JP2555692Y2 - 印字可能なホログラム形成材料 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はホログラム形成材料に関
する。更に詳しくは本考案はレリーフ型ホログラムを形
成した面にサーマルヘッド等を用いた加熱により印字可
能なホログラム形成材料に関する。

【０００２】

【従来の技術】レリーフ型ホログラムは、樹脂表面にホ
ログラムを構成する凹凸を設け、このホログラム画像を
より明るいものとするため、金属または高屈折率の透明
材料の蒸着層を設けたもので、反射回折角が波長によっ
て異なり、虹模様に見えることからレインボウーホログ
ラムと呼ばれることもある。

【０００３】このようなレリーフ型ホログラムを、例え
ば、銀行のカードやプリペイドカード等に設けて、偽
造、贋造を防止し、安全性を高めたカードは公知であ
る。

【０００４】一方、これらのカードは繰り返して取引に
使用することから、カード表面に取引内容等を印字した
いという要請がある。印字のためには、例えば、この表
面に、転写リボンを使用してインキ層を転写したり、カ
ード表面に塗工された加熱発色性インキ層に印字発色さ
せれば良い。

【０００５】しかしながら、いずれの方法によっても印
字部分においてはホログラム画像が消失してしまう。ホ
ログラムは、その一部分が全情報を有しているため、一
部分の印字によって情報が失われることはなく、またカ
ードの安全性が損なわれることもないが、印字された部
分は反射回折光を生じないことから、印字部分にホログ
ラム画像を見ることはできず、極めて見栄えの劣るもの
となるという欠点があった。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】そこで、本考案は、印
字可能で、しかも印字部分のホログラム画像が消失する
ことのないホログラム形成材料を提供することを目的と
する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この目的のため、本考案
は、表面にレリーフ型ホログラムをエンボスした基材
と、このホログラム面上に設けられ、印字の際の熱で溶
融しない透明材料の蒸着層と、この透明材料の上に設け
られ、印字の際の熱により溶融する低融点金属の蒸着層
と、この蒸着層の上に設けられた透明樹脂層とを備えた
ホログラム形成材料であって、該ホログラム形成材料上
を選択的に加熱することで印字を可能としたことを特徴
とする印字可能なホログラム形成材料を提供する。

【０００８】以下、図面を参照して本考案を説明する。
図１は本考案に係るホログラム形成材料の断面図、図２
は印字後の本考案に係るホログラム形成材料の断面図で
ある。

【０００９】すなわち、本考案に係るホログラム形成材
料１は、基材１１と、印字の際に溶融しない透明蒸着層
１２と、溶融する金属蒸着層１３と、透明樹脂層１４か
ら成る。

【００１０】基材１１は、ホログラム形成材料１の構造
的支持体となると共にホログラムを構成する凹凸を表面
に有するもので、この二つの機能を別個の材料が負担す
ることが好ましい。図１は、ホログラム形成材料１の構
造的支持体となる旨の機能をベース１１ａが負担し、ホ
ログラムを構成する凹凸を表面に有する旨の機能をホロ
グラム形成樹脂層１１ｂが負担する例を示している。

【００１１】ベース１１ａとしては、周知のプラスチッ
クフィルムまたはシートが使用できる。例えば、ポリ塩
化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ポリカーボネート等である。また、
紙等であっても良い。

【００１２】ホログラム形成樹脂層１１ｂはその表面に
凹凸形成が可能な合成樹脂から成るものが好ましい。例
えば、二液硬化型ウレタン樹脂である。熱可塑性樹脂で
あっても良いが、サーマルヘッド等の印字の際の加熱に
より軟化しない高軟化点のものが好ましい。軟化により
ホログラムの凹凸が消失することがあるからである。

【００１３】溶融しない透明蒸着層１２は、印字部分に
おいてホログラム画像を維持するためのものである。反
射回折光は、透明蒸着層１２と透明樹脂層１４の界面
で、両者の屈折率の差に応じて生じるから、この透明蒸
着層１２は高屈折率のものであることが望ましい。

【００１４】透明蒸着層１２としては、例えば、酸化チ
タン（屈折率２．３）、酸化珪素（屈折率１．５）等が
使用できる。

【００１５】溶融する金属蒸着層１３は、その表面で反
射回折光を生じると共に、サーマルヘッド等の加熱によ
り溶融して、印字を可能とするものである。溶融した金
属はその表面張力に基づいて周囲に移動し、加熱部分は
金属１３が存在しない状態になる。このような金属とし
ては、例えば、錫、ビスマス、インジウム、カドミウ
ム、鉛等が使用できる。

【００１６】透明蒸着層１２と金属蒸着層１３は、いず
れも、真空蒸着法、スパッタリング法などの方法で設け
ることができる。厚さは１００〜１００００Åで良い。

【００１７】透明樹脂層１４は金属蒸着層１３等の保護
のために設けられるものである。また、金属蒸着層が存
在しない状態において、反射回折光を生じるようにする
ためには、透明蒸着層１２等と屈折率が異なるものが好
ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン（屈折率
１．３５）、酢酸ビニル（屈折率１．４５〜１．４
７）、メチルメタクリレート（屈折率１．４９）、ポリ
塩化ビニリデン（屈折率１．６０〜１．６３）等の中か
ら選択して使用することができる。

【００１８】本考案のホログラム形成材料１は、印字前
には、金属蒸着層１３表面の反射回折光によりホログラ
ム画像を肉眼で認識することができる。

【００１９】さらにサーマルヘッド等の加熱により、加
熱部分においては金属蒸着層１３が溶融して存在しない
状態となり、その存否により文字等を肉眼で見ることが
できる（図２参照）。

【００２０】一方、透明蒸着層１２はサーマルヘッド等
の熱によっては溶融せず、印字部分にも残存する。この
ため、印字部分では、屈折率の差に基づいて反射回折光
が生じ、ホログラムが肉眼で見えることになる。

【００２１】なお、透明蒸着層１２と透明樹脂層１４の
界面による反射の場合は、入射角度に応じて反射強度が
異なるため、角度によりホログラムが見えないことがあ
り、この場合には金属蒸着層１３によるホログラムが認
識されて、印字された文字が一層明瞭に認識できる。

【００２２】

【効果】本考案によれば、表面にレリーフ型ホログラム
をエンボスした基材と、このホログラム面上に設けら
れ、印字の際の熱で溶融しない透明材料の蒸着層と、こ
の透明材料の上に設けられ、印字の際の熱により溶融す
る低融点金属の蒸着層と、この蒸着層の上に設けられた
透明樹脂層とを備えたホログラム形成材料であり、サー
マルヘッド等の加熱により、金属蒸着層を溶融すること
で印字を可能とし、しかも印字部分もホログラム画像が
残存する熱印字可能なホログラム形成材料である。この
ため、偽造等に対し高度の安全性を要求されるカード等
に極めて好適なホログラム形成材料を提供することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ホログラム形成材料の断面図。

【図２】印字後のホログラム形成材料の断面図。

【符号の説明】

１ …ホログラム形成材料 １１ …基材 １１ａ…ベース １１ｂ…ホログラム形成樹脂層 １２ …透明蒸着層 １３ …金属蒸着層 １４ …透明樹脂層（保護層）

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】表面にレリーフ型ホログラムをエンボスし
   た基材と、このホログラム面上に設けられ、印字の際の
   熱で溶融しない透明材料の蒸着層と、この透明材料の上
   に設けられ、印字の際の熱により溶融する低融点金属の
   蒸着層と、この蒸着層の上に設けられた透明樹脂層とを
   備えたホログラム形成材料であって、該ホログラム形成
   材料上を選択的に加熱することで印字を可能としたこと
   を特徴とする印字可能なホログラム形成材料。