JP2569768B2 - プラスチックフィルムの搬送方法 - Google Patents

プラスチックフィルムの搬送方法

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JP2569768B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、熱可塑性樹脂からなるプラスチックフィル
ムを、溶融ポリマの冷却固化部から長手方向延伸予熱部
まで搬送する場合のロールを用いたプラスチックフィル
ムの搬送方法に関する。
〔従来の技術〕
少なくとも長手方向への一軸延伸を伴うプラスチック
フィルム製膜設備においては、通常、口金から吐出され
た溶融ポリマを冷却ロール表面上で冷却固化させ、シー
ト状に成形されたプラスチックフィルムを搬送ロールを
介して長手方向延伸工程に送り、長手方向延伸工程では
複数の加熱ロールを通してフィルムを予熱し、所定の温
度に加熱されたフィルムが延伸部で延伸される。
このような製膜設備では、上記搬送ロールおよび長手
方向延伸工程の予熱用加熱ロールとして、表面が金属の
金属ロール(たとえばHCrメッキを施したロール)が一
般に使用されている。
ところが、金属ロールに関しては、そのロール表面に
フィルムからの昇華物が付着しやすいという特性があ
り、ロール表面に付着した昇華物が、後続のフィルムの
表面に転写されてフィルムに表面欠点を生じることがあ
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明者らは、各種試験、検討を行った結果、上記フ
ィルムからの昇華物は、とくにフィルムの冷却ロール面
側にあるロールに付着しやすいことをつきとめた。これ
は、口金から吐出された溶融ポリマが、冷却ロール表面
上で急に冷却固化されるため、昇華物が濃度の高いまま
成形フィルムの表面近傍にとじ込められ、それが後続の
ロールで搬送されるうちに徐々に揮散し、冷却ロール面
側に位置するロールの表面に付着するためと考えられ
る。
本発明は、このようなプラスチックフィルムからの昇
華物の付着現象に着目し、該付着現象を効果的に抑える
か若しくはたとえロール表面に付着したとしてもそれの
フィルムへの転写を効果的に抑えることができるように
し、フィルムの昇華物付着による表面欠点の発生を防止
することを目的とする。
なお、本発明に関連して、特公昭48−44666号公報お
よび特開昭60−143929号公報には、プラスチックフィル
ムを長手方向に延伸する延伸部用のロールとしてセラミ
ックロールを用いることが開示されているが、これらは
高温延伸部におけるフィルムのロール表面への粘着の防
止をはかったものであり、本発明で技術的課題とする昇
華物の付着防止とは基本的に問題点が異なり、かつその
適用部位も異なる。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的に沿う本発明のプラスチックフィルムの搬送
方法は、熱可塑性樹脂の溶融ポリマを冷却ロールで冷却
固化してプラスチックフィルムとし、該プラスチックフ
ィルムをロールを介して長手方向延伸工程まで搬送する
プラスチックフィルムの搬送方法において、前記冷却ロ
ールの次のロールから長手方向延伸予熱用加熱ロールま
でのロールのうち、前記プラスチックフィルムの前記冷
却ロール面側に位置する、少なくとも最初のロールに、
表面がセラミックからなるセラミックロールを用いて前
記プラスチックフィルムを搬送する方法から成る。
上記熱可塑性樹脂としては、とくにポリエチレンテレ
フタレートに対して本発明による顕著な効果が得られ
る。
また、上記セラミックロールの表面粗度としては、中
心線平均粗さにて0.1〜3.0μ程度が適当であり、好まし
い範囲は0.5〜2.0μである。この範囲にて、後述のフィ
ルムからの昇華物の付着抑制効果およびロール表面から
フィルムへの転写防止効果が顕著に現われる。
〔作用〕
セラミックロールにおいては、セラミック自身物性的
に熱可塑性樹脂プラスチックフィルムからの昇華物が付
着しにくい性質を有しており、加えて、セラミックから
なるロール表面には金属ロールに比べ微小凹凸(微小多
孔構造)が存在するので、たとえロール表面に昇華物が
付着したとしてもそれがロールの表面層に保持され、フ
ィルムには極めて転写されにくい。また、従来の製膜設
備における明らかな傾向として、冷却ロール以降のフィ
ルムが最初に接触する冷却ロール面側ロールに最も昇華
物が付着しやすい。したがって、少なくともこの最初の
冷却ロール面側ロールを、上記の性能を有するセラミッ
クロールとすることにより、プラスチックフィルムから
の昇華物のロールへの付着が効率よく抑制され、かつた
とえ微小量付着することがあったとしても、付着昇華物
はロール表面に保持されたままでフィルムへの転写が抑
えられる。
〔実施例〕
以下に、本発明に係る方法を、実際にフィルム製膜設
備に適用した場合の実施例について説明する。
図は、熱可塑性樹脂プラスチックフィルムとしてのポ
リエステルフィルム1の製膜設備の一部を示している。
口金2からシート状に吐出された溶融ポリマ3は、冷却
ロール4表面上で冷却固化され、プラスチックフィルム
1として、各搬送ロール5、6、7、8、9を介して長
手方向延伸工程10へと送られる。
長手方向延伸工程10では、本実施例では4本の予熱用
加熱ロール11、12、13、14で加熱された後、低速側延伸
ロール15およびニップロール16と、高速側延伸ロール17
との間で所定の延伸倍率で長手方向に延伸される。
上記各搬送ロール5、6、7、8、9および各予熱用
加熱ロール11、12、13、14のうち、本実施例では、冷却
ロール4以降最初にプラスチックフィルム1が接触す
る、フィルムの冷却ロール面側に位置する搬送ロール6
と、その次の冷却ロール面側ロールである搬送ロール9
とが、表面がセラミックからなるセラミックロールに構
成されている。
このような構成を有する装置を用いてプラスチックフ
ィルム1を製膜したところ、長期間連続的に製膜した場
合にあっても、搬送ロール6および搬送ロール9の表面
には実質的に殆どフィルムからの昇華物は付着せず、極
く僅かに付着が見られた場合にあっても、付着昇華物は
そのままロール表面に保持されて、フィルム表面への転
写は全く生じなかった。この極く僅かな付着昇華物は、
そのまま、長期間にわたる生産ロットの間保持されたの
で、生産品種変更時等の設備一時停機時に、溶剤により
完全に除去することができ、生産中にはフィルムへの転
写は全くなく、したがってそれに起因するフィルム表面
欠点の発生も皆無であった。
また、搬送ロール9通過後のフィルムをサンプリング
して、その表面特性を調べたところ、容易に揮散しそう
な昇華物は既に殆ど揮散してしまっており、ロールへの
付着防止を達成する上で、本実施例では長手方向延伸工
程に至るまでの冷却ロール面側ロール6、9をセラミッ
クロールとするだけで十分な効果を得た。とくに、従来
最も昇華物が付着しやすかった、最初の冷却ロール面側
搬送ロール6への昇華物付着が抑えられたので、得られ
るフィルム1の表面品質が極めて安定した。
ただし、長手方向延伸工程に至るまでの搬送ロールが
より少数である場合、あるいはポリエチレンテレフタレ
ートよりも昇華物の多い熱可塑性樹脂を対象とする場合
等においては、長手方向延伸工程の予熱用加熱ロールの
うち冷却ロール面側ロールをセラミックロールとするこ
とが有効であり、一層確実にフィルム表面欠点発生防止
効果が得られる。
反冷却ロール面側ロールについては、冷却ロール4に
おける冷却固化中に、フリー状態のフィルム表面から、
揮散すべき昇華物は既にその大部分が揮散し切っている
ので、とくにセラミックロールを採用する必要性はな
い。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明のプラスチックフィルム
の搬送方法によるときは、冷却ロール以降の少なくとも
最初のフィルム冷却ロール面側に位置するロールをセラ
ミックロールとしたので、フィルムからの昇華物のロー
ル表面への付着を効率よく抑制するとともに、たとえ微
小量該ロール表面に昇華物が付着した場合にあってもそ
の付着昇華物のフィルムへの転写を効果的に防止するこ
とができ、付着昇華物に起因するフィルム表面欠点の発
生を防止して、品質向上、生産性向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の一実施例に係る方法を実施するためのプラ
スチックフィルム製膜設備の概略構成図である。 1……プラスチックフィルム 2……口金 3……溶融ポリマ 4……冷却ロール 5、7、8……搬送ロール 6、9……セラミック搬送ロール 10……長手方向延伸工程 11、12、13、14……予熱用加熱ロール 15、17……延伸ロール

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂の溶融ポリマを冷却ロールで
    冷却固化してプラスチックフィルムとし、該プラスチッ
    クフィルムをロールを介して長手方向延伸工程まで搬送
    するプラスチックフィルムの搬送方法において、前記冷
    却ロールの次のロールから長手方向延伸予熱用加熱ロー
    ルまでのロールのうち、前記プラスチックフィルムの前
    記冷却ロール面側に位置する、少なくとも最初のロール
    に、表面がセラミックからなるセラミックロールを用い
    て前記プラスチックフィルムを搬送することを特徴とす
    るプラスチックフィルムの搬送方法。
JP27077488A 1988-10-28 1988-10-28 プラスチックフィルムの搬送方法 Expired - Lifetime JP2569768B2 (ja)

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