JP2562209Y2 - 電動オートチェンジ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、変速操作を電気的に
行う電動オートチェンジに関し、特に特定の条件で自動
的にパーキングレンジに切替えることができるようにし
たオートチェンジに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、車輛においては、チェンジレバー
の操作をケーブル又はロッドによって変速機に伝達し、
変速操作を行うようにした変速操作装置が汎用されてい
た。

【０００３】他方、最近のコンピュータ技術の飛躍的進
歩に伴い、スイッチ操作部のプッシュ操作等によって変
速レンジの選択を行い、それに基づいて駆動信号を発生
して駆動モータ等のアクチュエータを駆動し、変速機を
パーキングＰ、リバースＲ、ニュートラルＮ、ドライブ
Ｄ、セカンドＳ、又はローＬの変速レンジに切替え制御
するようにした電動オートチェンジが種々提案されてい
る（例えば、実開昭６０−１６８６２９号公報参照）。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところで、車輛におい
ては、車速、イグニッションのＯＮ・ＯＦＦ、シートベ
ルトの着脱あるいはブレーキスイッチの状態から運転者
の走行意思を判断することが可能であり、上述の電動オ
ートチェンジにおいて特定の条件で自動的にパーキング
レンジＰに切替え操作するように構成すると、車輛停止
時の変速レンジの切替え操作を簡単化できるとともに、
信頼性を保証できることが期待される。

【０００５】しかるに、この場合、車両が停車直前であ
る所定の低車速、具体的には３Ｋｍ／Ｈ以下の状態でシ
ートベルトが外されたときに運転意思がないと判断して
全ての走行レンジからパーキングレンジＰに自動的に切
替えるように構成すると、車輛の後進時にもシートベル
トを装着していないと変速レンジが自動的にパーキング
に切替えられてしまい、シートベルトが邪魔になって後
進時における後方の確認が困難となってハンドル操作が
非常に煩雑となる。

【０００６】この考案は、かかる問題点に鑑み、後進時
のハンドル操作性を確保しつつ、所定の低車速以下の状
態でシートベルトを外すと自動的にパーキングレンジに
切替えることのできる電動オートチェンジを提供するこ
とを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで本考案に係る電動
オートチェンジは、スイッチ操作部から切替信号を発生
させてアクチュエータを駆動し、変速機を所定の変速レ
ンジに切替える車輛用オートチェンジにおいて、シート
ベルトの装着を検出するシートベルトセンサと、変速機
のリバースレンジを検出するポジションセンサと、車速
を検出する車速センサと、車速が３Ｋｍ／Ｈ以下の状態
でシートベルトが外されたときには変速機をパーキング
レンジに切替える一方、変速機がリバースレンジのとき
にはパーキングレンジへの切替を禁止する切替制御手段
とを設けるようにしたことを要旨とする。

【０００８】ここで電動オートチェンジの構造はスイッ
チ操作によって変速操作を行うものであればどのような
ものでもよい。例えば、スイッチ操作部はプッシュボタ
ン式、ダイヤル式、レバー式のいずれであってもよい。
また、スイッチ操作部とマイクロコンピュータとの間は
信号線で接続してもよく、又電波等で信号の授受を行っ
てもよい。さらに、アクチュエータには駆動モータを採
用することができるが、それ以外の駆動源であってもよ
い。

【０００９】

【作用】本考案においては、車速が３Ｋｍ／Ｈ以下の状
態でシートベルトが外されたときには運転意思がないと
判断して変速機をパーキングレンジに自動的に切替える
ようにしたことから、車輛停止時の変速レンジの切替え
操作が簡単化されるとともに、信頼性が保証される。

【００１０】その際、変速機がリバースレンジにあると
きにはパーキングレンジへの切替を禁止するようにした
ことから、後進時にはシートベルトを外しても変速機が
パーキングレンジに変速されることはなく、車輛後進時
においてシートベルトが邪魔になることはない。

【００１１】

【実施例】以下、本考案を図面に示す具体例に基づいて
詳細に説明する。図１ないし図５は本考案の一実施例に
よる電動オートチェンジを示す。図において、ハンドル
１の中央凹部には変速操作用のリモコンスイッチ２が着
脱可能に取付けられ、該リモコンスイッチ２はその切替
信号が車載のコントロールユニット３に入力されてい
る。このコントロールユニット３はリモコンスイッチ２
からの切替信号と他のセンサ信号との演算処理を行って
駆動信号を発生し、メイン及びサブの駆動モータ４ａ、
４ｂを駆動し、又車速、イグニッションイグニッション
のＯＮ・ＯＦＦ、シートベルトの着脱、パーキングブレ
ーキの作動状態、ブレーキスイッチの状態及びリモコン
スイッチ２の着脱状態から運転意思の有無を判別し、運
転意思がないと判別したときには変速レンジをパーキン
グＰに自動的に切替える一方、シートベルトが外されて
いる場合であって変速機４ｅがリバースレンジＲのとき
にはパーキングレンジＰへの切替えを禁止するように構
成されるなお、本実施例では車速及びシートベルトの着
脱の他に、イグニッションイグニッションのＯＮ・ＯＦ
Ｆ、パーキングブレーキの作動状態、ブレーキスイッチ
の状態及びリモコンスイッチ２の着脱状態から運転意思
の有無を判別しているが、これらは必ずしもなくてもよ
い。

【００１２】また、図３において、３は駆動モータ４
ａ、４ｂの駆動及びモータの表示を制御するコントロー
ルユニット、６ａ、６ｂはリモコンスイッチ２の信号を
受光する室内受光部及びケース内受光部、６ｃはリモコ
ンスイッチ２の着脱を検出する着脱検出センサ、６ｄは
変速機の変速レンジを検出するインヒビタスイッチ、６
ｅは駆動モータ４ａ、４ｂの回転位置を検出する位置セ
ンサ、６ｆは車速を検出する車速センサ、６ｇはイグニ
ッションのＯＮ・ＯＦＦを検出するイグニッションスイ
ッチ、６ｈはブレーキペダルの踏込みを検出するブレー
キスイッチ、６ｉはパーキングブレーキの作動を検出す
るパーキングブレーキスイッチ、６ｊはシートベルトの
着用を検出するシートベルトスイッチ、６ｋは駆動モー
タ４ａ、４ｂの作動を表示するモータインジケータであ
る。また、７ａ〜７ｆはリモコンスイッチ２を外したま
ま忘れたときのための備忘スイッチである。

【００１３】また、図４及び図５は本実施例における制
御系のフローチャートを示し、図４はメインルーチン、
図５は自動パーキングルーチンである。

【００１４】次にフローチャートを用いて動作について
説明する。

【００１５】コントロールユニット３においては、図４
に示すように、まず制御系が初期設定され（ステップＳ
１）、各種スイッチの信号が入力処理され（ステップＳ
２）、自動パーキング処理において車速、イグニッショ
ンイグニッションのＯＮ・ＯＦＦ、シートベルトの着
脱、パーキングブレーキの作動状態、ブレーキスイッチ
の状態あるいはリモコンスイッチ２の着脱状態から運転
意思の有無を判別し、運転意思がないと判別したときに
は変速レンジをパーキングＰに自動的に切替える一方、
シートベルトが外された場合であってもリバースレンジ
ＲのときにはパーキングレンジＰへの自動切替を禁止す
る処理を行った後（ステップＳ３）、スイッチ操作部２
の切替信号の処理内容が判定され（ステップＳ４〜Ｓ
９）、その判定結果に応じてパーキング、リバース、ニ
ュートラル、ドライブ、セコンド又はローの変速処理が
なされて変速機４ｅが所定のレンジに切替えられる（ス
テップＳ１０〜Ｓ１５）。なお、パーキングレンジＰへ
の自動切替えは変速ショックの関係で一旦ニュートラル
レンジＮに切替えた後パーキングレンジＰに切替えるの
が望ましい。

【００１６】次に自動パーキング処理の内容を詳細に説
明する。自動パーキング処理においては、図５に示すよ
うに、まずイグニッションスイッチがＯＮか否かが判定
され（ステップＳ３０１）、ＯＮの場合には走行状態に
あることからパーキングブレーキが作動されているか否
か、シートベルトが着用されているか否か、着脱検出セ
ンサ６ｃのＯＮ（取外し）・ＯＦＦ（装填）が判定され
る（ステップＳ３０２〜Ｓ３０４）。パーキングブレー
キが作動されておらず、シートベルトが着用され、又リ
モコンスイッチ２が装填されている場合には運転継続意
思があると判断して着脱フラグを１にして処理を終了す
る（ステップＳ３０５）。

【００１７】また、イグニッションスイッチがＯＦＦの
場合、ニュートラルのインヒビタスイッチがＯＮか否か
が判定され（ステップＳ３０６）、ニュートラル状態の
場合には自動パーキング処理が不要と判断してそのまま
で処理を終了する。

【００１８】他方、ニュートラル状態でない場合にはブ
レーキスイッチのＯＮ・ＯＦＦが判定され（ステップＳ
３０７）、ブレーキスイッチがＯＦＦの場合には車速が
３Ｋｍ／Ｈ以下か否かが判定され（ステップＳ３０
８）、車速が３Ｋｍ／Ｈ以下の場合には停車状態に入る
ところで運転意思がないと判断してモータ作動ルーチン
の処理を行い、変速機４ｅをパーキングレンジＰに変速
して処理を終了し（ステップＳ３０９）、車速が３Ｋｍ
／Ｈ以上の場合には未だ走行状態にあって自動パーキン
グの処理をすべきでないのでそのままで処理を終了す
る。このようにイグニッションがＯＦＦで車速が３Ｋｍ
／Ｈ以下の状態で変速機４ｅは自動的にパーキングレン
ジＰに変速される。

【００１９】また、ブレーキスイッチがＯＮの場合には
上述のステップＳ３０４に移って着脱検出センサ６ｃの
ＯＮ・ＯＦＦが判定される。リモコンスイッチ２が装着
されていない場合には着脱フラグが１か否かが判定され
（ステップＳ３１０）、着脱フラグが１の場合には車速
が３Ｋｍ／Ｈ以下か否かが判定され（ステップＳ３１
１）、車速が３Ｋｍ／Ｈ以下の場合には自動パーキング
の条件となっているので着脱フラグを０にし（ステップ
Ｓ３１２）、モータ作動ルーチンの処理（ステップＳ３
０９）を行ってパーキングレンジＰに変速して処理を終
了する。

【００２０】また、イグニッションスイッチがＯＮの状
態で、パーキングブレーキが作動されている場合には
（ステップＳ３０２）には上述のステップＳ３０７に移
ってブレーキスイッチの状態を判定し、その判定結果に
応じてステップＳ３０８又はステップＳ３０４からの処
理を実行し、パーキングブレーキが作動されて車速が３
Ｋｍ／Ｈ以下でかつブレーキスイッチがＯＦＦの場合に
は変速機４ｅはパーキングレンジＰに変速処理される。

【００２１】また、イグニッションスイッチがＯＮの状
態で、シートベルトが外されている場合には（ステップ
Ｓ３０３）には変速機４ｅがリバースレンジＲに変速さ
れているか否かの判定を行い（ステップＳ３１３）、変
速機４ｅがリバースレンジＲに変速されていない場合、
即ち他の走行レンジ、例えばドライブＤやセコンドＳに
変速されている場合には上述のステップＳ３０７に移っ
てブレーキスイッチの状態を判定し、その判定結果に応
じてステップＳ３０８又はステップＳ３０４からの処理
を実行し、シートベルトが外されて車速が３Ｋｍ／Ｈ以
下でかつブレーキスイッチがＯＦＦの場合には変速機４
ｅはパーキングレンジＰに変速処理される。

【００２２】また、イグニッションスイッチがＯＮの状
態で、シートベルトが外されている場合であって、変速
機４ｅがリバースレンジＲに変速されていない場合には
自動的にパーキングレンジＰに切替える処理を行わず、
これによって後進時においてシートベルトを外してハン
ドル操作することが可能となる。

【００２３】他方、着脱フラグが０の場合、又は車速が
３Ｋｍ／Ｈ以上の場合には自動パーキングが不要な場合
か、走行状態であり、自動パーキングの条件にはなって
いないのでそのままで処理を終了する。

【００２４】以上のような本実施例の電動オートチェン
ジでは、運転者の意思に関連するパラメータから運転継
続意思を判別し、運転意思のない場合には変速機４ｅを
自動的にパーキングレンジＰに切替えるようにしたの
で、車輛停止時の変速レンジの切替え操作を簡単化で
き、停車の信頼性を保証できる。

【００２５】また、本実施例の電動オートチェンジで
は、シートベルトを外した状態においてリバースレンジ
ＲからパーキングレンジＰへの切替えを禁止するように
したので、後進時にシートベルトを外しても変速機がパ
ーキングレンジＰに変速されることはなく、円滑なハン
ドル操作ができる。

【００２６】

【考案の効果】以上のように、本考案に係る電動オート
チェンジによれば、スイッチ操作部から切替信号を発生
させてアクチュエータを駆動し、変速機を所定の変速レ
ンジに切替える車輛用オートチェンジにおいて、シート
ベルトの装着を検出するシートベルトセンサと、変速機
のリバースレンジを検出するポジションセンサと、車速
を検出する車速センサと、車両が停車直前である所定の
低車速以下の状態でシートベルトが外されたときには変
速機をパーキングレンジに切替える一方、変速機がリバ
ースレンジのときにはパーキングレンジへの切替を禁止
する切替制御手段とを設けるようにしたので、後進時の
ハンドル操作性を損なうことなく、運転者に運転意思の
ないときに変速機を自動的にパーキングレンジに切替え
ることができ、停車時の変速操作を簡単化できるととも
に、信頼性及び安全性を保証できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例による電動オートチェンジ
を示す概略構成図である。

【図２】 上記オートチェンジの一部を示す概略斜視図
である。

【図３】 上記オートチェンジにおける変速制御系を示
す機能ブロック図である。

【図４】 上記オートチェンジにおける変速制御のメイ
ンルーチンを示すフローチャート図である。

【図５】 上記オートチェンジにおける自動パーキング
ルーチンを示すフローチャート図である。

【符号の説明】

２ リモコンスイッチ ３ コントロー
ルユニット ４ アクチュエータ ４ｅ 変速機 ６ｄ インヒビタスイッチ ６ｆ 車速センサ ６ｊ シートベルトセンサ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ１６Ｈ 59:50

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スイッチ操作部(2)から切替信号を発生
   させてアクチュエータ(4)を駆動し、変速機(4e)を所定
   の変速レンジに切替える車輛用オートチェンジにおい
   て、 シートベルトの装着を検出するシートベルトセンサ(6j)
   と、 変速機(4e)のリバースレンジＲを検出するポジションセ
   ンサ(6d)と、 車速を検出する車速センサ(6f)と、 車速が３Ｋｍ／Ｈ以下の状態でシートベルトが外された
   ときには上記変速機(4e)をパーキングレンジＰに切替え
   る一方、上記変速機(4e)がリバースレンジＲのときには
   上記パーキングレンジＰへの切替を禁止する切替制御手
   段(3)とを備えたことを特徴とする電動オートチェン
   ジ。