JP2577241Y2 - 車載クレ−ン用油圧回路 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、車載クレーン用油圧回
路に関する。

【０００２】

【従来の技術】図２は従来における車載クレーン用油圧
回路を回路図によって示したものであり、油圧源となっ
ている油圧ポンプ１からの吐出管路１ａとリザーバ６と
の間には、切換弁３、４、５等の各切換弁が介設してい
る。それら各切換弁のうち切換弁４は、クレーンにおけ
るブームを旋回駆動する油圧モータ２の操作用切換弁で
あり、他の切換弁３、５等は例えばブーム起伏あるいは
ブーム伸縮等の操作用切換弁である。

【０００３】油圧モータ２の駆動軸に固着したドラム２
Ａにはその回転方向周上に複数の溝２ｃを設け、そのド
ラム２Ａには油圧アクチュエータ８を対向させ、その油
圧アクチュエータ８における押しのけ室８ｃと吐出管路
１ａとの間には、油圧管路１ｂが連通し、油圧アクチュ
エータ８におけるピストン８ａにはスプリング８ｂが溝
２ｃ方向への附勢力を与えている。なお、図２におい
て、吐出管路１ａからリザーバ６に至る管路と管路１ｅ
からリザーバ６に至る管路とには点線図示の部分がある
が、それは実際において更に切換弁３、４、５と同じ切
換弁であって、他の油圧アクチュエータ等の操作用の切
換弁が介設していることを省略図示しているものであ
る。

【０００４】上記図２における作用は下記のとおりであ
る。この図２のクレーンを操作していないときは、全て
の切換弁が切換位置３Ｂ、４Ｂ、５Ｂ等の中立位置に設
定されている。その結果、これら中立状態にあっては油
圧ポンプ１が作動していても、吐出管路１ａがそれら全
切換弁の各中立位置３Ｂ、４Ｂ、５Ｂを介してリザーバ
６に開放し、吐出管路１ａ、油圧管路１ｂおよび押しの
け室８ｃは大気圧になっている。したがって、この状態
において油圧アクチュエータ８においては、スプリング
８ｂの附勢力がピストン８ａを左方に移行させ、ピスト
ン８ａのピストンロッド８ｄの先端をドラム２Ａにおけ
る溝２ｃに嵌入し、油圧モータ２の回転を阻止するメカ
ニカルロック状態になっている。

【０００５】上記中立状態に対して、切換弁４の切換位
置を４Ａに設定すると、吐出管路１ａとリザーバ６との
連通が閉じられ、吐出管路１ａ、油圧管路１ｂ、押しの
け室８ｃおよび油圧管路１ｄに油圧が立ち上がる。その
結果、そのように押しのけ室８ｃに発生した油圧はスプ
リング８ｂの附勢力に抗して、ピストン８ａを図示の右
方に押圧し、溝２ｃに嵌入していたピストン８ａのピス
トンロッド８ｄが溝２ｃから離脱する。すなわち、油圧
モータ２のメカニカルロック状態が解除される。

【０００６】また、上記切換位置４Ａへの設定によって
発生した油圧管路１ｄの圧油は切換位置４Ａおよび油圧
管路２ａを介して油圧モータ２を一方向に駆動し、その
油圧モータ２において仕事をした圧油は油圧管路２ｂ、
切換位置４Ａおよび管路１ｅを介してリザーバ６に戻
る。その結果、油圧モータ２は図示していないクレーン
のブームを一方向の側に旋回させる。また、上記切換位
置設定に対して切換位置が４Ｃに設定した場合は、上記
の説明から、油圧モータ２の駆動方向が、上記切換位置
４Ａの場合に対して逆方向になり、その結果、油圧モー
タ２がクレーンブームを他方の方向に旋回させることに
なることは容易に理解できるであろう。

【０００７】このように、従来における車載クレーン用
油圧回路においては、そのクレーン操作を停止すると、
自動的にクレーンブーム旋回駆動用油圧モータ２の駆動
系にメカニカルロックをかけるようになっている。これ
は、その車載クレーンを装着した自動車が、上記のよう
なクレーン操作を終えて移動する場合、その走行中の振
動あるいは走行方向の変化によってクレーンのブームが
振れ回らないように自動的に防止しているものである。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】このような、ブームの
メカニカルロック機構においても、万一、ピストン８ａ
に異物が咬む等の故障によって、ピストン８ａが図２の
右方に戻されたままになって、上記メカニカルロックが
かからないことも想定しておかなければならない。すな
わち、万一、そのようにメカニカルロックがかかってい
ると信じて、そのメカニカルロックがかかっていない場
合に、その自動車を走行させると、その走行中に上記の
ように、ブームの横揺れを生じさせて走行中の事故につ
ながる恐れが生ずるからである。本考案の目的は、上記
のメカニカルロックが正常に作動しうる状態にあるか否
かをチェックできる車載クレーン用油圧回路を提供する
ことにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】クレーンブームを旋回駆
動する油圧モータ（２）と、その油圧源（１）およびリ
ザーバとの間に介設された主切換弁（４）と、前記主切
換弁は、中立位置において前記油圧源をリザーバ側管路
に連通して前記油圧源と前記油圧モータとの連通を閉
じ、他方の切換位置において前記油圧源を前記油圧モー
タに連通させて前記油圧モータからの戻りを前記リザー
バに連通させ、前記油圧モータの駆動系に設けた溝（２
ｃ）を有するドラム（２Ａ）と、前記ドラム（２Ａ）の
前記溝（２Ｃ）に嵌入するピストンロッド（８ｄ）およ
び前記ピストンロッドと一体に形成されたピストン（８
ａ）を有する油圧アクチュエータ（８）と、前記油圧ア
クチュエータには、前記ピストンを介してのスプリング
附勢力が前記ドラム（２Ａ）の前記溝（２Ｃ）に前記ピ
ストンロッド（８ｄ）を嵌入する方向に作用し、且つ前
記油圧源は油圧管路を介して前記油圧アクチュエータに
おける押しのけ室（８ｃ）に接続している油圧回路にお
いて、 前記油圧源と前記押しのけ室を接続する前記油圧
管路には、前記クレーンブームを操作する作業時におい
て前記油圧源を前記押しのけ室に連通させたままとし、
前記クレーンブームの操作を終了した後そのクレーンブ
ームを積載した車両が 運行に入る前において、前記押し
のけ室を前記リザーバに連通させ且つ前記押しのけ室と
前記油圧源との連通を閉じるチェック用切換弁を設け、
そのことによって、前記車両の前記運行前において前記
主切換弁の操作によって前記油圧モータが回転してしま
うか否かをチェックできるものとなっている。

【００１０】

【作用】 切換弁７は、切換位置が７Ａに設定されている
状態において吐出管路１ａと押しのけ室８ｃを連通し且
つ押しのけ室８ｃとリザーバ６との連通を閉じ、切換位
置が７Ｂに設定されている状態において吐出管路１ａと
押しのけ室８ｃとの連通 を閉じ且つ押しのけ室８ｃをリ
ザーバ６に連通する構成になっているので、切換弁７の
操作によって油圧モータ２の駆動系のドラム２Ａにピス
トンロッド８ｄが確実に嵌入しているかどうかをチェッ
クすることができる。

【００１１】

【実施例】図１は、本考案における車載クレーン用油圧
回路を回路図によって示したものであり、従来の車載ク
レーン用油圧回路に対して油圧管路１ｂにチェック用の
切換弁７を介設したものである。

【００１２】切換弁７の切換位置を７Ａに設定してある
状態においては、その回路構成が図２における場合と同
じになる。したがって、その作用も上述の図２における
場合と同じになり、且つ上述のように通常のクレーン操
作が可能であり、また、そのクレーン作業を終了したと
き、上述のように自動的に油圧アクチュエータ８による
メカニカルロックもかかることになる。

【００１３】上述のメカニカルロックが正常に作動しう
る状態にあるか否かのチェックは、切換弁７の切換位置
を７Ｂに設定して下記のようにチェックする。切換弁７
の切換位置を７Ｂに設定すると、押しのけ室８ｃが切換
位置７Ｂを介してリザーバ６に開放するため、油圧アク
チュエータ８においては、正常であれば、スプリング８
ｂの附勢力によってピストン８ａが図示の左方に附勢さ
れて、ピストン８ａのピストンロッド８ｄがドラム２Ａ
の溝２ｃに嵌入し、上述のメカニカルロックをかけるこ
とができる。

【００１４】ここで、切換位置７Ｂに設定したことによ
って上記のように押しのけ室８ｃがリザーバ６に開放し
ても、その場合において吐出管路１ａと押しのけ室８ｃ
との連通が閉じる状態になっているから、その切換弁７
を切換位置７Ｂに設定しても、主切換弁としての切換弁
４が中立以外の４Ａあるいは４Ｂに切り換えられたこと
によって、吐出管路１ａには上述の図２における説明の
場合と同様に油圧が立ち上がることになる。

【００１５】すなわち、この切換弁７が切換位置７Ｂに
設定した状態において、切換弁４を例えば４Ａの切換位
置に設定すれば、吐出管路１ａに生じた圧油が油圧管路
１ｄ、切換位置４Ａおよび油圧管路２ａを介して、図２
におけると同様に油圧モータ２を駆動しうる状態にな
る。ここで、正常な状態であれば、上記のように切換弁
７を切換位置７Ｂに設定したことによって、油圧モータ
２には上記のメカニカルロックがかかっているから、そ
の切換弁４による油圧モータ２の駆動によっても油圧モ
ータ２は回転しないことになる。また、その場合におい
て、ピストン８ａのビストンロッド８ｄが溝２ｃ以外の
位置にあってメカニカルロックのかかっていない状態に
あった場合は、その切換弁４による上記油圧モータ２の
駆動によってドラム２Ａが回転して溝２ｃが移動し、そ
の結果、ピストン８ａのピストンロッド８ｄがスプリン
グ８ｂの附勢力によって溝２ｃに入り込み、この場合も
メカニカルロックがかかることになる。

【００１６】このように、作業者は、上記の切換弁７お
よび４の操作によって、上記メカニカルロックに故障の
あることを知ったときは、従来通りブーム先端のフック
をワイヤーによってその自動車に固定すれば、運転者は
安心して走行中のブーム揺れの心配なく走行することが
できることになる。

【００１７】

【考案の効果】以上の説明から明らかなように、本考案
の車載クレーン用油圧回路は、クレーンブーム旋回のメ
カニカルロックに何らかの原因による故障があっても、
チェック用切換弁７の操作によってその故障を容易に確
認することが可能になるものである。その結果、その故
障を知らずにその自動車を走行させ、そのブームがその
走行中の振動等によって揺れ回るような危険を防止する
ことができることになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案におけるに車載クレ−ン用油圧回路を回
路図によって示したものである。

【図２】従来における車載クレ−ン用油圧回路を回路図
によって示したものである。

【符号の説明】

１ 油圧ポンプ、 １ａ 吐出管路、 １ｂ 油圧管
路、 ２ 油圧モータ、２Ａ ドラム、 ２ｃ 溝、
４ 切換弁、 ６ リザーバ、 ７ チェック用切換
弁、 ８ 油圧アクチュエータ、 ８ａ ピストン、
８ｂ スプリング、 ８ｃ 押しのけ室、 ８ｄ ピス
トンロッド。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 クレーンブームを旋回駆動する油圧モー
   タ（２）と、その油圧源（１）およびリザーバ（６）と
   の間に介設された主切換弁（４）と、前記主切換弁は、
   中立位置において前記油圧源をリザーバ側管路に連通し
   て前記油圧源と前記油圧モータとの連通を閉じ、他方の
   切換位置において前記油圧源を前記油圧モータに連通さ
   せて前記油圧モータからの戻りを前記リザーバに連通さ
   せ、前記油圧モータの駆動系に設けた溝（２ｃ）を有す
   るドラム（２Ａ）と、前記ドラム（２Ａ）の前記溝（２
   Ｃ）に嵌入するビストンロッド（８ｄ）および前記ピス
   トンロッドと一体に形成されたピストン（８ａ）を有す
   る油圧アクチュエータ（８）と、前記油圧アクチュエー
   タには、前記ピストンを介してのスプリング附勢力が前
   記ドラム（２Ａ）の前記溝（２Ｃ）に前記ピストンロッ
   ド（８ｄ）を嵌入する方向に作用し、且つ前記油圧源は
   油圧管路を介して前記油圧アクチュエータにおける押し
   のけ室（８ｃ）に接続している油圧回路において、 前記油圧源と前記押しのけ室を接続する前記油圧管路に
   は、前記クレーンブームを操作する作業時において前記
   油圧源を前記押しのけ室に連通させたままとし、前記ク
   レーンブームの操作を終了した後そのクレーンブームを
   積載した車両が運行に入る前において、前記押しのけ室
   を前記リザーバに連通させ且つ前記押しのけ室と前記油
   圧源との連通を閉じるチェック用切換弁を設け、そのこ
   とによって、前記車両の前記運行前において前記主切換
   弁の操作によって前記油圧モータが回転してしまうか否
   かをチェックできるものとなっている ことを特徴とする
   車載クレーン用油圧回路。