JP2563970B2 - 酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法 - Google Patents
酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法に関す
る。
る。
(従来の技術) ZnOを主成分とし、Bi2O3等の添加成分を含む焼結体か
らなる酸化亜鉛電圧非直線抵抗体は、非直線の電圧−電
流特性を有し、印加電圧の増大に伴いその抵抗が急激に
減少し、電流が急増するので、異常な高電圧を吸収する
避雷器、サージ吸収素子などに広く使用されている。
らなる酸化亜鉛電圧非直線抵抗体は、非直線の電圧−電
流特性を有し、印加電圧の増大に伴いその抵抗が急激に
減少し、電流が急増するので、異常な高電圧を吸収する
避雷器、サージ吸収素子などに広く使用されている。
上述した酸化亜鉛電圧非直線抵抗体は、従来、次のよ
うな方法により製造されている。まず、主成分である酸
化亜鉛(ZnO)の粉末と添加成分である酸化ビスマス(B
i2O3)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化コバルト(Co
O)、酸化マンガン(MnO)などの金属酸化物の微粉末と
を所定の割合で混合し、これを適宜な混合・粉砕器中で
媒体(例えばジルコニアボール)を用いて混合、粉砕し
た後、適宜なバインダで造粒する。つづいて、この造粒
物を金型に充填し、加圧成形してペレットとした後、11
00〜1350℃の温度域で焼成して酸化亜鉛電圧非直線抵抗
体を製造する。かかる方法で製造された酸化亜鉛電圧非
直線抵抗体は、主成分であるZnOが通常、数μm〜数十
μmと比較的大きな粒を構成し、添加成分の大部分は該
ZnO粒子の粒界に介在して粒界相を構成している。こう
した微細構造を有する酸化亜鉛電圧非直線抵抗体におい
ては、各成分の組織上の均一度がサージ吸収を目的とす
る非直線抵抗体の安定向上化にとって重要な因子として
働く。
うな方法により製造されている。まず、主成分である酸
化亜鉛(ZnO)の粉末と添加成分である酸化ビスマス(B
i2O3)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化コバルト(Co
O)、酸化マンガン(MnO)などの金属酸化物の微粉末と
を所定の割合で混合し、これを適宜な混合・粉砕器中で
媒体(例えばジルコニアボール)を用いて混合、粉砕し
た後、適宜なバインダで造粒する。つづいて、この造粒
物を金型に充填し、加圧成形してペレットとした後、11
00〜1350℃の温度域で焼成して酸化亜鉛電圧非直線抵抗
体を製造する。かかる方法で製造された酸化亜鉛電圧非
直線抵抗体は、主成分であるZnOが通常、数μm〜数十
μmと比較的大きな粒を構成し、添加成分の大部分は該
ZnO粒子の粒界に介在して粒界相を構成している。こう
した微細構造を有する酸化亜鉛電圧非直線抵抗体におい
ては、各成分の組織上の均一度がサージ吸収を目的とす
る非直線抵抗体の安定向上化にとって重要な因子として
働く。
しかしながら、従来の製造方法にあっては原料として
用いるZnOの粉末や添加成分の粉末の粒径を均一に揃え
ることが困難であり、かつ一般に添加成分の添加量はZn
O粉末の量に比べて極めて少ないため、該添加成分と該Z
nO粉末との混合が不均一になり易くなる。その結果、均
一な微細構造を有する酸化亜鉛電圧非直線抵抗体を得る
ことが困難となる。このことは、製造ロット間又はロッ
ト内の特性バラツキを大きくし、品質安定性の低下を招
くばかりか、得られた酸化亜鉛電圧非直線抵抗体の電圧
非直線性、寿命特性、サージエネルギー耐量などのバリ
スタ特性のそのものの低下を招くことになる。
用いるZnOの粉末や添加成分の粉末の粒径を均一に揃え
ることが困難であり、かつ一般に添加成分の添加量はZn
O粉末の量に比べて極めて少ないため、該添加成分と該Z
nO粉末との混合が不均一になり易くなる。その結果、均
一な微細構造を有する酸化亜鉛電圧非直線抵抗体を得る
ことが困難となる。このことは、製造ロット間又はロッ
ト内の特性バラツキを大きくし、品質安定性の低下を招
くばかりか、得られた酸化亜鉛電圧非直線抵抗体の電圧
非直線性、寿命特性、サージエネルギー耐量などのバリ
スタ特性のそのものの低下を招くことになる。
一方、粒径が細かく、比較的粒径の揃った粉末を得る
方法として共沈法が知られている。この共沈法を採用し
た原料粉末の製造方法としては、特開昭58−225604号に
開示された水溶液中でZn塩とBi塩を共沈させる方法があ
る。しかしながら、かかる方法では酸化亜鉛電圧非直線
抵抗体の種々の特性を向上させるために添加する多くの
成分を目的とする組成通りに共沈させることが困難であ
ったり、溶液濃度に制限があるため取扱う溶液が膨大に
なったり、共沈により生成した亜鉛成分の粒径が非常に
細かいため成形が困難になったりする等、製造上多くの
問題があった。
方法として共沈法が知られている。この共沈法を採用し
た原料粉末の製造方法としては、特開昭58−225604号に
開示された水溶液中でZn塩とBi塩を共沈させる方法があ
る。しかしながら、かかる方法では酸化亜鉛電圧非直線
抵抗体の種々の特性を向上させるために添加する多くの
成分を目的とする組成通りに共沈させることが困難であ
ったり、溶液濃度に制限があるため取扱う溶液が膨大に
なったり、共沈により生成した亜鉛成分の粒径が非常に
細かいため成形が困難になったりする等、製造上多くの
問題があった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、上記従来の課題を解決するためになされた
もので、多数の添加成分を均一に混合することを可能と
し、均一な微細構造を形成し、品質の安定化とバリスタ
特性の向上を達成した酸化物電圧非直線抵抗体を簡単に
製造し得る方法を提供しようとするものである。
もので、多数の添加成分を均一に混合することを可能と
し、均一な微細構造を形成し、品質の安定化とバリスタ
特性の向上を達成した酸化物電圧非直線抵抗体を簡単に
製造し得る方法を提供しようとするものである。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明は、酸化亜鉛を主体とする粒子を分散させた第
一溶液を調製する工程と、前記粒子に対して所定のpH範
囲でゼータ電位が逆極性となる酸化ビスマスを主体とす
る粒子を分散させた第二の溶液を調製する工程と、前記
第一の溶液と第二の溶液をそれらの粒子のゼータ電位が
互いに逆極性となるpHにて混合する工程とを具備したこ
とを特徴とする酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法であ
る。
一溶液を調製する工程と、前記粒子に対して所定のpH範
囲でゼータ電位が逆極性となる酸化ビスマスを主体とす
る粒子を分散させた第二の溶液を調製する工程と、前記
第一の溶液と第二の溶液をそれらの粒子のゼータ電位が
互いに逆極性となるpHにて混合する工程とを具備したこ
とを特徴とする酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法であ
る。
前記ゼータ電位は、以下のように定義される。
殆どの固体は、極性溶媒と接する時、イオンの吸着ま
たは電離等によって表面電位を生じる。液体と固体の間
に相対運動が起こるとき、固着層は固体と一緒に動くの
で、このときの界面導電現象を支配するのは固着層と液
体内部の電位差であり、この電位差をゼータ電位とい
う。ゼータ電位は、電気泳動度から求めることができ
る。電気泳動度μとゼータ電位ζとの関係は、次式で表
される。
たは電離等によって表面電位を生じる。液体と固体の間
に相対運動が起こるとき、固着層は固体と一緒に動くの
で、このときの界面導電現象を支配するのは固着層と液
体内部の電位差であり、この電位差をゼータ電位とい
う。ゼータ電位は、電気泳動度から求めることができ
る。電気泳動度μとゼータ電位ζとの関係は、次式で表
される。
μ=εζ/(4πη) ここで、εは二重層の誘電率、ηは二重層の粘度であ
る。
る。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、所定の添加成分の金属塩を所定量のアルコール
に溶解させた後、これに所定量のZnOを添加して均一に
分散させる。ここに用いるアルコールとしては、例えば
エチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコ
ール、ブチルアルコール等を挙げることができる。つづ
いて、前記分散溶液を加水分解した後、濾別し、純水で
再分散させて第一の溶液を調製する。加水分解は、濃度
調節したアンモニア水(例えば水で1/50に希釈したアン
モニア水)を前記分散溶液に滴下することにより行な
う。アンモニア水以外では、KOH等のアルカリ溶液を用
いてもよい。こうした加水分解により添加成分(金属)
を含む粒子がZnO粒子の周囲に分子レベルのオーダーで
非常に均一に分散付着する。一方、Biを含む金属塩を少
量の酸で溶解した後、アルコールで溶解化する。つづい
て、この溶液を加水分解した後、濾別し、純水で再分散
させて第二の溶液を調製する。こうして調製された第一
の溶液に分散された粒子と第二の溶液に分散された粒子
とは所定のpH範囲においてゼータ電位が互いに逆極性と
なる性質を有する。なお、夫々の溶液に分散された粒子
のゼータ電位は、使用する金属塩、溶媒の種類、加水分
解条件等により制御される。
に溶解させた後、これに所定量のZnOを添加して均一に
分散させる。ここに用いるアルコールとしては、例えば
エチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコ
ール、ブチルアルコール等を挙げることができる。つづ
いて、前記分散溶液を加水分解した後、濾別し、純水で
再分散させて第一の溶液を調製する。加水分解は、濃度
調節したアンモニア水(例えば水で1/50に希釈したアン
モニア水)を前記分散溶液に滴下することにより行な
う。アンモニア水以外では、KOH等のアルカリ溶液を用
いてもよい。こうした加水分解により添加成分(金属)
を含む粒子がZnO粒子の周囲に分子レベルのオーダーで
非常に均一に分散付着する。一方、Biを含む金属塩を少
量の酸で溶解した後、アルコールで溶解化する。つづい
て、この溶液を加水分解した後、濾別し、純水で再分散
させて第二の溶液を調製する。こうして調製された第一
の溶液に分散された粒子と第二の溶液に分散された粒子
とは所定のpH範囲においてゼータ電位が互いに逆極性と
なる性質を有する。なお、夫々の溶液に分散された粒子
のゼータ電位は、使用する金属塩、溶媒の種類、加水分
解条件等により制御される。
次いで、前記第一の溶液と第二の溶液をそれらの粒子
のゼータ電位が互いに逆極性となるpHにて混合する。こ
うした混合により夫々の溶液に分散された粒子が互いに
異なる極性の電荷を有するため、相互に吸引力が働き、
分散されていた粒子単位で付着が起り均一な混合が実現
される。かかる粒子単位での付着、混合は、従来の粉末
同士の機械的な混合方法では到底達成することができな
い。なお、このような工程に使用される添加成分の金属
塩としては、例えばSb、Co、Mn、Ni、Cr、Si等などの硝
酸化物、塩化物、金属アルコキシド、アセチルアセトン
塩等を挙げることができる。
のゼータ電位が互いに逆極性となるpHにて混合する。こ
うした混合により夫々の溶液に分散された粒子が互いに
異なる極性の電荷を有するため、相互に吸引力が働き、
分散されていた粒子単位で付着が起り均一な混合が実現
される。かかる粒子単位での付着、混合は、従来の粉末
同士の機械的な混合方法では到底達成することができな
い。なお、このような工程に使用される添加成分の金属
塩としては、例えばSb、Co、Mn、Ni、Cr、Si等などの硝
酸化物、塩化物、金属アルコキシド、アセチルアセトン
塩等を挙げることができる。
次いで、前記両溶液の混合により得られた粒子を濾別
し、乾燥して原料粉末を得る。ひきつづき、この原料粉
末に適宜なバインダを添加し、成形した後、焼成するこ
とにより酸化物電圧非直線抵抗体を製造する。この焼成
において、原料粉末の活性が高いために従来の粉末の焼
結に比べて低い温度で焼結させることが可能となる。ま
た、原料粉末を直接焼結せずに、予め400〜700℃で仮焼
し、原料粉末中の総ての化合物を酸化物の状態にした
後、焼成させてもよい。但し、一般に高温で仮焼するほ
ど粉末の活性度が低下し、粉末同士の凝集が生じ易くな
るため好ましくないが、非直線性などのバリスタ特性に
は仮焼が好ましい場合もある。
し、乾燥して原料粉末を得る。ひきつづき、この原料粉
末に適宜なバインダを添加し、成形した後、焼成するこ
とにより酸化物電圧非直線抵抗体を製造する。この焼成
において、原料粉末の活性が高いために従来の粉末の焼
結に比べて低い温度で焼結させることが可能となる。ま
た、原料粉末を直接焼結せずに、予め400〜700℃で仮焼
し、原料粉末中の総ての化合物を酸化物の状態にした
後、焼成させてもよい。但し、一般に高温で仮焼するほ
ど粉末の活性度が低下し、粉末同士の凝集が生じ易くな
るため好ましくないが、非直線性などのバリスタ特性に
は仮焼が好ましい場合もある。
(作用) 本発明によれば、酸化亜鉛を主体とする粒子を分散さ
せた第一溶液と、前記粒子に対して所定のpH範囲でゼー
タ電位が逆極性となる酸化ビスマスを主体とする粒子を
分散させた第二の溶液を夫々調製した後、第一の溶液と
第二の溶液をそれらの粒子のゼータ電位が互いに逆極性
となるpHにて混合することによって、夫々の溶液に分散
された粒子が互いに異なる極性の電荷を有するため、相
互に吸引力が働き、分散されていた粒子単位で付着が起
り均一な混合が実現される。従って、かかる両溶液の混
合により得られた粒子を濾別し、乾燥して原料粉末に適
宜なバインダを加え、成形した後焼成することによっ
て、多数の添加成分の酸化物がZnO粉末間に均一な粒界
相として介在した微細構造を有し、品質の安定化とバリ
スタ特性の向上を達成した酸化物電圧非直線抵抗体を簡
単な工程で製造することができる。
せた第一溶液と、前記粒子に対して所定のpH範囲でゼー
タ電位が逆極性となる酸化ビスマスを主体とする粒子を
分散させた第二の溶液を夫々調製した後、第一の溶液と
第二の溶液をそれらの粒子のゼータ電位が互いに逆極性
となるpHにて混合することによって、夫々の溶液に分散
された粒子が互いに異なる極性の電荷を有するため、相
互に吸引力が働き、分散されていた粒子単位で付着が起
り均一な混合が実現される。従って、かかる両溶液の混
合により得られた粒子を濾別し、乾燥して原料粉末に適
宜なバインダを加え、成形した後焼成することによっ
て、多数の添加成分の酸化物がZnO粉末間に均一な粒界
相として介在した微細構造を有し、品質の安定化とバリ
スタ特性の向上を達成した酸化物電圧非直線抵抗体を簡
単な工程で製造することができる。
また、前記粒子単位で付着、混合された溶液に対し該
粒子と逆極性を有する他の添加成分の金属塩をアルコー
ル下で加水分解して得た粒子を分散させた第三、第四の
溶液等を順次混合させることにより、多成分粒子の混合
を容易に実現でき、これを同様な処理を行なって調製し
た原料粉末に適宜なバインダを加え、成形した後焼成す
ることによって、より多数の添加成分の酸化物がZnO粉
末間に均一な粒界相として介在した微細構造を有し、品
質の安定化とバリスタ特性の向上を達成した酸化物電圧
非直線抵抗体を簡単な工程で製造することができる。
粒子と逆極性を有する他の添加成分の金属塩をアルコー
ル下で加水分解して得た粒子を分散させた第三、第四の
溶液等を順次混合させることにより、多成分粒子の混合
を容易に実現でき、これを同様な処理を行なって調製し
た原料粉末に適宜なバインダを加え、成形した後焼成す
ることによって、より多数の添加成分の酸化物がZnO粉
末間に均一な粒界相として介在した微細構造を有し、品
質の安定化とバリスタ特性の向上を達成した酸化物電圧
非直線抵抗体を簡単な工程で製造することができる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
まず、Mn(C5H7O2)2・2H2O及びCo(C5H7O2)2・2H
2OをMnO、CoOに換算して夫々0.5モル%となるように秤
量し、これらをエチルアルコールに夫々溶解させ、全体
量を500mlとなるようにした。つづいて、この溶液にZnO
粉末(平均粒径0.4μm)を2g添加し、超音波により均
一に分散させた後、加熱還流させた。この溶液に少量の
純水を加え、部分的に加水分解させ、さらに加熱還流を
行なった。ここで、加熱還流とは、揮発性の有機化合物
の反応または混合を開放容器内で加熱しながら行なう場
合に必要な操作で、反応または混合させる反応容器の上
部に冷却器を取付け、加熱によって気化した溶剤等の物
質を凝縮させ、液体にしてもとの反応容器に戻すことを
いう。冷却後に希釈したアンモニア水を滴下し、加水分
解を行なった。こうして得られたMn及びCoを含む加水分
解粒が付着されたZnO粒子を限外濾過により洗浄、濾別
し、純水で再分散させて第一の溶液を調製した。
2OをMnO、CoOに換算して夫々0.5モル%となるように秤
量し、これらをエチルアルコールに夫々溶解させ、全体
量を500mlとなるようにした。つづいて、この溶液にZnO
粉末(平均粒径0.4μm)を2g添加し、超音波により均
一に分散させた後、加熱還流させた。この溶液に少量の
純水を加え、部分的に加水分解させ、さらに加熱還流を
行なった。ここで、加熱還流とは、揮発性の有機化合物
の反応または混合を開放容器内で加熱しながら行なう場
合に必要な操作で、反応または混合させる反応容器の上
部に冷却器を取付け、加熱によって気化した溶剤等の物
質を凝縮させ、液体にしてもとの反応容器に戻すことを
いう。冷却後に希釈したアンモニア水を滴下し、加水分
解を行なった。こうして得られたMn及びCoを含む加水分
解粒が付着されたZnO粒子を限外濾過により洗浄、濾別
し、純水で再分散させて第一の溶液を調製した。
次いで、Bi(NO3)3・5H2OをBi2O3換算で0.1モル%
となるように秤量し、これを濃硝酸で溶解させ、更にエ
チルアルコールを加えて全体量を100mlとした。つづい
て、この溶液を希釈したアンモニア水を滴下し、撹拌し
て加水分解を行なった。生成した沈澱物を限外濾過によ
り洗浄し、濾別し、純水で再分散させて第二の溶液を調
製した。
となるように秤量し、これを濃硝酸で溶解させ、更にエ
チルアルコールを加えて全体量を100mlとした。つづい
て、この溶液を希釈したアンモニア水を滴下し、撹拌し
て加水分解を行なった。生成した沈澱物を限外濾過によ
り洗浄し、濾別し、純水で再分散させて第二の溶液を調
製した。
前記第一及び第二の溶液に夫々分散されている粒子に
おけるpHを塩酸やアンモニア水を用いて変化させた時の
ゼータ電位を電気泳動法により測定したところ、第1図
に示す特性図を得た。図中のAは第一の溶液に分散した
粒子の特性線、Bは第二の溶液に分散した粒子の特性線
を夫々示す。この第1図よりpHが約5〜8の範囲内で前
記第一及び第二の溶液に夫々分散された粒子のゼータ電
位は互いに逆極性になることがわかる。
おけるpHを塩酸やアンモニア水を用いて変化させた時の
ゼータ電位を電気泳動法により測定したところ、第1図
に示す特性図を得た。図中のAは第一の溶液に分散した
粒子の特性線、Bは第二の溶液に分散した粒子の特性線
を夫々示す。この第1図よりpHが約5〜8の範囲内で前
記第一及び第二の溶液に夫々分散された粒子のゼータ電
位は互いに逆極性になることがわかる。
次いで、前記第一及び第二の溶液に夫々分散されてい
る粒子のゼータ電位が互いに逆極性で、夫々の絶対値が
ほぼ等しくかつ最大になるpH値(例えばpH7)に調節し
た後、両溶液を一気に混合した。つづいて、この溶液を
充分に撹拌し、濾別し、乾燥して原料粉末を得た。ひき
つづき、この原料粉末にバインダとしてのポリビニルア
ルコールを添加し造粒した後、この造粒物を所定形状の
金型に充填して円形状に加圧成形した。この後、円形状
成形体を1100℃で2時間焼成して酸化物電圧非直線抵抗
体を製造した。
る粒子のゼータ電位が互いに逆極性で、夫々の絶対値が
ほぼ等しくかつ最大になるpH値(例えばpH7)に調節し
た後、両溶液を一気に混合した。つづいて、この溶液を
充分に撹拌し、濾別し、乾燥して原料粉末を得た。ひき
つづき、この原料粉末にバインダとしてのポリビニルア
ルコールを添加し造粒した後、この造粒物を所定形状の
金型に充填して円形状に加圧成形した。この後、円形状
成形体を1100℃で2時間焼成して酸化物電圧非直線抵抗
体を製造した。
比較例 ZnO粉末にBi2O3、CoO及びMnOを実施例と同組成となる
ように配合し、ボールミルにより混合撹拌し、乾燥して
得た原料粉末を用いた以外、実施例と同様な方法により
酸化物電圧非直線抵抗体を製造した。
ように配合し、ボールミルにより混合撹拌し、乾燥して
得た原料粉末を用いた以外、実施例と同様な方法により
酸化物電圧非直線抵抗体を製造した。
しかして、本実施例及び比較例の酸化物電圧非直線抵
抗体について相対密度を測定した。また、各非直線抵抗
体の両面を研磨した後、Al電極を蒸着して試料を作製
し、これら試料によりV1mA、0.1mA〜1mAの電流領域での
非直線性(α)、V1mA変化率及びI/I0を測定した。これ
らの結果を下記第1表に示した。なお、V1mA変化率は試
料に8/10μsの衝撃電流を100A/cm2で1000回印加後のV
1mAの変化を百分率で表したものである。また、I/I0は
試料を120℃の恒温槽に入れ、V1mAの85%の電荷を印加
した時の初期電流(I0)と500時間経過後の電流(I)
の比で表したものである。
抗体について相対密度を測定した。また、各非直線抵抗
体の両面を研磨した後、Al電極を蒸着して試料を作製
し、これら試料によりV1mA、0.1mA〜1mAの電流領域での
非直線性(α)、V1mA変化率及びI/I0を測定した。これ
らの結果を下記第1表に示した。なお、V1mA変化率は試
料に8/10μsの衝撃電流を100A/cm2で1000回印加後のV
1mAの変化を百分率で表したものである。また、I/I0は
試料を120℃の恒温槽に入れ、V1mAの85%の電荷を印加
した時の初期電流(I0)と500時間経過後の電流(I)
の比で表したものである。
第1表から明らかなように本実施例の酸化物電圧非直
線抵抗体は、比較例の同非直線抵抗体に比べて非直線指
数が大きく、かつV1mA変化率及びI/I0が小さい値を示
し、非直線性及び安定性に優れていることがわかる。
線抵抗体は、比較例の同非直線抵抗体に比べて非直線指
数が大きく、かつV1mA変化率及びI/I0が小さい値を示
し、非直線性及び安定性に優れていることがわかる。
[発明の効果] 以上詳述した如く、本発明によれば粉砕工程が不要で
工程の簡略化と不純物の混入を防止できること、原料粉
末の微細化と活性化により比較的低温の焼成で緻密構造
にできること、多数の添加成分の酸化物がZnO粉末間に
均一な粒界相として介在した微細構造を有し、非直線性
に優れ、サージエネルギー耐量が大きく寿命特性も良好
で、更に優れた品質安定性を達成できること等の種々の
効果を奏する酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法を提供
できる。
工程の簡略化と不純物の混入を防止できること、原料粉
末の微細化と活性化により比較的低温の焼成で緻密構造
にできること、多数の添加成分の酸化物がZnO粉末間に
均一な粒界相として介在した微細構造を有し、非直線性
に優れ、サージエネルギー耐量が大きく寿命特性も良好
で、更に優れた品質安定性を達成できること等の種々の
効果を奏する酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法を提供
できる。
第1図は本発明の実施例で調製された第一、第二の溶液
に夫々分散された粒子のpH変化に対するゼータ電位を示
す特性図である。
に夫々分散された粒子のpH変化に対するゼータ電位を示
す特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 光雄 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内
Claims (1)
- 【請求項1】酸化亜鉛を主体とする粒子を分散させた第
一溶液を調製する工程と、前記粒子に対して所定のpH範
囲でゼータ電位が逆極性となる酸化ビスマスを主体とす
る粒子を分散させた第二の溶液を調製する工程と、前記
第一の溶液と第二の溶液をそれらの粒子のゼータ電位が
互いに逆極性となるpHにて混合する工程とを具備したこ
とを特徴とする酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63106523A JP2563970B2 (ja) | 1988-04-28 | 1988-04-28 | 酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63106523A JP2563970B2 (ja) | 1988-04-28 | 1988-04-28 | 酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法 |
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JPH01276703A JPH01276703A (ja) | 1989-11-07 |
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1988
- 1988-04-28 JP JP63106523A patent/JP2563970B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH01276703A (ja) | 1989-11-07 |
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