JP2548810Y2 - 高所作業車における油圧駆動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、高所作業車のゴンドラ
側に導かれた油圧回路から圧油を取り出して小型ウイン
チ等の作業機の駆動源として使用する油圧駆動装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に高所作業車ではゴンドラ内にて小
型ウインチやチェーンソーなどの作業機を使用する場合
があるため、作業機の駆動源としてゴンドラから圧油を
取り出す必要がある。そのため従来は前記作業機のため
に車体側のポンプ（ブーム装置の旋回・起伏の駆動源で
もある）から油圧配管を延ばし、ブーム装置内を通して
ゴンドラ側に導き、ゴンドラに固定した油圧配管先端の
接続口に作業機を接続できるようになっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところが前記構造であ
れば作業機用の油圧配管がブーム装置内を通ることにな
るが、ブーム装置内にはブーム装置を伸縮させるための
シリンダやワイヤロープ、ゴンドラ旋回用の圧油を供給
する油圧配管等が入り込んでいるため、作業機用の油圧
配管をブーム装置内に設ける際、狭隘な場所での作業を
強いられるとともにブーム装置内での油圧配管の配置に
種々の制約が発生するという問題がある。

【０００４】そこで本考案はブーム装置内を通る油圧配
管の本数を減らすことにより組み付け時の作業性を良く
した高所作業車における油圧駆動装置を提供するもので
ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、車体上に旋回
台を介して支柱を立設し、前記支柱には先端にゴンドラ
を有するブーム装置を起伏可能に設け、前記ゴンドラと
ブーム装置の連結部分にはゴンドラ旋回モータを設けた
高所作業車において、前記車体側のポンプから旋回台上
に延びた油圧配管をブーム装置を通してゴンドラ旋回モ
ータに接続し、前記油圧配管上の任意の位置にゴンドラ
切換弁を設け、更に前記油圧配管のゴンドラ側に油圧配
管から圧油を取り出す取出弁を設け、前記取出弁から延
びた補助配管先端の接続口をゴンドラ側に設けたことを
特徴とするものである。

【０００６】

【作用】ゴンドラを旋回させる場合には取出弁を通常の
位置に切換えて油圧配管をゴンドラ旋回モータ側に連通
するようにした状態でゴンドラ切換弁を切換える。圧油
はゴンドラ切換弁、油圧配管を通ってゴンドラ旋回モー
タに供給され、ゴンドラを旋回させる。

【０００７】次に作業機を使用するために圧油を取り出
す場合には取出弁を圧油取出位置に切換えて油圧配管を
補助配管側に連通するようにした状態でゴンドラ切換弁
を切換える。圧油はゴンドラ切換弁、油圧配管、取出弁
を通って補助配管に供給され、接続口に接続された作業
機を作動させる。

【０００８】

【実施例】以下本考案の実施例を図面にて説明すると、
１は高所作業車で、該高所作業車１は車体２上に旋回台
３を設け、旋回台３に支柱４を立設し、前記支柱４上部
に伸縮式のブーム装置５を起伏可能に軸支し、ブーム装
置５の先端にゴンドラ６を旋回可能に軸支してある。

【０００９】車体２側には走行用エンジン７にて駆動さ
れるポンプ８を設け、前記ポンプ８にて各種シリンダ等
に圧油を供給するようになっている。旋回台３上には旋
回台３を回転させるためのブーム旋回モータ９が設けら
れ、支柱４にはブーム装置５を起伏させるための起伏シ
リンダ１０を設けてある。ブーム装置５内にはブーム装
置５を伸縮させるための伸縮シリンダ１１を設けてあ
る。

【００１０】前記ブーム装置５の先端には図２の如くア
ーム１２の中央を揺動可能に軸支し、アーム１２の一端
にはブラケット１３を介してゴンドラ旋回モータ１４を
固定し、他端にはアーム１２を揺動させる上部水平用シ
リンダ１５を軸支してある。前記ブラケット１３にはゴ
ンドラ６側面から延びた支持部材１６を対向支持させ、
支持部材１６に固定された回転軸１７をゴンドラ旋回モ
ータ１４にて回転可能とし、回転軸１７の回転にてゴン
ドラ６が旋回するようになっている。

【００１１】前記ゴンドラ６にはブーム装置５の旋回等
を操作するためのコントロールボックス１８が設けられ
ている。前記支柱４とブーム装置５との間には下部水平
用シリンダ１９を設け、前記上部水平用シリンダ１５と
連通させることにより、ブーム装置５の起伏に係わらず
ゴンドラ６を常時水平に保持できるようになっている。

【００１２】次に油圧回路を図３にて説明すると、走行
用エンジン７にてポンプ８を直接又は間接的に駆動させ
るようになっており、ポンプ８は大容量の大ポンプ２０
と小容量の小ポンプ２１とを並列に設けてある。各ポン
プ２０、２１から延びた配管を旋回台３のスイベルジョ
イント２２を介して旋回台３上方に導く。

【００１３】小ポンプ２１から延びた第１配管２３は起
伏切換弁２４、旋回切換弁２５及びゴンドラ切換弁２６
を通って車体２側のタンク２７に戻るようになってい
る。前記起伏切換弁２４は起伏シリンダ１０の伸縮を制
御するようになっており、旋回切換弁２５はブーム旋回
モータ９の正逆転を制御するようになっている。前記ゴ
ンドラ切換弁２６からは第２配管２８が延び、ブーム装
置５内を通ってゴンドラ６側のゴンドラ旋回モータ１４
に接続され、ゴンドラ切換弁２６にてゴンドラ旋回モー
タ１４の正逆転を制御するようになっている。

【００１４】前記第２配管２８のゴンドラ切換弁２６側
には開閉弁２９の介装された分岐配管３０を分岐させ
て、上・下部水平用シリンダ１５、１９を連通させる水
平制御配管３１に連通させてある。第２配管２８のゴン
ドラ旋回モータ１４側には第１取出弁３２を介して補助
配管３３を分岐させ、前記補助配管３３先端の接続口３
４をゴンドラ６に固定して小型ウインチ等を接続できる
ようになっている。

【００１５】３５はゴンドラ旋回モータ１４の直前に設
けた絞り弁で、ゴンドラ６の微動旋回ができるようにな
っている。３６は補助配管３３に設けたチェック弁であ
る。大ポンプ２０から延びた第３配管３７は伸縮切換弁
３８を通ってタンク２７に戻るようになっており、伸縮
切換弁３８の制御にて伸縮用シリンダ１１を作動させう
るようになっている。

【００１６】尚、ブーム装置５を伸縮させるためには伸
縮用シリンダ１１のストローク量が大きくなるが、大容
量の大ポンプ２０から圧油を供給しているので迅速な伸
縮が可能である。前記第３配管３７の伸縮切換弁３８直
後の位置に第２取出弁３９を設け、第２取出弁３９から
延びた第４配管４０を第２配管２８のブーム装置５直前
位置に接続し、第２取出弁３９の切換えにて第３配管３
７から取り出した圧油を第４配管４０を通して第２配管
２８に供給できるようになっている。

【００１７】本考案は前記の如き構成で次に作用につい
て説明すると、高所作業車１が作業現場に到着すると図
１の状態より起伏切換弁２４及び旋回切換弁２５を切換
え、第１配管２３にて導かれた圧油を起伏シリンダ１０
及びブーム旋回モータ９に供給してブーム装置５を起伏
・旋回させる。更に伸縮切換弁３８を切換え、第３配管
３７にて導かれた圧油を伸縮用シリンダ１１に供給して
ブーム装置５を伸縮させ、ゴンドラ６を作業位置に近接
させる。またゴンドラ６を作業位置により近接させる場
合や作業位置を少しづつ移動させる場合にはゴンドラ切
換弁２６を切換え、ゴンドラ旋回モータ１４を回転させ
てゴンドラ６を旋回させる。

【００１８】ゴンドラ６を作業位置に移動させた後はゴ
ンドラ６内の作業者が電線の修理等を行う。ところで、
ゴンドラ６内で小型ウインチ（地上からゴンドラ内への
荷物の積卸しのためのクレーンに使用）、チェーンソ
（街路樹の小枝切断）等の大容量の圧油を必要とする作
業機を使用する場合には、前記作業機を接続口３４に接
続した後（接続と同時にチェック弁３６は解除される）
第１取出弁３２及び第２取出弁３９を切換え、更に伸縮
切換弁３８を切換え、圧油を第３配管３７、第４配管４
０、第２配管２８及び補助配管３３を通して作業機に供
給する。

【００１９】その際、ゴンドラ旋回モータ１４への供給
は第１取出弁３２にて遮断されているのでゴンドラ６は
旋回しない。更に伸縮用シリンダ１１への油の供給も第
２取出弁３９にて遮断されているのでブーム装置５は伸
縮しない。また電線を切断する油圧カッターのような小
容量の圧油で足りる作業機を使用する場合には第１取出
弁３２を切換えるとともにゴンドラ切換弁２６を切換
え、圧油を第１配管２３、第２配管２８及び補助配管３
３を通して作業機に供給することも可能である。

【００２０】作業機の使用が終了すると第１取出弁３
２、第２取出弁３９、伸縮切換弁３８若しくはゴンドラ
切換弁２６を元に戻すことにより、ゴンドラ６の旋回、
ブーム装置５の伸縮が可能となる。

【００２１】

【考案の効果】以上の如く本考案はゴンドラ旋回モータ
に接続する配管を、ゴンドラ内で使用する作業機のため
の配管としても兼用しうるようにしたので、ブーム装置
内の配管の本数を減少させることができ、狭隘なブーム
装置内での配管等の取付作業を簡単・容易にすることが
できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】高所作業車の全体図である。

【図２】ゴンドラ取付部分の拡大図である。

【図３】全体の油圧回路図である。

【符号の説明】

１ 高所作業車 ２ 車体 ３ 旋回台 ４ 支柱 ５ ブーム装置 ６ ゴンドラ １４ ゴンドラ旋回モータ ２３ 第１配管 ２６ ゴンドラ切換弁 ２８ 第２配管 ３２ 第１取出弁 ３３ 補助配管 ３４ 接続口 ３７ 第３配管 ３８ 伸縮切換弁 ３９ 第２取出弁 ４０ 第４配管

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体上に旋回台を介して支柱を立設し、
   前記支柱には先端にゴンドラを有するブーム装置を起伏
   可能に設け、前記ゴンドラとブーム装置の連結部分には
   ゴンドラ旋回モータを設けた高所作業車において、前記
   車体側のポンプから旋回台上に延びた油圧配管をブーム
   装置を通してゴンドラ旋回モータに接続し、前記油圧配
   管上の任意の位置にゴンドラ切換弁を設け、更に前記油
   圧配管のゴンドラ側に油圧配管から圧油を取り出す取出
   弁を設け、前記取出弁から延びた補助配管先端の接続口
   をゴンドラ側に設けてなる高所作業車における油圧駆動
   装置。