JP2563869B2 - 単板積層材の製造方法 - Google Patents

単板積層材の製造方法

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JP2563869B2 JP4330998A JP33099892A JP2563869B2 JP 2563869 B2 JP2563869 B2 JP 2563869B2 JP 4330998 A JP4330998 A JP 4330998A JP 33099892 A JP33099892 A JP 33099892A JP 2563869 B2 JP2563869 B2 JP 2563869B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】板材や柱材は、太い原木から必要
な大きさに製材されて市場に供給されているが、これは
歩留りが悪いだけでなく製材できる材木の大きさが原木
の太さや形状などによって制限を受ける。そのため、天
然の原木を製材して利用するだけでは無駄にされる部
分、あるいは材木として利用されないものが多い。ま
た、森林資源の枯渇から、これの保護が叫ばれている昨
今、従来は使用されなかった木材の利用や、廃棄部分を
最小限に止めるといった木材の有効利用のために、各種
の加工木材が製造されるに至っている。
【0002】加工木材には近年単板積層材と称し、レー
ス,スライサーなどによって一定の厚みに切削した単板
を、繊維方向を互いに平行に積層して接着するものが知
られている。薄い単板を用い、単板の繊維方向を互いに
交差させて積層したものが合板であり、これは大きな強
度を有するものではない。これに対し、単板積層材は木
の繊維方向を同じ方向とするものであって、単板の厚み
を一般に2〜4ミリメートルとし、積層される全体の厚
みも用途に応じて9〜50ミリメートル以上とするもの
である。この単板積層材は家具その他一般の造作用と、
一定以上の強度を有する構造用とがある。
【0003】本発明は上記単板積層材の製造方法、特に
造作用の単板積層材のみならず、大きな厚みであって強
度を必要とする構造用の単板積層材を、能率的に製造す
ることができる単板積層材の製造方法に関する発明であ
る。
【0004】
【従来の技術】従来、単板積層材を製造するには、ロー
タリーレースなどで切削された単板を一定の大きさに切
断し、これに接着剤を塗布して積み重ね、ホットプレス
によって加圧しながら加熱接着させていた。ロータリー
レースで切削される単板には大きさに限度があるため、
一定の大きさの小単板を継ぎ合わせて所望の大きさの単
板とし、これを積層接着することも行われている。
【0005】家具などに使用される造作用の単板積層材
は、さほど大きな強度を必要とするものではないが、構
造用の単板積層材ではより大きな強度を必要とする。そ
のため、構造用の単板積層材では短い小単板を接続して
所望の長さの単板とし、これを積層する場合に、小単板
の接続部(スカーフ)が積層状態において隣接する単板
どうしで同じ位置に重なってはいけないという他、単板
の接着にはフェノール樹脂接着剤またはこれと同等以上
の性能を有する接着剤を使用しなければならない、とい
うような厳格な規定(日本農林規格)が存在する。
【0006】単板どうしの接着には、造作用には尿素系
接着剤その他の接着剤が利用されるが、構造用の単板積
層材の場合は、主にフェノール樹脂接着剤が使用され
る。これらの接着剤はいずれも加熱接着剤であるため、
単板表面に接着剤を塗布して集積し、これを加圧状態に
おいて加熱することによって単板積層材が製造される。
そして加圧、加熱手段として、従来はプレスそのものを
蒸気などの加熱手段で高温に加熱し、その熱で被加工物
を加熱するホットプレス方式が採用されている。ホット
プレスの前工程として被加工物である集積した単板を、
60〜70度に予熱することも行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のホットプレスに
よる加熱方法では、加熱速度が遅く効率的な製造ができ
ない。特に、構造用の単板積層材の場合、使用されるフ
ェノール樹脂接着剤は硬化温度と耐熱温度(劣化温度)
が、たとえば150 度と190 度というように温度差が小さ
く、190 度前後の余り高温ではないプレスからの熱伝導
によって被加工材の内部を150 度以上にまで加熱する必
要があり、加熱に長時間を要する。一般に1ミリメート
ルの厚みごとに1分の加熱時間を必要としホットプレス
方式で加工できる厚みは65ミリメートルが限度とされて
きた。ところが、柱材として利用する場合は、90ミリメ
ートル以上の厚みで長寸法のものが必要となるが、従来
はこのような単板積層材を製造することができなかっ
た。
【0008】上記従来技術の欠点に鑑み、本発明は高周
波誘電加熱を利用し内部まで均一に加熱接着された高品
位の単板積層材を効率よく生産ができること、及び厚み
が90ミリメートルから250 ミリメートルというような大
きな厚みで、柱材として使用できる長寸法の単板積層材
を、確実に加熱接着して製造することができる単板積層
材の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】単板積層材の基本的な製
造方法は、原木1を剥いで一定の厚みとした単板6の表
面に接着剤7を塗布して集積し、これを加圧状態下にお
いて加熱接着させるものである。この方法において、本
発明は重ね合わせて集積した単板6の加熱接着の工程
を、上下の電極によって構成される高周波誘電加熱電極
8,9によって加圧、加熱するものとし、さらに高周波
誘電加熱電極8,9は集積した単板の長さ方向(送り方
向)の複数位置に配置するものとする。
【0010】このとき、単板6の長さ方向(送り方向)
の複数位置に配置した高周波誘電加熱電極8,9は、隣
接するものとの間に電極の長さL1の略整数倍の間隔Pを
隔てて配置し、被加工材である集積された単板は一回の
通電加熱操作が完了するごとに略電極の長さL1に相当す
る距離を移動させ、複数回の通電加熱操作によって集積
された単板の全面を接着できるようにする。
【0011】
【作用】所定寸法に切断された単板6の表面に接着剤7
を塗布し、所定枚数積み重ねた集積状態の単板を、一定
間隔Pを隔てた複数の高周波誘電加熱電極8,9によっ
て加圧加熱すると、高周波誘電加熱電極8,9によって
加熱される部分だけが接着される。この状態で、被加工
材である単板の集積物を電極の長さL1に相当する距離だ
け移動させ、移動させた位置で新たに加圧、加熱を行う
と、先に加熱接着された領域に続いて高周波誘電加熱電
極によって加熱された部分が新たに接着される。この操
作を所定回数繰り返すことによって単板積層材全面の加
熱接着が完了することになる。
【0012】高周波誘電加熱の場合、その加熱は内部発
熱であって、被加熱物の内部から高温に加熱される。そ
のため、単板積層材の厚みが大きなものであっても、そ
の内部を必要かつ十分な温度に短時間で加熱することが
できることになる。したがって、加工しようとする単板
積層材の大きさと同じ大きさの高周波誘電加熱電極を用
いると一回の操作で加工が完了することになる。ところ
が、単板積層材の平面的な大きさ(長さ)は、木材たと
えば切断して柱材として利用することから大きなもの、
特に長さの長いものが要求される。
【0013】そして、高周波誘電加熱の場合、その特性
から電極が大きくなると、電極全面にわたって均一な加
熱条件を実現することが困難になるとともに、非常に大
きな出力の高周波電源を必要とする。現時点において電
極の長さは、4〜6メートル程度が限界とされている。
これに対し、柱材などに利用される構造用単板積層材に
は、6〜9メートルのものが要求され、このようなもの
を加熱できる大きな高周波誘電加熱電極は、技術的に実
現が困難なものとなる。この点、本発明では、単板を経
済的にかつ均一に加熱できる比較的小さな高周波誘電加
熱電極を用い、長寸法の単板積層材を効率よく加工する
ことができることになる。
【0014】
【実施例】以下、本発明単板積層材の製造法の実施例
を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本
発明方法を実施する装置全体の平面図、図2は加工順序
を示す流れ図である。図1において被加工物の流れは二
点鎖線で示している。
【0015】図2の(a) に示すように原木1はナイフ2
によって一定の厚み、たとえば2〜4ミリメートルに剥
がす。一定の厚みに剥がされた薄い板は、一定の幅Wと
一定の長さlに切断して小単板3とし、(b) に示すよう
に小単板3の木目(繊維)方向の両端面を斜め方向に切
断し、この切断面を接続面すなわちスカーフ4とし、
(c) に示すように連続的に接続して接続単板5とする。
これを(d) のように一定の長さに切断して単板積層材を
構成する幅W、長さLの単板6とし、所定枚数を順次集
積して準備する。
【0016】準備された単板6は、一枚ずつ順番に送り
出しその上表面に接着剤7を塗布し(e) 、改めて順次積
み重ねると、単板6,6の間に接着剤7が存在する状態
に集積(f) される。このとき、最上部の単板表面には接
着剤を塗布しない。集積された単板は(g),(h) に示すよ
うに、一定間隔Pを隔てた複数の高周波誘電加熱電極
で、図面上二個所の高周波誘電加熱電極8,9によって
二回に分けて加圧、加熱すると単板6,6が相互に接着
され、単板積層材10が完成する(i) 。
【0017】単板6を接着する接着剤には、フェノール
樹脂接着剤を用いるのが一般的であるが、フェノール樹
脂接着剤には毒性が強く廃水処理が必要になるといった
取扱が困難であるという欠点がある。そこで、本発明者
らは本発明を実施するにあたり、フェノール樹脂接着剤
と同等以上の接着力を有する接着剤として、フェノール
樹脂とメラミン樹脂の複合接着剤である偏性フェノール
樹脂接着剤を用いた。
【0018】この偏性フェノール樹脂接着剤は、フェノ
ール樹脂接着剤よりも硬化温度、劣化温度が高く被加工
物を容易に高温に加熱することができ、高周波誘電加熱
においては取扱が容易なものとなる。また、この接着剤
はフェノール樹脂接着剤に比較して毒性が低く、その廃
水を他のユリア系樹脂の希釈剤として利用することがで
き、廃水処理をする必要が無くなるという特長もある。
【0019】図1において、11は小単板の供給装置、12
は小単板の両端部にスカーフを形成するスカーフカッタ
ーである。スカーフカッター12によって両端部が斜めに
切断された小単板3は、プッシャー13によってジョイン
ター14に向けて断続的に送り出され、これが連続的に接
続されて接続単板5となり先方に送り出される。
【0020】先方に送り出された接続単板5は、カッタ
ー15により一定寸法に切断されて単板6となり、この単
板6は準備台16に単板積層材として必要な所定枚数集積
される。準備台16に集積された単板は、単板移載部17に
押し出され、単板供給コンベヤ18によって一枚ずつ送り
出される。
【0021】単板供給コンベヤ18によって一枚ずつ送り
出された単板6の上表面には、スプレッタ19によって接
着剤7を塗布し、接着剤が塗布された単板6は先方に送
られる。この単板は、単板移載部20において単板積層コ
ンベヤ21上に順次積層され、これが複数の高周波誘電加
熱電極8,9によって構成される加熱接着装置へ向けて
供給され、加熱接着が行われる。
【0022】加熱接着が完了した単板積層材は、取出コ
ンベヤ22によって取り出され、切断装置23によって所望
の製品寸法に切断し、製品積載部24から製品として排出
される。25は、切断装置23によって所望寸法に切断され
た製品を製品積載部24に押し出すプッシャーである。
【0023】図3は、接着剤を塗布した単板の単板積層
コンベヤ21と加熱接着装置の正面図であって、工程順に
示すものである。単板積層コンベヤ21はその床面をロー
ラなどの滑り面とし、先方の加熱接着装置を含む範囲
を、被加工物である単板の外側方において巻回させたエ
ンドレスベルトやチェーンの一定間隔ごとに、単板を押
し出すプッシャー26を装着し、これにより積層状態の単
板の移送を行うようにしてある。つまり、プッシャー26
によって単板積層コンベヤ21上に積載された積層状態の
単板を加熱接着装置に押し出し、かつ加熱接着装置部分
にある加工済の単板積層材を先方の取出コンベヤ22へ排
出できるようにしてある。
【0024】積層状態の単板の加熱接着装置は、図面上
二つの高周波誘電加熱電極8,9と二つのコールドプレ
ス27,28とで構成し、高周波誘電加熱電極8,9とコー
ルドプレス27,28は、ほぼ同じ圧力で加圧することがで
きるようにしてある。高周波誘電加熱電極とコールドプ
レスの配列は、最先方に高周波誘電加熱電極8を位置さ
せ、高周波誘電加熱電極8,9とコールドプレス27,28
を交互に配列し、全長が少なくとも加工しようとする単
板積層材の全長と同一かそれよりも長くなるものとす
る。図示実施例では、ほぼ等しい長さとなるようにして
いる。
【0025】高周波誘電加熱電極8,9の長さL1は電極
間のピッチPの略二分の一、もしくはこれよりもやや大
きな寸法とし、コールドプレス27,28の長さL2は高周波
誘電加熱電極8,9の間の隙間と等しいもの、すなわち
コールドプレスの長さL2は高周波誘電加熱電極の長さL1
と等しいか、やや短いものとしてある。コールドプレス
のプレス板27a,27b,28a,28b は通常金属製とするが、こ
の場合高周波誘電加熱電極との間の短絡現象を回避する
ため、高周波誘電加熱電極と接する部分のプレス板を絶
縁板29とする。
【0026】単板積層コンベヤ21上に積層された単板
が、プッシャー26によって加熱接着装置部分に送られ、
その先端が先方の高周波誘電加熱電極8の直下に達した
後、プッシャー26を少し後退させる。この状態で、二つ
の高周波誘電加熱電極8,9と二つのコールドプレス2
7,28全体を同時に作動させ、積み重ねた集積状態の単
板を加圧し、かつ高周波誘電加熱電極7,8に通電して
加熱すると、図3の(a) に斜線で示すように高周波誘電
加熱電極7,8で挟まれた部分のみの単板が相互に接着
される。
【0027】図3に示す実施例では、高周波誘電加熱電
極8,9とともに、加圧手段としてコールドプレス27,
28を配置し、加熱しないで集積状態の単板6をも加圧す
るようにしている。このようにすると、加熱接着される
被加工物全体が均一な加圧状態で接着され、出来上がり
の製品内部に内部応力が残ることがなく、製品そのもの
の歪みの発生を防止する上において有効である。
【0028】図3(a) の加熱接着が完了すると、図3
(b) に示すように加圧状態を開放し、プッシャー26によ
って先に一部が加工された積層状態の単板を、高周波誘
電加熱電極8,9間のピッチPの二分の一だけ先方へ移
動させる。単板を移動させたプッシャー26は直ちに後退
させ、その後(c) に示すように、再度高周波誘電加熱電
極8,9を作動させて加熱接着を行う。この場合のコー
ルドプレスは高周波誘電加熱電極と同時に作動させるも
のであってもよいが、作動させないものであってもよ
い。上記二回の加熱操作により、積層状態の単板は全長
にわたって加熱接着されることになる。
【0029】図3に示す実施例では、高周波誘電加熱電
極8,9の長さL1を、高周波誘電加熱電極の間隔Pの二
分の一よりもやや長いものとし、被加工材である集積状
態の単板の送りを間隔Pの二分の一としている。これに
より、加工された単板積層材には、一部重なって加熱さ
れる部分を生じるが、被加工材の送りの誤差などによっ
て加熱されない部分が発生することを確実に防止するこ
とができる。理論的には、高周波誘電加熱電極8,9の
一つの長さL1は、高周波誘電加熱電極8,9間の間隔P
の二分の一で、一回の加工後の送りを長さL1とするもの
である。
【0030】図3の(a) 〜(c) の工程の間にも、単板積
層コンベヤ21上の所定位置には、新たな単板が供給、集
積され、次の加熱接着に備えられる。そして、図3の
(c) の加工が完了した後、プッシャー26によって新たに
集積された単板が高周波誘電加熱電極の下方へ供給さ
れ、上記加熱接着の加工が繰り返される。なお、プッシ
ャー26は、図3(b)の半ば前進させて加工中の単板を移
動させるときに、集積中の単板を動かさないようにする
ため、プッシャー26と次位のプッシャー26との間隔は十
分に大きくとることになる。
【0031】図示実施例においては、高周波誘電加熱電
極を電極の長さL1の二倍の間隔で二台配置するものを示
しているが、同じ条件で高周波誘電加熱電極を三台以上
配置して、より長寸法の単板積層材の加工ができるよう
にすることもできる。また、高周波誘電加熱電極の間隔
Pを電極の長さL1の三倍以上とし、三回以上に分けて加
圧、加熱接着を行うようにすることもできる。
【0032】積層材を構成する単板は、その材料供給が
可能な限り一枚ものでもよい。しかしながら、供給可能
な小単板の大きさはロータリーレースやスライサーなど
の加工機の条件と、供給される原木の条件とによって制
限される。より具体的には、柱材として利用できる構造
用単板積層材では、長さ6〜9メートルのものが必要と
される一方、ロータリーレースのナイフの寸法は2.4 メ
ートル未満のものが一般に利用される。したがって、単
板積層材の単板6には比較的小さな小単板3,3を接続
して必要な大きさの単板6とし、あらゆる大きさのもの
に対応できるようにするのが普通である。
【0033】この場合、構造用単板積層材では、図4に
示すように上下に隣接する単板のスカーフ4と4が、単
板の厚みTの所定倍数である一定寸法X以上離れた状態
にあること、及び同一断面上に位置するスカーフは所定
層以上離れていることが規定されている。これは、完成
品である単板積層材の強度と大きく関連する。
【0034】高周波誘電加熱においては、電源電極に近
い程電界強度が強く加熱力が大きくなる。そして、電源
電極からの距離の差による電界強度の差は、電源電極か
ら離れるほど大きくなる。そのため、一つの被加熱物の
内部において電源電極に近い部分での発熱量が、離れた
部分での発熱量よりも大い。しかしながら、被加熱物の
厚みが薄いものでは、電源電極からの距離の違いによる
被加熱物内部における温度差はさして問題とならないた
め、一般的には図5の(b)に示すように一方の電極を
電源電極に、他方の電極をアース電極とする電源回路を
採用している。 ところが、被加熱物の厚みが、例えば6
0ミリメートル以上の大きなものでは、上記電源電極か
らの距離の違いによる加熱力の差は、図6の(b)に示
すように被加熱物内部における厚み方向の温度分布の偏
り、換言すれば高温部分と低温部分との大きな温度差と
なって表れ、接着不良を生じ易いことが判明した。
【0035】高周波誘電加熱の電源回路には、図5の
(b)に示すように一方の電極を電源電極とし、他方の
電極をアース電極とする回路の他に、図5の(a)に示
すように二つの電極をともに電源電極とする電源回路が
知られている。この回路では、一方の電極(上部電極)
に流れる高周波電流と、他方の電極(下部電極)に流れ
る高周波電流は位相が異なっている。したがって、図5
の(a)に示す電源回路を本発明の電源回路として採用
すると、上部電極と下部電極は交互に電源電極として機
能し、電源電極から離れるにしたがって加熱力が弱まる
としても、被加熱物の表側と裏側から対称的に加熱する
ことになるため、図6の(a)に示すように被加熱物の
厚み方向の加熱温度分布において、極端に温度の低い部
分と高い部分の発生が解消され、接着不良を生じにくい
ものとなった。
【0036】しかしながら、高周波誘電加熱は内部の中
心部で発熱量が大きく、電極の近くではむしろ発熱量が
少ない特性があり、被加熱物全体を同じ温度に加熱する
ことは困難である。そこで、温度分布をより均一化する
ため、外部加熱による加熱を併用することによって、被
加工物全体をなるべく同じ温度に加熱し、より厚みの大
きなものの加工を効率良く行うことができた。すなわ
ち、ホットプレスのように単板を加圧する高周波誘電加
熱電極そのものを、蒸気加熱その他の手段によって一定
の高温に加熱しておく。
【0037】図6の(c) に示す温度分布は、加熱状態の
プレスによって被加工物を挟持したときのもので、時間
の経過にともなって二点鎖線で示すように内部温度も上
昇して行く。これに、高周波誘電加熱を併用すると図6
の(d) に示すように厚みの全体にわたって、ほぼ均一な
高温となる。高周波誘電加熱電極8,9を加熱し、その
熱伝導によって単板の表面部分を補助的に加熱しようと
する場合、熱伝導による加熱速度は余り早いものではな
い。そこで、コールドプレス27,28にも加熱手段を施
し、高周波誘電加熱電極8,9による加熱に先立ち単板
表面を予熱できるようにしてもよい。
【0038】
【発明の効果】請求項1記載の本発明単板積層材の製造
方法によれば、従来ホットプレスによって長時間をかけ
て製造されていた単板積層材を、高周波誘電加熱によっ
て短時間で、能率よく製造することができる。特に、従
来は製造が困難であるとされていた厚みの大きい構造用
の単板積層材の製造が可能となった。そして単板の加熱
接着のための高周波誘電加熱電極は、経済的かつ効率よ
く均一に加熱することができる比較的小さな電極を用
い、複数回の加熱操作によって柱材などに利用できる長
寸法のものを効率よく製造することができる。
【0039】請求項2記載の発明によれば、加熱接着時
に被加工物である積層された単板の内部に、接着される
部分とされない部分との間に圧力の不均衡を生じること
がなく、単板積層材の全面をより均一な条件で加熱接着
することができる。
【0040】請求項3記載の発明によれば、積層状態に
集積した単板の厚みの内部から高周波誘電加熱により加
熱するとともに、上下両面からは加熱電極の熱により補
助的に加熱し、加熱状態の熱分布を全体として均一なも
のとし、より厚みの大きな単板積層材全体を一定した接
着条件とし、かつ短時間で確実に加工することができ
る。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明単板積層材の製造方法を実施する装置全
体の平面図、
【図2】本発明による単板積層材の加工の流れを工程順
に示す流れ図、
【図3】本発明単板積層材の製造方法における単板積層
材の加熱接着装置部分の加工順序を示す正面図、
【図4】小単板を接続した単板を使用する場合の単板の
積層状態を示す正面図、
【図5】高周波誘電加熱電極の接続状態を略示的に示す
回路図
【図6】単板積層材の加熱時の厚み方向における温度分
布の傾向を示す温度分布図。
【符号の説明】
1…原木、 3…小単板、 4…スカーフ、 6…単
板、 7…接着剤、 8,9…高周波誘電加熱電極、
8a,9a…上部電極、8b,9b…下部電極、 10…単板積層
材、 11…供給装置、 12…スカーフカッター、 14…
ジョインター、 15…カッター、 16…準備台、 17…
単板移載部、 18…単板供給コンベヤ、 19…スプレッ
タ、 20…単板移載部、 21…単板積層コンベヤ、 22
…取出コンベヤ、23…切断装置、 25,26…プッシャ
ー、 27,28…コールドプレス、 29…絶縁板。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原木1を剥いで一定の厚みとした単板6を
    多数積み重ね、単板6,6どうしを接合して大きな厚み
    の単板積層材を加工するものにおいて、一定幅W、一定
    長さLに切断した単板6の表面に接着剤7を塗布して順
    次所望の枚数を集積し、集積した単板6は長さ方向の複
    数位置に配置した上下の電極によって構成される高周波
    誘電加熱電極8,9によって加圧、加熱接着するものと
    し、 上記複数位置に配置した高周波誘電加熱電極は、隣接す
    るものとの間に高周波誘電加熱電極の長さLの略整数
    倍の間隔Pを隔てて配置し、被加工材である集積された
    単板は一回の通電加熱操作が完了するごとに略電極の長
    さに相当する距離を移動させ、複数回の通電加熱操作に
    よって集積された単板の全面を接着することを特徴とす
    る単板積層材の製造方法。
  2. 【請求項2】一定の間隔Pを隔てて複数位置に配置され
    る高周波誘電加熱電極8,9の隣接する電極の間、及び
    加熱接着時において高周波誘電加熱電極によって加圧さ
    れない被加工物の導入部には、加圧のみを行う加圧手段
    を設けてなる請求項1記載の単板積層材の製造方法。
  3. 【請求項3】一定の間隔Pを隔てて複数位置に配置され
    る高周波誘電加熱電極8,9には、それぞれ高周波誘電
    加熱電極自身を加熱する加熱手段を設けてなる請求項1
    記載の単板積層材の製造方法。
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