JP2574126Y2 - シリンダーヘッドカバー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、シリンダーヘッドに
覆設されるシリンダーヘッドカバーの改良に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来、エンジンに取り付けられたシリン
ダーブロック上にはシリンダーヘッドが連設されている
が、このシリンダーヘッドの上面部には内部のカム等を
覆蓋するため、アルミ鋳造のアルミヘッドカバーの上面
に、防音のための板金カバーを設けた二重構造のシリン
ダーヘッドカバーが設けられていた。

【０００３】これらのシリンダーヘッドカバーは取付け
用穴に設けられたボルトを介してシリンダーヘッドに対
して着脱可能に固着されていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする問題点】しかし、このような
構造であるとシリンダーヘッドより発生するカム、タペ
ット等の振動音がボルト等を伝わって外部に漏れること
がある。

【０００５】このため、従来はシリンダーヘッドカバー
の取付け用穴にボルトを貫通させ、シリンダーヘッドに
締め付けるときには各ボルトに防振用ワッシャーを装着
する必要があった。

【０００６】また、シリンダーヘッドとシリンダーヘッ
ドカバーとの間に設けられた溝にはシールゴムが装填さ
れていたが、このシールゴムについても防振機能を備え
たものを使用しなければならないという欠点があった。

【０００７】更に、防振のために、板金カバーとアルミ
ヘッドカバーとの間に圧縮成型されたグラスウールを装
着する方法も提案されているが、グラスウール自体が取
り扱いにくく、人体に対する悪影響、装着時の作業性、
耐久性等に問題がある。

【０００８】また、グラスウール等を装着した場合には
板金カバーとアルミヘッドカバーとの間に外部からオイ
ルや水の侵入を防ぐために、板金カバーとアルミヘッド
カバーの間の開口端部にガスケットを装着する必要があ
る。

【０００９】この考案は、上記実情に鑑み、防振、防音
効果を発揮するとともに外部からのオイルや水の侵入を
防ぐことができるシリンダーヘッドカバーを提供するこ
とを目的とするものである。

【００１０】このため、この考案ではアルミヘッドカバ
ーの外周に板金カバーを設けたシリンダーヘッドカバー
において、その表面に気泡のないスキン層を有するシリ
コーン樹脂の発泡体を、上記スキン層がアルミヘッドカ
バーの外周面に接するように上記アルミヘッドカバーと
板金カバーとの間の中間部に一体的に挟み込むようにし
たシリンダーヘッドカバーを提案するものである。

【００１１】

【作用】この考案に係るシリンダーヘッドカバーは、例
えば液状体の発泡シリコーンを使用することにより容易
に製造することができる。

【００１２】即ち、発泡性シリコーンは通常２液性の液
状体で、複雑な３次元構造をしたヘッドカバーの表面を
隙間無く覆うことができ、発泡処理すると、シリコーン
樹脂の発泡体が形成されるが、この際アルミ等の金属面
に接する表面は気泡のないスキン層となる。

【００１３】したがって、この液状体の発泡シリコーン
をアルミヘッドカバーと板金カバーとの間の中間部に注
入にて発泡させると、アルミヘッドカバーと板金カバー
との間にはその内部に微細な気泡を分散させたシリコー
ン樹脂の発泡体が隙間なく装填され、アルミヘッドカバ
ーと板金カバーとの間に上記発泡体が一体的に挟み込ま
れた構造のシリンダーヘッドカバーが得られる。

【００１４】そして、以上のような構造においてはアル
ミヘッドカバーと板金カバーとの間の中間部は微細気泡
のシリコーン樹脂の発泡体により隙間なく充填されてい
るので、シリンダーヘッドから発生する音乃至振動を良
好に吸収し、優れた防音、防振効果を発揮する。

【００１５】また、この考案のシリンダーヘッドカバー
によれば中間部に装填された発泡体の気泡のないスキン
層がアルミヘッドカバーの外周面に接しており、したが
って中間部の開口端部迄発泡体を装填することにより、
外部からのオイルや水の侵入を効果的に防ぐことができ
る。

【００１６】

【実施例】以下、図示の実施例に基づいてこの考案を詳
細に説明する。図１のエンジンの分解斜視図において、
１はシリンダーブロック、２はシリンダーヘッド、３は
シリンダーヘッドカバーである。

【００１７】シリンダーヘッドカバー３はその周面端部
にフランジ部４を有するアルミ鋳造のアルミヘッドカバ
ー５とアルミヘッドカバー５の外周上に設けられた防音
用の板金カバー６から構成される。

【００１８】そして、この考案においてはアルミヘッド
カバー５と板金カバー６の間に設けられた中間部７には
フランジ部４と板金カバー６の端部間に形成された開口
端部８より液状体の発泡性シリコーン[ 商品名：スリー
ボンド5277C(5)] を注入する。

【００１９】この液状体の発泡性シリコーンの注入はフ
ランジ部４迄中間部７が隙間なくシリコーン樹脂で充填
されるまで行なわれる。

【００２０】液状体の発泡性シリコーンの注入終了後、
所定温度に加熱してシリコーン樹脂を発泡せしめること
により中間部７内には内部に微細気泡が分散され、且つ
アルミヘッドカバー５の外周面に接する気泡のないスキ
ン層９を有するシリコーン樹脂の発泡体10が開口端部８
迄装填して成型される。

【００２１】その結果、内部に微細気泡を分散させてシ
リコーン樹脂の発泡体10をアルミヘッドカバー５と板金
カバー６で一体になるように挟んだ構造のシリンダーヘ
ッドカバー３が得られる。

【００２２】以上の構造のシリンダーヘッドカバー３を
シリンダーヘッド２に取り付けた場合、発泡体10の内部
に分散された気泡がシリンダーヘッド２より発生するカ
ム等の音を吸収し、外部にこれらの音を漏らさずに防音
効果を発揮することができる。

【００２３】しかも、発泡体10内の微細な気泡はシリン
ダーヘッド２等より伝わる振動を吸収するため、防振効
果も発揮し得る。このため、従来は締め付けボルト等に
は防振ワッシャーを取り付けていたが、この考案に係る
シリンダーヘッドカバー３を使用することにより、これ
らの部品が必要なくなり、部品点数を少なくすることが
できる。

【００２４】また、従来はシリンダーヘッドとシリンダ
ーヘッドカバーとの間の溝に装填されるシールゴムは防
振機能を備えたものが使用されていたが、この考案に係
るシリンダーヘッドカバー３を使用した場合には、シー
ル性のみを追求したものでよく、シールゴムを安価なも
ので形成することができる。

【００２５】更に、この実施例によれば発泡体10の気泡
のないスキン層９がアルミヘッドカバー５の外周面に接
し、しかも発泡体10は中間部７の開口端部８迄装填され
ているため、外部からオイルや水が侵入することなく、
したがって開口端部８にガスケット等のパッキングを装
着する必要がない。

【００２６】

【考案の効果】以上要するに、この考案によればシリン
ダーヘッドから発生する音、振動等が発泡体の内部に分
散する微細気泡により効果的に吸収され、エンジンの静
寂性を向上させることができ、更にアルミヘッドカバー
と板金カバーとの間に外部からオイル乃至水等の侵入を
防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】エンジンの分解斜視図

【図２】シリンダーヘッドの斜視図

【図３】図２のＡ−Ａ´線断面図

【図４】図２のＢ−Ｂ´線断面図

【符号の説明】

１ シリンダーブロック ２ シリンダーヘッド ３ シリンダーヘッドカバー ４ フランジ部 ５ アルミヘッドカバー ６ 板金カバー ７ 中間部 ８ 開口端部 ９ スキン層 10 シリコーン樹脂の発泡体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F02F 7/00 F16M 1/026 B32B 5/18 B32B 27/00 101

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルミヘッドカバーの外周に板金カバー
   を設けたシリンダーヘッドカバーにおいて、その表面に
   気泡のないスキン層を有するシリコーン樹脂の発泡体
   を、上記スキン層がアルミヘッドカバーの外周面に接す
   るように上記アルミヘッドカバーと板金カバーとの間の
   中間部に一体的に挟み込むようにしたことを特徴とする
   シリンダーヘッドカバー。
2. 【請求項２】 中間部の開口端部迄もシリコーン樹脂の
   発泡体で装填するようにした実用新案登録請求の範囲第
   １項記載のシリンダーヘッドカバー。