JP2563971B2 - 酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法 - Google Patents

酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法

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JP2563971B2 JP63106524A JP10652488A JP2563971B2 JP 2563971 B2 JP2563971 B2 JP 2563971B2 JP 63106524 A JP63106524 A JP 63106524A JP 10652488 A JP10652488 A JP 10652488A JP 2563971 B2 JP2563971 B2 JP 2563971B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法に関す
る。
(従来の技術) ZnOを主成分とし、Bi2O3等の添加成分を含む焼結体か
らなる酸化亜鉛電圧非直線抵抗体は、非直線の電圧−電
流特性を有し、印加電圧の増大に伴いその抵抗が急激に
減少し、電流が急増するので、異常な高電圧を吸収する
避雷希、サージ吸収素子などに広く使用されている。
上述した酸化亜鉛電圧非直線抵抗体は、従来、次のよ
うな方法により製造されている。まず、主成分である酸
化亜鉛(ZnO)の粉末と添加成分である酸ビスマス(Bi2
O3)、酸化マンガン(MnO)などの金属酸化物の微粉末
とを所定の割合で混合し、これを適宜な混合・粉砕器中
で媒体(例えばジルコニアボール)を用いて混合、粉砕
した後、適宜なバインダで造粒する。つづいて、この造
粒物の金型に充填し、加圧成形してペレットした後、11
00〜1350℃の温度域で焼成して酸化亜鉛電圧非直線抵抗
体を製造する。かかる方法で製造された酸化亜鉛電圧非
直線抵抗体は、主成分であるZnOが通常、数μm〜数十
μmと比較的大きな粒を構成し、添加成分の大部分は該
ZnO粒子の粒界に介在して粒界相を構成している。こう
した微細構造を有する酸化亜鉛電圧非直線抵抗体におい
ては、各成分の組織上の均一度がサージ吸収を目的とす
る非直線低抗体の安定向上化にとって重要な因子として
働く。
しかしながら、従来の製造方法にあっては原料として
用いるZnOの粉末や添加成分の粉末の粒径を均一に揃え
ることが困難であり、かつ一般に添加成分の添加量はZn
O粉末の量に比べて極めて少ないため、該添加成分と該Z
nO粉末との混合が不均一になり易くなる。その結果、均
一な微細構造を有する酸化亜鉛電圧非直線抵抗体を得る
ことが困難となる。このことは、製造ロット間又はロッ
ト内の特性バラツキを大きくし、品質安定性の低下を招
くばかりか、得られた酸化亜鉛電圧非直線抵抗体の電圧
非直線性、寿命特性、サージエネルギー耐量などのバリ
スタ特性そのものの低下を招くことになる。
一方、粒径が細かく、比較的粒径の揃った粉末を得る
方法として共沈法が知られている。この共沈法を採用し
た原料粉末の製造方法としては、特開昭58−225604号に
開示された水溶液中でZn塩とBi塩を共沈させる方法があ
る。しかしながら、かかる方法では酸化亜鉛電圧非直線
抵抗体の種々の特性を向上させるために添加する多くの
成分を目的とする組成通りに共沈させることが困難であ
ったり、溶液濃度に制限があるため取扱う溶液が膨大に
なったり、共沈により生成した亜鉛成分の粒径が非常に
細かいため成形が困難になったりする等、製造上多くの
問題があった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、上記従来の課題を解決するためになされた
もので、多数の添加成分を均一に混合することを可能と
し、均一な微細構造を形成し、品質の安定化とバリスタ
特性の向上を達成した酸化物電圧非直線低抗体を簡単に
製造し得る方法を提供しようとするものである。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明は、添加成分の金属塩のうち少なくともMnの金
属塩を多価アルコールで溶液化する第1の工程と、この
溶液を含む添加成分の金属塩又は金属塩溶液をアルコー
ル溶液に溶解する第2の工程と、酸化亜鉛アルコールス
ラリー中に前記第2の工程で得られた溶液を添加する第
3の工程と、この溶液を加水分解して沈澱物を生成する
第4の工程と、この沈澱物から溶媒を除去する第5の工
程と、を備えた方法により調製した原料粉末を焼結する
ことを特徴とする酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法で
ある。
以下、本発明を詳細に説明する。
第1の工程は、添加成分の金属塩のうち少なくともMn
を含む金属塩(例えば硝酸マンガン等)で多価アルコー
ルに溶解する工程である。ここに用いる添加成分として
は、前記Mnの他にBi、Sb、Co、Ni、Cr、Si等を挙げるこ
とができる。これらの金属塩としては、硝酸化物、塩化
物、金属アルコキシド、アセチルアセトン塩等を挙げる
ことができる。また、これら添加成分の中で前記Mnの他
にBiの金属塩等を多価アルコールで溶解してもよい。前
記多価アルコールとしては、例えばエチレングリコー
ル、グリセリン等を挙げることができる。
第2の工程は、前記第1の工程で得た溶液を含む添加
成分の金属塩又は金属塩溶液をアルコールに溶解する工
程である。ここに用いるアルコールとしては、例えばエ
チルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコー
ル、ブチルアルコール等を挙げることができる。
第3の工程は、酸化亜鉛のアルコールスラリー中前記
第2の工程で得られた溶液を添加する工程である。この
スラリーは、酸化亜鉛の粉末をエチルアルコール等のア
ルコール中に分散させることにより調製される。このス
ラリー中の酸化亜鉛の粒径については、あまり大きくす
ると活性度が低下して焼結体の密度向上を達成できなく
なり、かといってあまり小さいと成形し難くなることか
ら、0.3〜0.7μm程度とすることが好ましい。また、前
記スラリーに対する添加成分である金属塩の量は、Biの
場合、Bi酸化物に換算して0.1〜2.0mol%、その他のM
n、Sb、Co、Ni、Cr、Si等の場合、それらの酸化物に換
算して合計量で3〜5mol%とすることが望ましい。
第4の工程は、前記第3の工程で得られた溶液(ZnO
を含む混合金属イオンのアルコール溶液)を加水分解し
て沈澱物を生成する工程である。加水分解は、濃度調節
したアンモニア水(例えば水で1/50に希釈したアンモニ
ア水)を前記ZnOを含む混合金属イオンのアルコール溶
液に滴下して行ない、全体の溶液をpH7〜8程度にす
る。アンモニア水以外では、KOH等のアルカリ溶液を用
いてもよい。pHが7〜8程度で前記アルコール中の総て
の金属イオンがほぼ完全に沈澱するが、低pH領域ではpH
によって沈澱する金属イオンが異なるため、該沈澱時期
のずれによるへんせきを防止する観点から加水分解を早
めるためにZnOを含む混合金属イオンのアルコール溶液
を充分に撹拌することが望ましい。こうした加水分解に
より、ZnOの粉末表面に添加成分の水酸化物(金属水酸
化物)が均一に分散して析出、沈澱する。生成した金属
水酸化物は、ZnO粉末表面において原子レベルのオーダ
ーで均一に分散、付着する。かかる原子レベルのオーダ
ーでの金属水酸化物のZnO粉末への分散は、従来の粉末
同士の機械的な混合方法では到底達成することができな
い。
第5の工程は、前記第4の工程で生成した沈澱物を濾
過洗浄、加熱する工程である。前記第4工程で加水分解
した溶液から濾過した沈澱物には、アルコール、水、ア
ンモニア水、多価アルコール等が混入され、これを直接
加熱して前記アルコール等を除去しようとすると沈澱物
中に含まれているカーボン等により沈澱物粉末表面に黒
っぽい粉が付着する。かかる粉の付着を防止するため
に、加水分解後の沈澱物を濾過した後の純水で3回程度
洗浄し、更に、沈澱成分の比重による分離を防ぐために
スターラーで撹拌しながら混入される水等を蒸発させ
る。このような洗浄、加熱蒸発により得られた原料粉末
は、X線回折試験からはZnO以外のピークは観察され
ず、各金属水酸化物はアモルファス状態で存在し、非常
に活性であることが確認された。
次いで、前記第5の工程により調製された原料粉末に
適宜なバインダを添加し、成形した後、焼成することに
より酸化物電圧非直線抵抗体を製造する。この焼成にお
いて、原料粉末の活性が高いために従来の粉末の焼結に
比べて低い温度で焼結させることが可能となる。また、
原料粉末を直接焼結せずに、予め400〜700℃で仮焼し、
原料粉末中の総ての化合物を酸化物の状態にした後、焼
成させてもよい。但し、一般に高温で仮焼するほど粉末
の活性度が低下し、粉末同士の凝集が生じ易くなるため
好ましくないが、非直線性などのバリスタ特性には仮焼
が好ましい場合もある。
(作用) 本発明によれば、添加成分の金属塩のうち少なくとも
Mnの金属塩を多価アルコールで溶液化し、この溶液を含
む添加成分の金属塩又は金属塩溶液をアルコール溶液に
溶解し、これを酸化亜鉛アルコールスラリー中に添加
し、加水分解することによって、ZnO粉末表面において
原子レベルのオーダーで均一に分散、付着した沈澱物が
得られる。従って、かかる沈澱物から溶媒を除去して原
料粉末を調製し、これを焼成することによって、多数の
添加成分の酸化物がZnO粉末間に均一な粒界相として介
在した微細構造を有し、品質の安定化とバリスタ特性の
向上を達成した酸化物電圧非直線低抗体を簡単な工程で
製造することができる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
まず、Mn(NO3、Bi(NO3・5H2Oを金属酸化物
に換算して夫々0.5モル%、0.25モル%となるように秤
量し、これらを少量のエチレングリコールを夫々溶解さ
せた後、これら溶液をエチルアルコールに溶解させた。
つづいて、ZnO粉末(平均粒径0.4μm)10gとエチルア
ルコール30mを混合・粉砕器で1時間程度混合させてZnO
をエチルアルコール中に分散させることによりZnOエチ
ルアルコールスラリーを調製した。ひきつづき、前記エ
チレングリコールで溶解させたMm、Biの硝酸塩のエチル
アルコール溶液を、前記ZnOエチルアルコールスラリー
中に1滴づつ滴下し、約1時間混合した。次いでこの混
合液に水で1/50程度希釈したアンモニア水を添加して加
水分解を行ない全体のpHを7〜8に調節した。こうした
加水分解により生成された沈澱物を濾過し、純水で3回
洗浄した後、溶媒の水を加熱除去して原料粉末とした。
次いで、前記原料粉末にポリビニルアルコールを添加
し、造粒した後、該造粒物を所定形状の金型内に充填し
て加圧成形した。得られたペレットを1100℃で2時間焼
成してバリスタ焼結体を製造した。
比較例 ZnO粉末にBi2O3及びMnOを実施例と同組成となるよう
に添加し、ポットミルにて混合粉砕し、更に乾燥させて
得た原料粉末を用いた以外、実施例と同様な方法により
バリスタ焼結体を製造した。
しかして、本実施例及び比較例のバリスタ焼結体につ
いて相対密度を測定した。また、各焼結体の両面を研磨
した後、Al電極を蒸着して電圧変化率(V1mAの変化率)
及びI/I0を測定した。これらの結果を下記第1表に示し
た。なお、電圧変化率はバリスタ焼結体にAl電極を通し
て8/10μsの衝撃電流を100A/cm2で1000回印加後のV1mA
の変化を百分率で表したものである。また、I/I0は前記
バリスタ焼結体を120℃の恒温槽に入れ、V1mAの85%の
電圧を印加した時の初期電流(I0)と500時間経過後の
電流(I)の比により表したものである。
上記第1表から明らかなように本実施例のバリスタ焼
結体は比較例の同焼結体に比べて密度が高く、V1mAの変
化率が低く、更に寿命特性も500時間経過後のもれ電流
の変化率(I/I0)が小さく良好であることがわかる。
また、本実施例及び比較例のバリスタ焼結体について
電圧−電粒特性を調べたところ、第1図に示す特性図を
得た。なお、第1図中のAは本実施例のバリスタ焼結体
の特性線、Bは比較例の同特性線を示す。この第1図か
ら明らかなように、本実施例のバリスタ焼結体は比較例
の同焼成体に比べて非直線性が著しく優れていることが
わかる。
[発明の効果] 以上詳述した如く、本発明によれば粉砕工程が不要で
工程の簡略化と不純物の混入を防止できること、原料粉
末の微細化と活性化により比較的低温の焼成で緻密構造
にできること、多数の添加成分の酸化物がZnO粉末間に
均一な粒界相として介在した微細構造を有し、非直線性
に優れ、サージエネルギー耐量が大きく寿命特性も良好
で、更に優れた品質安定性を達成できること等の種々の
効果を奏する酸化物電圧非直線抵抗耐の製造方法を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例及び比較例のバリスタ焼成体の
電圧−電流特性を示す線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 光雄 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内 (56)参考文献 特開 平1−128401(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】添加成分の金属塩のうち少なくともMnの金
    属塩を多価アルコールで溶液化する第1の工程と、この
    溶液を含む添加成分の金属塩又は金属塩溶液をアルコー
    ル溶液に溶解する第2の工程と、酸化亜鉛アルコールス
    ラリー中に前記第2の工程で得られた溶液を添加する第
    3の工程と、この溶液を加水分解して沈澱物を生成する
    第4の工程と、この沈澱物から溶媒を除去する第5の工
    程と、を備えた方法により調製した原料粉末を焼結する
    ことを特徴とする酸化物電圧非直線抵抗体の製造方法。
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