JP2573308Y2 - 釣り用リール - Google Patents

釣り用リール

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JP2573308Y2 JP1992040069U JP4006992U JP2573308Y2 JP 2573308 Y2 JP2573308 Y2 JP 2573308Y2 JP 1992040069 U JP1992040069 U JP 1992040069U JP 4006992 U JP4006992 U JP 4006992U JP 2573308 Y2 JP2573308 Y2 JP 2573308Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、釣り用リールに関し、
詳しくは、少なくともスプールの釣り糸繰り出し方向へ
の回転を補助する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のように構成された釣り用リ
ールとして実開平2−131871号公報に示されるも
のが存在し、この従来例では釣り糸を巻き取り方向へ駆
動する目的でスプールに内蔵した電動モータの駆動力を
利用して、クラッチ機構の切り操作時にはスプールの釣
り糸繰り出し方向への回転を補助するよう構成されてい
る。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】ここで、船釣りでの仕
掛の投入について考えるに、クラッチ機構を切り操作し
て、仕掛の投入を行った後には、仕掛の重量でスプール
から釣り糸が繰り出され該仕掛が下降する。又、前記従
来例では電動モータの駆動力でスプールの回転を補助す
ることで、キャストコントローラ、レベルワインド機構
等からスプールに作用する抵抗を電動モータの駆動力で
相殺して仕掛の下降速度の増大を図るものとなってい
る。前述した電動リールでは駆動系の特性を利用して仕
掛の下降速度の増大を図るという良好な面を有するもの
であるが、この種の電動リールは比較的大型で重量物に
構成されることから、あまり深海を対象としない釣りで
は、手動型など小型のリールにおいて、前述と同様にス
プールの釣り糸繰り出し方向への回転を補助して仕掛の
下降速度の増大を図る技術が望まれている。そこで、リ
ール本体の内部に電動モータを内蔵してスプールを釣り
糸繰り出し方向に駆動することも考えられるが、小型リ
ールでは電動モータの内蔵スペースを確保することが困
難となる。尚、イカ釣り、特にヤリイカの釣りにおいて
は、船長が魚群探知機でイカの群を探知した後、船長に
指示によって一斉に仕掛けの投入を行うのであるが、仕
掛けに疑似餌を用いることから、棚の深度まで最も早く
下降した仕掛けに多くのイカが掛かることも知られてお
り、このような理由からも高速で仕掛けを下降させる技
術が必要とされる。
【0004】又、バス釣りに用いられるベイトキャステ
ィングリールについて考えるに、この種のリールではル
アー等の仕掛を頻繁にキャストするものであり、このキ
ャスト時に比較的軽い仕掛を用いる場合には、スプール
の静慣性、あるいは、スプールと連係する系からの抵抗
によって仕掛の放擲距離が減ぜられることも多く適切な
改善が望まれている。本考案の目的は、スプールの回転
を補助して仕掛の下降速度、あるいは、キャスト時のス
プールの回転速度の増大を図る釣り用リールをできるだ
け小型に構成する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本考案の特徴は、リール
本体に回転自在に支承されたスプールに対して導電体を
形成するとともに、導電体に誘導電流を発生させてスプ
ールに回転駆動力を作用させる界磁コイルをリール本体
に備え、界磁コイルに電流を供給するドライバと、その
ドライバを制御して界磁コイルに発生させる回転磁界の
回転速度を調節する制御装置とを備えて成る点にあり、
その作用、及び、効果は次の通りである。
【0006】
【作用】図1乃至図5に示すように、仕掛けを海中に下
降させる場合には、クラッチ機構Cを切り操作して仕掛
けの投入を行い、界磁コイルBへドライバ24で通電し
て回転磁界を発生させて、釣り糸繰り出し方向への駆動
を行うことにより、スプール5は、界磁コイルBから導
電体Aに作用する駆動力でキャストコントローラ9、レ
ベルワインド機構等から作用する抵抗に抗して釣り糸繰
り出し方向への回転が促進される。 この駆動時にスプー
ル5の回転数が変化した場合には、制御装置17を介し
て界磁コイルBによる回転磁界の回転速度をスプール5
と同期する速度に変更することで過剰な駆動の抑制、あ
るいは、駆動力の不足を解消できるものとなる。つま
り、本考案では界磁コイルBからの磁力の作用によって
スプール5を直接駆動するので、電動モータを備えるも
のと比較して、小型化が可能になると同時に、スプール
を過剰に駆動することはないので、バックラッシュの発
生を抑制して過不足のない釣り糸の繰り出しが可能にな
り、又、この駆動系を形成したにも拘わらず、界磁コイ
ルBに電流を供給しなければ、巻き取り時の制動力が作
用することなく円滑な釣り糸の巻取も可能となる。
【0007】
【考案の効果】従って、スプールの回転を補助してバッ
クラッシュを生ずること無く、仕掛の下降速度、あるい
は、キャスト時のスプールの回転速度の増大を図る釣り
用リールが小型に構成されたのである。特に、本考案で
はスプールをアルミニュームなどの金属で構成したリー
ルに適用した場合には、導電体を特別に形成せずに済み
構造が簡素化すると同時にコストの低減を図り得るとい
う効果も奏する。
【0008】
【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。図1及び図4に示すように、リール本体を構成す
る左右のサイドケース1,1の間に、螺軸2の回転で糸
案内具3を左右方向に往復駆動するレベルワインド機
構、釣り糸4を巻取る樹脂製のスプール5夫々を配置す
ると共に、右側のサイドケース1の側にハンドル6、ド
ラグ操作具7、クラッチレバー8、キャストコントロー
ラ9を備え、又、左右のサイドケース1,1の上部同士
に亘って制御ケース10を備えて船釣りに用いる釣り用
リールを構成する。
【0009】前記スプール5と一体回転するスプール軸
11を左右のサイドケース1,1に支承し、このスプー
ル軸11に形成した係合部11Aと係脱自在なクラッチ
スリーブ12を該スプール軸11にスライド移動自在に
外嵌し、又、前記ハンドル6と連結するハンドル軸13
に外嵌する状態でドラグ機構14を備え、このドラグ機
構14の出力ギヤ14Aを前記クラッチスリーブ12の
入力ギヤ12Aに咬合させ、更に、スプール軸11に備
えた出力ギヤ15からの動力を中間ギヤ16を介して前
記螺軸2の入力ギヤ2Aに伝える伝動系を形成する。前
記スプール軸11の係合部11Aとクラッチスリーブ1
2とでクラッチ機構Cが構成され、このクラッチ機構C
は前記クラッチレバー8の操作で入り状態と切り状態と
に切換え操作され(操作系は詳述せず)、又、前記キャ
ストコントローラ9は、その回転操作により、スプール
軸11に対する接触力を変更してスプール5に作用する
制動力の値を調節できるよう構成している。
【0010】図2乃至図5に示すように、前記制御ケー
ス10にはマイクロプロセッサで成る制御装置17、及
び、スプール5の鍔状部に埋設した複数のマグネット1
8‥の磁気の作用をカウントするリードスイッチ型のセ
ンサ19,19を内装し、又、センサ19,19のカウ
ント信号に基づく釣り糸4の繰り出し量を出力する液晶
ディスプレイ20、複数の制御スイッチ21‥を備えて
いる。このリールでは、クラッチ機構Cを切り操作し
て、仕掛けを海中に投入する際には、スプール5の回転
を補助して仕掛けの下降速度の増大を図る補助駆動手段
を備え、この補助駆動手段は、スプール5の側面に形成
した導電体Aと、この導電体Aの回転軌跡の近傍位置に
配置したリング状の界磁コイルBとで成り、導電体Aは
絶縁体の樹脂シート材22の表面に銅、アルミニューム
等の金属箔23をスプール軸芯と同軸芯の一対のリング
状部23A,23Aを複数の放射状の導通部23B‥で
結ぶ形状に形成して成っている。又、この界磁コイルB
には前記制御装置17からの信号で駆動されるドライバ
24(制御ケース10に内装される)を介してサムレス
ト25の下部に配置した電池26からの電力を供給して
該界磁コイル23で回転磁界を発生させるよう構成さ
れ、又、制御装置17は前記センサ19,19からのフ
ィードバック信号に基づいてスプール5の回転を制御す
る。尚、界磁コイルBは、複数のコイル27‥をドーナ
ツ状の防水ケース28収め、スプール挿入孔を閉塞する
プレート29の突出部29Aに外嵌して導電体Aとのエ
ヤギャップを均一にしており、電池26は防水ケース2
8と一体形成される防水収納部30に内装され、又、こ
の補助駆動手段はこれらの構成で、かご型の誘導モータ
と同様に構成されている。
【0011】このリールでは仕掛の投入時には図6に示
すように制御が行われ、この制御では先ずセンサ19,
19からの信号を入力してスプール5の回転方向を判別
し(#101ステップ、#102ステップ)、クラッチ
機構Cが切り操作され、仕掛の投入で釣り糸繰り出し方
向にスプール5が回転を始めると、センサ19,19
で、この回転速度をサンプリングして仕掛の下降速度の
変化を求め、変化特性を設定すると共に、所定時間の経
過、釣り糸の所定量の繰り出し、仕掛の下降速度の所定
値までの低下等の条件成立時に、この変化特性を制御目
標とし、かつ、センサ19,19からの信号をフィード
バックする形態でスプール5に駆動力を作用させるよう
界磁コイルBを駆動する(#103ステップ〜#106
ステップ)。尚、前述のように仕掛の投入と同時にスプ
ール5に駆動力を作用させない理由は、仕掛けを投入し
た初期のうちには水の抵抗が小さく、比較的高速で仕掛
の下降が行われると共に、船の動揺によってもバックラ
ッシュを発生しやすいことに起因し、又、このサンプリ
ングでは仕掛けの形態、オモリの重量等により仕掛けの
下降速度の変化率が異なるのでこの変化率を求める処理
である。
【0012】この補助駆動手段の駆動力はサミングを行
うと界磁コイルBと導電体Aとの間ですべりを発生させ
る程度に弱く設定され、又、このフィードバック制御で
は、前述のように求めた仕掛けの下降速度の変化率に基
づき仕掛けの深度に対応した目標速度でスプール5の回
転を補助するものであり、この制御時には、前記界磁コ
イルBを構成する複数のコイル27‥夫々を図3に矢印
Fで示す方向に順次通電して回転磁界を発生させる。因
みに、前記ドライバ24にはスイッチングトランジスタ
等の素子を備え、この通電時はコイル27‥夫々に順次
電流を供給して回転磁界を発生させ、導電体Aに発生す
る誘導起電力で駆動力を得るように構成されている。
【0013】そして、この制御を前記制御スイッチ21
のうちの所定のものの操作により人為的に解除される、
若しくは、前回に設定した棚の深度まで仕掛けが下降し
た際に界磁コイルBへの通電を停止して制御を終わる
(#107ステップ〜#109ステップ)。尚、この前
回に設定した棚の深度とは前回に仕掛けを投入した際に
アタリを生じた仕掛けの深度、あるいは、前回に比較的
長時間維持された仕掛けの深度を指すものであり、この
深度は制御装置のメモリ等にセットされるものである
(制御動作は詳述せず)。
【0014】〔別実施例〕 本考案は上記実施例以外に、例えば、図7に示すよう
に、導電体Aをシート材22の表面に同芯の渦状に金属
箔23を形成して構成することも可能である。又、この
導電体Aは前述した構造以外に、鉄芯に巻回する銅線を
スプールの側面に形成して巻き線型の誘導モータと同様
に構成すること、あるいは、スプールそのものを金属材
で構成してスプールを導電体に兼用することも可能であ
る。又、本考案では制御装置を論理ゲート、コンパレー
タ等を組み合わせたハードな回路で構成することが可能
であり、駆動手段をスプールの右側に配置することも可
能である。又、本考案はベイトキャスティングリールに
適用して仕掛のキャスティング時にスプール回転を補助
して仕掛の放擲距離の増大を図るよう実施することが可
能であり、更に、このキャスト時における仕掛の速度の
低減時に逆転方向への回転磁界の作用、あるいは、界磁
コイルBに通電するだけで回転磁界を発生させないよう
にすることによって、釣り糸繰出し方向に回転するスプ
ールに対してバックラッシュ防止のためのブレーキとし
て機能させることも可能である。
【0015】尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面と
の対照を便利にするために符号を記すが、該記入により
本考案は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】リールの横断平面図
【図2】リール側部の縦断側面図
【図3】界磁コイルの側面図
【図4】リールの全体平面図
【図5】制御系のブロック回路図
【図6】制御動作のフローチャート
【図7】別実施例の界磁コイルの側面図
【符号の説明】
1 リール本体 5 スプール 17 制御装置 22 シート材 23 金属箔 A 導電体 B 界磁コイル

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リール本体(1)に回転自在に支承され
    たスプール(5)に対して導電体(A)を形成するとと
    もに、導電体(A)に誘導電流を発生させてスプール
    (5)に回転駆動力を作用させる界磁コイル(B)をリ
    ール本体(1)に備え、界磁コイル(B)に電流を供給
    するドライバ(24)と、そのドライバ(24)を制御
    して界磁コイル(B)に発生させる回転磁界の回転速度
    を調節する制御装置(17)とを備えて成る釣り用リー
    ル。
  2. 【請求項2】 前記導電体(A)が、シート材(22)
    の表面に形成した金属箔(23)で構成されると共に、
    このシート材(22)と伴に金属箔(23)をスプール
    (5)の側面に貼着して成る請求項1記載の釣り用リー
    ル。
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