JP2571887B2 - キトサン多孔質体の製造方法 - Google Patents

キトサン多孔質体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、混合溶液を分離するた
めの選択透過膜などに用いられるキトサン多孔質体の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水とアルコールとの混合溶液や水とジメ
チルスルホキシド(DMSO)との混合溶液など、2以
上の液成分が混合された混合溶液から特定の液成分を選
択透過膜を用いて分離する工法として、本発明者等によ
って気化浸透法とも称すべき手法が開発されており、こ
の気化浸透法を用いた混合溶液の分離方法は特開昭63
−162003号公報等で既に提供されている。すなわ
ちこの方法は混合溶液が導入される溶液室と減圧される
減圧室との間を混合溶液に接触させない選択透過膜で仕
切り、減圧室を減圧して溶液室内で発生する混合溶液の
蒸気を透過膜に作用させ、混合溶液中の特定の成分を選
択透過膜に選択的に浸透拡散させると共に溶液室側から
減圧室側に透過させるようにしたものであり、このよう
に混合溶液中の特定の成分を選択透過膜で選択的に透過
させることによって混合溶液の各成分を分離できるよう
にしたものである。
【0003】そしてこの選択分離膜の一つとして、特開
昭63−162003号公報に開示されているようにキ
トサンの膜が提供されている。キトサンは親水性である
ために、キトサン膜は混合溶液中の水を選択的に浸透拡
散させて透過させることができるものであり、水とアル
コールとの混合溶液や水とDMSOとの混合溶液の場合
には混合溶液中から水を除去して混合溶液中のアルコー
ル濃度やDMSO濃度を高めるようにして液分離をおこ
なうことができるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように気化浸透法
において選択分離膜としてキトサン膜を用いると、混合
溶液中から水を選択的に除去して高い分離性能で液分離
をおこなうことができるのであるが、水をキトサン膜に
浸透拡散させて透過させることによって分離をおこなう
ようにしているために、液成分がキトサン膜を透過する
速度が遅く、十分な透過速度で水を透過させて液分離を
おこなうことが困難であり、液分離の生産性の上で問題
があって実用が難しいものであった。
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、気化浸透法による液分離の生産性を高めた選択透
過膜として使用することができるキトサン多孔質体の製
造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るキトサン多
孔質体の製造方法は、キトサンの酸水溶液を、キトサン
の酸水溶液の凝固温度より1〜5℃高い温度で3〜24
時間予備冷却した後に、冷凍して凍結し、これを解凍す
ることなく水を昇華させて乾燥することを特徴とするも
のである。またこのように水を昇華させて乾燥した後
に、アルカリ処理して中和するようにするのが好まし
い。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。キトサン
はキチンを脱アセチル化して得られるものであり、酸に
可溶なカチオン性ポリマーである。キトサンの原料とな
るこのキチンは甲殻類や菌類の支持組織を形成している
直鎖の多糖類であって、未利用有機資源の一つに挙げら
れているものであり、従ってキトサンを用いる本発明は
キチンの有効利用技術に関するものでもある。
【0008】しかしてキトサンを用いてキトサン多孔質
体を製造するにあたっては、まずキトサンを酸の水溶液
に溶解させる。キトサンは酸に容易に溶解するものであ
り、この酸としてはギ酸、酢酸などの有機酸や塩酸、硫
酸などの無機酸を用いることができるが、有機酸を用い
るほうが好ましい。本発明において特に限定されるもの
ではないが、キトサンを溶解する酸の水溶液の酸濃度は
0.1〜3N程度の範囲が好ましく、また酸の水溶液へ
のキトサンの溶解濃度は1〜10重量%程度の範囲が好
ましい。このようにしてキトサンの酸水溶液を調製する
ことができるものであり、このキトサンの酸水溶液には
必要に応じて凍結安定剤を配合することができる。凍結
安定剤としてはエチレングリコールやその誘導体等を用
いることができ、配合量は0.1〜3重量%程度の範囲
に設定するのが好ましい。
【0009】そしてまずキトサンの酸水溶液を濾過して
未溶解固形分等を除去すると共に、キトサンの酸水溶液
中に存在する気泡を除去する。この脱泡は真空脱泡法な
どによっておこなうことができるものであり、脱泡工程
を省略すると得られたキトサン多孔質体中に気泡が残っ
て均質な多孔質体を得ることができなくなるおそれがあ
り、特にキトサン多孔質体を膜として作成する場合には
気泡によって膜に大きな孔があいてしまうことになっ
て、この膜を混合溶液を分離するための選択透過膜など
に用いる場合には分離性能が低下するおそれがある。こ
の後に、キトサンの酸水溶液を冷却して凍結する。この
とき、平板上にキトサンの酸水溶液を均一な厚みで薄く
広げたり、容器の底に均一な厚みで薄く広げるように流
し込んだりすることによって、膜を製造することができ
る。
【0010】また凍結は冷凍庫等にキトサンの酸水溶液
を入れることによっておこなうことができるが、凍結に
先立って予備冷却をおこなう。予備冷却はキトサンの酸
水溶液を凍結しないぎりぎりの温度まで冷却して一定時
間保持することによっておこなうものであり、この冷却
温度はキトサンの酸水溶液の凝固温度より1〜5℃高い
温度に設定するのがよい。また冷却の保持時間は、3〜
24時間程度がよい。このような予備冷却の工程を省略
してキトサンの酸水溶液をいきなり冷凍すると、キトサ
ンの酸水溶液中の水と固形分とが層分離を起こし、均質
なキトサン多孔質体を得ることが難しくなるおそれがあ
り、また水の結晶すなわち氷の大きさが大きくなるため
に緻密で微細な孔を有する多孔質体を得ることが難しく
なる。
【0011】このように予備冷却した後に、キトサンの
酸水溶液を冷凍庫等に入れて低温で冷凍する。冷凍温度
はできるだけ低い温度が好ましいが、キトサンの酸水溶
液の凝固温度より10℃以上低い温度、好ましくは15
℃以上低い温度に設定するのがよい。そしてこのように
冷凍した後、解凍させることなく水分を氷の状態のまま
昇華させることによって乾燥する。この乾燥は例えばキ
トサンの酸水溶液の冷凍物を真空凍結乾燥機の真空チャ
ンバーに入れて、発生する水分をコールドトラップしな
がら真空乾燥することによっておこなうことができる。
この場合、チャンバー内の圧力が1Torr以下になる
真空条件下で真空乾燥をおこなうのが好ましい。このよ
うにキトサンの酸水溶液の冷凍物中の水分を氷の状態の
まま昇華させることによって乾燥すると、昇華によって
除去された氷の跡の部分が空洞として残り、キトサンは
連続した気泡を多数有する多孔質体となる。乾燥に際し
て加熱は特に必要ではなく、特に乾燥の初期段階の加熱
は解凍を引き起こす可能性があるために避けるのが好ま
しいが、乾燥の後期の段階では乾燥速度を速めたり乾燥
を完全におこなったりする上で加熱は有用である。この
ようにしてキトサン多孔質体を得ることができるが、こ
のままでは水に可溶性であるので、アルカリ処理して中
和し、水に不溶の状態にする必要がある。アルカリ処理
は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化カルシ
ウム等の水溶液にキトサン多孔質体を浸漬等することに
よっておこなうことができるものであり、アルカリ処理
に要する時間は少なくとも1時間以上が必要である。
【0012】上記のようにして得られる連通気泡を有す
るキトサン多孔質体の用途は特に限定されるものではな
いが、キトサン多孔質体を多孔質膜として作成すること
によって、既述の気化浸透法における選択透過膜として
使用することができる。以下、キトサン多孔質膜を選択
透過膜として用いた気化浸透法による混合溶液の分離に
ついて説明する。
【0013】図2は気化浸透法に基づく混合溶液の分離
装置の原理を示すものであり、キトサン多孔質膜1を選
択透過膜として用いて分離槽2を上側の減圧室3と下側
の溶液室4とに仕切り、溶液室4内に導入される混合溶
液5の液面とキトサン多孔質膜1の下面との間に空間を
形成させてキトサン多孔質膜1には混合溶液5が接触し
ないようにしてあり、減圧室3には真空ポンプなどを接
続して減圧するようにしてある。表裏に連通する多数の
細孔を有するキトサン多孔質膜1を選択透過膜として使
用する場合、細孔の大きさは、その平均直径が0.00
1〜20μmの範囲のものが好ましい。細孔の大きさが
これよりも大きいと、キトサン多孔質膜1によって液分
離の作用を受けないで細孔を通過してしまう成分が多く
なって、液の分離性能を高く得ることができなくなるも
のであり、また逆に細孔の大きさがこれよりも小さい
と、液成分は細孔を容易に通過することができなくなっ
て、分離液の透過速度を実用レベルにまで高めることが
できなくなるものである。尚、上記細孔の直径は、細孔
の面積と同じ面積の円を想定したときのこの円の直径と
して定義されるものであり、平均直径は各細孔の直径の
平均値として定義されるものである。またこのキトサン
多孔質膜1の表面積に占める細孔の面積の割合、すなわ
ち空孔率は5%以上のものを用いるのが好ましい。空孔
率がこれより低いと、液成分の透過量が少なくなって分
離液の透過速度を実用レベルにまで高めることが難しく
なる。そして混合溶液5としては、例えば醗酵アルコー
ルからアルコールを濃縮分離する場合における水とアル
コールとの混合溶液や、繊維の紡糸廃液から紡糸用溶剤
であるDMSOを濃縮分離する場合における水とDMS
Oとの混合溶液など、キトサンに対する親和性の高い液
成分とキトサンに対する親和性の低い液成分が混合され
たものを用いるものであり、混合溶液5からキトサンに
対する親和性の高い液成分を分離することができる。水
とアルコールとの混合溶液や、水とDMSOとの混合溶
液を分離する場合は、キトサンは親水性であって水に対
する親和性が高いために、混合溶液5から水を分離する
ことによって混合溶液5のアルコール濃度やDMSO濃
度を高めるようにして液分離をおこなうことができる。
【0014】しかして図2の装置において、減圧室3内
を減圧するとキトサン多孔質膜1の細孔を通して溶液室
4内も減圧状態になり、溶液室4内において混合溶液5
から各液成分の蒸気が発生し、各液成分の蒸気がキトサ
ン多孔質膜1に至る。ここで、キトサン多孔質膜1に至
った各液成分の蒸気のうち、キトサンと親和性の高い液
成分、例えば水はキトサン多孔質膜1の表面に親和して
細孔を容易に通過し、キトサン多孔質膜1を溶液室4側
から減圧室3側へと容易に透過するが、キトサンと親和
性の低い液成分、例えばアルコールやDMSOはキトサ
ン多孔質膜1の表面にはじかれて細孔を通過し難く、キ
トサン多孔質膜1を溶液室4側から減圧室3側へと容易
に透過することができない。このようにして、混合溶液
5中の各液成分のうちキトサンと親和性の高い液成分を
優先的にキトサン多孔質1を透過させて、混合溶液5か
ら所定の液成分を分離してこの液成分の濃度が高い液を
得ることができるものである。このとき、必要とする液
成分をキトサン多孔質膜1を透過させて液分離する場合
には減圧室3に至った液を回収すればよく、逆に不要な
液成分をキトサン多孔質1を透過させて液分離する場合
には溶液室3内に残った液を回収すればよい。このよう
に気化浸透法の工法においてキトサン多孔質膜1を用い
て液分離をおこなうにあたって、分離される液成分はキ
トサン多孔質膜1の細孔を通過して溶液室4側から減圧
室3側に透過される。従って既述の特開昭63−162
003号公報等において気化浸透法で用いる非多孔質の
キトサン膜のように液成分を膜中に拡散させて浸透させ
ることによって透過させる場合に比べて、分離される液
成分がキトサン多孔質膜1を透過する速度は極めて速く
なり、実用的なレベルの透過速度を得ることが可能にな
るのである。
【0015】また上記のようにして液分離の操作をおこ
なうにあたって、溶液室4内の混合溶液5を加熱すると
共にキトサン多孔質膜1を冷却することによって分離性
能をさらに高めることが可能である。混合溶液5の加熱
は、溶液室4を加熱浴7に浸漬しておこなうなど任意の
方法でおこなうことができるものであり、この加熱は少
なくとも分離槽2が置かれている雰囲気温度よりも高い
温度に混合溶液5を昇温させるようにすればよく、加熱
の温度は何等規制されない。キトサン多孔質膜1の冷却
は、キトサン多孔質膜1の周囲にジャケット8を取り付
けてジャケット8に冷媒を通すことによっておこなうな
ど、任意の方法でおこなうことができるものであり、冷
却の温度はキトサン多孔質膜1の温度が溶液室4の混合
溶液5の液温より低く保つことができるものであればよ
い。このように混合溶液5を加熱すると共にキトサン多
孔質膜1を冷却しながら液の分離操作をおこなう場合に
は、混合溶液5として沸点が異なり、且つ沸点の低い液
成分がキトサンと親和性が高いと共に沸点の高い成分が
キトサン親和性が低い2以上の液成分が混合されたも
の、例えば水とDMSO(沸点189℃)との混合溶液
を使用するものであり、水とエタノール( 沸点78. 3
℃) との混合溶液などはこの方法に適していない。この
ものにあって、減圧室3を減圧して液分離の操作をおこ
なうに際して、溶液室4内の混合溶液5を加熱すると、
混合溶液5の各成分のうち沸点の低い液成分が蒸発され
易いために、キトサン多孔質膜1に達する蒸気は沸点の
低い液成分の濃度が高くなっており、そして沸点の低い
液成分はキトサンに親和性があるためにこの沸点の低い
液体がキトサン多孔質膜1を優先して透過されることに
なり、キトサン多孔質膜1を透過させて分離する液成分
の濃度を高めることができ、混合溶液5の分離性能を高
めることができる。しかもこのとき、キトサン多孔質膜
1を冷却することによって混合溶液5の分離性能を一層
高めることができる。その理由は明らかではないが、溶
液室4において混合溶液5から蒸発した蒸気がこのキト
サン多孔質膜1に至ると、キトサン多孔質膜1による冷
却作用で蒸気中の沸点の高い液成分は沸点の低い液成分
よりも凝縮され易く、従って沸点の高い液成分は会合さ
れ易くなって分子の集合形態が大きくなり、この結果、
沸点の高い液成分はキトサン多孔質膜1の細孔をより透
過し難くなると共に、これに伴って沸点の低い液成分が
キトサン多孔質膜1の細孔をより優先して透過されるこ
とになるためであると予想される。このように混合溶液
5を加熱すると共にキトサン多孔質膜1を冷却すること
によって、キトサン多孔質膜1を透過させて分離する液
成分の濃度を高めることができるのである。
【0016】図3は気化浸透法に用いる液分離装置の他
の態様を示すものであり、溶液室4内に乾燥空気等のガ
スを導入することができるようにしてある。例えば図3
に示すようにコック9等を設けたパイプ10をキトサン
多孔質膜1と混合溶液5の液面との間に導入するように
溶液室4内に接続し、コック9を開いてガスをパイプ1
0から供給することによって、溶液室4内にガスを導入
することができる。溶液室4内に供給するガスとしては
空気の他に窒素ガスなど各種のものを用いることができ
るものであり、特に限定されるものではない。この図2
の装置では、上記のように減圧室3を減圧して液分離の
操作をおこなうにあたって、さらにコック9を開いてパ
イプ10からガスを溶液室4に供給しながら液分離の操
作をおこなうことによって、混合溶液5の分離性能を高
めることができるものである。分離性能が高まる理由は
明らかではないが、例えば次のように考えることができ
る。すなわち、溶液室4に供給されるガスは減圧室3が
減圧されているためにキトサン多孔質膜1の細孔を通過
して減圧室3へと移流することになるが、ガスの分子は
一般に混合溶液5の蒸気の粒子よりもはるかに小さいた
めにキトサン多孔質膜1の細孔に容易に入り込んで通過
することになり、この結果混合溶液5の蒸気の各液成分
はガスの分子に邪魔されてキトサン多孔質膜1の細孔に
入り難くなって蒸気はキトサン多孔質膜1の近傍に滞留
し、キトサン多孔質膜1による液の分離作用を蒸気の各
液成分が十分に受けることになって、混合溶液5を分離
する性能が高まるのではないかと考えられる。このよう
に溶液室4内にガスを供給することによって、キトサン
多孔質膜1を透過させて分離する液成分の濃度を高める
ことができることになるのであり、ガスの供給量を多く
するとこれに伴って分離性能が高まり、キトサン多孔質
膜1を透過する液成分の濃度も高めることができる。し
かし、ガスの供給量を多くするに従って液成分がキトサ
ン多孔質膜1を透過する速度が遅くなり、透過速度を高
く保つことができなくなる。このために、ガスの供給量
はキトサン多孔質膜1における液の分離性能と透過速度
のバランスを考慮して設定するのが好ましい。
【0017】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。実施例 1N酢酸水溶液100gにキトサンを3g添加して溶解
すると共に凍結安定剤としてエチレングリコールを0.
1g添加することによって、3重量%濃度のキトサンの
酢酸水溶液を調製した。そして先ずこのキトサンの酢酸
水溶液を濾過した後に、50Torrの減圧下20分間
放置して脱泡した。次にこのキトサンの酢酸水溶液を直
径95mm、深さ15mmのシリコーン処理したシャー
レに20g流し込み、これを−6℃の温度で24時間予
備冷却した。次にこれを−25℃の冷凍機に入れて24
時間冷却することによって、キトサンの酢酸水溶液を凍
結させた。この後、これを冷凍機から取り出してタイテ
ック社製凍結乾燥機「VD−80」の真空チャンバーに
入れ、減圧度0.05Torr、コールドトラップ温度
−80℃の条件で、解凍することなく24時間真空乾燥
(フリーズドライ)した。これをさらに1N水酸化ナト
リウム水溶液に24時間浸漬してアルカリ処理した後に
水洗洗浄し、減圧乾燥することによって、厚み450μ
mのキトサン多孔質体膜を得た。このキトサン多孔質体
膜は平均径が15μmの連続気泡を有するものであっ
た。このキトサン多孔質体膜の表面の顕微鏡写真を図1
(a)に、厚み方向に切断した断面の顕微鏡写真を図1
(b)に示す。
【0018】上記のようにして得たキトサン多孔質膜1
を選択透過膜として用いると共に50重量%のDMSO
水溶液を混合溶液5として用いて、図2に示す装置で液
分離した。すなわち、減圧室3の容積が100cc、溶
液室4の容積が350cc、キトサン多孔質膜1の有効
面積が20cm2 に形成された図2の装置で、溶液室4
内に供給した100ccの混合溶液5を40℃に加熱す
ると共に、キトサン多孔質膜1の近傍の温度が40℃あ
るいは0℃になるようにジャケット8で調整し、減圧室
3内が60Torrになるように真空ポンプで減圧する
ことによって液の分離操作をおこなった。DMSO水溶
液中の水がキトサン多孔質膜1を選択的に透過し、溶液
室4内においてDMSOの濃度が高められた液を回収し
た。キトサン多孔質膜1を透過して減圧室3から回収さ
れた液中の水の濃度を測定すると共にこの液がキトサン
多孔質膜1を透過する速度を透過速度として測定した。
結果を次表に示す
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】上記のように本発明は、キトサンの酸水
溶液を冷凍して凍結し、これを解凍することなく水を昇
華させて乾燥するようにしたので、水の昇華によって連
続気泡となった細孔を有するキトサン多孔質体を製造す
ることができるものであり、気化浸透法による液分離の
生産性を高めた選択透過膜として使用することができる
ものである。しかもキトサンの酸水溶液の凝固温度より
1〜5℃高い温度で3〜24時間予備冷却した後に冷凍
して凍結するようにしたので、予備冷却をしないでいき
なり凍結する場合ようにキトサンの酸水溶液が層分離し
たりすることを防止し、均質で微細な孔を有する多孔質
体を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で得たキトサン多孔質体の30
0倍の顕微鏡写真であり、(a)は表面、(b)は断面
を示すものである。
【図2】気化浸透法による液分離装置を示す概略断面図
である。
【図3】気化浸透法による液分離装置の他の例を示す概
略断面図である。
【符号の説明】
1 キトサン多孔質膜 2 分離槽 3 減圧室 4 溶液室 5 混合溶液

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キトサンの酸水溶液を、キトサンの酸水
    溶液の凝固温度より1〜5℃高い温度で3〜24時間予
    備冷却した後に、冷凍して凍結し、これを解凍すること
    なく水を昇華させて乾燥することを特徴とするキトサン
    多孔質体の製造方法。
  2. 【請求項2】 水を昇華させて乾燥した後に、アルカリ
    処理して中和することを特徴とする請求項1に記載のキ
    トサン多孔質体の製造方法。
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