JP2572242B2 - 食品の製造方法およびその装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、食肉に、通電熟熱作用に適した量の塩分と
野菜、調味料、香辛料、水、つなぎ材料等を混合して得
られた食品材料を通電作用により通電熟熱処理したり、
または通電熟熱処理したものを、さらに油炒め、ボイ
ル、焼成等の再加熱処理を施して、風味のある美味しい
食品を速やかに製造することができる食品の製造方法お
よびその装置に関する ［従来の技術］ 近時、一般大衆に喜んで食されている肉料理の一種と
して例えばハンバーグあるいはハンバーグ・ステーキ
は、昭和59年11月20日、株式会社岩波書店が発行した
「広辞苑第３版」第1992頁に記載されているように周知
である。

そして、上記のハンバーグあるいはハンバーグ・ステ
ーキは、一般にミンチ状の牛肉に調味料を加えてまと
め、ステーキ風に焼いたもの、または牛肉、子牛肉、豚
肉を合い挽きにしたり、玉ねぎのみじん切りを加えてパ
ン粉や卵でつないだものをフライパンで焼いたものであ
る。

［発明が解決しようとする課題］ ところで、従前のこの種ハンバーグあるいはハンバー
グ・ステーキ食品の主材は、高価な牛肉、子牛肉あるい
は豚肉であるので、どうしても食品が高価となり、安易
に食することができない問題が生じた。

そこで、動物性タンパク質材料として安価で、しかも
栄養価の高い食肉、例えば生いわし等の魚肉、鳥肉その
他の食肉を主材としたハンバーグあるいはハンバーグ・
ステーキが望まれているが、生いわしは肉臭が強いの
で、除臭しないことには一般大衆の肉料理として提供す
ることができない。

本発明は、前記問題点を解決し、たとえ肉臭が強い食
肉、例えば生いわしを主材とする場合にあっても、食品
材料を一方向に搬送する過程でその搬送方向と反対方向
に捏ねる作用を与えることにより、食品材料中の食肉を
ムラ無く混ぜ合わせながら満遍なく通電熟熱処理して肉
臭を効果的に除去し、もって、風味のある、美味しい食
品を提供することを目的とするものである。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するため、本発明に係る食品の製造方
法は、食肉に、通電熟熱作用に適した量の塩分と野菜、
調味料、香辛料、水、つなぎ材料等を混合して得られた
食品材料を、一対の電極ベルトの対向面で挟んで一方向
へ搬送する過程でその食品材料に搬送方向と反対方向の
捏ね作用を与えながら通電作用で通電熟熱処理するもの
である。

なお、本発明に係る食品の製造方法においては、通電
作用で通電熟熱処理した食品材料を、さらに油炒め、ボ
イル、焼成等の再加熱処理を施すことが好適である。

また、本発明に係る食品の製造装置は、食品材料を挟
んで一方向に搬送する対向間隔で対向させた一対の電極
ベルトを備え、一対の電極ベルトの一方の電極ベルトを
食品材料の搬送方向に、かつ他方の電極ベルトを食品材
料の搬送方向と反対方向にそれぞれ回転させるととも
に、上記一対の電極ベルトを食品材料が一方向へ搬送さ
れ、しかも搬送過程の食品材料にその搬送方向と反対方
向に捏ね作用を与える速度にそれぞれ回転させる構成と
したものである。

なお、本発明に係る食品の製造装置においては、一対
の電極ベルトを、それらの対向面が食品材料の搬送方向
に回転する主電極ベルトと、主電極ベルトと反対方向に
回転する副電極ベルトとで構成するのが好適である。

［作用］ 本発明に係る方法により、食肉、例えば生いわしが主
材となる食品を製造する場合には、先ず、生いわしをミ
ンチにかけたもの、あるいは擂身等からなるものを食肉
とする。次いで、上記食肉に、以後行われる通電塾熱作
用が良好に営まれるのに適した量の塩分と、野菜、調味
料、香辛料、水、つなぎ材料等を混合して食品材料を作
る。次に上記のようにして得られた食品材料を一対の電
極ベルトの搬送始端側でその対向面に供給すれば、食品
材料は一対の電極ベルトの対向面に挟まれ、かつ搬送方
向と反対方向の捏ね作用を与えられながら一方向へ搬送
され、その搬送過程で一対の電極ベルト間で通電塾熱処
理が施される。このように、一対の電極ベルト間に挟ま
れて一方向に搬送される食品材料は、搬送方向およびそ
れと反対方向の捏ね作用が与えられるので、食品材料中
の食肉は均等に混ぜ合わされ、食品材料中の食肉部分に
ムラ無く通電作用が施されて満遍なく通電塾熱処理され
る。このため、食肉がたとえ肉臭の強い生いわしであっ
てもその独特の肉臭が効果的に除去され、しかも、食品
材料全体も均等に通電熟熱処理されて、風味のある、し
かも美味しい食品を製造することができる。

本発明に係る方法において、さらに、熟熱処理された
食品を油炒め、ボイル、焼成等の再加熱処理を施せば、
原料が魚肉であっても、いっそう風味のある、しかも美
味しい食品を製造することができる。

本発明に係る装置を使用すれば、上記食品の製造方法
を好適に実施することができる。

［実 施 例］ 本発明に係る食品の製造方法を実施させるための製造
装置の実施例を第１図ないし第３図に基づいて説明す
る。

図面において、101は、食肉であって、該食肉101は、
生いわしをミンチにかけたもの、あるいは擂身等によっ
て作られる。なお、食肉101としては、生いわしの外の
魚肉、または、鳥肉、獣肉であってもよい。

108は、食品材料である。該食品材料108は、前記生い
わしの食肉101に、通電熟熱作用が良好に営まれるのに
適した量（例えば２％）の塩分と、玉ねぎのみじん切
り、その他の材料等からなる野菜103と、醤油、その他
同等の材料からなる調味料104と適宜の香辛料105と適量
の水106とパン粉、鶏卵等からなるつなぎ材料107等を攪
拌混合したものである。食品材料108は略120gの団子状
とするのが好ましい。

前記のようにして得られた食品材料108は、次に示す
ような製造装置111によって通電熟熱処理109を施すこと
で、所望のいわしを原料とするハンバーグ風食品を製造
することができる。

前記の製造装置111は、第３図に示すように、絶縁性
の駆動プーリー113と絶縁性の従動プーリー114とに亘り
懸回した主電極ベルト112と、絶縁性の駆動プーリー116
と絶縁性の従動プーリー117とに亘り懸回した副電極ベ
ルト115とを、食品材料108を挟んで一方向に搬送する対
向間隔118をおいて並行状に配設して構成したものであ
って、前記主電極ベルト112と副電極ベルト115は駆動プ
ーリー113,116の回転動力によって矢印方向に向け回転
される。すなわち、主電極ベルト112はその搬送面が食
品材料の搬送方向に、副電極ベルト115は主電極ベルト1
12と反対方向にそれぞれ回転されるが、これら主電極ベ
ルト112と副電極ベルト115の回転速度は、主電極ベルト
112と副電極ベルト115の間に挟まれた食品材料108が一
方向に搬送されるとともに、搬送過程で食品材料108に
その搬送方向と反対方向の捏ね作用が適当に与えられる
範囲で適宜選定される。

したがって、本発明によれば、食品材料108は主電極
ベルト112と副電極ベルト115の対向面に挟まれ、かつ搬
送方向と反対方向の捏ね作用を与えられながら一方向へ
搬送される過程で主電極ベルト112と副電極ベルト115間
で通電熟熱処理が施される。このように、主電極ベルト
112と副電極ベルト115間に挟まれて一方向へ搬送される
食品材料108は、その搬送方向およびそれと反対方向の
捏ね作用が与えられるので、食品材料108中の食肉101は
均等に混ぜ合わされながら、食品材料108中の食肉101部
分にムラ無く通電作用が施されて満遍なく通電熟熱処理
される。このため、食肉101がたとえ肉臭の強い生いわ
しであってもその独特の肉臭が効果的に除去され、しか
も、食品材料108全体も均等に通電熟熱処理されて、風
味のある、美味しい食品を製造することができる。

また、上記の製造装置111によって製造されたハンバ
ーグ風食品を、前記製造装置111の排出側に連設された
再加熱処理装置110Aによりさらに油炒め、ボイル、焼成
等からなる再加熱処理110すれば、風味のある、美味し
いハンバーグ・ステーキ風の食品が得られる。

［発明の効果］ 本発明によれば、たとえ肉臭が強い食肉、例えば生い
わしを主材とするものであっても、食品材料を一方向に
搬送する過程でその搬送方向と反対方向に捏ねる作用を
与えることにより、食品材料中の食肉をムラ無く混ぜ合
わせながら満遍なく通電熟熱処理して肉臭を効果的に除
去でき、風味のある、美味しい食品を製造することがで
きる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は本発明に係る
食品の製造方法を示すフローチャート、第２図はその他
の実施例を示すフローチャート、第３図は本発明に係る
食品の製造装置を示す正面図である。 101……食肉、102……塩分、103……野菜、104……調味
料、105……香辛料、106……水、107……つなぎ材料、1
08……食品材料、109……通電熟熱処理、110……再加熱
処理、110A……再加熱処理装置、112……主電極ベル
ト、115……副電極ベルト、118……対向間隔

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】食肉に、通電熟熱作用に適した量の塩分と
   野菜、調味料、香辛料、水、つなぎ材料等を混合して得
   られた食品材料を、一対の電極ベルトの対向面で挟んで
   一方向へ搬送する過程でその食品材料に搬送方向と反対
   方向の捏ね作用を与えながら通電作用で通電熟熱処理す
   ることを特徴とする食品の製造方法。
2. 【請求項２】通電作用で通電熟熱処理した食品材料を、
   さらに油炒め、ボイル、焼成等の再加熱処理を施すこと
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の食品の製造方
   法。
3. 【請求項３】食品材料を挟んで一方向に搬送する方向間
   隔で対向させた一対の電極ベルトを備え、一対の電極ベ
   ルトの一方の電極ベルトを食品材料の搬送方向に、かつ
   他方の電極ベルトを食品材料の搬送方向と反対方向にそ
   れぞれ回転させるとともに、上記一対の電極ベルトを食
   品材料が一方向へ搬送され、しかも搬送過程の食品材料
   にその搬送方向と反対方向に捏ね作用を与える速度にそ
   れぞれ回転させる構成としたことを特徴とする食品の製
   造装置。
4. 【請求項４】一対の電極ベルトは、それらの対向面が食
   品材料の搬送方向に回転する主電極ベルトと、主電極ベ
   ルトと反対方向に回転する副電極ベルトからなることを
   特徴とする特許請求の範囲３記載の食品の製造装置。