JP2547877B2 - 高耐食性溶接棒用高Ni合金 - Google Patents

高耐食性溶接棒用高Ni合金

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JP2547877B2 JP1338568A JP33856889A JP2547877B2 JP 2547877 B2 JP2547877 B2 JP 2547877B2 JP 1338568 A JP1338568 A JP 1338568A JP 33856889 A JP33856889 A JP 33856889A JP 2547877 B2 JP2547877 B2 JP 2547877B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高耐食性溶接棒用高Ni合金に関し、とくに
海洋構造物のような耐食性が要求される材料(ステンレ
ス鋼など)を溶接する際に用いる溶接棒用素材を提供す
るものである。
〔従来の技術〕
近年、耐海水性材料などは、その使途である海洋構造
物の大型化などに伴い、より高い品質のものが望まれる
ようになってきた。一方で、こうした要請に応えられる
ものを提供しようとすると、コスト面で不利を免れるこ
とができなかった。
こうした中で、比較的多く使われているのが、高Cr,
高Mo含有高級ステンレス鋼である。この材料の場合、溶
接部での耐食性を確保することが重要であり、そのため
に使用する溶接棒(フィラーメタル)としては、ベース
金属(母材)組成よりも、CrやMoなどの耐食性に有効な
元素をより多くい含むNi基合金、例えばインコネル625
合金などが推奨されている。
さらに、最近では、上記インコネル625合金の欠点を
克服する高Ni合金溶接棒が、特開昭63−212091号公報で
提案されている。この溶接棒は、Nbを含有させる代わり
に成分組成を極低C,極低Nへと誘導することによって、
溶接性,機械的性質を改善しようとするものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
溶接棒を製造するための合金素材としては、その溶接
棒を使って溶接したときに、母材金属との間に生成する
溶着金属部の特性、即ち、溶着金属の耐食性や機械的性
質が溶接したままでも(特に熱処理等をすることな
く)、優れていることが必要である。しかも、この合金
をフィラーメタルの状態にまで製造する場合に要求され
る素材自身の熱間加工性や溶接時の金属溶湯の流動性の
点で、前記従来合金は必ずしも充分とは言えない。
本発明の目的は、上述した従来溶接棒用合金が抱えて
いる各種の問題点を克服し、特にこの合金がフィラーメ
タルなどとして使用されるときに、溶接金属および母材
溶着金属部が溶接後無処理のままでも十分に耐食性や機
械的性質が優れており、しかもその溶着金属部は欠陥が
少なく、溶接性に優れている他、さらに素材が熱間加工
性に優れていることから、溶接棒の製造に当たっても歩
留り良く製造できる合金を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上述の本発明の目的を実現できる合金の開発研究を進
める中で、本発明者らは、CrやMoの含有量が多いオース
テナイト合金においては、凝固組織がオーステナイト単
相でないと、σ相などが析出して組織不安定となること
を知見した。そこで、凝固組織を完全オーステナイト組
織とするためには、Sなどの不純物が存在すると、熱間
加工性に悪影響を及ぼすことから、Sを低く抑えること
が必要がある。しかし、一方ではこのSが低いと溶接時
などの溶融金属の流動性が悪くなり、溶着金属部や熱影
響部に欠陥などが生じる。
そこで、本発明では前記特性を満足させるために、ま
ず低S化することと同時にSiをやや多めに添加すること
とし、このような合金設計にすれば、熱間加工性に優れ
るとともに、溶接性にも優れる合金が得られることが判
った。
さらに、合金成分中にNbとBとを複合添加すれば、耐
食性,機械的性質,熱間加工性は一層優れたものが得ら
れることが判った。一般に、Nbは耐食性向上には有効で
あるが、熱間加工性を劣化させる作用がある。そのため
に本発明合金では、その劣化要因に対し、Bを添加する
こととし、熱間加工性劣化を抑制することとした。さら
にBを添加したことで悪くなる合金の機械的性質につい
ては、Nbとの複合添加によりそのマイナス要因を抑える
こととしたのである。
このような着想の下に完成した本発明は、 C0.03wt%,Si0.2超〜0.5wt%,Mn0.5wt%,P0.030
wt%,S0.003wt%,Ni=50〜75wt%,Cr=17.0〜25.0wt
%,Mo=6.0〜12.0wt%,N=0.05〜0.20wt%およびO0.
004wt%を含み、残部が実質的にFeよりなる高耐食性溶
接棒用高Ni基合金であり、 C0.03wt%,Si0.2超〜0.5wt%以下,Mn0.5wt%,P
0.030wt%,S0.003wt%,Ni=50〜75wt%,Cr=17.0〜
25.0wt%,Mo=6.0〜12.0wt%,N=0.05〜0.20wt%,O0.
004wt%,Cu,VおよびWの少なくとも一種以上をそれらの
合計量が5wt%以下となる範囲内で含み、残部実質的にF
eよりなる高耐食性溶接棒用高Ni合金、ただし、前記Cu
は2%以下、Wは3%以下およびVは2%以下含むもの
であり、前記の合金に、さらに、Nb=0.2〜1.5wt%およ
びB=0.002〜0.010wt%を含有させたものからなる高耐
食性溶接棒用高Ni合金、である。
〔作 用〕
以下、本発明合金が上述のように構成されなければな
らない理由を説明する。
C:このCは、Crなどと結合して粒界に炭化物として析出
し、耐食性劣化の原因となるので、低いほど良い。本発
明において許容される上限は0.03wt%(以下は単に
「%」で表示する)とした。
Si:このSiは、溶湯の流動性の向上に有効であるが、極
低Sレベルでは0.2%以下では効果がなく、また0.5%を
超えるとσ相などの析出物を形成して機械的性質および
耐食性劣化の原因となる。従って、その範囲は0.2%超
〜0.5%とする。
Mn:このMnは、σ相などの生成元素であるが、0.5%以下
ならσ相生成の影響が少なくなるので、0.5%を上限と
して含有させる。
P:このPは、高温割れ感受性を高め溶接性を劣化させる
元素であるから、0.030%を上限として含有させる。
S:完全オーステナイト組織では、このSは、熱間加工性
を著しく低下させるため低くする必要がある。そこで、
0.003%を上限とした。好ましくは0.002%以下である。
Ni:耐食性を保持させるべくCr,Moを多く含有させた本発
明合金において、これらの元素が金属間化合物として析
出するのを抑えるために、Niの含有量を高くする必要が
あり、その含有量は最低で55%が必要ある。
Cr:このCrは、本発明において耐食性保持のため17%以
上の添加が必要である。しかし多すぎると、σ相析出な
ど組織が不安定となるので、25%を上限として添加す
る。
Mo:このMoは、前記Crと同様に耐食性を保持させるため
に添加するものであり、6%以上の添加が必要である。
しかし、組織の安定性の点から12%以上は好ましくない
ので、12%を上限とした。
N:このNは、本発明において耐食性および組織安定化に
対して有効に作用する。そのためには、0.05%以上含有
させなければ顕著な効果が得られず、一方0.3%を超え
る添加量では固溶限を超え、ブローホール等の欠陥を生
ずるため、0.3%以下とした。
Nb:このNbは、合金中のC安定化元素として働き、また
耐粒界腐食性に対しても有効である。さらにこのNbは、
凝固時にCrとMoが逆偏析することにより生ずる耐食性劣
化を軽減する効果がある。この効果は、0.5%以上含ま
れなければ得られない。しかし、1.5%を超えると却っ
て延性低下を招く。また、このNbを添加したものは、素
材の熱間加工性が低下するので、必ずBと複合添加して
用いることにより、上述の熱間加工性を向上させる一
方、B添加による延性低下はこのNbを添加することで抑
制することにより、その複合添加による相互補完関係の
下で合金特性の向上を目指す。
B:このBは、Nbを添加した合金について、特に熱間加工
性改善を目的に添加するが、Nbを含まず単独添加すると
延性が低下するのに対して、Nbとの複合添加によりBの
この有害性が消える。これらの作用は0.002%以上でな
ければ得られず、一方0.01%を超える添加では延性が低
下し、耐食性劣化が生じるため、0.002〜0.01%とし
た。
Cu,W,V:これらはいずれも耐酸性に有効に作用する元素
であり、択一的に一種以上任意に選択して用いる。Cuに
ついては、その添加量が2%を超えると耐孔食性は劣化
する。
一方、WやVは、耐食性全般にわたってMoと同様の作
用があり有効である。しかし、多すぎると組織が不安定
となるため、W単独では3%以下、V単独では2%以下
の添加とするが、Cu,W,Vの相互添加では上限が5%をこ
えるのは好ましくないので、この5%を上限とする。
O:このOの含有量は、完全オーステナイト合金において
大きな問題である熱間加工性に影響する。従って、本発
明ではこのOを0.004%以下に抑制することとした。そ
れは、0.004%を超えると加工性が劣化するからであ
る。
〔実施例〕
表1に示す成分組成の合金を、圧延後2mmφの溶接線
材に伸線し、これを溶接用フィラーメタルとし、第1図
に示す開先加工を施した表2に示す成分組成のステンレ
ス鋼板を、突合わせ溶接した。この溶接テスト結果につ
いての評価方法および試験結果を前記表1に合わせて示
す。
上記結果から判るように、本発明合金1〜5は、いず
れも孔食の発生は見られず、また溶接後の曲げ加工によ
る割れ、鍛造による割れ、および溶接部の欠陥もない。
これに対して比較合金は、曲げ割れ、熱間加工による割
れの他、溶接部で開先加工先端の溶け込み不足による溶
接欠陥がみられる。
とくに比較合金2は、低Si,低Sのため溶接部で溶け
込み不足による欠陥がみられる。その他、比較合金3は
熱間加工性、比較合金4は延性と溶接性が悪いことが判
る。
〔発明の効果〕 以上示したように、本発明によれば、高耐食性溶接棒
用合金として、高Cr,高Moを含有するNi基合金をベース
組成としてSi含有量を高めに調整すると同時に、低S,低
Oにするか、NbをBと複合添加することにより、素材の
熱間加工性が優れると共に、溶接部の溶着金属の耐食性
や機械的性質に優れ、しかも溶接欠陥が少ない溶接棒を
提供するのに好適な合金が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例で用いた溶接試験片の形状を示す斜視
図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C0.03wt%,Si:0.2超〜0.5wt%, Mn0.5wt%,P0.030wt%, S0.003wt%,Ni:50〜75wt%, Cr:17.0〜25.0wt%,Mo:6.0〜12.0wt%, N:0.05〜0.20wt%,O0.004wt%を含み、かつ Cu,VおよびWの少なくとも一種以上をそれらの合計量が
    5wt%以下となる範囲内で含み、残部実質的にFeよりな
    る高耐食性溶接棒用高Ni合金。
  2. 【請求項2】C0.03wt%,Si:0.2超〜0.5wt%, Mn0.5wt%,P0.030wt%, S0.003wt%,Ni:50〜75wt%, Cr:17.0〜25.0wt%,Mo:6.0〜12.0wt%, N:0.05〜0.20wt%,O0.004wt%を含み、かつ Cu,VおよびWの少なくとも一種以上をそれらの合計量が
    5wt%以下となる範囲内で含み、 さらにNb:0.2〜1.5wt%およびB:0.002〜0.010wt%を含
    有し、残部実質的にFeよりなる高耐食性溶接棒用高Ni合
    金。
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