JP2560454Y2 - 枠体の連結構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、枠体と枠体の連結構造
に関し、特に、窓やドアなどを取り付けるための縦枠と
横枠とからなる方形状の枠体の連結構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、建造物の窓やドアなどを取り付け
るための枠体は、スチ−ルあるいはステンレスなどの素
材を建築現場において溶接して所定寸法に構成し躯体側
に組み付けるか、工場において縦枠、横枠および枠の接
続具とをセットとして作成し建築現場において組み付け
ることが行われている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】現場において溶接によ
り組み立てる手法は、素材に熱による変性を生起し素材
自体が変色し外観を損ねてしまうなどの欠点があった。
特に、近年スチ−ル板に塩ビシ−トなどの化粧材をラミ
ネ−トした素材が多用されるようになり、ラミネ−トシ
−トを保護する観点からも溶接による接合は不都合とな
ってきている。

【０００４】工場で枠体と接続具とを製造し現場におい
て枠体に組み上げていく手法は熱を素材に与えないこと
から上記の欠点は解消したが、その組み付け強度および
安定性、確実性、あるいは作業の容易性の観点から必ず
しも満足したものは得られていない。その一例として、
図５に示すように、枠体を構成する近接する二つの枠材
１、２の対向する端部に枠材の接合角度に切曲したコー
ナー固定具３を嵌合させたものなどか知られている（実
開昭５０−２９０４７号公報参照）。このものは接合角
度に折曲したコーナー固定具を枠材に嵌入するという簡
単な操作を施工現場で行うだけで方形の枠を組み立てる
ことができ有効なものであるが、枠体本体とコーナー固
定具のと接合は摩擦係合のみにより行われており接合強
度が必ずしも充分とはいえず、また、コーナー固定具に
枠体を嵌合させる際にはその摩擦力に打ち勝って圧入す
る必要があった。さらに、コーナー固定具の形状を接続
すべき枠体の形状に正確に一致させることが必要であり
精密な加工精度が求められている。そのような理由か
ら、上記の先行技術はアルミサッシのような軽量物の枠
体の連結手段としては有効に用いることができるもの
の、ドア取り付け用のスチ−ル枠体のように大型でかつ
重量のある建造物のための接合手段としてはいくつかの
不都合を含んでいた。

【０００５】本考案の目的は、上記のような従来の枠体
連結手段の持つ不都合を解消し、現場における組み付け
作業が容易でありながらも十分な接合力と強度を有し、
かつ製造に際してそれほどの寸法精度を必要としない、
枠体の連結構造を得ることを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決しかつ
目的を達成するために、本考案は、中空部を持つ枠体、
近接する二つの枠体の双方の中空部に挿入される挿入部
および該挿入部から外方に延出する延出部とを有する連
結部材、一端に枠体に係脱自在に支持するための支持部
を有し他端に連結部材の該延出部に固定される固定部を
有する固定部材、および連結部材の該延出部に該固定部
材を固定する締め付け部材とからなり、それぞれの枠体
に該連結部材の挿入部を挿入しかつ固定部材を係止した
後、該係止部材の双方の固定部を連結部材の該延出部に
一体に固定し、それにより近接する枠体を連結するよう
になっている、枠体の連結構造を開示する。

【０００７】枠体、連結部材、固定部材とをスチ−ル板
を加工することにより成形することが好ましいが、必ず
しもこれに限らず、ステンレスのような軽合金、あるい
は硬質合成樹脂のような樹脂材も用い得る。

【０００８】

【実施例】以下、添付の図面による実施例の説明に基づ
き本考案をより詳細に説明する。図１は、本考案による
枠体連結構造を用いて枠体を組み付ける場合の途中の状
態を示しており、図２は組み付け後の状態を断面により
示している。横枠１０および縦枠２０はほぼ同様の断面
形状を有しており、建造物の躯体に取り付けたときに内
側となる面１１、２１のほぼ中央部には戸当部１２、２
２が長手方向に設けれらている。内面１１、２１の両側
辺部は直角方向に折曲して外側立ち上がり部１３、２３
となり、さらに内方に折曲して前記の内面１１、２１と
平行な外面１４、２４となり、さらに内面１１、２１に
向けて折曲して内側立ち上がり部１５、２５を形成した
後、内面１１、２１とは一定間隔ｈ１、ｈ２離れた位置
においてさらに内方に折曲し、内面１１、２１と平行な
支持平面部１６、２６を構成している。なお、図１に示
されるように、支持平面部１６、２６の先端部は一定の
間隔を有して対向しており、開口Ｓ１、Ｓ２を形成して
いる。

【０００９】すなわち、この実施例に示される枠体は、
その長手方向の両側辺部に中空部を有するとともに中央
部は開口しており、該開口の両側部には内面と平行な一
対の支持平面部を有している。また、必ずしも必要では
ないが組み付けた際にその両端の接合部が相互に嵌合し
密封されかつ見栄えの良い状態で接合しうるように、端
部に切欠部１８、２８などの加工を施している。さら
に、枠体の接合端部近傍には、前記した開口Ｓ１、Ｓ２
の巾よりは広く内側立ち上がり部１５、２５の間の巾よ
りは狭い巾を持つＬ字状板１９、２９をネジ止めあるい
は溶着などの適宜の手段により固定しておく。

【００１０】次に、本考案による連結部材３０、固定部
材４０、および締め付け部材５０について説明する。連
結部材３０は挿入部３１および延出部３２からなり、挿
入部３１は接続すべき二つの枠体１０、２０の前記戸当
部１２、２２に嵌入しうる形状および寸法を持つＬ型材
であり、二つの枠体１０、２０間の接合強度を充分なも
のとするためにスチールの中実材を枠体のなす接続角
度、通常は９０度に折曲加工して製造する。しかし求め
られる接合強度に応じて中空のＬ型材であってもよくま
た板材を溶接加工して製造してもよい。さらに、樹脂材
により成形加工することも可能である。

【００１１】Ｌ型に折曲した挿入部３１の該折曲部分か
ら外方に向けて延出部３２を延出させる。延出部３２は
挿入部３１とは別部材として構成し溶接などの手段によ
り挿入部３１に一体に固着してもよく、型をつくり鋳込
みにより一体物として成形してもよい。延出部の延出方
向は、挿入部のなす折曲角度すなわち枠体の接合角度の
２等分線上での外方向であることが好ましいが、後記の
理由から厳密に２等分線上でなくてもさしつかえない。
また、延出部３２の長さは、図２に示すように二つの枠
体を接合すべく対向させたときにその外面部を構成する
一対の外面１４、２４を越えない長さであることが好ま
しい。そして、延出部３２の先端部には後記する締め付
け部材のための開口３３を形成する。

【００１２】固定部材４０は、枠体に取り付けられたＬ
字状板１９、２９の立設部１９’、２９’に嵌合状態で
係脱する支持部４１、水平部４３、および連結部材３０
の前記延出部３２に一体に固定されるための固定部４２
を有する。固定部４２は図２に示すように、連結部材３
０の延出部３２がその挿入部となす角度とほぼ等しい角
度に折曲しているとともに、その先端部には後記する締
め付け部材のための開４４を形成している。

【００１３】締め付け部材５０は、この実施例では上記
した固定部材４０および連結部材３０に設けた開口４４
および３３を貫通しうるボルト５１およびナット５２に
より構成される。次に、この装置を用いて枠体を接合固
定する作業手順について説明する。まず、縦枠あるいは
横枠のいずれか一方の戸当部２２に連結部材３０の挿入
部３１の一方の辺部を挿入する。次に、固定部材４０の
支持部４１をＬ字状板２９の立設部２９’に嵌合係止し
する。その状態では連結部材３０の前記延出部３１に形
成した開口３２と固定部材４０の傾斜した固定部４２に
形成した開口４４とは近接した状態で対向して位置して
いる。双方の開口に締め付け部材５０のボルト５１を通
し、両者を仮止めしておく。その状態で、他方の枠体を
連結部材３０の挿入部３１の他方の辺部を挿入しつつ同
様にもう一つの固定部材４０の支持部４１をＬ字状板１
９の立設部１９’に嵌合係止しかつ前記したボルト５１
に先端の開口４４に通す。次に、ボルト５１にナット５
２を螺合し、締め付けることにより、相対向する二つの
枠体と連結部材３０、固定部材４０、および締め付け部
材５０との相互間の接合は完了する。この手法を他の枠
体の接合部においても繰り返すことにより、３辺あるい
は４辺からなる方形枠体が構成される。

【００１４】以上の説明から明らかなように、本考案に
よる枠体の連結構造によれば、枠体と連結部材とは摩擦
係合による接合を必要としないので、中空部の寸法と連
結部材の寸法とを厳密に一致させる必要はなく、また、
枠体の中空部に連結部材を嵌入するのに格別の押圧力は
必要としない。ボルト５１を介して、双方の固定部材と
連結部材の延出部とを仮止めした後、ナット５２を徐々
に締め付けることにより、双方の枠体を相互に近接させ
つつ固定する。従って、固定部材の固定部の傾斜角度、
連結部材の延出部の傾斜角度、あるいはそれらの寸法な
どは必ずしも所定の定まった値である必要はなく、工場
での個々の部品の製造に際し多少の誤差は許容される。

【００１５】以上の説明は本考案の一実施例につていの
説明にすぎず、他の多くの態様が存在する。例えば、連
結部材の挿入部の形状は戸当部の形状に限るものではな
く、枠体を支持しうる形状であればどの様な形状であっ
てもよく、また、その挿入箇所も戸当部に限らず枠体の
中空部の任意の位置てあってよいことは容易に理解され
よう。従って、枠体はその内面に戸当部１２を持つもの
でなく、枠体の用いる場所に応じて内面は単なる平面で
もよい。また、枠体の断面形状もこの形に限るものでは
なく、枠体に連結部材が挿入することができる形状であ
ればすべて目的は達せられる。また、そのような断面形
状は枠体の全長において同一形状である必要はなく少な
くとも連結部材が挿入される接合端部においてその断面
形状を有していれば十分である。

【００１６】また、枠体の固定部材の係合手段も固定部
材が枠体に対して係脱自在でありかつ位置決めされる方
法であれば、例えば枠体にピンを立設しそこに固定部材
の一端を係止すること、枠体に開口を設けその開口に固
定部材の一端を挿入固定することなど多くの変形例が存
在する。また、図示のものの固定部材の固定部は断面Ｕ
字形とし一方が他方に嵌入する形状として示したが、単
に平板であっても目的は充分に達成可能である。締め付
け部材もボルト、ナットによる締め付け固定手段に限る
ことなく、双方の固定部材の固定部を強制的に接近させ
て連結部材の延出部とともに一体固定できる手段である
ば、例えばてこを利用した締め付け手段など任意のもの
を利用可能である。

【００１７】

【考案の効果】本考案は、上記のような構成としたの
で、工場で作成して施工現場に持ち込み簡単な作業でも
って組付けが行われることに加え、締め付け手段により
連結部材と固定部材とを近接させ固定するという単純な
作業により、枠体どうしを確実にかつ十分な機械的強度
をもって接合固定することができる。また、接合に必要
な各部材の制作加工に必ずしも正確さを必要としないの
でコスト的にも大きな利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の連結構造による組み付け途
中を示す斜視図。

【図２】本考案の一実施例の連結構造による組み付け終
了状態を示す断面図。

【図３】従来例を示す図。

【符号の説明】

１０、２０─枠体 ３０─連結部材 ３１─挿入部 ３２─延出部 ４０─固定部材 ４１─支持部 ４２─固定部 ５０─締付部材

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 中空部を持つ枠体、近接する二つの枠体
   の双方の中空部に挿入される挿入部および該挿入部から
   外方に延出する延出部とを有する連結部材、一端に枠体
   に係脱自在に支持するための支持部を有し他端に連結部
   材の該延出部に固定される固定部を有する固定部材、お
   よび連結部材の該延出部に該固定部材を固定する締め付
   け部材とからなり、それぞれの枠体に該連結部材の挿入
   部を挿入しかつ固定部材を係止した後、該係止部材の双
   方の固定部を連結部材の該延出部に一体に固定し、それ
   により近接する枠体を連結するようになっている、枠体
   の連結構造。