくはんしながら、25〜30℃で、エポキシ当
量184のビスフェノールAジグリシジルエーテル4
0.5gを滴下し、反応溶液の温度を約30℃に保ちな
がら3時間、約40℃に保ちながら6時間かくはんを続
けた。35%塩酸50gを加え、75℃で8時間加熱か
くはんして脱アセチル化を行った。約50℃に放冷後、
メチルセロソルブ350gを追加し、よくかくはんしな
がら5℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム7.3g(0.1
05mol )を15gの水に溶かして、反応液温を5℃に
保ちながら、ゆっくり滴下し、同温度でさらに1時間か
くはんを続けてジアゾ化を行い、5℃に冷却した10%
食塩水2kgにかくはんしながら上記ジアゾ化溶液を注入
し、粒状に析出した目的物をろ別し、これをメチルセロ
ソルブ250gに溶かし、不溶物をろ別して除き、この
溶液を、5℃に冷却した10%食塩水1.5kgにかくは
んしながら注入し、析出した目的物をろ別し、少量のイ
ソプロピルアルコールで洗浄し、減圧乾燥した。収量は
40gであり、このジアゾ化合物水溶液の近紫外部にお
けるU.V.スペクトルのλmax は378nmであり、濃
度をg/l、光路長をcmで表わした場合の吸光係数は5
4.7であった。
【0217】実施例2 [芳香族ジアゾ化合物(12)の合成]酢酸180gに
p−アミノアセトアニリド15.0g(0.1mol )を
溶解し、かくはんしながら25〜30℃で、エポキシ当
量が356のテトラブロモビスフェノールAジグリシジ
ルエーテル78.3gの粉末を少量づつ加え、25℃で
8時間、45℃で8時間かくはんを行った。これにメチ
ルセロソルブ250gを加え、95%硫酸40gを少量
ずつ加え、75℃で8時間かくはんして脱アセチル化し
た。メチルセロソルブ450gを加えてうすめ、3〜5
℃に冷却し、よくかくはんしながら、亜硝酸ナトリウム
7.7g(0.11mol )を95%硫酸160gに溶か
してつくったニトロシル硫酸を、液温を3〜5℃に保ち
ながら加え、さらに1時間かくはんを続けた。これを5
kgの氷水に注入し、析出した目的物をろ別し、冷水で2
回洗浄し、ついで少量のイソプロピルアルコールで洗
い、減圧乾燥した。収量は84gであり、このジアゾ化
合物のメチルセロソルブ溶液の近紫外部吸収スペクトル
のλmax は382nmであり、濃度をg/l、光路長をcm
で表わした場合の吸光係数は31.5であった。
【0218】実施例3 [芳香族ジアゾ化合物(17)の合成]酢酸80gにp
−アミノアセトアニリド15.0g(0.1mol )を溶
解し、かくはんしながら、25〜30℃で、エポキシ当
量が356のテトラブロモビスフェノールAジグリシジ
ルエーテル23.5gの粉末を少量づつ加え、3時間、
約30℃でかくはんし、さらにエポキシ当量が115の
エチレングリコールジグリシジルエーテル17.7gを
同温度で滴下し、さらに6時間、40〜45℃でかくは
んを続け、35%塩酸50gを加え、75℃で8時間か
くはんして脱アセチル化を行った。約50℃に放冷後、
水40gを加え、3〜5℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム
7.6g(0.11mol )を20gの水に溶かした溶液
を3〜5℃でゆっくり滴下し、滴下後1時間かくはんを
続けてジアゾ化を行った。ヘキサフルオロリン酸アンモ
ニウム18.0g(0.11mol )を水150gに溶か
した溶液にかくはんしながら、5〜10℃でジアゾ化溶
液を滴下し、30分後にさらに水150gを滴下し、さ
らに1時間かくはん後、析出した結晶をろ別し、3回水
洗し、さらに2回イソプロピルエーテルで洗い、減圧下
に乾燥した。収量は55gであった。このジアゾ化合物
の2−メトキシエタノール溶液のUV吸収スペクトルの
λmax は382nmであり、濃度をg/l、光路長をcmで
表わした場合の吸光係数は44.9であった。このジア
ゾ化合物は「化97」に示す式(17)のX- がPF6
- に相当する多官能性芳香族ジアゾ化合物である。
【0219】実施例4 [芳香族ジアゾ化合物(10)の合成]酢酸60gにp
−シアノエチルアミノアセトアニリド20.3g(0.
1mol)を溶かし、かくはんしながら、約30℃で、エ
ポキシ当量が175のフェノールホルムアルデヒド縮合
樹脂のポリグリシジルエーテル18.5gを加えて溶か
し、30〜35℃で4時間、40〜45℃で8時間反応
を続けた。40%硫酸70gを加え、75〜80℃で1
2時間加熱かくはんして、アセチルアミノ基の脱アセチ
ル化反応とシアノエチル基のカルボキシエチル基への加
水分解反応を行った。水100gを加え、3〜5℃に冷
却し、かくはんしながら亜硝酸ナトリウム7.3g
(0.105mol )と水15gの溶液を、同温度で約1
時間を要して滴下し、さらに30分間かくはんしてジア
ゾ化反応を終了した。5℃の15%食塩水400gに上
記のジアゾ化液をかくはんしながら注入すると、ジアゾ
化合物がペースト状に遊離した。このペースト状物を分
離し、イソプロピルアルコールと共に練るとジアゾ化合
物は次第に粉末に変化した。この粉末状になったジアゾ
化合物をろ別し、さらに2回イソプロピルアルコールで
洗い、減圧乾燥した。収量は32gであった。このジア
ゾ化合物水溶液の近紫外部における吸収スペクトルのλ
max は374nmであり、濃度をg/l、光路長をcmで表
わした場合の吸光係数は64.1であった。このジアゾ
化合物は従来より使用されているジフェニルアミン系ジ
アゾ化合物に比較して、水の存在下での保存安定性がか
なり良好である。pH3,50℃における水溶液中での
保存安定性についての実験を実施例12に準じて行った
結果を図4に示した。
【0220】実施例5 [芳香族ジアゾ化合物(19)の合成]酢酸70gにp
−アミノアセトアニリド15.0g(0.1mol )を溶
解し、かくはんしながら、25〜30℃で、エポキシ当
量が100のトリグリシジルイソシアヌラート10.5
gを少量づつ加え、25℃で12時間かくはんし、さら
にエポキシ当量が91のグリシジルメチルエーテル9.
6gを25℃で滴下し、30℃で12時間かくはんし
た。35%塩酸50gを加え、75℃で8時間かくはん
して脱アセチル化を行った。水100gを加えてよくか
くはんし3〜5℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム7.6g
(0.11mol )を20gの水に溶かした溶液を3〜5
℃でゆっくり滴下し、滴下終了後さらに1時間、同温度
でかくはんを続けてジアゾ化を行った。このジアゾ化し
た溶液を、約10℃に冷却したイソプロピルアルコール
約2l中にかくはんしながら加え、析出した固体をろ別
し、イソプロピルアルコールで2回洗浄し、減圧乾燥し
た。収量は26gであった。このジアゾ化合物の水溶液
の近紫外部における吸収スペクトルのλmax は376nm
であり、濃度をg/l、光路長をcmで表わした場合の吸
光係数は78.9であった。
【0221】実施例6 [芳香族ジアゾ化合物(1)の合成]酢酸80gにN−
メチルアニリン21.4(0.2mol )を溶解し、25
〜30℃で、エポキシ当量が115のエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル25.3gを滴下し、25℃で
4時間、40℃で6時間かくはんした。20%塩酸13
0gを加え、5℃に冷却し、同温度で亜硝酸ナトリウム
14.5g(0.21mol )と水40gの溶液を30分
を要してゆっくり滴下してニトロソ化を行った。これに
20%塩酸250gと水150gを加え、外部より冷却
して35〜40℃に保ちながら、亜鉛末33gをゆっく
り加えるとニトロソ化合物は還元されて無色透明溶液と
なった。活性炭5gを加えてよくかくはんし、ろ過し、
ろ液を5℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム14.5g
(0.21mol )と水40gの溶液を、同温度でゆっく
り滴下する。滴下終了後なお1時間かくはんしてジアゾ
化反応を完了した。よくかくはんしながら食塩80gを
ゆっくり加えて塩析し、析出したジアゾニウム塩の塩化
亜鉛複塩をろ別し、15%食塩で1回、イソプロピルア
ルコールで1回洗い、減圧乾燥した。収量は36gであ
った。このジアゾ化合物の水溶液の近紫外部における吸
収スペクトルのλmax は376nmであり、濃度をg/
l、光路長をcmで表わした場合の吸光係数は84.1で
あった。(この実施例は本発明の芳香族ジアゾ化合物の
製造方法の製造方法(III)の例である。)
【0222】実施例7 [芳香族ジアゾ化合物(21)の合成]「化128」に
示す式(62)でX- がHSO4 - であるジアゾ化合物
26.6g(0.05mol )を氷冷下に40gの濃硫酸
に溶解し、1.2g(0.04mol )のパラホルムアル
デヒドを、反応温度を10℃をこえないように注意しな
がら、ゆっくりと加えた。その後5〜8℃で2時間かく
はんを続けた。反応溶液を3℃に冷却したイソプロピル
アルコール300gに同温度で滴下し、生じた沈殿をろ
別し、3〜5℃のイソプロピルアルコールで洗浄し、減
圧乾燥した。収量は18.1gであった。このジアゾ化
合物の水溶液の近紫外における吸収スペクトルのλmax
は377nmであり、濃度をg/l、光路長をcmで表わし
た場合の吸光係数は63.4であった。(この実施例は
本発明の芳香族ジアゾ化合物の製造方法の製造方法(VI
I )の例である。)
【0223】実施例8 [芳香族ジアゾ化合物(22)の合成]「化129」に
示す式(68)の化合物33.4g(0.05%mol )
を85%リン酸150gに溶解し、30〜35℃でパラ
ホルムアルデヒド0.8g(0.027mol )を溶解
し、同温度で18時間かくはんしてホルムアルデヒドに
よる縮合反応を行い、温度を80℃に高めてさらに8時
間加熱かくはんを続けて、脱アセチル化反応を行った。
水200gを加え、3〜5℃に冷却し、亜硝酸ナトリウ
ム7.6g(0.011mol )と水20gの溶液を3〜
5℃でかくはんしながらゆっくり滴下し、その後さらに
1時間かくはんしてジアゾ化を行った。活性炭5gを加
えてかくはんしさらにケイソウ土5gを加えてろ過し、
ろ液を20%テトラフルオロホウ酸ナトリウム水溶液1
50gに注入し、析出したジアゾ化合物を、イソプロピ
ルアルコールで3回洗浄し、減圧乾燥した。収量は26.2
gであった。この結晶は式「化102」に示す式(2
2)のX- がBF4 - の化合物である。(この実施例は
本発明の芳香族ジアゾ化合物の製造方法の製造方法(VI
II)の例である。)
【0224】実施例9 [芳香族ジアゾ化合物(24)の合成]酢酸60gにp
−アミノアセトアニリド9.0g(0.06mol )とp
−アミノ安息香酸エチル6.6g(0.04mol )を溶
かし、25〜30℃でエポキシ当量が115のエチレン
グリコールジグリシジルエーテル25.3gを加え、約
30℃で3時間、40〜45℃で6時間かくはんして反
応させた。35%塩酸35gを加え、75〜78℃に1
0時間、加熱かくはんして、アセチルアミノ基の脱アセ
チル化と安息香酸エチルの加水分解を行った。水70g
を加えてうすめ、3〜5℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム
4.5g(0.065mol )と水10gの溶液を、かく
はんしながら滴下してジアゾ化した。5℃の15%食塩
水400gに上記のジアゾ化液をかくはんしながら注入
すると、ジアゾ化合物がペースト状に遊離した。このペ
ースト状物を分離し、冷水450gに溶かし、ヘキサフ
ルオロリン酸アンモニウム16.3gと水200gの溶
液に、5〜10℃で滴下するとジアゾニウムのヘキサフ
ルオロリン酸塩がペースト状に遊離した。このペースト
状物を分離し、ジイソプロピルエーテル中で練ると粉末
状になった。これをろ別し、減圧乾燥した。収量は23
gであった。この化合物は「化104」に示す式(2
4)のX- がPF6 - に相当する多官能性芳香族ジアゾ
化合物である。この化合物は段落番号「0049」に記
述した第5のタイプの芳香族ジアゾ化合物に属し、「化
62」に示す一般式(V′)の一種である。この化合物
の2−メトキシエタノール溶液のUV吸収スペクトルの
λmaxは382nmであり、濃度をg/l、光路長をcmで
表わした場合の吸光係数は27であった。この化合物の
1−メトキシ−2−プロパノールに対する溶解度は室温
で25%以上であった。
【0225】比較例1 [ジフェニルアミン−4−ジアゾニウム塩とホルムアル
デヒドの縮合物の合成] ジフェニルアミン−4−ジアゾニウム硫酸水素塩14.
5g(0.05mol )を氷冷下で50gの濃硫酸に溶解
し、これに5〜8℃でパラホルムアルデヒド1.2g
(0.04mol )をゆっくり加え、8℃で2時間かくは
んを続けた。この混合溶液を約5℃で200gの氷冷し
たイソプロピルアルコールに滴下し、生じた沈殿をろ別
し、冷イソプロピルアルコールで3回洗浄し、減圧乾燥
した。収量は11gであった。
【0226】比較例2 [ジフェニルアミン−4−ジアゾニウム塩・ホルムアル
デヒド縮合物の2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベ
ンゾイルベンゼンスルホン酸塩の合成]比較例1で合成
したジフェニルアミン−4−ジアゾニウム塩・ホルムア
ルデヒド縮合物5gを氷冷した1.5%希硫酸60gに
溶かし、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイ
ルベンゼンスルホン酸6gを40gの冷水に溶かした溶
液にかくはんしながら注入し、生じた沈殿をろ別し、冷
水で3回洗い減圧乾燥した。収量は7.5gであった。
【0227】実施例10 [本発明のジアゾ化合物のUV吸収スペクトル]本発明
の芳香族ジアゾ化合物の近紫外部におけるUV吸収スペ
クトルは殆ど同じである。その代表例として実施例4で
合成したジアゾ化合物(10)と比較例1で合成したジ
フェニルアミン−4−ジアゾニウム塩・ホルムアルデヒ
ド縮合物のpH3の水溶液のUV吸収スペクトルを測定
し、図1に示した。図で明らかなように、本発明のジア
ゾ化合物の吸収スペクトルはλmax が374nmの鋭い曲
線であるのに対して、ジフェニルアミン−4−ジアゾニ
ウム塩・ホルムアルデヒド縮合物の吸収スペクトルは幅
広い曲線になり、しかも420〜500nmの可視部に吸
収がある。
【0228】実施例11 [本発明のジアゾ化合物の水溶液中における光分解率の
測定]本発明のジアゾ化合物の光に対する感度について
の基礎実験として、水溶液中における光分解率を測定し
た。実施例5で合成した芳香族ジアゾ化合物(19)と
比較例1で合成したジフェニルアミン−4−ジアゾニウ
ム塩・ホルムアルデヒド縮合物のpH3の水溶液(光路
長1cmの水溶液の吸光度が1.8)に超高圧水銀灯の光
を照射し、その水溶液のUV吸収スペクトルのλmax
おける吸光度を、未照射を100%として図示したのが
図2である。同図から本発明のジアゾ化合物が光に対し
て高感度であることがわかる。
【0229】実施例12 [本発明のジアゾ化合物水溶液の保存安定性の測定]本
発明のジアゾ化合物の保存安定性についての基礎実験と
して、遮光下の水溶液中における分解率の測定を行っ
た。実施例5で合成した芳香族ジアゾ化合物(19)と
比較例1で合成したジフェニルアミン−4−ジアゾニウ
ム塩・ホルムアルデヒド縮合物とのpH3のそれぞれの
水溶液(光路長1cmの水溶液の吸光度が2.0)を遮光
下55℃の恒温槽に保存し、その水溶液のUV吸収スペ
クトルのλmax における吸光度を一定時間ごとに測定
し、保存時間0の場合の吸光度を100%として図示し
たのが図3である。同図から本発明のジアゾ化合物の保
存安定性がすぐれていることがわかる。
【0230】実施例13 [感光性平版印刷原版1] 共重合体(I)の合成 2000mlの四つ口セパラブルフラスコにメチルセロソ
ルブ300gを加え、窒素気流下90℃に加熱した。こ
の中に、アクリロニトリル162.3g、メチルメタク
リレート89.7g、メタアクリル酸18.0g、グリ
セロールモノメタクリレート30.0g、及び過酸化ベ
ンゾイル0.60gの混合液を2時間かけて滴下した。
滴下終了後さらに、メチルセロソルブ300gと過酸化
ベンゾイル0.24gとを30分間かけて滴下し、その
まま5時間反応させた。反応終了後、この中にメチルセ
ロソルブ900.0gを加えて希釈した。この反応液を
水15l中に投じて共重合体を沈殿させた。この沈殿物
をろ別後、80℃で真空乾燥し、共重合体(I)を得
た。厚さ0.24mmのアルミニウム板を80℃に保たれ
た第三りん酸ナトリウムの10%水溶液に3分間浸漬し
て脱脂し、ナイロンブラシで砂目立て後、60℃のアル
ミン酸ナトリウムで約10秒間エッチングし、次に硫酸
水素ナトリウム3%水溶液でデスマットした。このアル
ミニウム板を20%硫酸中で2A/dm2 、2分間陽極酸
化し、その後70℃のケイ酸ナトリウム2.5%水溶液
で1分間処理し陽極酸化アルミニウム板を製作した。こ
のアルミニウム板に下記配合の感光液(1)をホエラー
を用いて塗布した。乾燥は100℃、2分間行った。 感光液(1)の配合 ジアゾ化合物(11)(実施例1で合成) 0.53g 共重合体(I) 6.0 g オイルブルー#603 0.16g (オリエント化学工業(株)製) 亜リン酸 0.05g メチルセロソルブ 100 g 乾燥塗布量は2.0g/m2 であった。この感光性平版
印刷原版を1Kwメタルハライドランプで70cmの距離か
ら50秒間画像露光した。現像液DN−3C(富士写真
フイルム株式会社製)を水で(1:1)に希釈し、この
現像液を使用して、25℃で1分間現像し平板印刷版を
得た。この印刷版を3200MCD印刷機(リョービ株
式会社製)にかけて、上質紙に印刷したところ12万枚
以上印刷することが出来た。
【0231】実施例14 [感光性平版印刷原版2]実施例13と同様にして陽極
酸化アルミニウム板を製作した。このアルミニウム板に
下記配合の感光液(2)をホエラーを用いて塗布した。
乾燥は100℃、2分間行った。 感光液(2)の配合 ジアゾ化合物(12)(実施例2で合成) 1.09g 共重合体(I) 6.0 g オイルブルー#603 0.16g (オリエント化学工業(株)製) 亜リン酸 0.16g メチルセロソルブ 100 g 乾燥塗布量は2.0g/m2 であった。この感光性平版
印刷原版を1Kwメタルハライドランプで70cmの距離か
ら65秒間画像露光した。現像液DN−3C(富士写真
フイルム株式会社製)を水で(1:1)に希釈し、この
現像液を使用して、25℃で1分間現像し平板印刷版を
得た。この印刷版を3200MCD印刷機(リョービ株
式会社製)にかけて、上質紙に印刷したところ12万枚
以上印刷することが出来た。
【0232】実施例15 [感光性平版印刷原版3]実施例13と同様にして陽極
酸化アルミニウム板を製作した。このアルミニウム板に
下記配合の感光液(3)をホエラーを用いて塗布した。
乾燥は100℃、2分間行った。 感光液(3)の配合 ジアゾ化合物(17)(実施例3で合成) 0.69g 共重合体(I) 6.0 g オイルブルー#603 0.16g (オリエント化学工業(株)製) 亜リン酸 0.05g メチルセロソルブ 100 g 乾燥塗布量は2.0g/m2 であった。この感光性平版
印刷原版を1Kwメタルハライドランプで70cmの距離か
ら65秒間画像露光した。現像液DN−3C(富士写真
フイルム株式会社製)を水で(1:1)に希釈し、この
現像液を使用して、25℃で1分間現像し平板印刷版を
得た。この印刷版を3200MCD印刷機(リョービ株
式会社製)にかけて、上質紙に印刷したところ12万枚
以上印刷することが出来た。
【0233】比較例3 [感光性平版印刷原版の比較サンプル]実施例13と同
様にして陽極酸化アルミニウム板を製作した。このアル
ミニウム板に下記配合の比較感光液(1)をホエラーを
用いて塗布した。乾燥は100℃、2分間行った。 比較感光液(1)の配合 比較ジアゾ化合物(2) 比較例2で合成したジフェニルアミン−4−ジア ゾニウム塩・ホルムアルデヒド縮合物の2−メト キシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルベンゼン スルホン酸塩 0.51g 共重合体(I) 6.0 g オイルブルー#603 0.16g (オリエント化学工業(株)製) 亜リン酸 0.05g メチルセロソルブ 100 g 乾燥塗布量は2.0g/m2 であった。この感光性平版
印刷原版を1Kwメタルハライドランプで70cmの距離か
ら90秒間画像露光した。現像液DN−3C(富士写真
フイルム株式会社製)を水で(1:1)に希釈し、この
現像液を使用して、25℃で1分間現像し平板印刷版を
得た。この印刷版を3200MCD印刷機(リョービ株
式会社製)にかけて、上質紙に印刷したところ10万枚
以上印刷することが出来た。実施例13 ,14 ,15 で
作成された感光性平版印刷原版と比較例3で作成された
同比較サンプルを、Kodak (製)Photographic step ta
blet no.2 を用いての、5段ベタとするための露光時間
は下記の「表1」に示すとおりである。本発明のジアゾ
化合物を用いた感光性平版印刷原版1〜3は、比較サン
プルよりも高感度であった。
【0234】
【表1】
【0235】同表に示すように、本発明の感光性組成物
は高感度であり、しかも、弱アルカリ性現像液で迅速に
現像でき、着肉性、耐刷性が良好でかつ経時安定性の優
れた感光性印刷版用の感光性組成物を提供できる。
【0236】実施例16 [感光性スクリン印刷原版] 感光液(4)の配合 ジアゾ化合物(19)(実施例5で合成) 0.35g 水 4.65g ダイレクト・フォト・エマルジョン ジアゾタイプSP−1700H(村上スクリーン製) 45.00g 上記の配合により得られた感光液(4)を、アルミニウ
ム枠に張られた250メッシュのモノフィラメントポリ
エステルスクリーンにバケットを用いて塗布した。塗布
ならびに40℃10分間の温風乾燥を4〜5回繰返し
て、厚さ70μm(スクリーンの厚さを含む)の感光性
皮膜を得た。このスクリーン感光版を、4Kwの超高圧水
銀灯(オーク製作所製)で1mの距離より2分間露光し
た。画像の洗い出し現像は、下記のように行った。この
スクリーン感光版を25℃の水に1分間浸漬して未露光
部の大部分を溶出させ、さらに20℃の水を6kg/cm2
の水圧でスプレイガンにより30cmの距離より吹き付け
て画線部の残存感光膜を完全に除去した。比較例1で合
成したジフェニルアミン−4−ジアゾニウム塩・ホルム
アルデヒド縮合物を用い、上述したのと同様にして感光
性スクリーン印刷原版の比較サンプルを作成した。両版
を比較した結果、本発明のジアゾ化合物(19)を用い
た版の方が、高感度であり耐水耐溶剤性に優れていた。
この版を用いて印刷を行ったところ、画線の破壊はな
く、終始印刷再現性の変化のない印刷が行われた。
【0237】実施例17 [着色画像形式感光材料] <着色像を得る感光性フィルム> 中間層形成液の配合 塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体(40%液) (クレハ化学製、クレハロンSOA) 10.00g トルエン 45.00g 酢酸エチル 45.00g 着色層形成液の配合 ジアゾ化合物(10)10%水溶液(実施例4で合成) 9.00g ポリビニルアルコール 平均重合度1700、ケン化率88% 100.00g 顔料分散液 (フタロシアニンブルー20%溶液) 4.00g 水 100.00g イソプロピルアルコール 10.00g 上記中間層形成液を2軸延伸した厚み100μmのポリ
エチレンテレフタレートフィルムの片面にバーコーター
にて塗布し、100℃で1分間乾燥して約1μmの中間
層を形成した。次いでその上に、着色形成液を乾燥後の
塗布膜厚が3μmとなるようにバーコーターにて塗布
し、80℃の送風乾燥機にて1分間乾燥し、シアン色に
着色したフィルム−Iを得た。このフィルム−Iの着色
感光面にネガ原稿(色分解された網ネガ…シアン版用)
を密着させ、1Kwのメタルハライドランプで70cmの距
離から2分間露光し、その後非画像部を1kg/cm2 に加
圧したノズルから噴出する常温水で水洗溶去し、水切り
の後、50℃で温風乾燥しシアン色に着色したポジ画像
を得た。このシアン色に着色した本発明のジアゾ化合物
のポジ画像は、他のジアゾ化合物(ジフェニルアミン−
4−ジアゾニウム塩・ホルマリン縮合物)を使用したも
のと比べ光分解後の残留物の着色が少ないために、着色
剤の持つ純粋な色調が得られた。
【0238】実施例18 [本発明の芳香族ジアゾ化合物の化学構造確認のための
基礎実験]段落番号「0131」〜「0133」欄に記
述したように、本発明の芳香族ジアゾ化合物の主要な原
料の一つであるポリグリシジル化合物の工業製品は混合
物であって、純粋な単一化合物を得ることは困難であ
る。したがって本発明の芳香族ジアゾ化合物も混合物と
して得られる。また「請求項4」に記載の一般式(IV)、
「請求項5」に記載の一般式(V)および「請求項6」に
属する一般式(V′)で表わされる芳香族ジアゾ化合物
は、重縮合反応により生じた高分子化合物のオリゴマー
に類似する、分子量の異った低次重縮合物の混合物にな
っている。このように本発明の芳香族ジアゾ化合物は、
一般式(I)で表わされる基本構造を持つ原子団を1分
子中に2個以上結合していることを特徴とする化合物で
はあるが、特殊な場合以外は単一化合物ではなくて、分
子量の異った分子の集合体である。したがって本発明の
芳香族ジアゾ化合物の個々について、その分子構造の確
認を、単一化合物のように行うことは困難である。しか
しながら、一般式(I)で表わされる原子団を1分子中
に2個以上結合させる手段は既知反応であるから、一般
式(I)で表わされる原子団の化学構造の確認ができれ
ば、本発明のジアゾ化合物の化学構造を確認したことに
なる。そこで本実験では、前記一般式(I)で表わされ
る原子団のモデル化合物として次記「化130」に示す
式(69)の化合物を合成し、その化学構造の確認を行
った。
【0239】
【化130】 前記式(69)の化合物は一般式(I)において、次記
「化131」に相当する化合物である。
【0240】
【化131】
【0241】前記「化130」に示す式(69)の化合
物は、実施例1,2,3,5に記述した方法と同様な反
応によって合成した。まず、p−アミノアセトアニリド
にグリシジルフェニルエーテルを反応させて「化13
2」に示す式(70)の化合物とし、これを脱アセチル
化、ジアゾ化し、得られたジアゾ化合物にNH4PF6を反応
させて、目的の式(69)の化合物にした。
【0242】この合成工程を次記「化132」に示す。
【0243】
【化132】
【0244】上記合成工程中、式(70)は、この合成
工程の重要な中間原料であるから、その化学構造の確認
も行った。また化学構造既知の下記「化133」に示す
式(71)〜(73)の化合物も合成し、それらの物性
値を式(69),式(70)の化合物の構造確認のため
の参考試料とした。
【0245】
【化133】
【0246】式(70)で表わされる化合物の合成 酢酸60gにp−アミノアセトアニリド0.1mol を溶か
し、25〜30℃で、グリシジルフェニルエーテル0.2
1mol を加え、実施例1と同様な条件で両試薬を反応さ
せた。炭酸ナトリウム65gを水1kgに溶かした溶液
に、かきまぜながら上記の反応液を滴下すると、反応物
は油状に分離した。この油状物を塩化メチレンで抽出
し、塩化メチレン抽出溶液を4回水と共に振とう洗浄
し、これに脱水用の硫酸マグネシウム粉末を加えて脱水
乾燥し、塩化メチレンを蒸留除去して、39.5gの式
(70)で表わされる化合物の粗結晶を得た。この結晶
に300gのベンゼンを加え、脱水用のDean-Starkトラ
ップをつけてベンゼンを加熱還流して脱水し、100g
のベンゼンを蒸留で除き、残りの溶液を40℃に冷却
し、塩化メチレン80gを加え、かきまぜながら徐冷す
ると綿状の結晶が析出した。この結晶をろ別し、ベンゼ
ンで3回洗浄し、減圧下に放置し、35.5gの結晶を得
た。これを75℃の減圧乾燥器中で5時間脱気すると、
融点が88〜98℃の白色粉末になった。式(70)の
分子にはOH基の結合した2個の不整炭素原子が存在す
るから、式(70)で表わされる化合物は、不整炭素原
子の立体配置がSS,RR,SRになった3種類の立体
異性体の混合物になっている。本実験で合成した式(7
0)の化合物もこのような混合物になっているために融
点が不明確なのである。
【0247】式(69)で表わされる化合物の合成 上記合成により得られた式(70)で表わされる化合物
の結晶22.5g(0.05mol )を30gの酢酸に溶解し、
35%塩酸24gを加え、実施例3と同様にして脱アセ
チル化、ジアゾ化反応を行い、得られたジアゾ化合物に
NH4PF6の水溶液を反応させて19.0gのジアゾ化合物の
PF6 - 塩を得た。このジアゾ化合物を20gのアセト
ンと15gのクロロホルムとの混合液に溶かし、ろ過
し、ろ液にさらに50gのクロロホルムを加え、冷暗所
に放置し、析出したジアゾニウム塩の結晶をろ別し、少
量のクロロホルムで2回洗浄し、減圧下に冷暗所に放置
して、12gの目的化合物の淡黄色結晶を得た。
【0248】式(71)〜(73)で表わされる化合物
の合成 p−ジエチルアミノベンゼンジアゾニウム硫酸塩を水に
溶かして不溶物をろ別し、ろ液をNH4PF6の水溶液に滴下
し、生じた結晶をろ別し、ほぼ同重量のアセトンに溶か
して不溶物をろ別し、ろ液に同上結晶の2倍量のクロロ
ホルムを注入し、冷暗所に放置して、式(71)で表わ
される化合物の結晶を得た。p−フェニルアミノベンゼ
ンジアゾニウム硫酸塩を用い、同様な方法で式(73)
で表わされる化合物の結晶を得た。N,N−ジエチルア
ミノ−p−フェニレンジアミンをテトラヒドロフラン中
で無水酢酸でアセチル化し、冷水に注ぎ、炭酸ナトリウ
ムで中和し、氷冷して、式(72)で表わされる化合物
の結晶を得た。
【0249】式(70),(69)で表わされる化合物
の構造確認 (a)プロトンNMRスペクトルによる構造確認 電磁波周波数が270MHz のプロトンNMRスペクトロ
メータを用い、式(69)〜(72)で表わされる化合
物をアセトン−d6 に溶かしてNMRスペクトルを求め
た。式(70),(69)で表わされる化合物の1H NMR
スペクトルがそれぞれ図5,図6であり、次記「表
2」,「表3」が各々の解析データである。また式(7
1),(72)で表わされる構造既知化合物のスペクト
ルが図7および図8である。
【0250】
【表2】
【0251】
【表3】
【0252】図5の最上段のスペクトル曲線はδが2.0
〜2.1間のスペクトルを拡大したものであり、中段のス
ペクトル曲線はδが3.3〜5.4間のスペクトルを拡大し
たものである。δが2.035〜2.068間の5本のスペ
クトルは溶媒のアセトン−d6中に残存するDで置換され
てない 1Hであり、δ2.7〜2.9間のスペクトルは測定
中にアセトン−d6 に溶けこんだH2O に起因している。
これらのスペクトルを除いた図5中のすべてのスペクト
ルは、次記のように、式(70)のすべてのHに完全に
帰属することが明らかになり、式(70)が正しいこと
を確認することができた。式(70)ではOH基の結合
した不整炭素原子が2個存在する。したがって式(7
0)で表わされる分子には、不整炭素原子を中心とした
立体配置がSS,RR,SRになった3種類の立体異性
体が存在するはずである。立体配置がSS,RRなる異
性体は旋光性のみが異っており、それ以外の物性はNM
Rをも含めて同一である。これに対してSRなる異性体
は前二者とは諸物性が異っており、NMRも異ってい
る。つまり式(70)で表わされる化合物を、NMRは
2種類の異性体として識別するはずである。下記の「表
4」に示すスペクトルの帰属もこのことを明らかにして
いる。
【0253】
【表4】
【0254】図6の上段のスペクトル曲線はδが3.8か
ら5.2間のスペクトルを拡大したものである。δが1.9
〜2.1間のスペクトルと2.7〜2.9間のスペクトルは、
図5の場合と同様に、それぞれアセトン−d6中に残存す
るHおよびH2O であり、δが8のスペクトルはTMSと
共に混入した不注意による汚れに起因している。スペク
トルの帰属は次記のようであり、式(69)のすべての
Hと対応している。
【0255】
【表5】
【0256】図7,図8は構造既知の式(71),(7
2)の1HNMR(acetone-d6,TMS)である。図5〜図6
と同様に、δが2.05〜2.13と2.84〜2.89に、そ
れぞれacetone-d6 中に残存するHおよびH2O のHのス
ペクトルが、8.0に汚れに起因するスペクトルが現われ
ている。各々のスペクトルの帰属は次記「表6」,「表
7」に示すようである。
【0257】
【表6】
【0258】
【表7】
【0259】構造既知の式(72)のCH3CONH-をPF6N2-
で置換して式(71)の化合物に変化させた場合の、他
のHのNMRに及ぼす影響のうち特色ある変化は次記
「表8」に示す2点である。
【0260】
【表8】
【0261】同様に式(70)と式(69)の化合物の
NMRについて比較してみると次記「表9」に示すよう
になる。
【0262】
【表9】
【0263】以上のように式(70)より式(69)に
変化させた場合のNMRのケミカルシフトが、構造既知
の式(72)より式(71)に変化させた場合のNMR
のケミカルシフトと類似していることは式(70)およ
び式(69)が正しいことの一つの証明になる。
【0264】式(70)の異性体に相当する式(7
0′)の生成も考えられるが、次記「化134」に示す
式(70′)で表わされる化合物は生成しにくいとの研
究が存在することを、すでに段落番号「0122」欄で
紹介した。
【0265】
【化134】
【0266】式(70)は第二アルコールであって、式
(70′)は第一アルコールである。アルコール類をac
etone-d6 に溶かしてNMRを測定すると、OH基のH
のNMRは、第一アルコールでは三重線に、第二アルコ
ールでは二重線になることが明らかにされている(D.J.P
asto,C.R.Johnson,Organic Structure Determination,
Prentice-Hall, EnglewoodCliffs, N.J.(1969)。図5
と図6で明らかなように、式(70),式(69)で表
わされる化合物のNMRスペクトルではOH基のHは二
重線になっている。したがってこの両化合物は第二アル
コールであって、式(70′)のような第一アルコール
ではないことが明確になった。
【0267】(b)IR吸収スペクトル ジアゾ化合物(69),(71)のKBr錠剤をつく
り、そのIR吸収スペクトルを測定した。その結果は次
記「表10」のようであった。なお図9に、化合物(6
9)のスペクトルを示した。
【0268】
【表10】
【0269】(c)UV吸収スペクトル ジアゾ化合物(69),(71),(73)のそれぞれ
を2−メトキシエタノールに濃度が4×10-5mol/l に
なるように溶かした溶液のUV吸収スペクトルが図10
である。最大吸収波長(λmax),吸光度(A)およびこ
の吸光度の測定値と式(69),(71),(73)で
表わされるそれぞれの化合物の分子量より計算した分子
吸光係数(ε)は次記「表11」に示すようである。
【0270】
【表11】
【0271】式(71),(73)のPF6 の代りにCL・1
/2 ZnCl2が結合した化合物の水溶液のεの文献値(Inou
e, Kokado, Shimada, Nippon Kagaku Kaishi,12,2272(1
974) は下記「化135」のようであって、本実験の式
(71),(73)のεの値とよく一致している。
【0272】
【化135】
【0273】
【発明の効果】以上実施例と共に詳しく説明したように
本発明は以下の効果を奏することができる。 1) 白色灯下での取り扱いが可能な多官能性ジアゾ化
合物を得ることができる。 2) 平版印刷用原版の感光剤として適当な、有機溶媒
に対する溶解度が大きく、しかもアルカリ性水溶液を主
成分とする現像液で現像しやすい多官能性ジアゾ化合物
を得ることができる。 3) スクリーン印刷用原版の感光剤として適当な、水
溶性の大きい多官能性ジアゾ化合物を得ることができ
る。 4) 光に対して高感度の多官能性ジアゾ化合物を得る
ことができる。 5) 合成方法が簡易な多官能性ジアゾ化合物の開発と
それらの化合物のコストの低い製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で合成したジアゾ化合物と比較例1で
合成したジフェニルアミン−4−ジアゾニウム塩・ホル
ムアルデヒド縮合物とのUV吸収スペクトルである。
【図2】実施例5で合成したジアゾ化合物と比較例1で
合成したジフェニルアミン−4−ジアゾニウム塩・ホル
ムアルデヒド縮合物とのpH3の水溶液の光照射による
λmax における吸光度変化を示すグラフである。
【図3】実施例5で合成したジアゾ化合物と比較例1で
合成したジフェニルアミン−4−ジアゾニウム塩・ホル
ムアルデヒド縮合物とのpH3の水溶液を遮光下55℃
で保存した場合のλmax における吸光度変化を示すグラ
フである。
【図4】実施例4で合成したジアゾ化合物のpH3,5
0℃における水溶液中での保存安定性を示すグラフであ
る。
【図5】式(70)で表わされる化合物の1H NMR(270 M
Hz acetone-d6,TMS)スペクトルである。
【図6】式(69)で表わされる化合物の1H NMR(270 M
Hz acetone-d6,TMS)スペクトルである。
【図7】式(71)で表わされる化合物の1H NMR(270 M
Hz acetone-d6,TMS)スペクトルである。
【図8】式(72)で表わされる化合物の1H NMR(270 M
Hz acetone-d6,TMS)スペクトルである。
【図9】式(69)で表わされる化合物の赤外吸収スペ
クトルである。
【図10】ジアゾ化合物(69),(71),(73)
の紫外吸収スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 251/34 C07D 251/34 A C08G 73/02 NTC C08G 73/02 NTC C08K 5/23 KBC C08K 5/23 KBC G03F 7/016 G03F 7/016 7/021 501 7/021 501 7/027 502 7/027 502 7/038 7/038 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 菅生 勝彦 千葉県船橋市米ケ崎町563番地 東洋合 成工業株式会社 感光材研究所内 (72)発明者 原田 紀枝子 千葉県船橋市米ケ崎町563番地 東洋合 成工業株式会社 感光材研究所内

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次記「化1」で示す一般式(I)で表わ
    される原子団を1分子中に2個以上結合した芳香族ジア
    ゾ化合物。 【化1】 【化2】 【化3】
  2. 【請求項2】 次記「化4」に示す一般式(II)で表わ
    される請求項1記載の芳香族ジアゾ化合物。 【化4】
  3. 【請求項3】 次記「化5」に示す一般式(III)で表わ
    される請求項1記載の芳香族ジアゾ化合物。 【化5】
  4. 【請求項4】 次記「化6」に示す一般式(IV)で表わ
    される請求項1記載の芳香族ジアゾ化合物。 【化6】
  5. 【請求項5】 次記「化7」に示す一般式(V)で表わ
    される請求項1記載の芳香族ジアゾ化合物。 【化7】
  6. 【請求項6】 請求項1記載の芳香族ジアゾ化合物にお
    いて、1分子中に、前記「化1」に示す一般式(I)で
    表わされる原子団を2個以上と、さらに次記「化8」に
    示す一般式(VI)で表わされる原子団を1個以上有す
    香族ジアゾ化合物。 【化8】
  7. 【請求項7】 次記「化9」に示す一般式(VII)で表わ
    されるp−アミノアシルアニリドまたはその置換体と、 次記「化10」に示す一般式(VIII)で表わされるポリ
    グリシジルエーテルとを、有機溶媒中で反応させ、さら
    に一般式(VII)のR7 が水素原子であって、反応後もそ
    の水素原子が残存している場合には、その残存水素原子
    をR3 で置換して、次記「化11」に示す一般式(I
    IAC)で表わされる化合物とし、 さらに、硫酸、塩酸、リン酸の1種またはその混合物の
    水溶液を反応してアミノ基の保護基であるアシル基(A
    C )を水素原子で置換し、次記「化12」に示す一般式
    (IIa )で表わされる芳香族アミノ化合物とし、 この芳香族アミノ化合物を亜硝酸などのジアゾ化試薬で
    ジアゾ化して請求項2記載の芳香族ジアゾ化合物を製造
    することを特徴とする芳香族ジアゾ化合物の製造方法。 【化9】 【化10】 【化11】 【化12】
  8. 【請求項8】 次記「化13」に示す一般式(VII)で表
    わされるp−アミノアシルアニリドまたはその置換体
    と、 次記「化14」に示す一般式(IX)で表わされるポリグ
    リシジルアミノ化合物とを、有機溶媒中で反応させ、さ
    らに一般式(VII)のR7 が水素原子であって、反応後も
    その水素原子が残存している場合には、その残存水素原
    子をR3 で置換して、次記「化15」に示す一般式(III
    AC)で表わされる化合物とし、 さらに、硫酸、塩酸、リン酸の1種またはその混合物の
    水溶液を反応してアミノ基の保護基であるアシル基(A
    C )を水素原子で置換し、次記「化16」に示す一般式
    (IIIa )で表わされる芳香族アミノ化合物とし、 この芳香族アミノ化合物をジアゾ化試薬でジアゾ化して
    請求項3記載の芳香族ジアゾ化合物を製造することを特
    徴とする芳香族ジアゾ化合物の製造方法。 【化13】 【化14】 【化15】 【化16】
  9. 【請求項9】 次記「化17」に示す一般式(X)で表
    わされるアニリンまたはその同族体と、 次記「化18」に示す一般式(VIII)で表わされるポリ
    グリシジルエーテル化合物とを、有機溶媒中で反応さ
    せ、さらに一般式(X)においてR7 が水素原子であっ
    て、反応後もその水素原子が残存している場合には、そ
    の残存水素原子をR3 で置換し、ニトロソ化試薬を反応
    させて、次記「化19」に示す一般式(IINO)で表わさ
    れる芳香族ニトロソ化合物を合成し、 そのニトロソ基をアミノ基に還元して、前記「化12」
    に示す一般式(IIa )で表わされる芳香族アミノ化合物
    とし、これをジアゾ化して請求項2記載の芳香族ジアゾ
    化合物を製造することを特徴とする芳香族ジアゾ化合物
    の製造方法。 【化17】 【化18】 【化19】
  10. 【請求項10】 次記「化20」に示す一般式(X)で
    表わされるアニリンまたはその同族体と、 次記「化21」に示す一般式(IX)で表わされるポリグ
    リシジルアミノ化合物とを、有機溶媒中で反応させ、さ
    らに一般式(X)においてR7 が水素原子であって、反
    応後もその水素原子が残存している場合には、その残存
    水素原子をR3 で置換し、ニトロソ化試薬を反応させ
    て、次記「化22」に示す一般式(IIINO)で表わされる
    芳香族ニトロソ化合物を合成し、 そのニトロソ基をアミノ基に還元して、前記「化16」
    に示す一般式(IIIa )で表わされる芳香族アミノ化合物
    とし、これをジアゾ化して請求項3記載の芳香族ジアゾ
    化合物を製造することを特徴とする芳香族ジアゾ化合物
    の製造方法。 【化20】 【化21】 【化22】
  11. 【請求項11】 次記「化23」に示す一般式(XI)で
    表わされるp−アミノアシルアニリドまたはその置換体
    に、 次記「化24」に示す一般式(VIIIn=2 )で表わされる
    ジグリシジルエーテルの1種類か、または下記「化2
    5」に示す一般式(IXn=2 )で表わされるジグリシジル
    アミノ化合物の1種類を有機溶媒中で反応させ、 反応後も一般式(XI)の−NH2 の水素原子が残存して
    場合には、さらに次記「化26」に示す一般式(XII)で
    表わされるモノグリシジルエーテルを反応させ、 さらに、硫酸,塩酸,リン酸の1種またはその混合物の
    水溶液を反応してアミノ基の保護基であるアシル基(A
    c)を水素原子で置換し、さらにジアゾ化反応を行って
    請求項4記載の芳香族ジアゾ化合物を製造することを特
    徴とする芳香族ジアゾ化合物の製造方法。 【化23】 【化24】 【化25】 【化26】
  12. 【請求項12】 前記「化23」に示す一般式(XI)で
    表わされるp−アミノアシルアニリドまたはその置換体
    に、前記「化24」に示す一般式の(VIIIn= 2)で表わさ
    れるジグリシジルエーテルと、前記「化25」に示す一
    般式(IXn=2)で表わされるジグリシジルアミノ化合物と
    の少なくとも2種類以上の混合物を有機溶媒中で反応さ
    せ、反応後も前記「化23」に示す一般式(XI)の−N
    2 の水素原子が残存している場合には、さらに前記
    「化26」に示す一般式(XII)で表わされるモノグリシ
    ジルエーテルを反応させ、 さらに、硫酸,塩酸,リン酸の1種またはその混合物の
    水溶液を反応してアミノ基の保護基である(Ac)をH
    で置換し、さらにジアゾ化反応を行って、請求項5記載
    の芳香族ジアゾ化合物を製造することを特徴とする芳香
    族ジアゾ化合物の製造方法。
  13. 【請求項13】 一般式(I)で表わされる原子団を1
    分子中に1個以上有し、かつホルムアルデヒドなどのカ
    ルボニル試薬と反応して縮重合物を与える化合物を、硫
    酸またはリン酸中でホルムアルデヒドまたはそれを発生
    する試薬と反応させることを特徴とする一般式(I)で
    表わされる原子団を1分子中に2個以上結合した芳香族
    ジアゾ化合物の製造方法。
  14. 【請求項14】 次記「化27」に示す一般式(IAC
    で表わされる原子団を1分子中に1個以上有し、 かつホルムアルデヒドなどのカルボニル試薬と反応して
    縮重合物を与える化合物を、酸性溶媒中でホルムアルデ
    ヒドなどのカルボニル基試薬と反応させて、一般式(I
    AC)で表わされる原子団を1分子中に2個以上結合した
    化合物を合成し、その後脱アシル化反応、ジアゾ化反応
    を行うことを特徴とする一般式(I)で表わされる原子
    団を1分子中に2個以上結合した芳香族ジアゾ化合物の
    製造方法。 【化27】
  15. 【請求項15】 次記「化28」に示す一般式(VII)で
    表わされるp−アミノアシルアニリドまたはその置換体
    と、 下記「化29」に示す一般式(XIII)で表わされアミノ
    化合物とを所望の割合に混合し、有機溶媒中で請求項
    7,8,11および12記載の合成方法と同様な操作方
    法でグリシジル化合物を反応させ、次に強酸の水溶液を
    反応させてアミノ基の保護基である(AC )をHで置換
    し、さらにジアゾ化反応を行って、請求項6記載の芳香
    族ジアゾ化合物を製造することを特徴とする芳香族ジア
    ゾ化合物の製造方法。 【化28】 【化29】
  16. 【請求項16】 一般式(I)で表わされる原子団を1
    分子中に2個以上結合した芳香族ジアゾ化合物とバイン
    ダーとを含有し、さらに必要に応じて色材あるいは安定
    剤等の補助剤とを含有することを特徴とする感光性組成
    物。
  17. 【請求項17】 芳香族ジアゾ化合物を感光性物質とし
    て用いる感光性平版印刷原版の感光層に含まれる芳香族
    ジアゾ化合物の全部または一部が、一般式(I)で表わ
    される原子団を1分子中に2個以上結合した芳香族ジア
    ゾ化合物であることを特徴とする請求項16記載の感光
    性組成物。
  18. 【請求項18】 芳香族ジアゾ化合物を感光性物質とし
    て用いる感光性スクリーン印刷原版の感光層に含まれる
    芳香族ジアゾ化合物の全部または一部が、一般式(I)
    で表わされる原子団を1分子中に2個以上結合した芳香
    族ジアゾ化合物であることを特徴とする請求項16記載
    の感光性組成物。
  19. 【請求項19】 芳香族ジアゾ化合物を感光性物質とし
    て用いる着色画像形成感光材料の感光層に含まれる芳香
    族ジアゾ化合物の全部または一部が、一般式(I)で表
    わされる原子団を1分子中に2個以上有する芳香族ジア
    ゾ化合物であることを特徴とする請求項16記載の感光
    性組成物。
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