JP2569828Y2 - 脱穀機における選別装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はコンバイン等に搭載する
自脱型脱穀機における選別装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、扱室の下方の選別風路に揺動選別
体を架設し、該揺動選別体を、扱室の受網から漏下した
被選別物を一番受樋上で篩選別する一番漏下選別部と、
一番漏下選別部の終端から移行した被選別物を二番受樋
上で篩選別する二番漏下選別部とで構成し、前記一番受
樋と二番受樋との間に二番受樋上を斜め後方上方へ吹き
抜ける横断流ファンを配設した脱穀機における選別装置
は既に知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】前記既知の脱穀機の選
別装置において、二番漏下選別部から漏下する二番物を
横断流ファンにより風選する際、二番受樋中の二番移送
螺旋により撹拌されながら移送される二番物の量がその
移送終端で最も多く、しかも、移送終端で二番還元装置
により移送方向を上方へ変換される時二番物が跳ね返さ
れたり停滞したりするにも拘らず、横断流ファンにより
送風される選別風の風力は、側部では中央部より弱いの
で、風選が充分に行われず還元される二番物の量が多く
なった。また、二番受樋の移送終端部で跳ね返された穀
粒は導風筒を経て機外に飛散した。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は、扱室の下方の
選別風路に揺動選別体を架設し、該揺動選別体は、一番
受樋上で篩選別する一番漏下選別部と、扱室の受網から
漏下した被選別物を上記一番漏下選別部に向かう移送部
とを有し、一番漏下選別部の終端から投擲された被選別
物を少なくとも風選してから二番受樋に投入するように
なし、前記一番受樋と二番受樋との間に二番受樋上を斜
め後方上方へ吹き抜ける横断流ファンを設け、二番受樋
の終端に二番還元装置を連設した脱穀機において、前記
横断流ファンに付設した導風筒内の二番物移送終端側に
前後方向の仕切板を設けて導風路を区分し、この区分し
た導風路の吐出口に網を張設することにより前述の課題
を解決した。

【０００５】

【作用】扱室内で発生した扱下ろし物は、受網から揺動
選別体上に漏下して先ず、一番漏下選別部で篩選別と風
選を受け、一番受樋に落入した穀粒は機外に搬出され、
一番漏下選別部から二番受樋上に投擲された被選別物
は、横断流ファンからの選別風により風選されて二番受
樋に落入し、それを二番移送螺旋が機体の側部に搬出
し、次いで、二番還元装置が揺動選別体上（又は扱室）
に還元する。そして前記横断流ファンにより二番物を風
選する際、横断流ファンにより起風された選別風のう
ち、二番移送螺旋の移送終端側の選別風は、仕切板によ
り区分されて弱化することなく上記移送終端側へのみ吹
き出してその部位から漏下する二番物及び移送終端部で
二番移送螺旋により撹拌される二番物及び二番還元装置
により跳ね返されるものを的確に風選して藁屑を取り除
き、前記網は穀粒が機外に飛散するのを防止する。

【０００６】

【実施例】本考案を図面に示す脱穀機について説明する
と、扱胴１を軸架して内装した扱室２は一側に扱口を有
し、その外側に沿ってフィードチェーン３ａに挟扼レー
ル３ｂを対設した挟持搬送装置を併設し、供給口５の下
方の送風風車６と後方の扱口と反対側の上方に設けた吸
引風車７は扱室受網８の下方から排塵選別室１０に亙る
選別風路を構成しており、前記フィードチェーン３ａ側
の送塵口１１より後部には処理胴１２を内装した処理室
１３を設け、前記選別風路に前後揺動するように架設し
た揺動選別体１５は、波形の上移送板１６及びそれに続
いていて前後傾動調節可能な多数のフィン１９ａ・・か
らなるチャフシーブ１７により構成された上移送選別経
路と、波形の下移送板１８及びそれに続いていて一番受
樋１９上に臨むクリンプ網からなる一番漏下選別部２０
により構成された下移送選別経路と、後部移送板２１及
びストローラックからなっていて二番受樋２２上に臨む
二番漏下選別部２３と、一番流板２４と、二番流板２４
ａとにより構成されており、一番受樋１９と二番受樋２
２との間に介装した横断流ファン２５は幅広の導風筒２
７から二番漏下選別部２３を吹き抜ける。２９は排塵選
別室１０の上方に設けた排藁搬送装置であって、排藁を
ディスクカッター３０に搬送供給する。

【０００７】また、前記上移送板１６の扱口と反対側寄
りには、アーム３１の先端に回動自在に軸支されたフロ
ート型の被選別物量検出体３２を設けてあり、前記アー
ム３１の前部は前壁の長孔から前方へ突出して揺動アー
ム３１ａに連結され、該揺動アーム３１ａはポテンショ
メータ３１ｂに連動連結されているので、被選別物量検
出体３２が検知した被選別物の厚さの変化を電圧として
検出し、この検出結果により一番漏下選別部２０に重合
した前後摺動可能な目塞ぎ板の駆動体、及び前記フィン
１９ａ・・を傾動させる駆動体を制御する。

【０００８】更に、前記被選別物量検出体３２は上移送
板１６の終端近傍にあり、平面視でその直後のフィン１
９ａ上には後部が揺動選別体１５の中央に向けて傾斜し
た寄せ板３５を設けてあり、該寄せ板３５の外端は揺動
選別体１５の側板に固定されていて被選別物を揺動作用
により中央側へ寄せ送る。また、前記下移送板１８上の
扱口と反対側（前記寄せ板３５と同じ側）にも前後一対
の下寄せ板３６，３７を取付けてあり、これらの寄せ板
３６，３７も被選別物を揺動選別体１５の幅の中央側へ
寄せ送る。

【０００９】そして、前記導風筒２７は、平行な上板２
７ａと下板２７ｂの両側部を左右の側板に固定すること
により構成されており、扱口と反対側寄りに後部が少し
外側へ偏位するように傾斜した仕切板３８を固定し、該
仕切板３８の下部を前記横断流ファン２５の回転軌跡に
近接して沿わせ、その上端と上板２７ａの上端と下板２
７ｂの上端とにより形成される吐出口に網２６を張設し
てある。この網２６は二番受樋２２の移送終端直前に対
向しており、二番移送螺旋２２ａにより移送された二番
物は二番受樋２２の終端に連設されていて二番還元装置
となる二番還元揚送螺旋筒３９により揺動選別体１５の
上移送経路に還元される。

【００１０】前述の脱穀機において、扱室２内で発生し
て扱室受網８から漏下した被選別物は、上移送板１６上
に落入する。その際、扱胴１は扱室２の扱口と反対側に
挿入された穂部を脱粒処理されるので、その側で多く漏
下し、その上に前記被選別物量検出体３２が乗り上げて
その厚さを検出する。この検出状態は脱穀条件が良好で
あるか、又は稲のように麦より脱穀物量が多い場合はそ
れに乗り上げて適正な検出を行う。しかし、低能率脱穀
又は麦を脱穀した場合のように脱穀物量が少ない場合、
変化量が小さいため適正な検出を行うことができない
が、該被選別物量検出体３２の直後に近接する部位に
は、寄せ板３５を設けてあるので、移送される脱穀物が
それに受け止められて淀みながら揺動選別体１５の中央
側へ案内誘導されて幅方向に平均化されると共に上記淀
みが被選別物量検出体３２にまで波及して被選別物の層
が厚くなるので変化量が増幅され、被選別物量を確実に
検出することができ、また、上記寄せ板３５の直前では
停滞した被選別物が揺動作用を受けて穀粒がチャフシー
ブ１７から漏下し、それより他側から漏下したものも下
移送選別経路に落入して風選及び篩選別を受け、藁屑お
よびそれに混入した穀粒等はチャフシーブ１７により後
方へ移送されて二番漏下選別部２３へ移行する。

【００１１】また、下移送選別経路に移行した被選別物
は扱口と反対側で狭い流入間隙を隔てた２枚の下寄せ板
３６，３７により扱口側へ寄せ送られて分散してから一
番漏下選別部２０にて篩選別と風選を受け、漏下した穀
粒は一番受樋１９に落入して一番移送螺旋と、揚穀筒と
により移送排出されて穀粒タンクに投入され、一番漏下
選別部２０の終端に達した被選別物及び処理室１３の処
理室受網１３ａから漏下して一番漏下選別部２０から漏
下しなかったものは後部移送板２１に移行し、処理室１
３側では後部寄せ板４０により中央側へ寄せ送られて二
番漏下選別部２３に至るとそこで風選と漏下選別を受
け、漏下した二番物は二番還元され、藁屑は吸引風車７
により機外に排出される。

【００１２】そして、前記二番還元揚送螺旋筒３９の下
部で二番物は、揚送螺旋により跳ね返されて停滞すると
共に導風筒２７の吐出部に跳ね上げられようとし、更
に、風路の両側部は中央部よりも風力が弱化するため二
番受樋２２の移送終端側での二番物の移動及び風選が悪
化するが、横断流ファン２５の前記移送終端側で起風さ
れた選別風は、仕切板３８により中央側へ流動しないよ
うにそのまま後方へ流動して二番受樋２２の終端上を吹
き抜けることとなり、それにより二番漏下選別部から漏
下した二番物及び二番移送螺旋２２ａにより撹拌される
二番物並びに二番還元移送螺旋により跳ね返される二番
物を的確に風選して混入する藁屑を除去し、二番還元量
を少なくすることができる。

【００１３】

【考案の効果】本考案は、扱室２の下方の選別風路に揺
動選別体１５を架設し、該揺動選別体１５は、一番受樋
１９上で篩選別する一番漏下選別部２０と、扱室２の受
網から漏下した被選別物を上記一番漏下選別部２０に向
かう移送部とを有し、一番漏下選別部２０の終端から投
擲された被選別物を少なくとも風選してから二番受樋２
２に投入するようになし、前記一番受樋１９と二番受樋
２２との間に二番受樋２２上を斜め後方上方へ吹き抜け
る横断流ファン２５を設け、二番受樋２２の終端に二番
還元装置を連設した脱穀機において、前記横断流ファン
２５に付設した導風筒２７内の二番物移送終端側に前後
方向の仕切板３８を設けて導風路を区分し、この区分し
た導風路の吐出口に網２６を張設したので、前記横断流
ファン２５の二番物移送終端側で起風された選別風は仕
切板３８により区分されてそのまま二番移送螺旋２２ａ
の移送終端の上方へ吹き出されることとなり、その部位
で二番漏下選別部２３から漏下する二番物の風選を確実
に行うことができると共に二番移送螺旋２２ａによって
移送されることにより集積され、かつ二番還元装置への
受継部で停滞した状態で撹拌される二番物をも的確に風
選することができ、また、上記撹拌により跳ね出される
穀粒を網２６により受け止めて機外飛散を防止すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】脱穀装置の縦断側面図である。

【図２】同上縦断平面図である。

【図３】二番風選装置の斜視図である。

【符号の説明】

１ 扱胴 ２ 扱室 ６ 送風風車 １５ 揺動選別体 １９ 一番受樋 ２０ 一番漏下選別部 ２２ 二番受樋 ２２ａ 二番移送螺旋 ２３ 二番漏下選別部 ２５ 横断流ファン ２６ 網 ２７ 導風筒 ３８ 仕切板

フロントページの続き 審査官 番場 得造 (56)参考文献 実開 平３−50835（ＪＰ，Ｕ) 実開 平３−61838（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 扱室２の下方の選別風路に揺動選別体１
   ５を架設し、該揺動選別体１５は、一番受樋１９上で篩
   選別する一番漏下選別部２０と、扱室２の受網から漏下
   した被選別物を上記一番漏下選別部２０に向かう移送部
   とを有し、一番漏下選別部２０の終端から投擲された被
   選別物を少なくとも風選してから二番受樋２２に投入す
   るようになし、前記一番受樋１９と二番受樋２２との間
   に二番受樋２２上を斜め後方上方へ吹き抜ける横断流フ
   ァン２５を設け、二番受樋２２の終端に二番還元装置を
   連設した脱穀機において、前記横断流ファン２５に付設
   した導風筒２７内の二番物移送終端側に前後方向の仕切
   板３８を設けて導風路を区分し、この区分した導風路の
   吐出口に網２６を張設したことを特徴とする脱穀機にお
   ける選別装置。