JP2555197B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置

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JP2555197B2 JP1233469A JP23346989A JP2555197B2 JP 2555197 B2 JP2555197 B2 JP 2555197B2 JP 1233469 A JP1233469 A JP 1233469A JP 23346989 A JP23346989 A JP 23346989A JP 2555197 B2 JP2555197 B2 JP 2555197B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光ディスク装置などに用いる光源として好
適な、低雑音特性を有する半導体レーザ装置に関する。
〔従来の技術〕
ディジタルオーディオディスク(DAD)やビデオディ
スク(VD)用光源あるいはアナログ信号伝達用光源とし
て基本横モード発振にすぐれた半導体レーザ装置が求め
られており、このための種々の装置が提供されている。
ところが通常の半導体レーザ装置を光ディスク装置の
光源として用いたばあい、ディスク面で反射される戻り
光によって誘起される、いわゆる戻り光雑音が大きいた
め、信号と雑音との強度比で雑音特性を示す、いわゆる
S/N比(Signal to Noise Ratio)が小さくなるという問
題があった。
この戻り光誘起雑音を低減する一つの方法として、活
性領域に可飽和吸収体を設けて自励振を発生させる方法
が提案されている。その一例をあげれば第7図に示すよ
うな半導体レーザ装置があげられる。第7図は、東芝レ
ビュー、40巻7号、p576〜578(光ピックアップ用低雑
音半導体レーザ、鈴木和雄他)に記載された、ロスガイ
ド機構を有する従来の半導体レーザ装置を示す斜視図で
あり、第7〜8図において、(21)はp型GaAs基板、
(22)はn型GaAs電流狭窄層、(23)はp型AlGaAs下ク
ラッド層、(24)p型AlGaAs活性層、(25)はn型AlGa
As上クラッド層、(26)はn型AlGaAsアンチエッチバッ
ク層、(27)はn型GaAsコンタクト層、(28)は2段の
溝、(8)は金属電極である。
アンチエッチバック層(26)は、液相エピタキシヤル
成長法(LPE)により下クラッド層(23)を成長させる
工程で溝変形を阻止するためのものである。アンチエッ
チバック層を形成したのち、反応性イオンエッチング法
(RIE)により第8図に示すような2段溝の形成がなさ
れる。なお、第8図は第7図A部の拡大図である。
従来の半導体レーザ装置は前記のように構成され、
今、上・下の金属電極(8)、(8)間に、活性層のpn
接合に対して順方向の電圧を印加すると、キャリアが活
性層内に閉じ込められて発光し、上・下クラッド層(2
3)、(25)および2段溝部付近での光の損失に基づく
実効的な屈折率差によってガイドされ、基本横モード発
振がえられる。
ここで、光のガイド領域は2段の溝(28)のうち幅の
広い上段の溝で規定され、電流は幅の狭い下段の溝によ
る電流狭窄層(22)の開口でその拡がりが抑えられるた
めに、光ガイド領域内で利得に不均一が生ずる(第8図
参照)。
光ガイド内にある活性層(24)は、注入電流密度が小
さくて利得が吸収を上回ることができないばあいには可
飽和吸収体として働く。すなわち、レーザ光の強度が低
いばあいにはレーザ光に対し吸収体となり、ある程度光
強度が大きいと透明体となる。したがって、可飽和吸収
体は一種の光誘起スイッチとして働き、レーザ出力光は
ns以下のパルス幅をもった自己パルス変調を生じ、いわ
ゆる自励振が発生する。自励振が生じている状態ではレ
ーザ光の縦モードはマルチモードとなり、可干渉距離が
小さくなる。戻り光誘起雑音は反射によって共振器内部
に戻った光との自己干渉により生じるので、可干渉距離
が小さいほど雑音は小さくなる。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記のように、第7図に示す従来の半導体レーザ装置
では自励振を利用した低雑音化に成功しているが、第2
回目の結晶成長工程において、2段の溝(28)を埋込ん
で、活性層(24)をほぼ平坦に形成する必要がある。こ
れは、活性層が湾曲していると、横方向に実屈折率分布
が形成され、光分布が溝のみで規定されなくなり、特
性、とくに雑音特性に影響を及ぼすからである。このた
め前記従来例では溝の埋込み成長が可能なLPEを2回目
成長に用いている。しかし、近年、盛んに研究・開発さ
れ、制御性・量産性にすぐれている有機金属気相成長法
(MOCVD)や分子線成長法(MBE)などの気相エピタキシ
ャル成長法は、溝を平坦に埋込む成長が困難なため、前
記従来のレーザ装置には適用できない問題点があった。
本発明は前記のような問題に鑑みなされたもので、MO
CVDやMBEなどの気相エピタキシャル成長法を用いて比較
的簡単な方法で作製可能な、自励振による低雑音半導体
レーザ装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の半導体レーザ装置は、 (a)一方の電極と、 (b)前記一方の電極上に形成された所定の導電形式の
半導体基板と、 (c)前記半導体基板上に形成された前記半導体基板と
同じ導電形式の第1クラッド層と、 (d)前記第1クラッド層上に形成された活性層と、 (e)前記活性層上に形成されたリッジ部を有する前記
半導体基板とは異なる導電形式の第2クラッド層と、 (f)前記第2クラッド層のリッジ部上面に形成された
前記第2クラッド層と同じ導電形式のコンタクト層と、 (g)前記第2クラッド層上に前記リッジ部を挟んで形
成された前記第2クラッド層と同様の組成を有し、該第
2クラッド層と異なる導電形式の第1電流阻止層および
該第1電流阻止層と同じ導電形式で前記活性層の禁制帯
幅より小さい禁制帯幅を有する第2電流阻止層と、 (h)前記コンタクト層および前記電流阻止層を覆うよ
うに形成された他方の電極とを備え、前記リッジ部にお
ける前記第2電流阻止層の間隔が前記リッジ部における
前記第1電流阻止層の間隔より大きく形成されているこ
とを特徴としている。
〔作 用〕
本発明の半導体レーザ装置においては電流阻止層が第
1電流阻止層と第2電流阻止層とに分けられ、リッジ部
における第2電流阻止層の間隔が第1電流阻止層の間隔
より大きく形成されているので、第1電流阻止層の間隔
で定められる電流狭窄の幅より第2電流阻止層の間隔で
定められる光分布の幅が広くなる。そのため、ロスガイ
ド機構となり、自励振を発生させることができ、横モー
ドの安定化が図られ、より有効に再現性良く光誘起雑音
を阻止することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は、本発明の半導体レーザ装置の一実施例の断
面図である。第1図において、(1)はn型GaAs基板、
(2)はn型AlGaAs第1クラッド層、(3)はAlGaAs活
性層、(4)はp型AlGaAs第2クラッド層、(5)はn
型AlGaAs第1電流阻止層、(6)はn型GaAs第2電流阻
止層、(7)はp型GaAsコンタクト層、(8)は金属電
極である。
つぎに、この実施例に示す半導体レーザ装置の製造法
を第1〜4図に基づいて説明する。
(a)n型GaAs基板(1)上にMOCVDあるいはMBEにより
p型GaAsコンタクト層(7)までを従来例の半導体レー
ザ装置と同様に順次成長させる(第2図参照)。
(b)絶縁膜(9)をコンタクト層(7)の表面に形成
する。形成法は真空蒸着、スパッタリングなどを用いる
ことができるが、膜の密着性の点よりスパッタリングを
用いるのが好ましい。絶縁膜(9)の材質は、GaAsとの
密着性、耐薬品性、耐熱性の点よりSiO2、Si3N4などを
用いることができるが、形成が容易である点よりSiO2
用いるのが好ましい。絶縁膜(9)の膜厚は、ストレス
の点より1000〜2000Åの範囲とするのが好ましい。絶縁
膜(9)の形状は、リッジの幅の点より幅3〜5μm程
度のストライプ状とするのが好ましい。絶縁膜(9)の
形成条件は、形成する膜厚、材質、形状などに応じて適
宜選定されるが、一例をあげればスパッタリング法によ
りSiO2の膜を作製するときは、アルゴンガス圧1×10-2
Torr、RF電力100Wとすることができる。
(c)絶縁膜(9)の成膜ののち、この絶縁膜(9)を
マスクとして、コンタクト層(7)および第2クラッド
層(4)の一部をエッチングにより除去する(第3図参
照)。エッチング液としては硫酸と過酸化水素水の混合
液、アンモニアと過酸化水素水の混合液などを用いるこ
とができるが、エッチングの制御性の点より硫酸と過酸
化水素水の混合液を用いるのが好ましい。エッチング条
件は用いるエッチング液の種類により適宜選定される
が、エッチング液として硫酸と過酸化水素水の混合液を
用いたばあいは、液温を1.5℃とするのが好ましい。
(d)エッチングののち、マスクとして用いた絶縁膜
(9)を今度は、選択成長マスクとして用い、MOCVDな
どで、第1電流阻止層(5)と第2電流阻止層(6)を
選択埋込み成長する(第4図参照)。
成膜方法および条件は従来よりこの種の成膜に採用さ
れているものを適宜採用することができ、とくに限定さ
れない。その一例をあげるならば、第1電流阻止層
(5)については、0.1気圧のMOCVD、第2電流阻止層
(6)については0.1気圧のMOCVDとすることができる。
(e)絶縁膜(9)をフッ酸により除去したのち、金属
電極(8)を真空蒸着法で成膜する。金属電極(8)の
成膜方法および条件は従来よりこの種の成膜に採用され
ているものを適宜採用することができ、とくに限定され
ない。その一例をあげるならば、真空蒸着法により圧力
1×10-6Torr以下の条件のもとに成膜することができ
る。金属電極(8)の膜厚はストレスの点より500〜500
0Åの範囲にあるのが好ましい。この範囲をはずれると
ストレスが大きくなり問題を生ずるので好ましくない。
最後に各チップに分離して素子が完成される。このよう
にして製造された半導体レーザ装置の動作機構は従来例
と全く同様であり、電流は幅の狭いp型第2クラッド層
(4)のリッジ部で狭窄され、光はこの幅よりも広い第
2電流阻止層で導波される。そのため自励振が発生し、
この自励振により戻り光誘起雑音が緩和され戻り光誘起
雑音を小さくすることができる。
なお、前記実施例では幅の狭いp型GaAsコンタクト層
(7)の表面のみで電極のオーミック接触を形成してい
るが、面積が小さいため、オーミック抵抗が大きくなる
ばあいがある。これを防止するためにはより広い面積で
オーミック接触を形成すればよい。第5図にかかる構成
の一実施例を示す。第5図において、(11)はp型AlGa
As層、(12)はp型GaAs層を示す。p型AlGaAs層(11)
はMOCVDにより、常圧の条件のもとに1μm程度の膜厚
で成膜される。(12)はMOCVDにより、常圧の条件のも
とに1μm程度の膜厚で成膜される。第5図中、第1図
と同一符号は同一部分または相当部分を示す。したがっ
て、それらの部分については説明は省略する。
第5図に示す実施例では、p型AlGaAs層(11)、p型
GaAs層(12)が形成されており、そのためより広い面積
にオーミック電極が形成されているので、接触抵抗が充
分小さいという特性を有している。
前記各実施例においては電流阻止層をロスガイドの点
より第1電流阻止層(5)と第2電流阻止層(6)とに
分けて形成したが、電流阻止層はリッジガイド構造で形
成されれば一層であっても実用上問題を生じない。
すなわち、第1図に示す実施例ではn型GaAs第2電流
阻止層(6)でのレーザ光の吸収によるロスガイド機構
で横モードの安定化を図っているが、第6図に示す実施
例のように、第2電流阻止層(6)を設けない構造も可
能である。このばあい、光の横方向のガイドは、リッジ
形状に厚くなっている第2クラッド層(4)に起因する
屈折率分布でなされるので、リッジガイド構造と呼ばれ
ている。電流は、GaAsコンタクト層(7)の部分のみに
流れるので、第1図に示す実施例と同様の自励振が発生
し、戻り光誘起雑音を小さくできる。
なお、以上の実施例ではGaAs、AlGaAsを材料として用
いたものを示したが、材料はこれらに限定されるもので
はなく、たとえば(AlGa)InP、GaInP、InGaAsPなどを
用いてもよい。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明の半導体レーザ装置によ
れば、戻り光誘起雑音を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の半導体レーザ装置の一実施例の断面
図、第2〜4図は本発明の製造法の成膜過程を示す説明
図、第5〜6図は本発明の半導体レーザ装置の他の実施
例の断面図、第7図は従来例の半導体レーザ装置の斜視
図、第8図は第7図のA部拡大図である。 (図面の主要符号) (1):半導体基板 (2):第1クラッド層 (3):活性層 (4):第2クラッド層 (5):第1電流阻止層 (6):第2電流阻止層 (7):コンタクト層 (8):金属電極

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)一方の電極と、 (b)前記一方の電極上に形成された所定の導電形式の
    半導体基板と、 (c)前記半導体基板上に形成された前記半導体基板と
    同じ導電形式の第1クラッド層と、 (d)前記第1クラッド層上に形成された活性層と、 (e)前記活性層上に形成されたリッジ部を有する前記
    半導体基板とは異なる導電形式の第2クラッド層と、 (f)前記第2クラッド層のリッジ部上面に形成された
    前記第2クラッド層と同じ導電形式のコンタクト層と、 (g)前記第2クラッド層上に前記リッジ部を挟んで形
    成された前記第2クラッド層と同様の組成を有し、該第
    2クラッド層と異なる導電形式の第1電流阻止層および
    該第1電流阻止層と同じ導電形式で前記活性層の禁制帯
    幅より小さい禁制帯幅を有する第2電流阻止層と、 (h)前記コンタクト層および前記電流阻止層を覆うよ
    うに形成された他方の電極とを備え、前記リッジ部にお
    ける前記第2電流阻止層の間隔が前記リッジ部における
    前記第1電流阻止層の間隔より大きく形成されているこ
    とを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 【請求項2】前記第2電流阻止層が、前記活性層から発
    光する光を吸収する材料からなる請求項1記載の半導体
    レーザ装置。
  3. 【請求項3】前記活性層がAlGaAsからなり、前記第2電
    流阻止層がGaAsからなる請求項2記載の半導体レーザ装
    置。
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