JP2568223B2 - セメント懸濁液組成物 - Google Patents

セメント懸濁液組成物

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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
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    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は地盤改良剤として地盤に注入されたり基礎構
造物材料として型枠中に打ち込まれたりするセメント懸
濁液組成物に関するものである。
[発明の背景] 従来、この種の地盤改良剤や基礎構造物材料としては
セメントを水に懸濁させたセメント懸濁液が用いられて
いる。しかし該セメント懸濁液は凝結硬化速度が遅く、
凝結硬化するまでに数時間を要するために凝結硬化前に
セメント懸濁液中のセメントが沈降分離してしまう。そ
のためにセメント懸濁液が不均一になり注入されたセメ
ント懸濁液の一部が凝結硬化するだけで全体的に完全な
凝結硬化が期待できない。そして凝結硬化前にセメント
懸濁液の一部が対象地盤から逸出し、材料損失が大きく
なるうえに環境が汚染されるという問題も生ずる。
[従来の技術] このようなセメント懸濁液の問題点を解消するために
従来、種々な改良組成が提供されている。このような改
良組成としてはセメント懸濁液に水ガラスを併用するも
の、セメントとして超早強セメントや急結セメントを用
いるもの、セメントの全部又は一部をアルミナセメント
とし更に所望なれば炭酸カリウム、石膏、石灰等を添加
するもの、アルミン酸アルカリ金属塩をセメント懸濁液
に添加するもの等がある。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら水ガラスを併用すると凝結硬化物の強度
および耐久性が低下し、特に基礎構造物材料として不適
となり、超早強セメントや急結セメントを用いると凝結
硬化時間が早くなり過ぎて組成物調整中あるいは注入途
中で硬化してしまうおそれがあり、アルミナセメントを
用い所望なれば炭酸カリウム等の添加剤を添加すると凝
結硬化時間は適度に短縮され得るが水/セメント比が非
常に大きく、水和生成物の転移等による強度低下あるい
は強度発現不良が著しく、アルミン酸アルカリ金属塩を
添加するものはいまだ凝結硬化時間の短縮が不十分であ
る。
[問題点を解決する為の手段] 先に本発明者らは上記従来の問題点を解決する手段と
して、セメントを水に懸濁させたセメント懸濁液とアル
ミン酸アルカリ金属塩と、塩基性炭酸マグネシウムおよ
び/またはアルカリ土類金属水酸化物とからなるセメン
ト懸濁液組成物等を提供した(特願昭61−304488(特公
平3−4497)、特願昭62−208505(特開昭64−5135
5))。先に提案した方法はセメントのゲルタイムを数
秒から数分に設定することができ、地盤や型枠に注入す
る際に例えばY字管、2重管等を用い注入直前にA液と
B液とを混合する二液型でもって施工する。一方、主に
作業性および経済的な理由から一液型で注入可能な注入
剤すなわちゲルタイムが数十分程度に設定できる注入剤
が必要とされる場合がある。従来、かかる場合はセメン
トの急結剤と遅延剤を組み合わせ、場合によってはセメ
ントが凝結硬化する前に沈降分離しないようベントナイ
ト、ヒドロキシメチルセルロース、ポリオキシエチレン
などの増粘剤が用いられる。しかしながらセメントにこ
れらの増粘剤を混入させると強度低下を引き起こすばか
りでなく管輸送困難な程増粘するので作業性が低下し増
粘を抑えるとブリーシング水が多くなるという欠点があ
った。また、単にセメントの急結剤と遅延剤を組み合わ
せただけでは強度低下することなくゲルタイムを数十分
に設定したりブリージング水を少なくすることが困難で
あった。
我々はかかる問題を解決すべく鋭意研究した結果本発
明に到達したものでこれは、セメントと有機カルボン酸
(塩)および石膏を水に溶解または懸濁させた液に、少
なくともアルミン酸アルカリ金属塩と炭酸アルカリ金属
塩を溶解または懸濁させて成ることを特徴とするセメン
ト懸濁液組成物を提供するものである。
本発明に用いられるセメントとはボルトランドセメン
トが主体であり、該ボルトランドには高炉セメント、シ
リカセメント、フライアッシュセメント等が混合されて
もよい。
本発明に用いられるアルミン酸アルカリ金属塩とはア
ルミン酸のリチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカ
リ金属塩であり、通常入手容易な点からカリウム塩また
はナトリウム塩が用いられ、Mをアルカリ金属塩とする
とM2O/Al2O3が0.8〜1.4程度である。通常セメントに対
して1〜20重量%使用される。
本発明に用いられる炭酸アルカリ金属塩とは炭酸のリ
チウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩であ
り、通常入手容易な点からカリウム塩またはナトリウム
塩が用いられ、セメントに対して1〜20重量%使用され
る。
本発明に用いられる有機カルボン酸(塩)としては、
例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウ
ム、あるいはこれらの水和物が挙げられる。これらの有
機カルボン酸(塩)は、通常セメントに対して0.1〜2
重量%添加される。
本発明に用いられる石膏とは半水石膏、二水石膏であ
るが好ましくは半水石膏である。通常セメントに対して
1〜10重量%使用される。
本発明のセメント懸濁液組成物において、セメント懸
濁液は通常重量比としてセメント:水の比率が2:1〜0.
6:1程度とされ、アルミン酸アルカリ金属塩と炭酸アル
カリ金属塩の重量比率は1:1〜1:4程度が好ましい。
本発明のセメント懸濁液組成物は通常は地盤や型枠に
注入する際にセメントと有機カルボン酸(塩)および石
膏を水に溶解または懸濁させた液に、少なくともアルミ
ン酸アルカリ金属塩と炭酸アルカリ金属塩を溶解または
懸濁させてから注入する。なお、有機カルボン酸(塩)
と石膏とセメントとを溶解または懸濁させた液に、グル
コン酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ク
エン酸カリウムなどの公知の遅延剤を更に添加してもよ
い。これらの遅延剤は、通常セメントに対して0〜0.5
重量%添加される。調整方法は撹拌機付き容器に水を入
れ、充分撹拌しながら有機カルボン酸(塩)と石膏を添
加し、続いてセメントを添加して充分懸濁させた後にア
ルミン酸アルカリ金属塩と炭酸アルカリ金属塩を添加す
ることが好ましい。
[作 用] 有機カルボン酸(塩)はセメントの水和初期にアルミ
ン酸アルカリ金属塩および炭酸アルカリ金属塩が共存す
ることによって極めて大きな凝結硬化促進作用を示す一
方、十数時間以後の強度発現を遅延させる。しかしなが
ら石膏が共存すると初期の凝結硬化促進作用を任意に遅
延させて数十分から2時間程度の流動性を保持する一
方、有機カルボン酸(塩)の遅延作用を打ち消して強度
発現を促進させるばかりでなくブリージング水を減少さ
せる。これとは逆にセメントの水和が始まった後に有機
カルボン酸(塩)を添加すると単に遅延作用を示すのみ
で凝結硬化促進作用が低下し、したがって石膏による強
度発現の促進効果が低下する。
[発明の効果] したがって本発明のセメント懸濁液組成物は調整中や
地盤や型枠に注入する途中では硬化せず、注入後はセメ
ントが沈降分離する以前に硬化するように凝結硬化時間
を調整することが可能であり全体的に均一に硬化せしめ
て極めて強度の大きな凝結硬化体を得ることが出来る。
しかも、ブリージング水を減少させることができる。
次ぎに実施例をもって本発明を説明する。
実施例1. 撹拌機付き容器に水を入れ、撹拌しながらクエン酸と
半水石膏を第1表に示すように添加した。次ぎにセメン
ト800gを添加した後にAl2O3成分が52.9重量%、モル比N
a2O/Al2O3が1.2のアルミン酸ナトリウムと炭酸ナトリウ
ムとを25:75に混合したものを30gとグルコン酸ナトリウ
ム1gを添加した。水は練り上がりセメント懸濁液が1
になるように調整した。
セメント懸濁液を作製してから5分後にフロー(Jロ
ート)を測定した。同時にブリージング水測定用のサン
プリングをして20時間後にブリージング水を測定した。
ゲルタイムおよび一軸圧縮強度を測定した結果もまとめ
て第1表に示した。
第1表では適当量のクエン酸の存在によって強度発現
が促進され、適当量の半水石膏の共存によって更に強度
発現が促進されるばかりでなくゲルタイムが延長され、
同時にブリージング水が減少することがわかる。
実施例2. 実施例1で用いたクエン酸の代わりに、第2表に示し
た有機カルボン酸(塩)5gを使用し、実施例1で用いた
アルミン酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合物75gを
使用した以外は実 験No23と同様にセメント懸濁液を調整し、ゲルタイム等
を測定した。結果を第2表に示した。
第2表では有機カルボン酸としてクエン酸(塩)、リ
ンゴ酸(塩)を使用すると強度発現を促進させるばかり
でなくブリージング水を減少させることもわかる。実現
No28、30に示したように石膏として二水石膏を使用する
と半水石膏に比較して強度発現がやや劣り、ブリージン
グ水がやや多いことがわかる。一方、クエン酸(塩)は
ゲルタイムを延長させるがリンゴ酸(塩)は延長させな
いことがわかる。
実施例3. 第3表に示すようにアルミン酸アルカリ金属塩と炭酸
アルカリ金属塩の比率を変えた混合物50gを使用した以
外は実験No29と同様にセメント懸濁液を調整し、ゲルタ
イム等を測定した。結果を第3表に示した。
第3表ではアルミン酸アルカリ金属塩と炭酸アルカリ
金属塩の重量比率は強度発現の促進およびブリージング
水の減少の点から1:1〜1:4程度が好ましいことがわか
る。
実施例4. 第4表に示すようにグルコン酸ナトリウムとセメント
を変量した以外は実験No29と同様にセメント懸濁液を調
整し、ゲルタイム等を測定した。結果を第4表に示し
た。
第4表では適当量のグルコン酸ナトリウムやクエン
酸、クエン酸ナトリウムなどの遅延剤を用いることによ
って強度発現が低下することなくゲルタイムを延長させ
ることがわかる。
比較例1. 実験No62において実験No62と同量のアルミン酸ナトリ
ウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、半水石
膏、グルコン酸ナトリウムを一括混合し、該混合物をセ
メントを添加した後に添加してセメント懸濁液を調整し
た。
該添加方法ではゲルタイムおよびブリージング水は実
験No62と同程度であるが強度発現が低下することがわか
る。
比較例2. 実験No62において比較例1で用いた添剤の混合物をセ
メントを添加する前に添加してセメント懸濁液を調整し
た。
該添加方法ではゲルタイムは大幅に延長し、ブリージ
ング水は極端に多くなる。また強度発現も低下すること
がわかる。
比較例3. 実験No62においてセメントを添加する前にグルコン酸
ナトリウムをクエン酸ナトリウム、半水石膏と一緒に添
加してセメント懸濁液を調整した。
該添加方法ではブリージング水および強度発現は実験
No62と同程度であるがゲルタイムを延長させる効果が小
さいことがわかる。
なお、比較例1〜3は、実験No62の効果との比較のた
めに便宜上「比較例」と記したのであって、本発明の実
施例に属さないという意味ではない。つまり、比較例
1、3は、ゲルタイムが数十分の範囲内にあり、しか
も、表1のデータと比較しても、ブリージング水および
圧縮強度の値が優れていることから、比較例1、3が本
発明に属することは明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 17/44 C09K 17/44 P 17/48 17/48 P C09K 103:00 (56)参考文献 特開 昭62−132746(JP,A) 特開 昭61−247648(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セメントと有機カルボン酸(塩)および石
    膏を水に溶解または懸濁させた液に、少なくともアルミ
    ン酸アルカリ金属塩と炭酸アルカリ金属塩を溶解または
    懸濁させて成ることを特徴とするセメント懸濁液組成
    物。
  2. 【請求項2】該アルミン酸アルカリ金属塩がアルミン酸
    ナトリウムおよび/またはアルミン酸カリウムである
    「特許請求の範囲第(1)項」に記載のセメント懸濁液
    組成物。
  3. 【請求項3】該炭酸アルカリ金属塩が炭酸ナトリウムお
    よび/または炭酸カリウムである「特許請求の範囲第
    (1)項または第(2)項」に記載のセメント懸濁液組
    成物。
  4. 【請求項4】該有機カルボン酸(塩)がクエン酸、クエ
    ン酸ナトリウム、クエン酸カリウムから選ばれた少なく
    とも1種である「特許請求の範囲第(1)項または第
    (2)項または第(3)項」に記載のセメント懸濁液組
    成物。
  5. 【請求項5】該石膏が半水石膏である「特許請求の範囲
    第(1)項または第(2)項または第(3)項または第
    (4)項」に記載のセメント懸濁液組成物。
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