JP2562452B2 - 線材に塗布された紫外線硬化樹脂の硬化方法 - Google Patents

線材に塗布された紫外線硬化樹脂の硬化方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,光ファイバその他の線材に塗布された紫外
線硬化樹脂をこの樹脂に紫外線を照射して硬化する線材
に塗布された紫外線硬化樹脂の硬化方法の改良に関する
ものである。
(従来技術) 紫外線硬化樹脂が塗布された線材を石英管に通しこの
石英管に不活性ガスを流しつつ石英管を通して紫外線を
照射して紫外線硬化樹脂を硬化する方法は既に知られて
いる。紫外線照射源は発熱するので石英管の中の雰囲気
は高温になる。しかし,紫外線硬化樹脂は各種のポリマ
ー,モノマーの混合物であり,高温下ではその低溜分組
成が硬化前に揮発するので石英管の中の雰囲気が高温と
なると,紫外線硬化樹脂はその硬化前に低溜分が揮発し
て石英管に付着し,この低溜分は有機物で紫外線を吸収
すると,化学結合して石英管を不透明にするので紫外線
の透過を妨げる。このため,長時間に亙って連続的に硬
化することが難しく,石英管を時々交換しなければなら
ないので作業性が低い上に石英管に長手方向で低溜分の
付着の程度が異なって硬化条件が変化するため硬化後の
樹脂の特性が変動する欠点があった。
(発明の目的) 本発明の目的は,長手方向に均一な特性を有する紫外
線硬化樹脂被覆を高い作業性で得ることができる線材に
塗布された紫外線硬化樹脂の硬化方法を提供することに
ある。
(発明の構成) 本発明に係る線材に塗布された紫外線硬化樹脂の硬化
方法は,紫外線硬化樹脂が塗布された線材を石英管に通
しこの石英管に不活性ガスを流りつつ石英管を通して紫
外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化するが,この不活
性ガスを層流で流し,この層流の流量は,石英管内を通
る線材の長手方向に乱流を起こすことがなく,且つ石英
管内壁面に付着する樹脂揮発成分をパージすることが可
能な範囲で設定される。ことを特徴としている。
このように不活性ガスを石英管の中にこの石英管内壁
面に付着する樹脂揮発成分をパージすることが可能な範
囲の流量の層流で流すと,石英管に付着した低溜分はこ
の層流のガスによって外部に流し出されるの石英管の交
換が長時間不要となって高い作業性で連続的に作業する
ことができ,また硬化条件の長手方向のばらつきがなく
なって安定した品質の紫外線硬化樹脂被覆を得ることが
できる。
不活性ガスの層流は,石英管内に線材の長手方向に乱
流を起こすことがないように発生することが要求される
が,その理由は,若し,不活性ガスに乱流が発生する
と,不活性ガスが石英管の内壁に衝突して紫外線硬化樹
脂の硬化前に不活性ガス中に揮発する低溜分が石英管内
に付着して石英管の透明性の低下が助長されるからであ
る。後に本発明の実施例に関連して詳細に述べるが,乱
流数Reが2230を越えると,不活性ガスに乱流が発生する
ので,不活性ガスの流量は,この乱流が生ずることがな
い範囲で可及的に高く設定しなげればならない。
(実施例) 本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明すると,
図面は本発明に係る方法を概略的に示す。紫外線硬化樹
脂が被覆されるべき線材10はアプリケータ12を通って紫
外線硬化樹脂が塗布される。このアプリケータ12は,樹
脂槽14からポンプの如き樹脂供給手段16によって紫外線
硬化樹脂が供給されて線材10に紫外線硬化樹脂を塗布す
る。このようにして紫外線硬化樹脂が塗布された線材10
は紫外線照射装置18に供給される。この紫外線照射装置
18は,線材10が通る石英管20と紫外線照射源22と線材10
に紫外線が有効に照射されるように紫外線を反射される
反射手段24とから成っている。また,この紫外線照射装
置18は,図示しない不活性ガス供給源から流量調節手段
26を介して石英管20に窒素やアルゴンの如き不活性ガス
を供給する不活性ガス供給手段28を備えている。従っ
て,線材10に塗布された紫外線硬化樹脂は,この紫外線
照射装置18によって紫外線が照射されて硬化される。不
活性ガスは紫外線の照射によって紫外線硬化樹脂中に発
生するラジカルが酸素と反応して硬化反応が停止するの
を防ぐ働きを有する。
本発明の方法は,この不活性ガスを石英管20内を通る
線材10の長手方向に乱流を起こすことがなく,且つ石英
管内壁面に付着する樹脂揮発成分をパージすることが可
能な範囲の流量の層流で流してこの不活性ガスをパージ
ガスとして作用させることにある。このようにすると,
紫外線硬化樹脂から揮発した低溜分はこのパージガスに
よって粗い流し出されて石英管20が不透明となるのを防
止することができる。また,不活性ガスが乱流を起こさ
ないような流量条件で不活性ガスを流しているので,不
活性ガス中の低溜分が石英管20に付着することがなく,
石英管20の汚れを助長することがない。
本発明の一具体例をのべると,石英管20は外径20mm,
内径17mmとし,0.4mm径の線材10に紫外線硬化樹脂を0.9m
mの径になるまで塗布し,12m/分の線速で紫外線照射装置
18に通した。パージガスとして窒素ガスを用い,その流
量を5リットル/分,20リットル/分,50リットル/分と
したところ20リットル/分では10時間以上安定した硬化
状態が得られたが,他の条件では数時間で樹脂がべたつ
き未硬化状態となった。一方,石英管20は20リットル/
分では汚れが認められなかったが,5リットル/分及び50
リットル/分では内壁に付着物が堆積しており,その程
度は50リットル/分の方が著しかった。
乱流数ReはRe=L・u/ν(Lは流れの中の物体の代表
的な長さ,uは流量,νは動粘性係数で16x10-6m2/Sであ
る)で求められるが,この乱流数は5リットル/分で38
8,20リットル/分で1558,50リットル/分で3898であ
り,この値が2230を越えると,ガス流は乱流となるので
20リットル/分以下が適当であるが,5リットル/分では
パージ効果が低い。従って,不活性ガスは,乱流を起こ
さないように乱流数が2230以下であって可及的に大きな
流量で流すのが適当であるが,好ましい流量は,20リッ
トル/分前後である。尚,ガス流が乱流となると,石英
管の内壁にガスが衝突し易くなり,むしろ石英管の内壁
に低溜分の付着が促進される。
尚,この不活性ガスの流れは線材が水平に走行してい
る場合にはいずれの方向でもよいが,線材と同方向に流
した方が相対的なガス流速が小さくなるため乱れが少な
く一層良好な層流となるので好ましい。また,線材の走
行が鉛直である場合には揮発ガスは上方へ流れようとす
るので下から上に向けて流した方がパージ効果が大きい
ことが解った。また,本発明が適用される線材は光フア
イバ心線の外に,複数の光フアイバ心線を撚合わせたユ
ニット心線,複数の光フアイバ心線を束ねたテープ心線
及びテンションメンバよう被覆鋼線等がある。更に,本
発明において不活性ガスは樹脂の酸素との重合を少なく
する雰囲気とする作用を有するが,紫外線硬化樹脂が酸
素による重合阻害の少ない樹脂である場合には酸素を幾
分含んだガスであってもよい。
(発明の効果) 本発明によれば,上記のように,石英管内壁面に付着
する樹脂揮発成分をパージすることが可能な範囲の流量
の不活性ガスの層流によって石英管に付着した低溜分は
外部に流し出されるので石英管の交換が長期間不要とな
って高い作業性で連続的に作業することができ,また効
果条件の長手方向のばらつきがなくなって安定した品質
の紫外線硬化樹脂被覆を得ることができる。更に,不活
性ガスが乱流を起こさないような流量の層流で不活性ガ
スを流しているので,不活性ガス中の低溜分が石英管に
付着することがなく,従って,不活性ガスの流れによっ
て石英管の汚れを助長することがない。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明に係る紫外線硬化樹脂の硬化方法に用いら
れる装置の概略系統図である。 10……線材,12……アプリケータ,18……紫外線照射装
置,20……石英管,28……不活性ガス供給手段。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紫外線硬化樹脂が塗布された線材を石英管
    に通しこの石英管に不活性ガスを流しつつ石英管を通し
    て紫外線を照射して前記紫外線効果樹脂を硬化する方法
    において,前記不活性ガスを,前記石英管内を通る前記
    線材の長手方向に乱流を起こすことがなく,且つ前記石
    英管内壁面に付着する樹脂揮発成分をパージすることが
    可能な範囲の流量を層流で流すことを特徴とする線材に
    塗布された紫外線硬化樹脂の硬化方法。
JP62126957A 1987-05-26 1987-05-26 線材に塗布された紫外線硬化樹脂の硬化方法 Expired - Fee Related JP2562452B2 (ja)

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