JP2573993Y2 - 鏡筒のレンズ芯出し機構 - Google Patents

鏡筒のレンズ芯出し機構

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JP2573993Y2
JP2573993Y2 JP1991092616U JP9261691U JP2573993Y2 JP 2573993 Y2 JP2573993 Y2 JP 2573993Y2 JP 1991092616 U JP1991092616 U JP 1991092616U JP 9261691 U JP9261691 U JP 9261691U JP 2573993 Y2 JP2573993 Y2 JP 2573993Y2
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則夫 佐藤
真介 河本
長治 近藤
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旭光学工業株式会社
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、カメラの鏡筒内に保持
される光学レンズの芯出し機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、オフセット印刷の写真製版作成
時に使用される製版用カメラ等においては、撮影画像に
歪が生じるのを防止するために、鏡筒に保持される複数
の撮影レンズの光軸を厳しい精度で一致させることが要
求される。そして、従来この種のカメラにおいては、例
えば実公昭57−41766号公報に開示されているよ
うに、円筒状の固定枠の内周面に複数のレンズを配置し
て各レンズの端面の間に筒状の隔離環を介在させ、前記
固定枠に複数本螺設した芯出し用ねじによって前記レン
ズを芯出しして位置決めした後、前記隔離環及び前記レ
ンズの外周面と前記固定枠の内周との間に形成される空
間に、固化後に鏡枠となる合成樹脂を充填させて、芯出
し位置に固定された複数の前記レンズを鏡枠と一体的に
成形するものがある。
【0003】また、特開平3−200110号公報に開
示されているように、鏡筒内に保持されるレンズの外周
部に金枠を固定して、該金枠の外周面の3等分点上に設
けられた平坦部と鏡筒の内周面との間に球体を配し、前
記金枠を周方向に回転させて前記球体を金枠の外周面の
曲面部分に巻き込むことにより、該曲面部分と鏡筒の内
周面との間で前記球体を挟持させて、前記レンズを鏡筒
内に固定、位置決めしたり、特開平3−200111号
公報に開示されているように、鏡筒円周上の均等3箇所
から該鏡筒の内周に突出するスペーサを、前記鏡筒内に
保持されるレンズの外周面に圧接させて、該レンズを前
記鏡筒内に固定、位置決めするものもある。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た実公昭57−41766号公報に開示された構成で
は、芯出し位置に固定された複数のレンズが鏡枠と一体
に成形されるので、成形後の各レンズの芯出し位置の再
調整を行うことができないという不具合があった。ま
た、上述の実公昭57−41766号公報に開示された
技術では、複数のレンズを芯出し位置に位置決めさせて
保持する固定枠内に、溶融状態の合成樹脂を充填する必
要があるが、例えば、樹脂レンズや、ガラスレンズ面上
に光学用樹脂を非球面状に成形する所謂複合非球面レン
ズにおいては、前記鏡枠を成形する際に、前記溶融状態
の合成樹脂が持つ熱によりレンズが溶解または変形する
おそれがあるという不具合があり、それらのレンズの芯
出しには上述の構成を適用することができなかった。一
方、特開平3−200110号公報や特開平3−200
111号公報に開示された構成では、鏡筒に何らかの衝
撃等が加わった場合に、前記球体の挟持やスペーサの圧
接に緩みが生じ、位置決めされたレンズの位置に狂いが
生じるおそれがあるという不具合があった。本考案は前
記事情に鑑みてなされたもので、鏡筒内に保持されるレ
ンズの芯出しの再調整を行うことができると共に、衝撃
等による位置決め後のレンズの位置ずれを防止すること
ができ、位置決めされる前記レンズに溶解や変形が生じ
るおそれのない鏡筒のレンズ芯出し機構を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本考案は、鏡筒内に保持される光学レンズの芯出しを行
うための機構であって、前記鏡筒の内部に前記光学レン
ズの外径よりも大きい内径で形成された、前記光学レン
ズの外周面が臨む内周面と、前記鏡筒の周面上に周方向
に所定の等間隔をおいて複数形成され、該鏡筒の外周面
から前記内周面へ貫通するねじ孔と、前記ねじ孔に螺着
され、前記光学レンズの外周面に当接して該光学レンズ
の径方向の位置決めを行う調整ねじと、前記鏡筒の周面
上に形成され、該鏡筒の外周面から前記内周面へ貫通す
る接着剤注入用の注入孔と、前記光学レンズの光軸方向
の位置決めを行う位置決め手段とを備え、前記調整ねじ
により光学レンズの径方向の位置決めと前記位置決め手
段により光学レンズの光軸方向の位置決めがなされ、前
記注入孔から注入される接着剤により光学レンズが鏡筒
に固定され後も、前記調整ねじは前記ねじ孔に螺着した
状態で残存されることを特徴とする。
【0006】
【実施例】以下、本考案の実施例について図面に基づい
て説明する。図1は本考案の一実施例によるレンズ芯出
し機構を採用した鏡筒を示す一部截断側面図、図2は図
1の要部拡大図である。図1において10は、その内部
に複数の光学レンズL1乃至L6を保持する円筒状の鏡
筒である。該鏡筒10の外周面20には図1に示すよう
に、この鏡筒10を図示しないカメラのハウジングに装
着するためのマウントねじ21が形成されており、ま
た、前記鏡筒10の内部には図1に示すように、前記各
光学レンズL1乃至L6を収容するための内周面31乃
至36が、該光学レンズL1乃至L6の外径よりも若干
大きい内径で形成されている。前記各内周面31乃至3
6には図1に示すように、前記各光学レンズL1乃至L
6の一方の端面が当て付けられる段部31a乃至36a
が形成されており、また、前記各光学レンズL1乃至L
6の他方の端面に当て付けられるリング状の押え環41
乃至46が螺着されている。尚、本実施例では前記段部
31a乃至36aと押え環41乃至46とにより、前記
各光学レンズL1乃至L6の光軸方向の位置決めを行う
位置決め手段を構成している。
【0007】さらに、前記鏡筒10には図1に示すよう
に、前記外周面20から内周面31乃至36へ貫通する
ねじ孔51乃至56が、それぞれ前記鏡筒10の円周方
向に90°の間隔をおいて4個ずつ形成されている(図
1中には3個のみ示している)。また、前記鏡筒10に
は図1に示すように、前記外周面20から内周面31乃
至36へ貫通する注入孔71乃至76が少なくとも1つ
形成されており、各注入孔71乃至76は前記ねじ孔5
1乃至56の近傍位置に配設されている。
【0008】そして図2に示すように、前記光学レンズ
L2の外周面に臨む部分を有する前記押え環42には、
前記光学レンズL2と内周面32との間隔に対応した深
さの切欠き42aが形成されており、また、図2中には
図示しないが、前記押え環45の前記光学レンズL5の
外周面に臨む部分にも同様の切欠きが形成されている。
また、前記各光学レンズL1乃至L3と各内周面31乃
至33との間には、これらと前記段部31a乃至33a
及び押え環41乃至43とによって、各光学レンズL1
乃至L3の外周面に臨むリング状の閉塞空間S1乃至S
3が形成され、図2中には図示しないが、前記各光学レ
ンズL4乃至L6と各内周面34乃至36との間にも、
これらと前記段部34a乃至36a及び押え環44乃至
46とによって、各光学レンズL4乃至L6の外周面に
臨むリング状の閉塞空間が形成される。尚、前記注入孔
71乃至73は前記閉塞空間S1乃至S3に連通してお
り、また、前記注入孔74乃至76は、各光学レンズL
4乃至L6の外周面に臨む前記不図示の閉塞空間に連通
している。
【0009】さらに、前記ねじ孔51乃至53には図2
に示すように、前記光学レンズL1乃至L3の径方向の
位置決めを行う調整ねじ61乃至63が螺着されてお
り、該調整ねじ61乃至63の先端61a乃至63a
は、前記各内周面31乃至33から鏡筒10の内部に突
出して前記光学レンズL1乃至L3の外周面に当接して
いる。また、図2中には図示しないが、前記ねじ孔54
乃至56にも、前記調整ねじ61乃至63と同様の調整
ねじが螺着されており、その先端は、前記各内周面34
乃至36から鏡筒10の内部に突出して前記光学レンズ
L4乃至L6の外周面に当接している。
【0010】このような構成による本実施例の鏡筒10
においては図2に示すように、前記調整ねじ61乃至6
3を締め付けてその先端61a乃至63aを前記各光学
レンズL1乃至L3の外周面に四方から当接させ、各調
整ねじ61乃至63の、前記内周面31乃至33から鏡
筒10の内部への突出量を適宜調整することにより、前
記各光学レンズL1乃至L3の径方向の位置決めを行
い、例えば各光学レンズL1乃至L3にレーザービーム
等を入射させつつ上述した調整作業を行って、各光学レ
ンズL1乃至L3を芯出しし且つ該芯出し位置に位置決
めする。また、前記押え環41乃至43を締め付けて前
記各光学レンズL1乃至L3の端面に圧接させることに
より、前記各光学レンズL1乃至L3の光軸方向の位置
決めを行い、該位置決め位置に固定する。
【0011】そして、各光学レンズL1乃至L3の位置
決め終了後に、前記注入孔71乃至73から接着剤(図
示せず)を注入して前記各閉塞空間S1乃至S3内に充
填し、この接着剤により、前記各光学レンズL1乃至L
3を各内周面31乃至33に固着し、また、前記各調整
ねじ61乃至63を所定の突出量で前記各ねじ孔51乃
至53に固着する。
【0012】このように、本実施例の芯出し機構によれ
ば、前記各光学レンズL1乃至L3が、前記各調整ねじ
61乃至63の突出量を調整することにより芯出し位置
に位置決めされ、さらにこの状態で注入孔71乃至73
から注入される接着剤により前記位置決め位置に固定さ
れるので、前記鏡筒10に衝撃等が加わっても前記各光
学レンズL1乃至L3が位置決めされた位置からずれる
ことが防止される。そして、前記接着剤として、例えば
所定以上の力で前記各調整ねじ61乃至63を回転させ
た時に接着状態が解除されるような性質を有するものを
使用すれば、各調整ねじ61乃至63がねじ孔51乃至
53に螺着した状態で残存しているので、一旦位置決め
固定された光学レンズL1乃至L3の芯出しを必要に応
じて簡単に再調整することが可能となる。また、前記接
着剤は、特に熱が加えられたものを用いる必要がないの
で、樹脂レンズや所謂複合非球面レンズ等の光学レンズ
に対しても、それらの光学レンズに溶解や変形を生じさ
せることなく芯出し位置への位置決めを行うことができ
る。
【0013】尚、前記各調整ねじ61乃至63の締め付
け後に前記鏡筒10の該周面20上に生じる各ねじ孔5
1乃至53の凹部には、必要に応じてねじロック用の材
料を充填して前記凹部を埋めてもよい。また、ここでは
前記光学レンズL1乃至L3の芯出し及び該芯出し位置
への位置決めについて説明したが、先に述べたように前
記光学レンズL4乃至L6を鏡筒10の内部に保持、固
定するための構成は、前記光学レンズL1乃至L3のそ
れらと実質的に同一に形成されており、よって、前記光
学レンズL4乃至L6は前記光学レンズL1乃至L3と
同様の作業により芯出し調整され、且つ該芯出し位置に
固定される。
【0014】そして、本実施例では、前記注入孔71乃
至76を各内周面31乃至36に対応させて鏡筒10に
1つずつ設けるものとしたが、複数ずつ設けてもよい。
また、本実施例では、前記注入孔71乃至76を、前記
外周面20から内周面31乃至36へ貫通して、前記各
光学レンズL1乃至L6の外周面に臨むリング状の閉塞
空間に連通するものとしたが、例えば前記外周面20か
ら各ねじ孔51乃至56に連通するものとし、この注入
孔71乃至76から前記ねじロック用の材料を注入する
ものとしてもよい。このようにすれば、前記各ねじ孔5
1乃至56に螺着される調整ねじを所定の突出量で固着
することができると共に、前記各光学レンズL1乃至L
6の芯出しの再調整を行う必要がある場合には、前記調
整ねじを所定以上の力で回転させることにより各ねじ孔
51乃至56への固着を解除させて、再調整作業を行う
ことができるようになる。
【0015】さらに、本実施例では、前記ねじ孔51乃
至56を前記鏡筒10の円周方向に90°ずつの間隔を
おいて4箇所に設けるものとしたが、例えば前記鏡筒1
0の円周方向に120°ずつの間隔をおいて3箇所に設
けるものとしてもよい。また、本実施例では、前記鏡筒
10に保持される全ての光学レンズL1乃至L6に対応
させてねじ孔、調整ねじ、及び注入孔を設け、該光学レ
ンズL1乃至L6が全て芯出し調整可能に前記鏡筒10
に保持される構成としたが、これに限らず、鏡筒に保持
されるレンズ群中のうち一部の光学レンズに対応させて
前記ねじ孔、調整ねじ、及び注入孔を設け、鏡筒内に固
定して保持された光学レンズに対してその他の一部の光
学レンズを芯出し調整する構成としてもよい。
【0016】
【考案の効果】上述したように本考案は、鏡筒内に保持
される光学レンズの芯出しを行うための機構であって、
前記鏡筒の内部に前記光学レンズの外径よりも大きい内
径で形成された、前記光学レンズの外周面が臨む内周面
と、前記鏡筒の周面上に周方向に所定の等間隔をおいて
複数形成され、該鏡筒の外周面から前記内周面へ貫通す
るねじ孔と、前記ねじ孔に螺着され、前記光学レンズの
外周面に当接して該光学レンズの径方向の位置決めを行
う調整ねじと、前記鏡筒の周面上に形成され、該鏡筒の
外周面から前記内周面へ貫通する接着剤注入用の注入孔
と、前記光学レンズの光軸方向の位置決めを行う位置決
め手段とを備え、前記調整ねじにより光学レンズの径方
向の位置決めと前記位置決め手段により光学レンズの光
軸方向の位置決めがなされ、前記注入孔から注入される
接着剤により光学レンズが鏡筒に固定され後も、前記調
整ねじは前記ねじ孔に螺着した状態で残存される構成と
したので、前記調整ねじと位置決め手段とにより所定の
芯出し位置に固定された光学レンズを接着剤により位置
決め位置に固定して、衝撃等による位置決め後のレンズ
の位置ずれを防止することができると共に、必要に応じ
て前記接着剤による光学レンズの固定を解除させて該光
学レンズの芯出し位置の再調整を行うことができる。
【0017】また、前記光学レンズの芯出し位置への固
定が接着剤によってなされるため、光学レンズの固定用
の材料側から該光学レンズ側に熱が加わることがなく、
よって、例えば樹脂レンズや所謂複合非球面レンズ等の
光学レンズに対しても、それらの光学レンズに溶解や変
形を生じさせることなく芯出し位置への位置決めを行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例によるレンズ芯出し機構を採
用した鏡筒を示す一部截断側面図である。
【図2】図1に示す鏡筒の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10 鏡筒 20 鏡筒外周面 31,32,33,34,35,36 鏡筒内周面 31a,32a,33a,34a,35a,36a 段
部(位置決め手段) 41,42,43 押え環(位置決め手段) 51,52,53,54,55,56 ねじ孔 61,62,63 調整ねじ 71,72,73,74,75,76 注入孔 L1,L2,L3,L4,L5,L6 光学レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−299921(JP,A) 特開 平3−129307(JP,A) 実開 昭59−66208(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 7/02

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鏡筒内に保持される光学レンズの芯出し
    を行うための機構であって、 前記鏡筒の内部に前記光学レンズの外径よりも大きい内
    径で形成された、前記光学レンズの外周面が臨む内周面
    と、 前記鏡筒の周面上に周方向に所定の等間隔をおいて複数
    形成され、該鏡筒の外周面から前記内周面へ貫通するね
    じ孔と、 前記ねじ孔に螺着され、前記光学レンズの外周面に当接
    して該光学レンズの径方向の位置決めを行う調整ねじ
    と、 前記鏡筒の周面上に形成され、該鏡筒の外周面から前記
    内周面へ貫通する接着剤注入用の注入孔と、 前記光学レンズの光軸方向の位置決めを行う位置決め手
    段とを備え、 前記調整ねじにより光学レンズの径方向の位置決めと前
    記位置決め手段により光学レンズの光軸方向の位置決め
    がなされ、前記注入孔から注入される接着剤により光学
    レンズが鏡筒に固定され後も、前記調整ねじは前記ねじ
    孔に螺着した状態で残存される、 ことを特徴とする鏡筒のレンズ芯出し機構。
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