JP2558699B2 - 含水性ソフトコンタクトレンズ - Google Patents

含水性ソフトコンタクトレンズ

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JP2558699B2 JP62128036A JP12803687A JP2558699B2 JP 2558699 B2 JP2558699 B2 JP 2558699B2 JP 62128036 A JP62128036 A JP 62128036A JP 12803687 A JP12803687 A JP 12803687A JP 2558699 B2 JP2558699 B2 JP 2558699B2
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信行 大沢
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は含水性ソフトコンタクトレンズに関し、更に
詳しくは、含水率に依存しない高い酸素透過性を有し、
蛋白質のこびり付きによる汚染性の低い含水性ソフトコ
ンタクトレンズに関する。
[従来の技術] コンタクトレンズは、ハードコンタクトレンズとソフ
トコンタクトレンズに大別され、一般にハードコンタク
トレンズは、光学的には優れているが、酸素透過性が小
さいために、長時間装用ができず、また角膜とのなじみ
が少ないために、催涙、異物感を生ずる等の欠点があ
り、近年では、これに代ってソフトコンタクトレンズが
広く用いられるようになってきている。ソフトコンタク
トレンズとしては、親水性の2-ヒドロキシエチルメタク
リレート(以下、HEMAと記す。)重合体を主成分とする
ものが知られており、その含水率は、20重量%から80重
量%と広範囲に亘っている。この種のレンズの代表的な
ものには、HEMAにN-ビニルピロリドンを共重合させたも
の、HEMAにメタクリル酸を共重合させたもの等が知られ
ているが、この種のハイドロゲル系のソフトコンタクト
レンズは、酸素透過性をそのゲル中の水の量に依存して
おり、酸素透過性と含水率とは略直線的比例関係にあ
る。従って、従来は、長時間の連続装用を可能にするた
めに、ハイドロゲルの含水率を高めて酸素透過性を良く
するか、レンズを極端に薄くして、単位時間単位面積当
りの酸素透過性量を大きくするかの2つの方法が採られ
ていた。
[発明が解決しようとする問題点] 然しながら、含水率を高くして酸素透過性を増す方法
では、含水率増加に伴ってレンズ材質の機械的強度が弱
くなるばかりでなく、膨潤率のバラツキが大きくなるた
め、安定した視力が得られ難くなるとともに、汚れ付着
がレンズの中まで滲透して、洗浄除去が難しくなる等の
欠点があった。
また、レンズを薄くして酸素透過性量を大きくする方
法では、装用する際にレンズが指の腹に沿って付着した
り、レンズが巻いたりして装用上扱い難く、極めて不便
なものとなるという欠点がある。
そこで、含水率に対して、期待されるよりも高い酸素
透過性を有するレンズ素材が望まれた。そこで、本発明
では含水率を余り高くしなくても、充分な酸素透過性を
有し、機械的強度及び汚れ付着の点で改善された高酸素
透過性のソフトコンタクトレンズを提供しようとするも
のである。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、ジメチルアクリルアミド30〜50重量%、フ
ルオロアルキルアクリレートまたはフルオロアルキルメ
タクリレート30〜50重量%を主成分とする組成物を共重
合させて成形したことを特徴とする含水性ソフトコンタ
クトレンズに係るものである。
ジメチルアクリルアミドは、30重量%未満では含水時
の可撓性が低下するため好ましくなく、50重量%を越え
ると強度が低下するとともに、含水率が高くなり過ぎる
ため、視力が安定しない、付着した汚れが落ち難い等の
欠点が生じ、好ましくない。
他方、フルオロアルキルアクリレートまたはフルオロ
アルキルメタクリレートは、30重量%未満では酸素透過
性向上効果が低く、また汚れのこびり付き防止の効果が
低く、50重量%を越えると脂質による汚れ付着が起き易
くなるので好ましくない。フルオロアルキル(メタ)ア
クリレートは、好ましくは、炭素数2〜10個のアルキル
基の水素を部分的にフッ素原子で置換したフルオロアル
キル基、特にパーフルオロアルキル基を有するアルコー
ルと(メタ)アクリル酸とのエステルで、上記アルキル
基は直鎖状であっても、側鎖を有するものであってもよ
い。代表的には、トリフルオロエチル(メタ)アクリレ
ート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、
ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オ
クタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、テトラヒ
ドロヘキサデカフルオロデシル(メタ)アクリレートが
挙げられるが、その他のフルオロアルキル(メタ)アク
リレートも使用し得る。
本発明においては、上記ジメチルアクリルアミド及び
フルオロアルキル(メタ)アクリレートの他に、更に好
ましくは10〜20重量%のメチルメタクリレートを加える
こともできる。これは強度向上を目的とするもので、10
重量%未満ではこの効果が低く、20重量%を越えると、
ジメチルアクリルアミド及びフルオロアルキル(メタ)
アクリレートによる前記効果が相対的に低くなるので好
ましくない。
また、切削研磨性、水和膨潤時の寸法安定性等を向上
させる目的で、好ましくは0.1〜10重量%の架橋剤を添
加することもできる。架橋剤は、多官能性単量体の中か
ら、少なくとも1種類選択され、代表的には、エチレン
グリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジ
メタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレ
ート、エチレングリコールジメタアクリレート、ジエチ
レングリコールジアクリレート、トリエチレングリコー
ルジアクリレート、アリルメタクリレート、アリルアク
リレート、ビニルメタクリレート、コハク酸ジアリル、
コハク酸ジビニル、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、フタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、ペン
タエリスリトールテトラメタクリレート、トリアリルイ
ソシアヌレート等が用いられる。
本発明の含水性ソフトコンタクトレンズは、上記組成
物に対し、通常のラジカル重合開始剤を加えて攪拌混合
し、成形型に入れて、一般には40℃〜100℃の温度範囲
で重合を行ない、冷却後切削研磨性加工して所望の寸法
のレンズ形状にする。これを生理食塩水中に浸漬して水
和膨潤させる。
このようにして得られる本発明の含水性ソフトコンタ
クトレンズは、一定の含水率で期待されるよりも高い酸
素透過性を有し、従って、含水率を余り高くしなくて
も、充分な酸素透過性を有するため、高含水率に起因す
る機会的強度低下及び汚れ付着の問題を改善することが
できるとともに、同一含水率で比較しても汚れのこびり
付きの少ないレンズとなる。
[実施例] 表1に示す組成のモノマーを混合攪拌してポリプロレ
ン製の試験管に入れ、60℃の水溶中で48時間、次いで90
℃の空気溶中で72時間保持して重合させた。冷却後、棒
状の重合物を試験管から抜き出し、公知の切削研磨性法
によりコンタクトレンズ形状に加工した後、70℃の生理
的塩水中に16時間浸漬することによって水和膨潤させ
た。
得られた各レンズの物性を表1に示した。なお、酸素
透過性及び水/オクタン接触角は、上記と同様の方法で
直径11.4mm厚さ0.17mmのディスクを形成し、このディス
クを用いて測定した。
酸素透過係数の測定は、製科研式フィルム酸素透過性
率計を用い、37℃で行った。酸素透過性は、一般の含水
性ソフトコンタクトレンズにおいては、ハイドロゲル中
の水の量に依存しているため、添付図面のグラフに示し
た標準直線のように、酸素透過係数と含水率とは、直線
的比例関係にあるが、本発明による表中の実施例1〜4
で得られたレンズでは、酸素透過係数と含水率の関係が
何れもこの直線よりも上側の高い側にあり、この種ハイ
ドロゲルにおいて一定の含水率で期待されるよりも、大
幅に高い酸素透過性を有していることが判った。
水/オクタン接触角は、25℃に温調した純水中に含水
した試料試料を静置し、試料下面にn−オクタンの油滴
を接触させて、その試料面と油滴が形成する角度を、協
和科学株式会社製接触角計を用いて測定した。この接触
角は、試料と蛋白質との相互作用の強弱を示す尺度であ
り、角度の大きさと樹脂の表面エネルギーは比例関係に
あり、従って、この角度が大きい程、蛋白質による汚れ
が生じやすい。本発明による実施例1〜4で得られた試
料は、比較例の試料と較べて、水/オクタン接触角が何
れも小さく、蛋白質による汚れのこびり付き難いもので
あることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
添付図面は、含水性ソフトコンタクトレンズにおける含
水率と酸素透過係数の関係を示すグラフである。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジメチルアクリルアミド30〜50重量%、フ
    ルオロアルキルアクリレートまたはフルオロアルキルメ
    タクリレート30〜50重量%を主成分とする組成物を共重
    合させて成形したことを特徴とする含水性ソフトコンタ
    クトレンズ。
  2. 【請求項2】フルオロアルキルアクリレートまたはフル
    オロアルキルメタクリレートが、トリフルオロエチル
    (メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メ
    タ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メ
    タ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)ア
    クリレート、テトラヒドロヘキサデカフルオロデシル
    (メタ)アクリレートからなる群から選択される少なく
    とも1種類の化合物である特許請求の範囲第(1)項に
    記載の含水性ソフトコンタクトレンズ。
  3. 【請求項3】前記組成物がさらに10〜20重量%のメチル
    メタクリレートを含有する特許請求の範囲第(1)項ま
    たは第(2)項に記載の含水性ソフトコンタクトレン
    ズ。
  4. 【請求項4】前記組成物がさらに0.1〜10重量%の架橋
    剤を含有する特許請求の範囲第(1)項乃至第(3)項
    のいずれかに記載の含水性ソフトコンタクトレンズ。
  5. 【請求項5】前記架橋剤が、エチレングリコールジメタ
    クリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、
    トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレング
    リコールジメタアクリレート、ジエチレングリコールジ
    アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
    ト、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニ
    ルメタクリレート、コハク酸ジアリル、コハク酸ジビニ
    ル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、フタ
    ル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトー
    ルテトラメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート
    からなる郡から選択される少なくとも1種の多官能性単
    量体である特許請求の範囲第(4)項に記載の含水性ソ
    フトコンタクトレンズ。
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