JP2575273B2 - 電界シールド用透明導電膜 - Google Patents

電界シールド用透明導電膜

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JP2575273B2
JP2575273B2 JP5044548A JP4454893A JP2575273B2 JP 2575273 B2 JP2575273 B2 JP 2575273B2 JP 5044548 A JP5044548 A JP 5044548A JP 4454893 A JP4454893 A JP 4454893A JP 2575273 B2 JP2575273 B2 JP 2575273B2
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Tohoku Chemical Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、OA機器のディスプレ
イ,テレビジョンのブラウン管などの前面ガラスの表面
処理に用いる電界シールド用の透明導電膜に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビジョンのブラウン管の表面には、
静電気帯電によるホコリが付着しやすく、また人体が接
触した時に放電して電気ショックを受けるため、帯電防
止の処理を施すことは古くから知られている。
【0003】殊に近年のオフィスオートメーション(O
A)化により、オフィスに多くのOA機器が導入され、
OA機器のディスプレイと向き合って終日作業を行うと
いう環境は珍しくない。コンピュータの陰極線管(CR
T)に接して仕事を行う場合にCRTは、単に静電気に
よるCRT表面のホコリの付着,電撃ショックの防止に
止まらず、表示画面が見やすく、画像の読み取りが容易
であり、視覚疲労を感じさせないことのほか、漏洩X線
や漏洩電磁界の人体への影響が安全基準をクリアするこ
とが要求される。
【0004】上記の要求項目のうち、静電気帯電に伴う
問題は、CRT表面に導電膜を付し、これをアースする
ことにより解決できる。この場合に導電膜は、表面抵抗
で108Ω/□程度の導電性が必要である。導電膜は、
画面の透明性や解像度を損なうものであってはならず、
膜中を通過する光の拡散透過の量が極力少ないことが望
ましい。実用上、CRTに対しては、拡散透過光の直接
透過光に対する百分率で定義されるヘイズ値が、おおよ
そ5%以下の極力少ない値であることが要求される。ヘ
イズを減らすには、膜中の光散乱源が少なく、膜厚がで
きるだけ薄いことが条件となる。
【0005】また画像を見やすくするためには、CRT
表面に防眩処理を施して画面の反射を押さえることが望
ましい。防眩処理に対しては、反射光が入射光に対して
破壊的干渉を生ずるように被膜の膜厚及び屈折率を制御
することによりその対応が可能である。
【0006】X線の遮蔽は、その発生箇所がシャドウマ
スク付近なので、CRTのガラスにPb,Ba,Srな
どの重元素を添加して遮蔽効果を持たせればよい。
【0007】電磁界は、電子銃と偏向ヨーク付近から発
生し、TVの大型化に伴って益々大きな電磁場が周囲に
洩れる傾向にある。磁界の漏洩は、逆磁場の印加により
防止でき、電界の漏洩に対する対応は、帯電防止と同様
に、CRTガラス表面に導電性の透明被膜を形成するこ
とにより防止できる。しかし、電界シールドと帯電防止
とでは、被膜に要求される導電性のレベルには大きな差
があり、帯電防止には表面抵抗で108Ω/□程度で十
分とされているが、漏洩電界を防ぐためには、少なくと
も105Ω/□以下、好ましくは103Ω/□台の低抵抗
の透明膜を形成する必要がある。
【0008】上記の要求に対応するため、従来よりいく
つかの提案がなされている。例えば、真空蒸着及びCV
DによりCRTの前面に酸化錫や酸化インジウム等の導
電性酸化物の被膜を形成する方法がある。この方法を用
いて形成した膜は、酸化錫や酸化インジウム単一組成で
構成されるため、素材の導電性がそのまま現われて電界
シールド効果に十分な低い抵抗値が得られる。また、膜
厚を十分薄く、且つ均一に制御しやすく、CRTの解像
度を損うことなく反射防止の処理もしやすい。
【0009】さらに、CRT内部の高真空を保ったまま
CRT表面を処理するためには、実質的に200℃以下
の温度で行う必要があるが、真空蒸着及びCVD法では
この点についても問題はない。しかしながら、この方法
によるときには、各ブラウン管毎に雰囲気を制御して処
理しなければならず、被膜形成に多大のコストがかかる
ため、CRT製造には実用上極めて不都合である。従っ
て特殊な用途のブラウン管を除いてはこの方法は適用さ
れておらず、より安価で迅速に行える膜形成方法が望ま
れている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】導電性を付与する実用
的で安価なコーティング方法として、導電性微粒子を含
有したインク組成物の吹き付け又は塗布による方法が特
開平1−299887号に開示されている。この方法
は、インクに微粒子酸化錫,シリカゾル及び有機溶媒を
用い、200℃以下の低温でも反応が可能なシリカゾル
の縮重合反応を利用して製膜するものである。
【0011】この方法を用いると、酸化錫微粒子がシリ
ケートのマトリックスに分散された膜となるので、上記
の酸化錫単一層のCVD膜に比べて導電性は103程度
も低下する。すなわちこの処理液を用いて形成した透明
導電膜の表面抵抗は、CRT画面の明るさや解像度を損
なわない膜厚において、最低でも107Ω/□であり、
漏洩電界シールドに必要な導電性にははるかに及ばな
い。またこのようにして形成された膜の強度は、膜体積
に対する酸化錫の体積率が低い時にはそこそこの表面硬
度があるが、CRT画面に要求される鉛筆硬度9H以上
の硬さまでは得られないと云う難点がある。
【0012】本発明の目的は、陰極線管ガラス表面に付
着して十分な膜強度や耐候性があり、画像の明るさや解
像度を損なうことはない透明性を有し、かつ陰極線管か
らの漏洩電界のシールドに十分な導電性を与える電界シ
ールド用透明導電膜を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明による電界シールド用透明導電膜において
は、ITO分散シリケート膜とオーバーコートとの2層
積層からなり、ITO分散シリケート膜を第1層,オー
バーコートを第2層として、第1層,第2層の順にガラ
ス基板上に形成する電界シールド用透明導電膜であっ
て、ITO分散シリケート膜は、ITO粒子をシリケー
トマトリックスに分散させた膜であり、0.07〜0.
60μmの膜厚を有し、ITO分散シリケート膜に含ま
れるITO粒子は、粒径が50nm以下の粒子を粒子体
積分率で50%以上であり、膜体積に対するITO粒子
の体積は、体積率で35〜95%、膜の導電度は10 5
Ω/□以下、ヘイズは5%以下であり、オーバーコート
は、少なくとも0.08μm以上の厚みの透明なシリケ
ートガラス層であり、第2層のシリケートガラス層は、
第1層のシリケートマトリックスに連続的に接続され、
第1層と第2層との積層の表面硬度は鉛筆硬度で9H以
上である
【0014】
【作用】ITO分散シリケート膜中に分散させる導電粒
子としてITO超微粒子を用いる。膜内では、微粒子相
互の接触した導電パスが膜に導電性を付与するが、IT
O粒子は、本来酸化錫粒子よりも1桁以上低い体積抵抗
を有するために、ITOを分散させた膜では、酸化錫粒
子を分散させた膜に比べてはるかに抵抗が低くなる。電
界シールドに必要な105Ω/□以下の導電度を得るた
めには、分散度合いにも依存するが、通常、膜体積に対
するITO微粒子の体積が体積率として95%以下の範
囲で35%以上は必要である。また膜厚が0.07μm
未満では十分な導電性が得られない。
【0015】通常得られるITO微粒子の平均粒径は、
50nmを越えるために、粒径が50nmを超える粒子
が多くなり抵抗値は低くなっても要求される光学特性が
得られない。本発明においては、ITO微粒子の粒径
は、50nm以下という極小サイズのものが50%以上
を占めることを特徴としている。
【0016】このような極小サイズの微粒子が分散した
系では、入射可視光の系内での散乱モードは、ほとんど
がいわゆるRayleigh散乱又はMie散乱のモー
ドとなり、物体の透明性は極めて高くなる。ヘイズに寄
与するのは粒径が70〜数100nmのITO粗大粒子
のシリケートとの界面及び膜表面の粗さである。
【0017】しかし、このような粗大粒子が含まれてい
ても、50nm以下の微細粒子が50%以上を占める膜
では、分散度合いにもよるが、ヘイズを3%以下に下げ
ることは困難ではない。ヘイズはまた、膜厚にほぼ比例
しており、第1層目の膜厚を0.60μm未満にするの
はヘイズを5%以内に抑えるためである。
【0018】一方、ITO微粒子は、水の存在により抵
抗値が上がるという難点がある。CRTの置かれる環境
が高温高湿であった場合、第1層のみでは水分の侵入が
膜を高抵抗化・劣化させるという懸念がある。また、膜
強度に関しても、第1層目の膜自体の鉛筆硬度は、良好
な膜においても高々3〜4H程度の硬さであり、CRT
表面の硬さとして十分とはいえない。
【0019】これらの問題を解決するのが第2層目のオ
ーバーコート(シリケート)膜であり、これが0.08
μm以上の厚さで均一に付着している場合は湿度劣化の
度合いは無視できるほど小さくなり、また表面の硬さは
9H以上の極めて強固なものとなる。シリケートの膜
は、第1層目の膜の構成成分であるシリケートマトリッ
クスと連続に接続するため、第1層と第2層との密着性
にも問題はない。
【0020】さらに2層膜にすることによる付加的な効
果として、CRTガラス表面の反射防止効果がある。上
に記載の構造を持つITO分散シリケート膜とオーバー
コート膜とは、波長550nmの可視光屈折率がそれぞ
れほぼ1.6〜2.0及び1.4となる。従って、膜厚
がそれぞれ69〜86nm及び97nmにおいて垂直入
射光の1次無反射条件を満足し、特にオーバーコート膜
については、第1層との屈折率差が十分あるため、反射
光の抑制効果が大きい。この理由から第2層の膜厚は、
97nm又はその奇数倍であることが望ましいが、製膜
技術に由来する膜の不均一性を考慮して、第2層の膜厚
を80nm以上とした。
【0021】図1に本発明による電界シールド用透明導
電膜の断面TEM写真(倍率10,000倍)を示
す。写真は、試料の作製時にガラス基板1の界面から2
層の膜を分離した状況を示している。第1層のITO分
散シリケート膜2中には、ITO粒子3が均一に、密に
分散し、その表面は、平滑な第2層のオーバーコート4
で覆われ、両膜は完全に密着して一つの膜を形成してい
る。
【0022】このような2層構造を持つ透明膜は、次の
ようにインク法により製造することができる。まず第1
層目の膜としては、ITO微粒子をシリカゾルと溶媒中
に分散したITO分散インクを、CRT表面に塗布し、
これを乾燥してシリカゾルの縮重合反応を利用して製膜
する。上記構造を得るためには、平均粒径40nm以下
のITO超微粉が必要であり、これを溶媒を用いて高分
散したITO分散インクを作製する必要がある。このよ
うな超微細なITO粉は、住友金属鉱山(株)から販売
・供給されている。
【0023】また第2層目も同様に、ITOを含まない
シリケートゾルゲル溶液の縮重合反応を利用して、20
0℃以下での低温形成が可能である。
【0024】CRTガラス上へのインクの塗布方法は、
スピンコート法やスプレーコート法など、インクを平
滑、かつ薄く塗布できる方法であれば何でもよい。第2
層目のシリケート膜は厚くてもよいのでスクリーン印刷
などによってもよい。スピンコートやスプレーコートを
実施する際は、ガラス表面は30〜80℃に予熱するこ
とが望ましい。これは、被膜製造の季節間差を取り除く
とともに、余熱によってインクの乾燥温度が最適値にな
り、特に光学特性を向上させるからである。
【0025】
【実施例】以下にインク法で行った本発明の実施例を示
す。ITO超微粉としては、平均粒径の異なる4種類の
住友金属鉱山(株)製の粉(ITO−UFP)を用い
た。これを表1に示す。ここで粉末の平均粒径は、異な
る5視野の透過電子顕微鏡写真から測定した平均値を用
いた。透過電子顕微鏡観察は、日本電子製JEM−20
00EXで200kVの加速電圧で行った。
【0026】形成した膜の膜厚と屈折率は、溝尻光学工
業所製エリプソメータで測定した。膜厚は、触針式表面
粗さ計でも評価したが、ほぼ同等の結果を与えた。エリ
プソメータの方法によると、第1層及び第2層目の膜厚
を非破壊で、レーザープローブを照射する2〜3mmの
領域について平均的に求められる。表面抵抗は、三菱油
化(株)製表面抵抗計MCP−T200を用いて測定し
た。ヘイズ値,全光線透過率、及び積分反射率は、村上
色彩技術研究所製ヘイズメータHR−200を用いて測
定した。鉛筆硬度は、東洋精機製作所製鉛筆引っ掻き塗
膜硬さ試験機を用いて荷重1kgで測定した。
【0027】
【表1】 使用ITO粉(住友金属鉱山(株)製ITO−UFP) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 比表面積 平均粒径 cm2 nm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ITO粉A 27.5 25.3 ITO粉B 28.6 19.0 ITO粉C 21.1 38.9 ITO粉D 12.1 77.4 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0028】(実施例1)表1に示すITO超微粉Aを
15g,N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を2
0g,NN’ジメチルフォルムアミド(DMF)を7
g、及び4ヒドロキシ−メチル−2ペンタノン(ジアセ
トンアルコール)70gを混合し、この溶液を、直径5
mmのジルコニアボールを用いて36時間ボールミル混
合してITO分散溶液を作製した。一方、多摩化学工業
製エチルシリケート40を1.5g,ジアセトンアルコ
ール16g,蒸留水1.5gの混合溶液を撹拌しなが
ら、5%塩酸水溶液3g,ジアセトンアルコール2g,
蒸留水2.4gの混合溶液を滴下して、エチルシリケー
ト溶液を調した。これらの2液を混合し、150rp
mで回転する200×200×3mmの板ガラス上にビ
ーカから滴下した。
【0029】スピンコーターの回転数は、溶媒粘性に対
してインクを広げる遠心力が十分にあり、かつ速すぎて
ブラウン管の管破裂や機能ダメージの危険を伴わない限
度として150rpmに設定した。板ガラスは、予め表
面をアセトン洗浄後50℃に予熱し、同インクを2枚の
板ガラスにスピンコートした。スピンコート終了後、そ
の1枚は170℃で10分乾燥し、膜厚を計測し、表面
抵抗を測定した。
【0030】もう1枚はそのままスピンコーター上で1
50rpmで回転させながらオーバーコート用溶液を滴
下し、170℃で10分乾燥してオーバーコートガラス
付きのITO分散シリケート膜を製膜した。オーバーコ
ート用溶液は、予め、多摩化学工業製エチルシリケート
40を6.5g,ジアセトンアルコール80g,蒸留水
7gの混合溶液を撹拌しながら、5%塩酸水溶液15
g,ジアセトンアルコール10g,蒸留水12gの混合
溶液を滴下してエチルシリケート溶液を調整し、これを
エタノールでエチルシリケートが3%になるように希釈
して作製した。
【0031】乾燥後の板ガラス表面に透明な薄膜の生成
を確認後、膜構造を評価した。結果を表2に示す。ま
た、表面抵抗値ほかの諸特性を測定して、表3に示すよ
うな良好な特性を得た。表面抵抗値は1層目が2.62
×104Ω/□であり、従来に比べてはるかに低い抵抗
値が実現された。2層目コート後に膜の抵抗は5.41
×107Ω/□に上がったが、もちろんこれは表面がシ
リケート膜で覆われたからである。実際にTVブラウン
管上に電界シールド処理を行う際には、第1層目から電
極を引き出してアースするので、表3中の第1層目の表
面抵抗値がシールド効果の目安となる。光学的特性もヘ
イズ値0.7%,積分反射率7.4%という良好な値が
得られた。
【0032】ここで、積分球で測定した反射率は、45
°入射の積分反射率であり、通常測定される垂直入射の
正反射率よりも値が大きくなることに留意したい。この
試料を低速精密カッターで切断し、さらに超ミクロトー
ムで薄くスライスして膜断面を観察面に持つ透過電子顕
微鏡(TEM)用試料を作製し、観察した結果、図1に
示すようになり、この写真から第1層目の膜中でのIT
O微粒子の体積率は58%、そのうち粒径が50nm以
下のITO微粒子の粒子体積分率は87%と見積もるこ
とができ、十分微細な粒子が大部分を占めている分布状
態が確認できた。
【0033】(実施例2,3)ITO粉として表1の粉
B又はCを用いる他は実施例1と全く同様にして2層構
造の膜を作製した。その電気・光学的評価結果は、表3
に示すように、粉Bを用いた膜では粉Aを凌ぐ高特性が
得られ、粉Cを用いた膜では粉Aの場合とほぼ同等の特
性が得られた。
【0034】(実施例4)表1に示すITO超微粉Bを
15g,N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を1
0g,NN’ジメチルフォルムアミド(DMF)を3
g、及びジアセトンアルコール70gを混合し、この溶
液を、直径5mmのジルコニアホールを用いて36時間
ボールミル混合してITO分散溶液を作製した。
【0035】一方、多摩化学工業製エチルシリケート4
0を1.5g,ジアセトンアルコール16g,蒸留水
1.5gの混合溶液を撹拌しながら、5%塩酸水溶液3
g,ジアセトンアルコール2g,蒸留水2.4gの混合
溶液を滴下して、エチルシリケート溶液を調した。
【0036】これらの2液を混合し、さらにエタノール
で溶液の固形分(ITOとシリケート成分)が3.0%
になるように希釈してスプレー用インクとし、これをス
プレーノズルから250×250×3mmの板ガラスに
往復吹き付けて製膜し、その後180℃で10分乾燥し
た。板ガラスはあらかじめ表面をアセトン洗浄後50℃
に予熱し、同インクを2枚の板ガラスにスプレコートし
た。
【0037】スプレーコート終了後、その1枚は180
℃で10分乾燥し、膜厚を計測し、表面抵抗を測定し
た。表面を走査電子顕微鏡観察すると、数μmサイズの
クレーター状の模様が一面に観察された。もう1枚はそ
の上に実施例1で用いたものと同様のオーバーコート液
をスプレーし、180℃で10分乾燥した後、諸特性を
評価した。
【0038】膜断面のTEM観察では、ITO微粒子の
分布は実施例1の場合とまったく変わらず、50nm以
下のITO微粒子の粒子体積分率が92%を占めてい
た。諸特性中では光学特性、特にヘイズ値はやや悪化し
たが、表面抵抗は103Ω/□台であった。ヘイズの悪
化は膜厚増加に加えて界面や表面がスプレー膜ではやや
不均一になるためであると考えられる。
【0039】(実施例5)表1に示すITO超微粉Bを
15g,N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を2
0g,NN’ジメチルフォルムアミド(DMF)を7
g、及びジアセトンアルコール70gを混合し、この溶
液を、直径5mmのジルコニアホールを用いて36時間
ボールミル混合してITO分散溶液を作製した。
【0040】一方、多摩化学工業製エチルシリケート4
0を1.5g,ジアセトンアルコール16g,蒸留水
1.5gの混合溶液を撹拌しながら、5%塩酸水溶液3
g,ジアセトンアルコール2g,蒸留水2.4gの混合
溶液を滴下して、エチルシリケート溶液を調整した。
【0041】これらの2液を混合して角型槽中に入れ、
この液中に100×100×3mmの板ガラスを2枚デ
ィプして1層目を製膜した。180℃,10分で乾燥し
た後、1枚は膜厚と表面抵抗を評価し、もう1枚はさら
にオーバーコート溶液にディップしてから180℃,1
0分で乾燥し、諸評価を行った。この場合、膜がガラス
の両面にコートされるので全光線透過率やヘイズは悪化
した。また膜厚が厚く干渉縞も顕著に見られたが、抵抗
値は膜厚が薄い割に4.46×104と低く、問題はな
かった。
【0042】以上の実施例において、膜の構造から、I
TO体積率が高く第1層目の膜厚が厚い方が膜の抵抗値
が低く、50nm以下の粒子体積分率が多い方がヘイズ
が低く、1層目の屈折率が高く2層目の膜厚が97nm
に近い方が反射率が低いという結果が得られた。また膜
の鉛筆硬度はすべて9H以上と十分硬く、また沸騰水中
に15分浸漬後の膜外観にも変化はなく、高温耐湿性に
優れていることが確認された。
【0043】(比較例1)平均粒径8nmの住友金属鉱
山(株)製酸化錫超微粒子15.0g,エタノール14
0g,ジアセトンアルコール25g,蒸留水80gを混
合し、この溶液を、直径5mmのジルコニアボールを用
いて36時間ボールミル混合して酸化錫分散溶液を作製
した。
【0044】一方、多摩化学工業製エチルシリケート4
0を1.5g,ジアセトンアルコール16g,蒸留水
1.5gの混合溶液を撹拌しながら、5%塩酸水溶液3
g,ジアセトンアルコール2g,蒸留水2.4gの混合
溶液を滴下して、エチルシリケート溶液を調整した。こ
れら2液を混合し、あとは実施例1と同様にスピンコー
トで製膜し、180℃,10分乾燥した。
【0045】この膜の物性値を測定したところ、光学特
性は良かったが、抵抗値が7.09×107Ω/□と高
かった。さらに溶媒組成を様々に変えて酸化錫微粒子の
分散性向上を図ったが、抵抗値は決して107Ω/□台
より低くならず、電界シールドのようをなさないことが
わかった。さらに実施例1と同様にオーバーコート膜を
形成したが、抵抗値はさらに増加した。
【0046】(比較例2)スプレー回数を1層目,2層
目ともに10回にしたほかは実施例4とまったく同様の
手順でスプレー膜を作製した。この膜の1層目の膜厚は
0.71μmと厚く、抵抗値は1.79×103と十分
低かったが、ヘイズ値が16%を超えるなど光学特性に
難がみられた。
【0047】(比較例3)実施例1において、ITO分
散液の成分としてNMPを用いる代わりに当量の水で置
き換え、後は全く同様にして製膜・乾燥して評価した。
この膜では1層目の膜中のITO微粒子の分散状態が悪
く、凝集傾向を示してITO体積率が34%と低く、1
層目抵抗値が3.72×106と高い上にヘイズや反射
率も高かった。
【0048】(比較例4)平均粒径が大きい住友金属鉱
山(株)製ITO粉D(表1)を用いたほかは実施例1
とまったく同様にして板ガラス上に2層構造の透明膜を
得た。断面方向にスライスした試料をTEM観察する
と、50nm以下のITO粒子の粒子体積分率は30%
以下で、70〜80nmの粗大ITO粒子が主要体積を
占めていた。この膜は表3に示すように、表面抵抗が
1.20×105Ω/□となり電界シールド用としては
高すぎることに加えてヘイズ値も4.7%と高かった。
【0049】以上の比較例に示されるように、従来の構
造の膜においては、電界シールドに必要とされる導電性
を始めとして、CRTガラス表面に要求される諸特性を
同時に満足することができない。各実施例及び比較例の
評価結果を表2,表3に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ブラウ
ン管表面に、膜体積に対するITO粒子の体積率は35
〜95%であり、ITO微粒子の粒径が50nm以下の
粒子体積分率が50%以上で分布するような0.07〜
1.00μmの厚さを有するITO分散シリケート薄膜
及びこれをシリケートのオーバーコートを被膜した2層
膜を形成して電界シールド効果に十分な低抵抗の導電膜
が得られ、かつテレビジョン,ディスプレイの画面に要
求される透明性と低ヘイズを満足することができる。さ
らにこのような膜は、強度や耐候性にも優れ、表面反射
光の低減効果があり、またインクを用いて装置や工程の
簡単な製膜ができるので、コスト的にも極めて有利であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による2層の薄膜の断面写真である。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 ITO分散シリケート膜 3 ITO粒子 4 オーバーコート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯田 貞博 千葉県習志野市袖ケ浦2−3−5−207 (72)発明者 行延 雅也 愛媛県新居浜市王子町1−7 (72)発明者 折田 桂一 東京都品川区西五反田7丁目9番4号 東北化工株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−70181(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ITO分散シリケート膜とオーバーコー
    トとの2層積層からなり、ITO分散シリケート膜を第
    1層,オーバーコートを第2層として、第1層,第2層
    の順にガラス基板上に形成する電界シールド用透明導電
    膜であって、ITO分散シリケート膜は、ITO粒子を
    シリケートマトリックスに分散させた膜であり、0.0
    7〜0.60μmの膜厚を有し、ITO分散シリケート
    膜に含まれるITO粒子は、粒径が50nm以下の粒子
    を粒子体積分率で50%以上であり、 膜体積に対するITO粒子の体積は、体積率で35〜9
    5%、膜の導電度は10 5 Ω/□以下、ヘイズは5%以
    下であり、 オーバーコートは、少なくとも0.08μm以上の厚み
    の透明なシリケートガラス層であり、第2層のシリケートガラス層は、第1層のシリケートマ
    トリックスに連続的に接続され、第1層と第2層との積
    層の表面硬度は鉛筆硬度で9H以上であることを 特徴と
    する電界シールド用透明導電膜。
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