JP2567432B2 - 導電性樹脂組成物 - Google Patents

導電性樹脂組成物

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JP2567432B2 JP62312189A JP31218987A JP2567432B2 JP 2567432 B2 JP2567432 B2 JP 2567432B2 JP 62312189 A JP62312189 A JP 62312189A JP 31218987 A JP31218987 A JP 31218987A JP 2567432 B2 JP2567432 B2 JP 2567432B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 近年、IC、LSI等のエレクトロニクス機器を静電気に
よる破壊から守るため、あるいは、クリーンルーム中で
の塵埃の付着を少なくするための帯電防止を施した材料
が望まれている。帯電は絶縁性の物質に起こる現象であ
り、従ってこの場合には樹脂の帯電防止が主要な目的と
なる。
本発明は、帯電防止特性を有する樹脂に関して、特に
白色を呈し、または顔料を共存させることで美観ある帯
電防止樹脂を提供する。
〔従来技術と問題点〕
樹脂の帯電防止をするためには、樹脂に導電性フィラ
ーを混練して導電化することが一般に行なわれている。
導電性フィラーには、カーボン、金属および金属酸化
物等が知られている。カーボン系、または、金属系は球
状、繊維状等種々の形状のものが使用されているが、色
の灰色あるいは黒色を呈し他の色に着色することが難か
しい。白色を呈する導電性フィラーとして酸化チタンに
SbドープSnO2を被覆した粉末、あるいはAl等をドープし
たZnO粉末が知られている。しかし、これらの粉末は形
状が球状であり、樹脂中での接触確率が小さいため樹脂
中にフィラーを40%以上含有させないと導電性が出な
い。
金属を被覆した合成繊維はすでに知られている。即
ち、これはアクリル、ポリエステル、ポリアミド等の合
成繊維にNi、Cuの一種または二種を被覆したもので、比
重が小さくアスペクト比が大きいため少含有量で導電性
が出せる。しかし、この様な金属を被覆した繊維は樹脂
に混入すると急激な抵抗変化が起こり帯電防止の要求す
る範囲の抵抗値にコントロールすることが難かしい。例
えば、0.5mmの合成繊維の場合、含有量が6%以下では1
012Ω/□以上で絶縁体に近く、7%以上になると、103
Ω/□以下となって帯電防止に適当な104〜107Ω/□の
範囲の抵抗値にすることができない。
一方、白色を呈する導電性粉末は通常それ自体が金属
よりも104〜105Ω/□ほど抵抗値が高く、このままであ
ると、40%含有で109Ω/□、50%含有でも107Ω/□で
あるから含有量を多くする必要がある。
一方、金属を被覆した合成繊維以外の繊維、例えばカ
ーボン繊維でも同様の効果が期待出来るが、これは、10
%以上の含有量が必要で色も黒くなるため、白色を呈す
る導電性粉末と併用しても白色にすることは出来ない。
金属繊維も同様である。その他の導電繊維としてAlで被
覆したガラス繊維等があり、白色化は可能であるが、比
重が大きいため、10%以上の含有量が必要で芯材がガラ
スであるために混練中に折れ易く分散が難しい等の欠点
がある。
〔問題解決に係る知見〕
本発明者等は、上記欠点を解決すべく鋭意研究を行な
ったところ金属で被覆した合成繊維と白色導電性粉末と
を共存させることで相乗効果が得られ、低含有量で一方
のみでは得られなかった104〜107Ω/□の安定した特性
をもち白色の樹脂が得られることを見出して本発明を完
成した。
〔発明の構成〕
本発明は、NiおよびCuの一または二種の金属を被覆し
た長さ0.1〜2mmの合成繊維と白色導電性粉末の両者を重
量比で1〜4:9〜6の割合で合計5〜40%含有する導電
性樹脂組成物を提供する。
この導電性樹脂組成物は、104〜107Ω/□のオーダー
の表面抵抗値を示し、帯電防止用として最適である。な
お、以下の説明において、%は特に指定のない限り重量
%である。
本発明で使用される金属を被覆した合成繊維は通常の
無電解めっき法で作られる。たとえば、脱脂、Sn/Pd系
活性化の後、無電解めっき液に浸漬することで得られ
る。被覆する金属はNi及びCuの一種または二種で、後者
の場合は下地としてCuを被覆した後に耐食性を向上させ
る目的で、Niを被覆したものである。金属の被覆量は導
電性を示す範囲であればよいが、白色保持の観点から10
〜30%が望ましい。10%未満では、金属の被覆量が少な
すぎて繊維を均質に被覆できないため、被覆面からの乱
反射により色が黒みをおび易く30%を越えると繊維の比
重が大きくなって混合乃至塗料化が難かしくなる。
芯材の合成繊維は、アクリル、ポリエステル、ポリア
ミド等市販のものが用いられ長さが0.1〜2.0mmで、好ま
しくは0.2〜1.0mmである。0.1mm未満であると繊維の効
果が少なく多量に用いる必要がある。2mmを越えると分
散することが難かしく、抵抗値にバラツキが出る原因と
なる。
また、金属を被覆する場合、予め、この長さに繊維を
切断したものを用いるが、先に金属を被覆した長繊維を
後で切断しても良い。
白色を呈する導電性粉末はたとえば特開昭56−41608
に示されている方法で製造されたものが適用される。即
ち、TiO2または他の白色担体上に、加水分解等によって
SbドープSnO2導電層を薄く被覆したもの、また、Al等を
加えたZnOを還元雰囲気で焼成したもの等である。これ
らの粉末の抵抗は100kg/cm2の圧粉状態で測定したと
き、1〜数100Ω/□となっている。
金属被覆合成繊維と白色導電性粉末との混合割合は重
量で1〜4:9〜6が適当である。繊維が1:9より少ないと
導電性粉末との相乗効果が得られず、4:6より多くなる
と黒味を帯びてきて白色が保有できない。これらのもの
は予め混合しておいてもよいし、また樹脂と混練すると
き同時に混入してもよい。
これらを樹脂と混合する場合の割合は樹脂に対して5
〜40%重量%が好ましい。5%以下では金属被覆繊維と
導電性粉末との相乗効果が得られず、抵抗値が108Ω/
□より大きくなり、40%以上では相乗効果は生じるが白
色を呈する導電性粉末単体と抵抗値に大差なく相乗効果
の意味を持たない。5%〜40%の範囲では少量の白色を
呈する導電性粉末を金属を被覆した繊維がブリッジの役
割をして安定した抵抗値を与え、あるいは、過剰の繊維
を導電性粉末が覆うことで急激な抵抗変化を妨げ安定し
た抵抗値を与えることで相乗効果が働いている。
樹脂と混合する場合は、二本ロール押出成型機等を用
いて樹脂中に直接混入することもでき、また、塗料中に
混合し、プラスチック基材に塗布することも出来る。
白色以外の着色が必要であれば任意の着色材を添加す
ることで容易に行なわれる。
以下、実施例を挙げて詳細に説明するが本発明は実施
例に限定されるものではない。
実施例 チョップしたアクリル繊維(東レ製、1.5d、0.5mm)8
0gを脱脂洗浄後、塩化スズ(II)10g/、塩酸10ml/
を含む液に浸漬し、室温で5分間攪拌し、次いでその繊
維を、塩化パラジウム1g/、塩酸1ml/を含む液に浸
漬して再び室温で5分間攪拌した。以上の前処理をした
アクリル繊維を硫酸ニッケル22.58/、クエン酸ナトリ
ウム50g/、チオ尿素10mg/、次亜リン酸ナトリウム5
0g/、アンモニア水100ml/からなる無電解Niめっき
液4中に浸漬し40℃で攪拌、反応終了後20%Ni被覆の
繊維を得た。このようにして得られたNi被覆アクリル繊
維を白色導電性粉末(三菱金属(株)製、W−1)と1:
9、2:8、3:7、4:6の割合でそれぞれ混合し、この混合物
をアクリル塗料(関西ペイント製、GLクリヤー)に5、
10、20、30、40(%)混入して塗料化した。これを塗膜
として表面抵抗値を測定した結果表に示す結果を得た。
比較のためにNi被覆したアクリル繊維のみおよび白色導
電性粉末のみを塗料に混入した場合の表面抵抗値を併記
した。
実施例2 実施例1で得られたNi20%被覆アクリル短繊維と実施
例1で使用した白色導電粉とを、1:9,2:8,3:7,4:6の四
通りの割合で混合し、透明軟質塩ビ(三菱モンサント
製)に5%,10%,20%,30%,40%の割合で145℃で練り
込み、170℃でシート状に成形したものの表面抵抗値を
測定した。
比較例としてそれぞれ単独で練り込んだ試料を測定し
た。
〔発明の効果〕 実施例1および実施例2の結果からわかるように、導
電性繊維のみを樹脂に配合した場合には、配合量を5%
から10%に増やすと、表面抵抗値が109Ω/□超から102
〜103Ω/□台に急激に低下し、帯電防止用に最適な104
〜107Ω/□台の範囲内に表面抵抗値を調整することが
困難である。一方、白色導電粉のみを樹脂に含有させた
場合には、配合量を40%まで増大させてもなお表面抵抗
値は108〜109Ω/□台と高く、帯電防止用に十分な導電
性を得ることができない。
これに対し、本発明に従って導電性繊維と白色導電性
粉末とを1:9〜4:6の重量比で配合した場合には、合計配
合量が5〜40%の広い範囲内で、帯電防止用に最適の10
4〜107Ω/□台の表面抵抗値が得られる。従って、帯電
防止の用途に応じて、導電性繊維と白色導電性粉末との
配合比および合計配合量を変化させることにより、導電
性樹脂の表面抵抗値を104〜107Ω/□台の範囲内の所望
の値に正確に制御することができる。このような表面抵
抗値の制御は、導電性繊維のみを使用した場合には不可
能である。
このように帯電防止に最適な導電性を示すことに加え
て、本発明の導電性樹脂組成物は、そのままでは外観が
白色であり、顔料を添加すれば任意の色に着色でき、美
麗さの点でも優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉住 素彦 埼玉県大宮市北袋町1―297 三菱金属 株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−152936(JP,A) 特開 昭61−168645(JP,A) 特開 昭59−213730(JP,A) 特開 昭62−109853(JP,A) 特開 昭61−141762(JP,A) 特開 昭57−65751(JP,A) 特開 昭62−201976(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂中に、NiおよびCuの一または二種の金
    属を被覆した長さ0.1〜2mmの有機合成繊維と白色導電性
    粉末とを1:9〜4:6の重量比で合計5〜40重量%含有す
    る、104〜107Ω/□のオーダーの表面抵抗値を有する帯
    電防止用導電性樹脂組成物。
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