JP2566648Y2 - 機械式駐車場における半ドア用安全柵付パレットおよびそれを用いた半ドア用安全装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は機械式駐車場における半
ドア用安全柵付パレットおよびそれを用いた半ドア用安
全装置に関する。自動車をパレットに乗せて収納搬送す
る機械式駐車場では、自動車を出庫させたとき出庫用乗
降室にはパレットが残り、また入庫用乗降室には次の入
庫に備えて予じめパレットを用意しておかなければなら
ない。

【０００２】そのため、エレベータを２階床式にし、上
階に実車パレットを積み、下階に空パレットを収納し
て、エレベータにより空パレットを駐車室内より入庫用
乗降室に運び込む方式や、空パレットを段積みして、回
収・搬入する方式が検討されている。

【０００３】

【従来の技術】上記パレットには半ドア用安全柵が取付
けられるが、この半ドア用安全柵は、機械式駐車場にお
いて自動車をパレットに乗せて搬送する途中でドアーが
開いて事故を起すことを防止するもので、パレットの左
右両側縁に取付けられている。

【０００４】従来の半ドア用安全柵として、特開昭５０
−２１４６７号公報や実公昭６２−１４２８３号公報に
記載されたものがある。これらの従来例はいずれも、パ
レットが乗降室にあり、運転者がパレット上の自動車に
乗り降りするときのみ、半ドア用安全柵が倒伏するが、
パレットが乗降室から出るとバネなどの力により、自動
的に起立するものが用いられている。したがって、空パ
レット（自動車が乗っていないパレット、以下同じ）で
あっても、駐車室や搬送台車上、あるいはエレベータ上
で、常に起立した状態となる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】上記のような常に起立
した空パレットをエレベータで回収するのは、エレベー
タに大きな収納スペースを必要とし現実的でない。ま
た、段積み回収方式においても別途複雑な装置を必要と
する。

【０００６】本考案は上記の事情に鑑み、空パレットを
回収搬送するエレベータ等の装置の収容スペースを小さ
くし、また空パレットを段積みするのに支障ないよう
に、空パレット状態では常に半ドア用安全柵を倒伏状態
に保つようにしたパレットをおよびそれを用いた半ドア
用安全装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１の半ドア用安全
柵付パレットは、機械式駐車場において自動車を収納搬
送するパレットであって、該パレットの左右両側縁に半
ドア用安全柵が取付けられており、該半ドア用安全柵
が、起立時に自動車のドアーの側方に位置する横棒と、
該横棒に２本の支柱の上端を回動自在に軸着し、かつ各
支柱の下端をパレットの側縁に回動自在に軸着して、起
伏自在にパレットに取付けた平行リンク型の安全柵と、
該安全柵が倒伏した状態を支持するストッパーと、前記
安全柵の支柱を水平状態から９０゜以上起立させた状態
で支えるストッパーと、前記支柱と係合して支柱を９０
゜以上起立させた状態で拘束する拘束手段と、前記支柱
の一方の下端部に取り付けられたけりレバーとからなる
ことを特徴とする。

【０００８】請求項２の半ドア安全装置は、請求項１記
載の半ドア用安全柵付パレットと、該パレットの半ドア
用安全柵を起伏動させる起伏作動装置とからなり、該起
伏作動装置は前記安全柵の支柱に取り付けられたけりレ
バーとは機構的に係合連結が固定されていない開放型の
押し具を備えており、該押し具を前記支柱のけりレバー
に当接させて支柱を回動させるよう構成されていること
を特徴とする。

【０００９】 請求項３の考案は、前記けりレバーが、二
又状に構成されていることを特徴とする。

【００１０】

【作用】請求項１のパレットでは、安全柵は起立状態で
はストッパーで支えられ、かつ拘束手段で自然に動かな
いように規制されているので、パレット移動中の振動や
加速度によって支柱が不測に倒伏するような事故を防止
できる。そして、９０゜以下の起立角度にすると拘束手
段の規制を脱し、自重で水平状態に倒伏し、その姿勢を
保つ。そして、起立姿勢を保つためのスプリング等の付
勢手段を用いていないので、安全柵がいったん倒伏する
と自然に起立することがない。このため、空パレットの
状態では常に安全柵が倒伏し、パレットの高さが低くな
っているので、空パレットの回収設備の収容スペースを
小さくでき、段積み回収する場合の回収装置も簡単な設
備でよくなる。

【００１１】請求項２の半ドア用安全装置では、起伏作
動装置と安全柵の支柱とは機構的に係合連結が固定され
ていないけりレバーと押し具で支柱を回動させるので、
支柱を起立あるいは倒伏した後、直ちにパレットを送り
駆動しても起伏作動装置が干渉することがない。このた
め、起伏作動装置の退避動作も必要なく、パレットの送
りを迅速かつ円滑に進めうる。

【００１２】 請求項３の考案のパレットでは、安全柵の
支柱は水平な状態とほぼ垂直な状態の二つの状態を選択
的にとるが、仮にけりレバーが一つのレバー部材のみで
あると、支柱の水平または垂直の状態でけりレバーがパ
レットの側面に収まってしまい、起立あるいは倒伏動作
ができなくなるが、本考案ではけりレバーは二又状であ
るので前記水平と垂直のどちらの状態でも、必ず二又の
一方が下方に向いているので、確実に押し具で押して、
支柱を回動させ安全柵を起伏させることができる。

【００１３】

【実施例】つぎに、本考案の一実施例に係るパレットと
それを用いた半ドア用安全装置を説明する。

【００１４】図１において、Ｐはパレット、Ｃは自動車
である。パレットＰの左右両側縁には自動車のドアーが
開くのを防止する半ドア用安全柵１が取付けられてい
る。この半ドア用安全柵１は、１本の横棒２と２本の支
柱３を有しており、支柱３の上端は横棒２の略両端部で
ピン連結され、支柱３の下端は根元ピン４でパレットＰ
の側縁部に回動自在に結合されている。前記横棒２は起
立時に自動車のドアーＤ側方に位置して、ドアーＤが開
いたとき、それ以上の開きを防止するものである。上記
の安全柵１はパレットＰと共に平行四辺形に配置された
平行リンクを構成し、支柱３が根元ピン４を中心に回動
することにより、起立し倒伏する。図１では、起立した
状態を実線で示し倒伏した状態を想像線で示している。

【００１５】そして、一方の支柱３の根元に近接してパ
レットＰの側縁にストッパー５が取付けられている。起
立時の支柱３は水平状態から９０゜以上の角度θで傾斜
しており、支柱３の背面側がストッパー５に支えられて
後述する拘束手段で保持されるようになっている。ま
た、支柱３を９０°以下の傾斜角に倒すと自重で水平状
態に自然と倒れ込み、想像線で示すように倒伏し、けり
レバー８がストッパー５の下面に当接し、この状態が自
重で保持される。このとき衝撃が発生しないように、パ
レットＰには緩衝材６を取付けておくのが好ましい。

【００１６】前記拘束手段の一例として図２および図４
に示す板バネ７を例示する。この板バネ７は平面視で概
略Ｕ字状に形成された部材で、支柱３がストッパー５上
に倒れてきたとき、それ自体の弾力性により開いて、支
柱３を収納し、弾性的に拘束して抜けを防止するもので
ある。したがって、地震その他の振動や移動中の加速度
が加わっても自然に支柱３が倒伏することはなく、しか
し起伏作動装置１０での強制離脱は自由に行える。な
お、このような弾性的拘束手段としては、上記のほかバ
ネ付デテントピンなどを用いてもよい。

【００１７】パレットＰの構成は上記のとおりであり、
かかるパレットＰが駐車場の乗降室、エレベータ、駐車
室を循環して、自動車を積載したパレット（実車パレッ
ト）を入出庫させ、また自動車が出ていった空パレット
を乗降室に回収する。そして、乗降室には自動車が乗り
込んだ実車パレットについては半ドア用安全柵１を起立
させ、自動車が出ていった空パレットについては半ドア
用安全柵１を倒伏させる起伏作動装置１０が設置されて
いる。

【００１８】つぎに、前記起伏作動装置１０まわりの詳
細を図２に基づき説明する。前記支柱３の根元には、二
又状に連結された２本のレバー部８ａ、８ｂからなるけ
りレバー８が取付けられている。一方、起伏作動装置１
０は、チェーンスプロケット１１と同軸で揺動するロー
ラ付き起伏作動レバー１２を備えており、前記スプロケ
ット１１に掛け廻わされたチェーン１３をモータ１４で
回転駆動するように構成されている。

【００１９】したがって、図２の状態で作動レバー１２
を矢印ａ方向に揺動させると、けりレバー８の一方のレ
バー部８ｂを押して支柱３を倒伏（矢印Ｃ方向）させる
ことができる。この場合、支柱３が水平になるまで起伏
作動装置１０を働らかせる必要はなく、支柱３が９０゜
（つまり垂直状態）よりわずかに矢印Ｃ方向に倒すだけ
で、後は自重によって自然倒伏する。また、支柱３が水
平に倒伏した状態から起立させるときは、図３に示すよ
うに、作動レバー１２を矢印ｂ方向に揺動させると上記
とは反対側のレバー部８ｂを押して、支柱３を起立させ
る（矢印ｄ方向）ことができる。

【００２０】上記のけりレバー８と作動レバー１２と
は、けりレバー８の開放側から作動レバー１２の離脱は
自由であるので、係合連結が固定されていない機構であ
り、作動レバー１２は開放型の押し具に相当する。した
がって、安全柵１を起立、あるいは倒伏させた後、起伏
作動装置１０を退避動作させることなく、直ちにパレッ
トＰを移動させることができる。なお、前記作動レバー
１２の代りに水平移動ブロック等を用いてもよい。

【００２１】本実施例は、以上のごとく安全柵１にバネ
などの復元手段を取付けていないので、一度支柱３を倒
伏させておくと、その倒状姿勢が保たれ、搬送中に別の
手段でバネなどの力を押えてやる必要がない。そのた
め、空パレット回収装置のスペースが小さくなり複雑な
装置も不要となるので設備コストが低減される。

【００２２】

【考案の効果】請求項１の考案によれば、空パレットの
回収装置を小さく、簡単な構造のものにして設備コスト
を低減することができる。請求項２の考案によれば、パ
レットと起伏作動装置の干渉がなく、パレットの送りを
迅速かつ円滑に進めうる。 請求項３の考案によれば、支
柱が起立していても水平に起伏していても確実に押し具
で支柱を起伏動作させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る半ドア用安全柵付パレ
ットと起伏作動装置の側面図である。

【図２】支柱３のけりレバー８と起伏作動装置１０の側
面図である。

【図３】支柱３を起立させる動作の説明図である。

【図４】板バネ７の平面図である。

【符号の説明】

１ 半ドア用安全柵 ２ 横棒 ３ 支柱 ５ ストッパ
ー ８ けりレバー ７ 板バネ １０ 起伏作動装置 １２ 作動レ
バー

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機械式駐車場において自動車を収納搬送す
   るパレットであって、該パレットの左右両側縁に半ドア
   用安全柵が取付けられており、 該半ドア用安全柵が、起立時に自動車のドアーの側方に
   位置する横棒と、該横棒に２本の支柱の上端を回動自在
   に軸着し、かつ各支柱の下端をパレットの側縁に回動自
   在に軸着して、起伏自在にパレットに取付けた平行リン
   ク型の安全柵と、該安全柵が倒伏した状態を支持するス
   トッパーと、 前記 安全柵の支柱を水平状態から９０゜以上起立させた
   状態で支えるストッパーと、前記支柱と係合して支柱を
   ９０゜以上起立させた状態で拘束する拘束手段と、前記
   支柱の一方の下端部に取り付けられたけりレバーとから
   なることを特徴とする機械式駐車場における半ドア用安
   全柵付パレット。
2. 【請求項２】請求項１記載の半ドア用安全柵付パレット
   と、該パレットの半ドア用安全柵を起伏動させる起伏作
   動装置とからなり、該起伏作動装置は前記安全柵の支柱
   に取り付けられたけりレバーとは機構的に係合連結が固
   定されていない開放型の押し具を備えており、該押し具
   を前記支柱のけりレバーに当接させて支柱を回動させる
   よう構成されていることを特徴とする機械式駐車場にお
   ける半ドア用安全装置。
3. 【請求項３】 前記けりレバーが、二又状に構成されてい
   ることを特徴とする請求項１または２記載の半ドア用安
   全柵付パレットまたは半ドア用安全装置。