JP2560237B2 - SiC焼結体とその製造方法 - Google Patents
SiC焼結体とその製造方法Info
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- JP2560237B2 JP2560237B2 JP5277477A JP27747793A JP2560237B2 JP 2560237 B2 JP2560237 B2 JP 2560237B2 JP 5277477 A JP5277477 A JP 5277477A JP 27747793 A JP27747793 A JP 27747793A JP 2560237 B2 JP2560237 B2 JP 2560237B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、SiC焼結体とその
製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この発
明は、耐摩耗性、耐熱性等に優れた高強度のSiC焼結
体とその製造方法に関するものである。
製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この発
明は、耐摩耗性、耐熱性等に優れた高強度のSiC焼結
体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】航空・宇宙、自動車等の輸送
機械、産業機械、エネルギー技術、化学工業等の各種の
分野においては、耐摩耗性、耐熱性等に優れ、しかもよ
り高強度な材料への要求が高まっており、このような要
請に対応するための材料探索と各種製造方法の工夫がな
されてきている。この状況において、高温での硬度と強
度が高く、しかも化学的に安定であるSiC焼結体が注
目されており、これを母材に分散させ、複合材料とする
方法が検討されてきている。
機械、産業機械、エネルギー技術、化学工業等の各種の
分野においては、耐摩耗性、耐熱性等に優れ、しかもよ
り高強度な材料への要求が高まっており、このような要
請に対応するための材料探索と各種製造方法の工夫がな
されてきている。この状況において、高温での硬度と強
度が高く、しかも化学的に安定であるSiC焼結体が注
目されており、これを母材に分散させ、複合材料とする
方法が検討されてきている。
【0003】 そして、これまでに、より高強度なSiC
焼結体を得るために、ほう素(B)と炭素(C)、アル
ミニウム(Al)、さらには、酸化アルミニウム(Al
2O3)をSiCに添加して焼結する方法が提案されて
もいる。しかしながら、これまでの技術によっては、満
足のできる高強度SiC焼結体を得るまでには至ってい
ないのが実情である。
焼結体を得るために、ほう素(B)と炭素(C)、アル
ミニウム(Al)、さらには、酸化アルミニウム(Al
2O3)をSiCに添加して焼結する方法が提案されて
もいる。しかしながら、これまでの技術によっては、満
足のできる高強度SiC焼結体を得るまでには至ってい
ないのが実情である。
【0004】 この発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであり、従来のSiC焼結体の欠点を解消
し、耐摩耗性、耐熱性等に優れた高強度のSiC焼結体
と、これを製造することのできる新しいSiC焼結体の
製造方法を提供することを目的としている。
されたものであり、従来のSiC焼結体の欠点を解消
し、耐摩耗性、耐熱性等に優れた高強度のSiC焼結体
と、これを製造することのできる新しいSiC焼結体の
製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、SiC焼結体のSiC粒子によ
り構成される母相に、針状または板状の非等軸六方晶S
iC粒子が一様に分散されており、この非等軸六方晶S
iC粒子には、金属ほう化物を構成する金属元素が固溶
していることを特徴とするSiC焼結体を提供する。そ
のための製造方法として、この発明は、立方晶系に属す
るSiCの粉末原料を、焼結助剤としてのBの存在下
で、金属ほう化物とともに焼結し、SiCの非等軸六方
晶系への相転移を抑制して焼結体を安定化するととも
に、緻密化した後に、この焼結体を焼結温度より100
〜200℃高い温度に加熱し、溶融体を生成させ、焼結
時またはこの加熱処理時の少なくともいずれか一方にお
いて、一部の立方晶SiCから金属ほう化物を構成する
金属元素が固溶することにより相転移した、または相転
移する非等軸六方晶SiCを、前記溶融体中で針状また
は板状の粒子に液相成長させ、これを焼結体の母相に一
様に分散させることを特徴とするSiC焼結体の製造方
法をも提供する。
を解決するものとして、SiC焼結体のSiC粒子によ
り構成される母相に、針状または板状の非等軸六方晶S
iC粒子が一様に分散されており、この非等軸六方晶S
iC粒子には、金属ほう化物を構成する金属元素が固溶
していることを特徴とするSiC焼結体を提供する。そ
のための製造方法として、この発明は、立方晶系に属す
るSiCの粉末原料を、焼結助剤としてのBの存在下
で、金属ほう化物とともに焼結し、SiCの非等軸六方
晶系への相転移を抑制して焼結体を安定化するととも
に、緻密化した後に、この焼結体を焼結温度より100
〜200℃高い温度に加熱し、溶融体を生成させ、焼結
時またはこの加熱処理時の少なくともいずれか一方にお
いて、一部の立方晶SiCから金属ほう化物を構成する
金属元素が固溶することにより相転移した、または相転
移する非等軸六方晶SiCを、前記溶融体中で針状また
は板状の粒子に液相成長させ、これを焼結体の母相に一
様に分散させることを特徴とするSiC焼結体の製造方
法をも提供する。
【0006】 SiCについては、多くの結晶学的多形が
存在する。このうち、通常発見することのできるものは
2H,3C,4H,6Hおよび15Rであり、立方晶系
に属する3Cをβ型、その他の非等軸晶系に属するもの
をα型と呼んでいる。焼結用原料には、立方晶SiC
(3C(β型))と非等軸晶SiC(6H(α型))と
があり、立方晶SiC(3C(β型))は、高温で安定
でなく、焼結後に非等軸晶SiC(α型)である6Hや
15Rなどに転移する。この転移現象が、焼結体の組
織、すなわち、粒子形状に影響を及ぼすことがすでに知
られている。このようなSiC焼結体の特徴を踏まえ、
この発明は、SiC焼結体の破壊靭性および強度を改善
しようとするものである。
存在する。このうち、通常発見することのできるものは
2H,3C,4H,6Hおよび15Rであり、立方晶系
に属する3Cをβ型、その他の非等軸晶系に属するもの
をα型と呼んでいる。焼結用原料には、立方晶SiC
(3C(β型))と非等軸晶SiC(6H(α型))と
があり、立方晶SiC(3C(β型))は、高温で安定
でなく、焼結後に非等軸晶SiC(α型)である6Hや
15Rなどに転移する。この転移現象が、焼結体の組
織、すなわち、粒子形状に影響を及ぼすことがすでに知
られている。このようなSiC焼結体の特徴を踏まえ、
この発明は、SiC焼結体の破壊靭性および強度を改善
しようとするものである。
【0007】
すなわち、この発明においては、立方晶S
iC(β型)粉末を、焼結助剤としてのBまたはCの少
なくともいずれか一種の存在下で、金属ほう化物ととも
に安定化しつつ焼結した後に、焼結体を加熱処理し、そ
の一部を溶融し、形成した液相中で、金属ほう化物を構
成する金属元素が固溶することにより一部の立方晶Si
C(β型)から相転移する非等軸六方晶SiC(α型)
を針状または板状の粒子に成長させ、微細な粒子である
母相SiC(β型)に長短径比(アスペクト比)の大き
いSiC(α型)粒子を一様に分散させ、複合組織を持
った高強度のSiC焼結体を生成させる。
iC(β型)粉末を、焼結助剤としてのBまたはCの少
なくともいずれか一種の存在下で、金属ほう化物ととも
に安定化しつつ焼結した後に、焼結体を加熱処理し、そ
の一部を溶融し、形成した液相中で、金属ほう化物を構
成する金属元素が固溶することにより一部の立方晶Si
C(β型)から相転移する非等軸六方晶SiC(α型)
を針状または板状の粒子に成長させ、微細な粒子である
母相SiC(β型)に長短径比(アスペクト比)の大き
いSiC(α型)粒子を一様に分散させ、複合組織を持
った高強度のSiC焼結体を生成させる。
【0008】 以下、SiCの焼結状態と、上記複合組織
生成についての試験例を説明する。
生成についての試験例を説明する。
【0009】試験例 立方晶SiC(3C( β型))に、Ti,Zr,Nb,
TaまたはWの各金属ほう化物混合粉末、および焼結助
剤としてのBおよびCを混合し、これらの混合粉末を焼
結した。そして、各金属ほう化物を構成した金属元素
は、2100〜2300℃でSiC粒子に2〜0.1%
固溶し、特定の非等軸六方晶SiC(α型)に転移し、
安定化した。特に、TaB2は、2150℃まで立方晶
SiC(3C(β型))を安定化した。また、2100
〜2300℃の温度範囲内で、各金属ほう化物は、焼結
助剤として添加したBとともに液相を形成した。この液
相において、相転移したSiC粒子が針状または板状に
成長した。2150℃で安定化したSiC多形の分析結
果は、表1に示す通りであった。 なお、SiCへの各金
属元素の固溶はEDS分析により確認した。
TaまたはWの各金属ほう化物混合粉末、および焼結助
剤としてのBおよびCを混合し、これらの混合粉末を焼
結した。そして、各金属ほう化物を構成した金属元素
は、2100〜2300℃でSiC粒子に2〜0.1%
固溶し、特定の非等軸六方晶SiC(α型)に転移し、
安定化した。特に、TaB2は、2150℃まで立方晶
SiC(3C(β型))を安定化した。また、2100
〜2300℃の温度範囲内で、各金属ほう化物は、焼結
助剤として添加したBとともに液相を形成した。この液
相において、相転移したSiC粒子が針状または板状に
成長した。2150℃で安定化したSiC多形の分析結
果は、表1に示す通りであった。 なお、SiCへの各金
属元素の固溶はEDS分析により確認した。
【0010】
【表1】
【0011】表1に示した試験例では、SiCの焼結に
際して、金属ほう化物を15体積%混合したが、これよ
りも少ない2〜10体積%混合した場合にも、SiCの
相転移の傾向は同様であった。実際、上記金属ほう化物
をそれぞれ5体積%添加した時、一部の相転移したSi
Cは、同様に針状または板状に成長し、ある粒径分布で
2種類のSiC(β型およびα型)が共存する複合組織
を持つ焼結体となった。なお、金属ほう化物の混合量が
10体積%を超えると、一般に、液相の生成が多くな
り、SiC粒子のほぼ全部が相転移して針状または板状
粒子に成長し、粒径分布はほぼ一定となる傾向が強ま
る。この傾向は、表1から確認されるように、金属ほう
化物の種類、加熱温度、さらには、加熱時間等によりバ
ラツキがある。たとえば、TaB 2 の場合には、15体
積%としても、高強度が得られるβ型およびα型の共存
する複合組織が得られる。
際して、金属ほう化物を15体積%混合したが、これよ
りも少ない2〜10体積%混合した場合にも、SiCの
相転移の傾向は同様であった。実際、上記金属ほう化物
をそれぞれ5体積%添加した時、一部の相転移したSi
Cは、同様に針状または板状に成長し、ある粒径分布で
2種類のSiC(β型およびα型)が共存する複合組織
を持つ焼結体となった。なお、金属ほう化物の混合量が
10体積%を超えると、一般に、液相の生成が多くな
り、SiC粒子のほぼ全部が相転移して針状または板状
粒子に成長し、粒径分布はほぼ一定となる傾向が強ま
る。この傾向は、表1から確認されるように、金属ほう
化物の種類、加熱温度、さらには、加熱時間等によりバ
ラツキがある。たとえば、TaB 2 の場合には、15体
積%としても、高強度が得られるβ型およびα型の共存
する複合組織が得られる。
【0012】以上の結果を要約すると、 1)立方晶SiC(β型)に金属ほう化物、たとえばT
i,Zr,Nb,Ta,W等のほう化物を少量固溶させ
ると、一部のβ型SiCについては相転移して特定の非
等軸六方晶SiC(α型)となる。 2)立方晶SiC(β型)が非等軸六方晶(α型)に相
転移を起こした後に、針状または板状粒子に成長する。 3)このような相転移と針状または板状粒子の成長は、
ある温度範囲での加熱処理により生成した液相(溶融
体)中で加速される。 4)金属ほう化物とBは、上記加熱温度において共晶に
より液相を生ずる。
i,Zr,Nb,Ta,W等のほう化物を少量固溶させ
ると、一部のβ型SiCについては相転移して特定の非
等軸六方晶SiC(α型)となる。 2)立方晶SiC(β型)が非等軸六方晶(α型)に相
転移を起こした後に、針状または板状粒子に成長する。 3)このような相転移と針状または板状粒子の成長は、
ある温度範囲での加熱処理により生成した液相(溶融
体)中で加速される。 4)金属ほう化物とBは、上記加熱温度において共晶に
より液相を生ずる。
【0013】従って、SiC粉末に、金属ほう化物およ
び焼結助剤としてのBを混合して焼結および加熱処理
し、液相が生成したときに、この液相を通じて、一部の
立方晶SiC粒子(β型)から相転移した非等軸六方晶
SiC(α型)が針状または板状に成長し、複合的な粒
度分布を持ったSiC焼結体が得られる。この焼結体
は、従来のSiC焼結体より破壊靭性が大きいという特
徴を有する。
び焼結助剤としてのBを混合して焼結および加熱処理
し、液相が生成したときに、この液相を通じて、一部の
立方晶SiC粒子(β型)から相転移した非等軸六方晶
SiC(α型)が針状または板状に成長し、複合的な粒
度分布を持ったSiC焼結体が得られる。この焼結体
は、従来のSiC焼結体より破壊靭性が大きいという特
徴を有する。
【0014】 そこで 、この発明においては、出発原料に
立方晶SiC(β型(3C))の微粉末を用い、これ
に、焼結助剤としてのBとともに、Ti,Zr,Nb,
TaまたはWを必須構成元素とする少なくとも一種の金
属ほう化物粉末を3〜15体積%、好ましくは5体積%
を加え、混合する。金属ほう化物粉末の粒径は、たとえ
ば平均粒径1μm程度とすることができる。焼結助剤と
してのBは、たとえば、上記金属ほう化物の添加に先立
って、立方晶SiC(β型)の微粉末にアルコールを媒
体として混合することができる。その添加量は、0.5
〜2重量%、好ましくは0.8重量%とする。通常、焼
結のためのBの添加量は0.5重量%以下であるが、こ
こでは、焼結温度に略等しい温度での加熱処理により金
属ほう化物と溶融体を形成するために、過剰に加えるの
が好ましい。また、焼結助剤としてはCも添加すること
ができ、この場合のCの添加量は、1〜3重量%、好ま
しくは2重量%とすることができる。
立方晶SiC(β型(3C))の微粉末を用い、これ
に、焼結助剤としてのBとともに、Ti,Zr,Nb,
TaまたはWを必須構成元素とする少なくとも一種の金
属ほう化物粉末を3〜15体積%、好ましくは5体積%
を加え、混合する。金属ほう化物粉末の粒径は、たとえ
ば平均粒径1μm程度とすることができる。焼結助剤と
してのBは、たとえば、上記金属ほう化物の添加に先立
って、立方晶SiC(β型)の微粉末にアルコールを媒
体として混合することができる。その添加量は、0.5
〜2重量%、好ましくは0.8重量%とする。通常、焼
結のためのBの添加量は0.5重量%以下であるが、こ
こでは、焼結温度に略等しい温度での加熱処理により金
属ほう化物と溶融体を形成するために、過剰に加えるの
が好ましい。また、焼結助剤としてはCも添加すること
ができ、この場合のCの添加量は、1〜3重量%、好ま
しくは2重量%とすることができる。
【0015】 このようにして調製した 混合粉末を、次い
で、たとえば静水圧プレス(CIP)等によって成形す
る。この混合粉末成形体を2100℃程度で約1時間焼
結し、安定化しつつ緻密化する。この後に、焼結温度よ
り100〜200℃高いおよそ2200℃で1〜2時間
程度保持し、焼結体を加熱処理する。この処理によっ
て、焼結体には、その一部に溶融体が生成する。Ta,
W,Nb等の金属ほう化物の融点は、通常、2800〜
3050℃と高いが、Bが過剰にあると、このような金
属ほう化物であっても、共晶により融点が低下して溶触
体を生成しやくなる。
で、たとえば静水圧プレス(CIP)等によって成形す
る。この混合粉末成形体を2100℃程度で約1時間焼
結し、安定化しつつ緻密化する。この後に、焼結温度よ
り100〜200℃高いおよそ2200℃で1〜2時間
程度保持し、焼結体を加熱処理する。この処理によっ
て、焼結体には、その一部に溶融体が生成する。Ta,
W,Nb等の金属ほう化物の融点は、通常、2800〜
3050℃と高いが、Bが過剰にあると、このような金
属ほう化物であっても、共晶により融点が低下して溶触
体を生成しやくなる。
【0016】 なお、 金属ほう化物を構成する金属元素
は、一部の立方晶SiC(β型)粒子に0.4モル%未
満の割合で少量固溶する。この金属元素の固溶によっ
て、SiCは、特定の非等軸六方晶(α型)、主に、6
Hや4Hなどに転移し、これが、上記溶融体中で針状ま
たは板状粒子に液相成長する。
は、一部の立方晶SiC(β型)粒子に0.4モル%未
満の割合で少量固溶する。この金属元素の固溶によっ
て、SiCは、特定の非等軸六方晶(α型)、主に、6
Hや4Hなどに転移し、これが、上記溶融体中で針状ま
たは板状粒子に液相成長する。
【0017】 処理 後の焼結体は、金属ほう化物粒子とS
iC粒子とから形成される。母相は、焼結体全体の60
体積%以上を占め、平均粒径10μm以下に分布する立
方晶SiC粒子(β型)によって形成される。そして、
この細粒の母相中に、5〜30体積%程度の割合で針状
または板状の非等軸六方晶SiC粒子(α型)がランダ
ムに分散する。この針状または板状の非等軸六方晶Si
C粒子(α型)は、長短径比5以上、長軸径50μm以
上(より具体的には、50〜200μm)、かつ長さ5
〜10μm程度の粒子である。
iC粒子とから形成される。母相は、焼結体全体の60
体積%以上を占め、平均粒径10μm以下に分布する立
方晶SiC粒子(β型)によって形成される。そして、
この細粒の母相中に、5〜30体積%程度の割合で針状
または板状の非等軸六方晶SiC粒子(α型)がランダ
ムに分散する。この針状または板状の非等軸六方晶Si
C粒子(α型)は、長短径比5以上、長軸径50μm以
上(より具体的には、50〜200μm)、かつ長さ5
〜10μm程度の粒子である。
【0018】 このような 複合組織の形成によって、Si
C焼結体は、立方晶SiC(β型)粉末を単独で焼結し
た焼結体の1.5から2倍の破壊靭性値を持つようにな
る。
C焼結体は、立方晶SiC(β型)粉末を単独で焼結し
た焼結体の1.5から2倍の破壊靭性値を持つようにな
る。
【0019】 次に実施例として金属ほう化物がTaB2
である場合を例として、この発明についてさらに詳しく
説明する。
である場合を例として、この発明についてさらに詳しく
説明する。
【0020】
【実施例】立方晶SiC(β型)微粉末にBおよびCを
それぞれ0.6重量%,2重量%加え、アルコールを媒
体にして、SiC製の遊星運動型ボールミルで24時間
混合した。これに5体積%のTaB2を加え、上記の混
合条件で混合した。この後に、混合粉末を金型内に入
れ、静水圧2トンでラバープレスした。炭素ヒータを備
えた焼結炉を用い、この成形体を真空中で1500℃ま
で加熱した。次いで、焼結炉内にArガスを導入し、2
100℃で1時間焼結した。加えたTaB2は立方晶S
iC(β型)を高温で安定化し、立方晶SiC(β型)
の微細な粒子とTaB2粒子とからなる焼結体が形成し
た。この焼結体をさらに2250℃で1時間保持したと
ころ、立方晶SiC(β型)粒子の一部から針状または
板状粒子が成長した。
それぞれ0.6重量%,2重量%加え、アルコールを媒
体にして、SiC製の遊星運動型ボールミルで24時間
混合した。これに5体積%のTaB2を加え、上記の混
合条件で混合した。この後に、混合粉末を金型内に入
れ、静水圧2トンでラバープレスした。炭素ヒータを備
えた焼結炉を用い、この成形体を真空中で1500℃ま
で加熱した。次いで、焼結炉内にArガスを導入し、2
100℃で1時間焼結した。加えたTaB2は立方晶S
iC(β型)を高温で安定化し、立方晶SiC(β型)
の微細な粒子とTaB2粒子とからなる焼結体が形成し
た。この焼結体をさらに2250℃で1時間保持したと
ころ、立方晶SiC(β型)粒子の一部から針状または
板状粒子が成長した。
【0021】 焼結体の性質は、表2に示した通りであ
る。
る。
【0022】
【表2】
【0023】焼結体の組織を画像解析した結果、この焼
結体は、5体積%のTaB2粒子と95体積%のSiC
粒子とからなる緻密体であることが確認された。また、
平均粒径3.0μm、アスペクト比3.0の立方晶Si
C(β型)細粒が焼結体全体の81体積%を占め、母相
を形成した。この母相中に、14体積%の針状または板
状の非等軸六方晶SiC粒子(α型)が分散していた。
非等軸六方晶SiC(α型)粒子の長さは、平均で23
0μmであり、また、アスペクト比は平均で18であっ
た。 このSiC焼結体について機械的特性を測定したと
ころ、弾性率428GPa、三点曲げ強度430MP
a、および破壊靭性値4.6MPam1/2であった。
結体は、5体積%のTaB2粒子と95体積%のSiC
粒子とからなる緻密体であることが確認された。また、
平均粒径3.0μm、アスペクト比3.0の立方晶Si
C(β型)細粒が焼結体全体の81体積%を占め、母相
を形成した。この母相中に、14体積%の針状または板
状の非等軸六方晶SiC粒子(α型)が分散していた。
非等軸六方晶SiC(α型)粒子の長さは、平均で23
0μmであり、また、アスペクト比は平均で18であっ
た。 このSiC焼結体について機械的特性を測定したと
ころ、弾性率428GPa、三点曲げ強度430MP
a、および破壊靭性値4.6MPam1/2であった。
【0024】 比較のために、従来から一般的に用いられ
ているSiC焼結体の製造方法に従って、立方晶SiC
(β型)粉末を焼結し、その平均粒径、アスペクト比、
含有量、弾性率、三点曲げ強度、および破壊靭性値を測
定した。具体的には、立方晶SiC(β型)微粉末に
0.3重量%のBおよび2重量%のCを加え、アルコー
ルを媒体にして、SiC製の遊星運動型ボールミルで2
4時間混合した後に、混合粉末を金型に入れ、静水圧2
トンでラバープレスし、次いで成形体を炭素ヒータを備
えた焼結炉内で2050℃で1時間焼結した。その結
果、表3に示す通りの焼結体を得た。
ているSiC焼結体の製造方法に従って、立方晶SiC
(β型)粉末を焼結し、その平均粒径、アスペクト比、
含有量、弾性率、三点曲げ強度、および破壊靭性値を測
定した。具体的には、立方晶SiC(β型)微粉末に
0.3重量%のBおよび2重量%のCを加え、アルコー
ルを媒体にして、SiC製の遊星運動型ボールミルで2
4時間混合した後に、混合粉末を金型に入れ、静水圧2
トンでラバープレスし、次いで成形体を炭素ヒータを備
えた焼結炉内で2050℃で1時間焼結した。その結
果、表3に示す通りの焼結体を得た。
【0025】
【表3】
【0026】この表3に示した通り、従来法により製造
されたSiC焼結体は、弾性率440GPa、三点曲げ
強度400MPa、および破壊靭性値は2.4MPam
1/2であった。この焼結体を2150℃で1時間加熱
したところ、SiC粒子のすべてが粒成長し、平均粒径
85μmの大粒子に成長した。金属ほう化物を加えずに
SiC焼結体を製造した場合には、複合組織を有するS
iC焼結体は得られず、SiC焼結体の強度は小さかっ
た。
されたSiC焼結体は、弾性率440GPa、三点曲げ
強度400MPa、および破壊靭性値は2.4MPam
1/2であった。この焼結体を2150℃で1時間加熱
したところ、SiC粒子のすべてが粒成長し、平均粒径
85μmの大粒子に成長した。金属ほう化物を加えずに
SiC焼結体を製造した場合には、複合組織を有するS
iC焼結体は得られず、SiC焼結体の強度は小さかっ
た。
【0027】 以上の対比からも明らかなように、この発
明のSiC焼結体は、複合組織を有する焼結体であっ
て、その機械的性質は、たとえば、破壊靭性値4.6M
Pam1/2となり、従来のSiC焼結体の破壊靭性値
の2.4MPam 1/2に比べ、約2倍も向上する。
明のSiC焼結体は、複合組織を有する焼結体であっ
て、その機械的性質は、たとえば、破壊靭性値4.6M
Pam1/2となり、従来のSiC焼結体の破壊靭性値
の2.4MPam 1/2に比べ、約2倍も向上する。
【0028】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、一部の立方晶SiC(β型)から、金属ほう化物
を構成する金属元素が固溶した非等軸六方晶SiC(α
型)粒子が液相中で針状または板状に成長し、母相に一
様に分散した複合的な粒度分布を持つSiC焼結体が得
られる。このSiC焼結体は、従来よりも機械的強度に
優れ、高強度な焼結体となる。
って、一部の立方晶SiC(β型)から、金属ほう化物
を構成する金属元素が固溶した非等軸六方晶SiC(α
型)粒子が液相中で針状または板状に成長し、母相に一
様に分散した複合的な粒度分布を持つSiC焼結体が得
られる。このSiC焼結体は、従来よりも機械的強度に
優れ、高強度な焼結体となる。
Claims (11)
- 【請求項1】 SiC焼結体のSiC粒子により構成さ
れる母相に、針状または板状の非等軸六方晶SiC粒子
が一様に分散されており、この非等軸六方晶SiC粒子
には、金属ほう化物を構成する金属元素が固溶している
ことを特徴とするSiC焼結体。 - 【請求項2】 母相は、焼結体全体の60体積%以上を
占め、平均粒径10μm以下の立方晶SiC粒子から形
成されている請求項1の焼結体。 - 【請求項3】 針状または板状の非等軸六方晶SiC粒
子は、焼結体の全体の5〜30体積%を占め、長短径比
5以上、長軸径50μm以上であり、金属ほう化物を構
成する金属元素が0.4モル%未満固溶している請求項
1の焼結体。 - 【請求項4】 固溶する金属元素は、Ti,Zr,N
b,TaまたはWの少なくともいずれか一種である請求
項1の焼結体。 - 【請求項5】 立方晶系に属するSiCの粉末原料を、
焼結助剤としてのBの存在下で、金属ほう化物とともに
焼結し、SiCの非等軸六方晶系への相転移を抑制して
焼結体を安定化するとともに、緻密化した後に、この焼
結体を焼結温度より100〜200℃高い温度に加熱
し、溶融体を生成させ、焼結時またはこの加熱処理時の
少なくともいずれか一方において、一部の立方晶SiC
から金属ほう化物を構成する金属元素が固溶することに
より相転移した、または相転移する非等軸六方晶SiC
を、前記溶融体中で針状または板状の粒子に液相成長さ
せ、これを焼結体の母相に一様に分散させることを特徴
とするSiC焼結体の製造方法。 - 【請求項6】 金属ほう化物として、Ti,Zr,N
b,TaまたはWの少なくともいずれか一種のほう化物
を混合する請求項5の製造方法。 - 【請求項7】 金属ほう化物の混合量が2〜15体積%
である請求項5または6いずれかの製造方法。 - 【請求項8】 焼結助剤としてさらにCを添加する請求
項5の製造方法。 - 【請求項9】 焼結助剤の添加量が0.5〜2重量%で
ある請求項5の製造方法。 - 【請求項10】 焼結助剤の添加量が0.5〜5重量%
である請求項8の製造方法。 - 【請求項11】 温度2000〜2100℃で焼結する
請求項5の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5277477A JP2560237B2 (ja) | 1993-10-08 | 1993-10-08 | SiC焼結体とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5277477A JP2560237B2 (ja) | 1993-10-08 | 1993-10-08 | SiC焼結体とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07109172A JPH07109172A (ja) | 1995-04-25 |
JP2560237B2 true JP2560237B2 (ja) | 1996-12-04 |
Family
ID=17584145
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5277477A Expired - Lifetime JP2560237B2 (ja) | 1993-10-08 | 1993-10-08 | SiC焼結体とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2560237B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6312431B2 (ja) * | 2013-12-27 | 2018-04-18 | 日本特殊陶業株式会社 | 炭化珪素質焼結体の製造方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6340766A (ja) * | 1986-08-01 | 1988-02-22 | 旭硝子株式会社 | 高温鉄鋼接触部材 |
JPS6487563A (en) * | 1987-09-30 | 1989-03-31 | Nippon Steel Corp | Nonoxide type composite ceramic sintered body |
-
1993
- 1993-10-08 JP JP5277477A patent/JP2560237B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07109172A (ja) | 1995-04-25 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |