JP2533968B2 - ミグ溶接作業性に優れたオ―ステナイト系ステンレス線材 - Google Patents
ミグ溶接作業性に優れたオ―ステナイト系ステンレス線材Info
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る分野、例えば、原子力産業、自動車産業、火力発電産
業、化学工業等において使用されるミグ溶接作業性に優
れた溶接用線材に関するものである。
使用材料の高級化が図られている。使用材料の高級化に
従い、溶接方法としてミグ溶接やティグ溶接が多用され
てきた。しかし、いずれも溶接能率向上が課題であり、
溶接条件、溶接作業性の面から改善が図られている。ミ
グ溶接作業性は溶接ビード形状、アーク安定性、スパッ
タ発生、スラグ生成、ヒューム等で評価されている。ミ
グ溶接作業性改善報告の一つに製鉄研究、No.333(198
9)50−53頁の開示があり、Alの有害性が報告されてい
るが、特に溶接作業性に優れたミグ溶接用ステンレス線
材の供給が要求されている。
ンレス線材を供給するに当たり、線材製造時に熱間加工
性が良好であることが必要である。熱間加工性は鋼中に
含有されるO及びSの低減により改善される。微量のO
及びSを含有する場合、特公昭54−24364号公報による
とAl,CaでO及びSを固定することにより熱間加工性が
著しく改善されることが開示されている。また、特開昭
60−149748号公報によるデルタフェライト量を低減する
ことにより熱間加工性が改善されることが開示されてい
る。
えるためにはO及びSを高いレベルに含有させる必要が
あること、及びAl,Caを低いレベルに限定さぜるを得な
いことに着眼したが、このような成分組成の線材は、そ
の製造時の熱間加工性を犠牲にしなければならない。
に含有させながら優れた熱間加工を有する溶接用オース
テナイト系ステンレス線材を提供することを当面の目的
とする。
材に含まれる成分の影響を綿密に調査し、含有される不
純物成分を限定することによりミグ溶接作業性に優れた
オーステナイト系ステンレス線材を供給できること、ま
た、高レベルのO,Sを含有するAl,Caレスの材料において
熱間加工性とデルタフェライトの関係を詳細に調査した
結果、従来知見と異なり特定のデラタフェライト範囲に
おいて熱間加工性が良好で、鋳造ままのビレットを直接
線材圧延できることを知見した。
間加工性改善技術の両知見より完成したものであってそ
の要旨とするところは、 S:0.0010〜0.0080% O:0.030〜0.0150% を含有し、主成分がJIS G4316,Z3321で規定されるオー
ステナイト系ステンレス鋼において、 Al:≦0.005% Mg:≦0.002% Ca:≦0.002% 希土類元素(REM):≦0.002% Al/5+(Mg+Ca+REM)/2:≦0.0030% Ti:≦0.0070% Zr:≦0.0070% Ti+Zr:≦0.0070% に制限し、かつ、式1に示されるΔ値が20.0〜26.0% Δ=3(Cr%+1.5Si%+Mo%)−2.8(Ni%+0.5Mn% +0.5Cu%+30C%+30N%) ……式1 の範囲にあるミグ溶接作業性及び熱間加工性に優れたオ
ーステナイト系ステンレス線材である。
べる。
ークの安定化及びスパッタ量の低減化のために0.0010%
以上を添加する。過剰の添加はビード上に形成するスラ
グ量を増加させ、その除去のために作業時間が増加する
こと、及び熱間加工性を劣化させ線材製造性を害するた
め、上限を0.0080%に限定した。
本発明においてはミグ溶接アークの安定化のために0.00
30%以上を含有させる。しかし、過剰の含有は線材製造
時の熱間加工性を悪化させるために上限を0.015%に限
定した。
化物を形成し、溶接時の酸化物解離に伴い多量のスパッ
タ発生とアーク乱れを生じさせる。また、溶解して溶湯
の表面張力を上げ、溶接ビードを高くし、幅を狭くする
と同時に溶接溶け込み深さを浅くするなど溶接始業性に
著しい悪影響を与える。このため、それぞれの元素含有
量の上限をAlは0.0050%に、その他の元素は0.0020%に
限定した。また、Al/5+(Mg+Ca+REM)/2の上限を0.0
030に限定した。
含有されると、Al,Mg,Ca,REMと同様に溶接作業性に悪影
響を与えるために上限を0.0070%に限定した。
上せしめるために熱間加工性上好ましくないSやOを多
量に含有するため、線材製造にあたり熱間加工性を改善
する必要があり、Δ値を20.0〜26.0%の範囲に制御す
る。ここで、Δ値はフェライト形成元素Cr,Si,Moとオー
ステナイト形成元素Ni,Mn,Cu,Nの効果により、鋼の組織
を決定するパラメータで、それぞれの元素の係数で示さ
れる。
存在し、熱間加工時に粒界割れを生じる。また、26.0%
以上の場合はデルタフェライトがネット状に存在し、熱
間加工時にデルタフェライト内部やオーテナイトの境界
で割れを生じるようになる。Δ値が20.0〜26.0%の範囲
ではSやOの粒界偏析やネット状デルタフェライトが認
められず熱間加工性は良好である。このため、下限を2
0.0%に、上限を26.0%に限定した。
系ステンレス線材全般(例えば、JIS G4316,Z3321記載
のオーステナイト系)に適用できる。また、高強度を目
的とした高N,V,B添加及び高耐食性を目的とた炭化物固
定のためのNb,Ta等を単独または複合して含有するオー
ステナイト系ステンレス鋼用のミグ用溶接線材に適用で
きる。さらに、製造コスト面から溶解・精錬後連続鋳造
ビレットを分塊圧延することなく、直接または一旦冷却
後そのまま、または均熱処理後線材加熱圧延が可能であ
る。
2表に熱間加工性とミグ溶接作業性を示す。No.1〜15は
本発明鋼である。No.16〜25は比較鋼である。いずれの
供試材もステンレス鋼の通常の精錬工程(60ton電気炉
溶解後アルゴン/酸素脱酸処理による精錬)で溶解・精
錬後連続鋳造により製造した。本発明範囲のΔ値を有す
る材料は鋳造ままのビレットを分塊工程を経ずに、均熱
処理後またはそのまま線材圧延した。また、Δ値が本発
明範囲を逸脱する材料は分塊圧延後線材圧延した。ま
た、各特性の評価は下記の方法で行った。
示し、60.0%以上であれば割れ等の欠陥を発生すること
なく線材圧延が可能で、高い値ほど熱間加工性が良好な
ことを示す。
隔)の10溶接条件で30分間溶接した場合の下記作業評点
を評価したものである。
の蛇行性およびビード高さ(H)とビード幅(B)比を
100点満点評価した平均値で、高点数ほどビード形状は
良好である。70点以上が好ましい値である。
発生量を100点満点評価した平均値で高点数ほどヒュー
ム発生が少ない。70点以上が好ましい値である。
量を100点満点評価した平均値で高点数ほどスラグ発生
が少ない。70点以上が好ましい値である。
電圧の時間変化の変動幅を100点満点評価した平均値で
高点数ほど変動幅が少ない。70点以上が好ましい値であ
る。
発生量を100点満点評価した平均値で高点数ほどスパッ
タ発生量が少ない。70点以上が好ましい値である。
70点以上が好ましい値である。
分範囲を逸脱したNo.15鋼に比較し、本発明鋼は溶接作
業性に優れていることが明白である。
17鋼、本発明No.5鋼はNo.18鋼、本発明No.6鋼はNo.19
鋼、本発明No.7〜No.8鋼はNo.20鋼と比較される。
脱したNo.17〜No.20鋼に比較し、本発明No.3〜No.8鋼は
溶接作業性に優れていることが明白である。また、比較
鋼はいずれもΔ値が本発明範囲を逸脱しており、熱間加
工性評点が本発明鋼に比較し低く、連続鋳造後分塊圧延
が必要で、本発明鋼に比較し、劣ることが明白である。
o.11鋼はNo.23鋼と比較される。本発明成分範囲を逸脱
したAl,Mg,Ca,REMを複合して含有するNo.21〜No.24鋼に
比較し、本発明No.9〜No.11鋼は溶接作業性に優れてい
ることが明白である。また、比較鋼No.21〜No.23鋼は溶
接作業性に劣るものの、Δ値が本発明範囲にあるため、
熱間加工性は優れており、連続鋳造ままのビレットを直
接線材圧延可能である。
びB含有鋼、No.14鋼は高Nb+Ta鋼で本発明効果を確認
したものであり、溶接作業性に優れていることが確認で
きる。
連続鋳造後直接または一旦冷却後そのまま、または均熱
処理後線材圧延によってミグ溶接作業性に優れた線材を
製造することが可能であって産業上極めて有用な溶接用
オーステナイト系ステンレス線材を提供できる。
Claims (1)
- 【請求項1】重量%として S:0.0010〜0.0080% O:0.030〜0.0150% を含有し、主成分がJIS G4316,Z3321で規定されるオー
ステナイト系ステンレス鋼において、 Al:≦0.005% Mg:≦0.002% Ca:≦0.002% 希土類元素(REM):≦0.002% Al/5+(Mg+Ca+REM)/2:≦0.0030% Ti:≦0.0070% Zr:≦0.0070% Ti+Zr:≦0.0070% に制限し、かつ、式1に示されるΔ値が20.0〜26.0%の
範囲にあるミグ溶接作業性に優れたオーステナイト系ス
テンレス線材。 Δ=3(Cr%+1.5Si%+Mo%)−2.8(Ni%+0.5Mn% +0.5Cu%+30C%+30N%) ……式1
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2266410A JP2533968B2 (ja) | 1990-10-05 | 1990-10-05 | ミグ溶接作業性に優れたオ―ステナイト系ステンレス線材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2266410A JP2533968B2 (ja) | 1990-10-05 | 1990-10-05 | ミグ溶接作業性に優れたオ―ステナイト系ステンレス線材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04143255A JPH04143255A (ja) | 1992-05-18 |
JP2533968B2 true JP2533968B2 (ja) | 1996-09-11 |
Family
ID=17430549
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2266410A Expired - Lifetime JP2533968B2 (ja) | 1990-10-05 | 1990-10-05 | ミグ溶接作業性に優れたオ―ステナイト系ステンレス線材 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2533968B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100447276C (zh) * | 2004-12-22 | 2008-12-31 | 株式会社神户制钢所 | 具有优异可拉丝性的高碳钢丝材料及其制备方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH0724948B2 (ja) * | 1986-02-10 | 1995-03-22 | 新日本製鐵株式会社 | ステンレス鋼tig溶接用ワイヤ |
-
1990
- 1990-10-05 JP JP2266410A patent/JP2533968B2/ja not_active Expired - Lifetime
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CN100447276C (zh) * | 2004-12-22 | 2008-12-31 | 株式会社神户制钢所 | 具有优异可拉丝性的高碳钢丝材料及其制备方法 |
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JPH04143255A (ja) | 1992-05-18 |
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