JP2573191B2 - 現金自動取扱装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、入金された紙幣を自動的に、分離搬送し、
紙幣の真偽金種を判断して、金庫に収納する現金自動取
扱装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来のこの種の装置は、例えば特開昭56−33758号公
報に示されているように、紙幣繰り出し部によつて、紙
幣が１枚ずつ分離され鑑別部に送られるようになつてい
る。つまり、紙幣のセツト状態が悪かつたり、折れぐせ
が強く残つていたりすると、繰り出し部は紙幣を大きく
傾いたまま、あるいは強引に破いて、次々と送つてしま
うように考えてある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記従来技術は、入出金口での紙幣異常状態に関係な
く強引に紙幣を次々と繰り出すように構成されている。
しかし、このような構成では、入出金口に紙幣が大きく
傾いた状態で入れられたり、場合によっては折れた状態
で入れられたりした場合でも、それらの紙幣はそのまま
の状態で鑑別部へ搬送されてしまう欠点がある。大きく
傾いた状態や折れた状態で搬送されると、紙幣は搬送路
上でガイド等に衝突して停止したり後続の紙幣と重なっ
たりする可能性があり、入出金処理を迅速にこなす上で
大きな障害となる。

本発明の目的は、入出金口に紙幣が投入されたとき、
その紙幣が大きく傾いた状態や折れた状態で搬送される
可能性があるか否かを１枚目の紙幣によってチェックす
ることにより、搬送路上で紙幣の停止や紙幣の重なりを
事前に防止して、入出金処理の迅速化を図った現金自動
取扱装置を提供することである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本発明は、紙幣入出金口
に入金された紙幣を１枚ずつ分離して繰り出す紙幣繰り
出し部と、前記紙幣繰り出し部から繰り出されてきた紙
幣の真偽や種類を鑑別する鑑別部と、を備えた現金自動
取扱装置において、前記紙幣繰り出し部から繰り出され
た紙幣の搬送状態を、当該紙幣が前記鑑別部に搬入され
る以前に検出する検知部と、前記紙幣入出金口に入金さ
れた際に、前記紙幣繰り出し部に対して最初の１枚目の
紙幣のみを繰り出させるとともに、前記検知部が当該紙
幣の搬送状態を検出した結果、当該紙幣の傾きや折れの
状態が前記鑑別部の正しい判断能力の限界を越えている
ときは、前記紙幣繰り出し部に対して２枚目以降の紙幣
の繰り出しを停止させると同時に、前記最初の１枚目の
紙幣は前記検知部と前記鑑別部間の搬送路から分岐した
搬送路を経由して前記紙幣入出金口へ返却する手段と、
を備えたことを特徴としたものである。

〔作用〕

紙幣繰り出し部が、投入された複数枚の紙幣のうちか
ら最初の１枚目のみを繰り出し、その繰り出された紙幣
は検知部へ搬送される。検知部では紙幣の搬送状態を検
知するが、このとき、前記１枚目の紙幣が大きく傾いて
いたり、折れていたりしないかを検知する。そして、最
初の１枚目の紙幣が大きく傾いていたり折れていたりし
て、鑑別部の正しい判断能力の限界を越えているとき
は、紙幣入出金口に残っている他の紙幣も大きく傾いて
いたり折れていたりする可能性が高いので、紙幣繰り出
し部は後続紙幣の繰り出しを停止する。同時に、前記最
初の１枚目の紙幣は現金自動取扱装置本体内の搬送路を
経由して紙幣入出金口へ返却される。そして顧客は、紙
幣が紙幣入出金口へ返却された場合は、紙幣に折れがあ
ればそれを直し、かつ紙幣を入金口に正しい姿勢で入れ
直す。

これによって、入出金口に悪い姿勢で投入された紙幣
や強い折れぐせの残っている紙幣の取り込みを最小限に
とどめることができ、搬送路上で紙幣が停止したり重な
ったりする不具合の発生を防ぐことができる。その結
果、入出金の処理を迅速にこなすことが可能となる。

〔実施例〕

第１図は、本発明の装置を備えた現金自動取引装置の
現金取扱い部を示すもので、この図において現金取扱い
部はその本体１の前面側に入出金口２を備えている。こ
の入出金口２の一方側には、入金紙幣Ｂを取込むための
分離装置３、また、他方側には払い出し紙幣Ｂを入出金
口２に押し出す押し出しフオーク４が設けられている。
この分離装置３は紙幣繰り出し手段としての紙幣繰り出
しローラ31を備え、この紙幣繰り出しローラ31はモータ
32により駆動される。また、この分離装置３の下流直後
には検出部20が配設されている。本体１内には鑑別部５
が設けてある。前述の検知部20は、紙幣寸法や大きな傾
きなどの紙幣Ｂの搬送状態を判断する。検知部20と鑑別
部５の搬送路途中には、鑑別部５で判断できない異常な
紙幣を排出するために、切替ゲート17を設けてある。鑑
別部５は入金時あるいは出金時の紙幣Ｂの真偽，金種の
判断をする。切替ゲート17の下流には、出金時の紙幣異
常搬送によつて出金できない紙幣を回収する切替ゲート
18とリジエクトボツクス６を設けてある。本体１の後方
上部には、裏向き紙幣Ｂを表向きに反転する表裏反転部
７を設けてある。前述した押し出しフオーク４の部分に
は、羽根車スタツク部８を設けてある。本体１の中央か
ら下部には、本体１の後方から前方に向つて順に紙幣リ
サイクル用の第１の金種ボツクス９と紙幣リサイクル用
の第２の金種ボツクス10と、始業時終業時に紙幣Ｂを供
給、回収する金庫11と、入金紙幣Ｂを一時保管する一時
スタツク部12と、その下方に取忘れ紙幣回収ボツクス13
を設けてある。前述した第１の金種ボツクス９、第２の
金種ボツクス10、金庫11および一時スタツク部12の各上
部には、羽根車スタツク部14、分離機構15を設けてあ
る。前述した各部は搬送手段によつて連結されており、
搬送手段中の分岐部にはゲート部を設けてある。

また、前述の現金取扱い部の上には、伝票、カード機
構、通帳印字機構を設けてある。

この現金取扱い部は、顧客によつて入出金口２に挿入
された紙幣Ｂを、一時スタツク部12に一時保管したの
ち、そこの分離機構15によつて金種別に第1,第２の金種
ボツクス9,10に収納する。このとき、出金紙幣として再
利用不能と判断した紙幣は、金庫11に回収する。また顧
客の要求金額に応じて、第1,第２の金種ボツクス9,10に
収納した紙幣Ｂを、表紙幣をそのまま、裏紙幣は反転機
構７を通して、全てを表紙幣にそろえて入出金口２に払
い出すことができる。

次に本発明の動作の一例を第１図から第３図を用いて
説明する。まず入金の際は顧客によつて入出金口２に一
括投入された折れぐせや破れ等も含む様々な紙幣の最初
の１枚のみを、分離装置３の紙幣繰り出しローラ31がモ
ータ32の駆動によつて回転し１枚分離し、搬送路に送
る。この時、入金口に残つている紙幣の分離は、行なわ
ない。搬送路の紙幣は、検知部20に搬送されて、そこで
紙幣状態を判断する。そのとき第２図（ａ）（ｂ）に示
すように紙幣状態が鑑別部５で正しく認識できる限界紙
幣間隔ｌ以上各金種毎の紙幣寸法Ｌ、傾斜ｘ度以下であ
れば、そのままの状態で下流の鑑別部５へ搬送される。
最初の１枚目の紙幣が鑑別部５に搬送されるということ
は、入金口に残つている他の紙幣に強い折れぐせもな
く、不揃いなセツト状態で投入されていないと判断で
き、２枚目以降の紙幣の分離を始め、入金口に紙幣がな
くなるまで分離動作を行なう。しかし、紙幣状態が例え
ば第３図（ａ）（ｂ）に示すように鑑別部５で認識でき
ない紙幣の姿勢変化、変形が大きい状態の場合は、検知
部20の検知によつてモータ32を停止させ、紙幣繰り出し
ローラ31を止め、この１枚目の紙幣のみを羽根車スタツ
ク部８へ搬送し、スタツクする。１枚目の紙幣が第３図
（ａ）（ｂ）の様な状態であれば、入金口に残つている
紙幣群は、１枚目同様に悪い紙幣状態や悪いセツト状態
となつていると考えられるので、２枚目以降の分離を行
なわず１枚目も含め全ての紙幣を顧客に返却し、折れぐ
せ修正や整列投入を依頼する。なお、１枚目の紙幣の姿
勢を判断して、後続紙幣の分離を行なうか行なわないか
という動作は、様々な変形紙幣が投入されやすい入金取
引時のみ行なうものである。鑑別部５は搬送されてくる
紙幣の真偽，金種を判断する。真券は一時スタツク部12
の羽根車部14に搬送、スタツクされるが偽券あるいは判
断不可能な紙幣は、切替ゲート21の動作後、羽根車スタ
ツク部８に搬送，スタツクされる。

顧客の入金紙幣が全て真券であつた場合は、一時スタ
ツク部12に紙幣をスタツクする。次に顧客の金額確認ボ
タン（図示しない）ONで、取引きが完了する。その後、
分離機構15によつて、これらの紙幣は、搬送路に送られ
検知部20を通過し、正常に搬送されている紙幣は鑑別部
５を通過し、金種毎に例えば千円券を金種ボツクス９
に、万円券を金種ボツクス10に、再度支払い用として使
えない損傷のひどい紙幣は金庫11に収納する。

顧客の入金紙幣の２枚目以降において一部が真券で一
時スタツク部12にスタツクされる一方、それ以外の紙幣
が判断不可あるいは偽券と判断されると羽根車スタツカ
部８にスタツクされる。羽根車スタツク部８内のこれら
の紙幣は、押し出しフオーク４の前進によつて入出金口
２に押し出す。この判断できなかつた紙幣群は、折れぐ
せの修正や異常紙幣の除去を顧客に依頼するために返却
する。顧客によつて再度入出金口に投入された紙幣は、
前述の入金と同様の動作を行う。その結果、先に真券と
判断されて一時スタツク部12にスタツクしていた紙幣の
上にこれら再投入された紙幣をスタツクし、顧客の金額
確認ボタンONで取引が完了する。その後、一時スタツク
部12から各金種ボツクスへ、分離、搬送され収納を完了
する。

一方、前述の入金動作において、全ての入金動作完了
の後、装置の計数金額と顧客の入金しようとした金額が
合致ない場合や、入金を取りやめるような場合には、顧
客の取引取消しボタン（図示しない）ONで、一時スタツ
ク部12の紙幣が全て、一枚ずつ分離機構15によつて搬送
路に送られる。これらの紙幣は検知部20を通り、切替ゲ
ート17の動作によつて、羽根車スタツク部８に送られ、
押し出しフオーク４の前進により、入出金口２まで移動
し、顧客に全て返却される。

次に支払の際は、顧客の支払い要求金額指示にもとづ
いて、万円千円各々の金種ボツクスから紙幣が要求枚数
だけ１枚ずつ分離，搬送される。これらの紙幣は、検知
部20にて紙幣の状態を検知し、鑑別部５で正券と判断で
きない状態のものは、切替ゲート17を、次にさらに後流
にある切替ゲート18を動作させて、リジエクトボツクス
に回収するが、正常に搬送されている紙幣については鑑
別部５に搬送する。この鑑別部５では、支払いの際、金
種判断は当然だが顧客に支払う紙幣の模様を表に揃える
ために表裏判断を行う。表券と判断したものは、通常の
搬送路を通して、羽根車スタツク部８に搬送し、裏券と
判断したものは、表向きに反転する表裏反転部７に搬送
反転された後、羽根車スタツク部８に搬送する。顧客の
要求枚数分だけの金額のスタツクが完了すると、押し出
しフオーク４が前進し、入出金口２までこれらの紙幣を
移動し、これらの紙幣を顧客が受取ることになり、取引
を完了する。

以上説明したように、入金取引において、１枚目の紙
幣の搬送状態の良し悪しによつて後続紙幣の分離が必要
かどうかを決めるので、投入口に折れぐせが強い状態
や、悪いセツト状態の紙幣を次次と搬送路に送り込まな
いようにできる。これによつて、従来のように、紙幣を
どのような状態でも次々と連続して搬送しないので、搬
送路上での紙幣要因による障害を防ぎ、異常紙幣を長い
搬送路上を経由させないので、ペーパーガイドが不要に
なり、装置の簡素化、低価格化を実現できる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、最初の１枚目
の紙幣が大きく傾いていたり折れていたりしていれば、
紙幣入出金口に残っている他の紙幣も大きく傾いていた
り折れていたりする可能性が高いので、２枚目以降の紙
幣の繰り出しが停止される。その結果、２枚目以降の紙
幣に対して傾きや折れのチェックを行わずに済み、入出
金処理の迅速化を図ることができる。

また、搬送路の異常紙幣用に設けてあるペーパーガイ
ドが不要となるとともに、各ユニットの異常紙幣対策の
ために設けてある各種部品の大幅な削減が可能であるの
で、全体として装置の簡素化・低価格化を実現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置を備えた紙幣取扱装置の構成を示し
た図、第２図（ａ），（ｂ）は鑑別可能な紙幣の状態の
例を示した図、第３図（ａ），（ｂ）は鑑別不可能な紙
幣の状態の例を示した図である。 １……紙幣取扱い装置本体、２……入出金口、３……分
離機構、５……鑑別部、６……リジエクトボツクス、７
……表裏反転部、８……羽根車スタツク部、9,10……金
種ボツクス、17,18……切替ゲート、20……検知部、21
……切替ゲート、31……紙幣繰り出しローラ、32……モ
ータ。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−197551（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−17079（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−269791（ＪＰ，Ａ) 特公 昭57−6622（ＪＰ，Ｂ２) 実公 昭56−52503（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】紙幣入出金口に入金された紙幣を１枚ずつ
   分離して繰り出す紙幣繰り出し部と、前記紙幣繰り出し
   部から繰り出されてきた紙幣の真偽や種類を鑑別する鑑
   別部と、を備えた現金自動取扱装置において、 前記紙幣繰り出し部から繰り出された紙幣の搬送状態
   を、当該紙幣が前記鑑別部に搬入される以前に検出する
   検知部と、前記紙幣入出金口に入金された際に、前記紙
   幣繰り出し部に対して最初の１枚目の紙幣のみを繰り出
   させるとともに、前記検知部が当該紙幣の搬送状態を検
   出した結果、当該紙幣の傾きや折れの状態が前記鑑別部
   の正しい判断能力の限界を越えているときは、前記紙幣
   繰り出し部に対して２枚目以降の紙幣の繰り出しを停止
   させると同時に、前記最初の１枚目の紙幣は前記検知部
   と前記鑑別部間の搬送路から分岐した搬送路を経由して
   前記紙幣入出金口へ返却する手段と、を備えたことを特
   徴とする現金自動取扱装置。