JP3941528B2 - 炭酸ガスシールドアーク溶接用ワイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極性炭酸ガスシールドアーク溶接に使用する溶接用ワイヤに係り、特に溶接用ワイヤを正極(すなわちマイナス極)側で使用してスパッタの発生が少なく、しかも優れたビード形状が得られる炭酸ガスシールドアーク溶接用ワイヤ(以下、溶接用ワイヤという)に関する。
【0002】
【従来の技術】
種々のシールドガスを用いるガスシールドアーク溶接の中で、安価な炭酸ガス(すなわちCO2 )を主成分とするシールドガスを用いるガスシールドアーク溶接(以下、炭酸ガスシールドアーク溶接という)は最も普及した溶接法であり、特に高能率の溶接法であることから、鉄鋼材料の溶接に広く利用されている。
【0003】
近年、自動溶接技術の急速な進歩にともない、炭酸ガスシールドアーク溶接法は、造船,建築,橋梁,自動車,建設機械等の種々の分野で使用されている。たとえば、造船,建築,橋梁等の分野では、厚板の高電流多層溶接に使用され、自動車,建設機械等の分野では、薄板の隅肉溶接に使用される。
一方、 Ar−(5〜25体積%)CO2 からなる混合ガスをシールドガスとして用いるガスシールドアーク溶接(いわゆるMAG溶接)は、ビード形状に優れ、かつスパッタの発生が少ないことから、高品質の溶接が要求される分野で使用されている。しかしArのコストは、CO2 の5倍と高価であるので、実際の溶接施工においては安価なCO2 を主成分(すなわちCO2 :40体積%以上)とするシールドガスを用いる場合が多い。
【0004】
CO2 を主成分とするシールドガスを用いる炭酸ガスシールドアーク溶接は、粗大な溶滴が溶接用ワイヤ先端に懸垂し、アークの影響を受けて揺れ動くため、鋼板との短絡あるいは再アークが発生しやすい。その結果、 スパッタが多量に発生するという問題がある。
そこで特開平6-218574号公報には、カリウムを添加することによってスパッタを低減する方法が開示されている。しかしながらこの技術では、炭酸ガスシールドアーク溶接におけるスパッタの発生を抑制する効果は十分ではない。
【0005】
また特開平7-47473 号公報,特開平7-290241号公報には、1溶滴の移行時間内に1パルスを発生させて、スパッタを低減する方法が提案されている。これらの技術は、Ar−(5〜25体積%)CO2 からなる混合ガスをシールドガスとして用いるMAG溶接では、 1溶滴の形成に要する時間が1〜2msで溶滴の移行が安定しているので、スパッタの低減効果が発揮される。しかし、CO2 を主成分とするシールドガスを用いる炭酸ガスシールドアーク溶接では、1〜2msで10〜20溶滴を形成するので、溶滴が不安定となり、1溶滴の移行時間内に1パルスを発生させるのは困難である。その結果、 1パルスの間に移行できなかった溶滴が鋼板と溶接用ワイヤとを短絡させて、スパッタの発生が増加する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、CO2 を主成分(すなわちCO2 :40体積%以上)とするシールドガスを用いる炭酸ガスシールドアーク溶接では、粗大な溶滴が鋼板と溶接用ワイヤとを短絡させて、スパッタの発生が増加するという問題があった。
本発明は、 このような現状に鑑みてなされたもので、炭酸ガスシールドアーク溶接を行なうにあたって、スパッタを低減するのみならず、優れたビード形状が得られる溶接用ワイヤを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、CO2 を主成分(すなわちCO2 :40体積%以上)とするシールドガスを用いる炭酸ガスシールドアーク溶接において、スパッタの低減とビード形状の改善について鋭意検討した。その結果、 以下に述べる知見を得た。
(1) 溶接用ワイヤをマイナス極とする正極性の溶接を行なうことによって、溶滴は粗大ではあるが、安定した移行が可能となる。
(2) 溶接用ワイヤに希土類元素(以下、REM という)を添加することによって、低電圧領域でのアーク切れを防止し、溶滴の安定した移行が可能となる。
(3) 溶接用ワイヤに REMを添加することによって、溶け込みを確保してビードの平滑化が可能となる。
(4) 溶接用ワイヤにSi,Mn,Ti,Zr,Al,Crを添加することによって、安定した溶接性が得られる。
【0008】
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、正極性炭酸ガスシールドアーク溶接に使用する溶接用ワイヤであって、Cを0.20質量%以下,Siを0.25〜2.5 質量%,Mnを0.45〜3.5 質量%,REM を 0.015〜0.100 質量%,Pを 0.002〜0.05質量%,Sを 0.002〜0.05質量%含有するとともに Ti 0.01 0.30 質量%、 Zr 0.01 0.30 質量%、 Al 0.01 0.50 質量%、 Cr 0.02 3.0 質量%の中から選ばれる1種または2種以上を含有するとともに、必要に応じて Ni 0.05 3.0 質量%、 Mo 0.05 1.5 質量%、 Cu 0.05 3.0 質量%、B: 0.0005 0.005 質量%、 Nb 0.005 0.05 質量%およびV: 0.005 0.05 質量%の中から選ばれる1種または2種以上を含有し、残部が Fe および不可避的不純物であり、かつ Si Mn 、希土類元素、 Ti Zr および Al の含有量から下記の (1) 式で算出されるD値が 1.4 3.0 の範囲内を満足する炭酸ガスシールドアーク溶接用ワイヤである。
【0009】
D=(〔Si〕/2)+(〔Mn〕/3)+〔Ti〕+〔Zr〕+〔Al〕 +(10×〔REM 〕) ・・・ (1)
〔Si〕 :溶接用ワイヤのSi含有量(質量%)
〔Mn〕 :溶接用ワイヤのMn含有量(質量%)
〔Ti〕 :溶接用ワイヤのTi含有量(質量%)
〔Zr〕 :溶接用ワイヤのZr含有量(質量%)
〔Al〕 :溶接用ワイヤのAl含有量(質量%)
〔REM 〕:溶接用ワイヤの REM含有量(質量%)
【0010】
【発明の実施の形態】
まず本発明の炭酸ガスシールドアーク溶接用ワイヤの組成の限定理由について説明する。
C:0.20質量%以下
Cは、溶接金属の強度を確保するために重要な元素であり、さらに溶鋼の粘性を低下させて流動性を向上する効果がある。C含有量が0.20質量%を超えると、溶滴および溶融プールの挙動が不安定となるのみならず、溶接金属の靭性低下を招く。したがって、C含有量が0.20質量%以下に限定した。なお、好ましくは0.01〜0.10質量%である。
【0011】
Si:0.25〜2.5 質量%
Siは、脱酸作用を有し、溶接金属の脱酸のためには不可欠な元素である。さらに正極性溶接におけるアークの広がりを抑え、溶滴の移行回数を増大させる作用を有する。 Si含有量が0.25質量%未満では、このような効果は得られない。一方、 2.5質量%を超えると、アークが不安定となり、スパッタが増加する。したがって、Siは0.25〜2.5 質量%の範囲内を満足する必要がある。
【0012】
Mn:0.45〜3.5 質量%
Mnは、Siと同様に脱酸作用を有し、溶接金属の脱酸のためには不可欠な元素である。Mn含有量が0.45質量%未満では、脱酸が不足して溶接金属にブロー欠陥が発生する。 一方、 3.5質量%を超えると、溶接金属の靭性が低下する。 したがって、Mnは0.45〜3.5 質量%の範囲内を満足する必要がある。
【0013】
REM : 0.015〜0.100 質量%
REM は、溶接用ワイヤの素材の製鋼工程および鋳造工程における介在物の微細化および溶接施工時の溶接金属の靭性向上に有効な元素である。 特に正極性炭酸ガスシールドアーク溶接においては、低電圧領域での溶滴の移行を安定させる。REM 含有量が 0.015質量%未満では、このような効果は得られない。一方、 0.100質量%を超えると、アークの安定化を阻害し、溶接用ワイヤの溶融速度の低下,薄板溶接における溶落ちの危険性の増大を招く。 したがって、REM は 0.015〜0.100 質量%の範囲内を満足する必要がある。なお、好ましくは 0.020〜0.040 質量%である。
【0014】
P: 0.002〜0.05質量%
Pは、鋼の融点を低下させるとともに電気抵抗率を向上させる作用を有する元素である。したがって、溶融効率が向上するので、正極性の炭酸ガスシールドアーク溶接においてアークが安定する。P含有量が 0.002質量%未満では、このような効果は得られない。一方、 0.05質量%を超えると、正極性炭酸ガスシールドアーク溶接においては溶鋼の粘性を低下させ、アークが不安定となり、小粒のスパッタが増加する。しかも溶接金属に高温割れが発生する危険性が増大する。したがって、Pは 0.002〜0.050 質量%の範囲内を満足する必要がある。
【0015】
S: 0.002〜0.05質量%
Sは、溶鋼の粘性を低下させ、溶接用ワイヤ先端に懸垂した溶滴が容易に離脱できるようにして、正極性の炭酸ガスシールドアーク溶接においてアークを安定させる作用を有する元素である。またSは、溶鋼の粘性を低下させることによって、ビードを平滑にし、上板の溶落ちを抑制する作用も有する。 S含有量が 0.002質量%未満では、このような効果は得られない。一方、 0.05質量%を超えると、小粒のスパッタが増加するとともに、溶接金属の靭性が低下する。 したがって、Sは 0.002〜0.05質量%の範囲内を満足する必要あるなお、好ましくは 0.015〜0.03質量%である。
【0016】
Ti,Zr,Al:下記の (1)式で算出されるD値が 1.4〜3.0
Ti,Zr,Alは、脱酸作用によって溶接金属中のO含有量を低減するとともに、ビード形状を平滑にする作用を有する。 平滑なビートは、溶接用ワイヤの狙い位置のズレによる溶接欠陥の発生を抑制する効果がある
【0017】
ただし、下記の (1)式で算出されるD値が 1.4未満では、凸状の不揃いな形状のビードが形成されやすい。一方、 3.0を超えると、大粒のスパッタが増加する。したがって、Ti,Zr,Alは下記の (1)式で算出されるD値が 1.4〜3.0 を満足する範囲で添加する必要ある
D=(〔Si〕/2)+(〔Mn〕/3)+〔Ti〕+〔Zr〕+〔Al〕
+(10×〔REM 〕) ・・・ (1)
〔Si〕 :溶接用ワイヤのSi含有量(質量%)
〔Mn〕 :溶接用ワイヤのMn含有量(質量%)
〔Ti〕 :溶接用ワイヤのTi含有量(質量%)
〔Zr〕 :溶接用ワイヤのZr含有量(質量%)
〔Al〕 :溶接用ワイヤのAl含有量(質量%)
〔REM 〕:溶接用ワイヤの REM含有量(質量%)
なお、Tiは、脱酸作用を有するとともに、溶接金属の強度を高める元素である。Ti含有量が0.01質量%未満では、このような効果は得られない。一方、 0.30質量%を超えると、粗大な溶滴が生じて大粒のスパッタが増加する。したがってTi 、その含有量を0.01〜0.30質量%とする。
【0018】
Zrは、溶接金属の強度,靭性を向上し、アークの安定性を高める元素である。Zr含有量が0.01質量%未満では、このような効果は得られない。一方、 0.30質量%を超えると、溶接金属の靭性低下を招く。したがってZr 、その含有量を0.01〜0.30質量%とする。
Alは、溶接金属の強度,靭性を向上し、アークの安定性を高める元素である。Al含有量が0.01質量%未満では、このような効果は得られない。一方、 0.50質量%を超えると、溶接金属の靭性低下を招く。したがってAl 、その含有量を0.01〜0.50質量%とする。
【0019】
Cr:0.02〜3.0 質量%
Crは、溶接金属の強度を向上し、耐候性を高める元素である。Cr含有量が0.02質量%未満では、このような効果は得られない。一方、 3.0質量%を超えると、溶接金属の靭性低下を招く。したがってCr 、その含有量を0.02〜3.0 質量%とする。
本発明では、これらの元素の他に、下記の元素を必要に応じて添加できる。
【0020】
Ni:0.05〜3.0 質量%,Mo:0.05〜1.5 質量%,Cu:0.05〜3.0 質量%,B:0.0005〜0.005 質量%
Ni,Mo,Cu,Bは、いずれも溶接金属の強度を溶接金属の強度を向上し、耐候性を高める元素である。これらの元素の含有量が不足すると、このような効果は得られない。一方、 過剰に添加すると、溶接金属の靭性低下を招く。したがってNi,Mo,Cu,Bを添加する場合は、Ni:0.05〜3.0 質量%,Mo:0.05〜1.5 質量%,Cu:0.05〜3.0 質量%,B:0.0005〜0.005 質量%とするのが好ましい。
【0021】
Nb: 0.005〜0.05質量%,V: 0.005〜0.05質量%
Nb,Vは、いずれも溶接金属の強度,靭性を向上し、アークの安定性を高める元素である。これらの元素の含有量が不足すると、このような効果は得られない。一方、 過剰に添加すると、溶接金属の靭性低下を招く。したがってNb,Vを添加する場合は、Nb: 0.005〜0.05質量%,V: 0.005〜0.05質量%とするのが好ましい。
【0022】
なお、上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、O: 0.020質量%以下,N: 0.010質量%以下が許容できる。なおOは、溶接用ワイヤ素材の溶製段階あるいは溶接用ワイヤの伸線加工段階で不可避的に混入するが、溶滴の移行形態を微細化するのに効果があるので、0.0020〜0.0080質量%に調整するのが好ましい。 より好ましくは0.0020質量%以上〜0.0080質量%未満である。
【0023】
次に本発明に適用する溶接用ワイヤの製造方法について説明する。
上記した組成を有する溶鋼を、転炉,電気炉等の従来から知られている方法で溶製した後、 連続鋳造法等によって鋼素材(たとえばビレット)を製造する。この鋼素材を加熱し、次いで熱間圧延あるいはさらに冷間圧延(たとえば乾式の伸線加工)を施して鋼素線とする。なお熱間圧延や冷間圧延は、所定の寸法形状の鋼素線を製造すれば良いのであるから、その設定条件は特に限定しない。
【0024】
次いで鋼素線は、さらに焼鈍−酸洗−Cuめっき−伸線加工の工程を順次施されて、所定の径の製品(すなわち溶接用ワイヤ)となる。
正極性炭酸ガスシールドアーク溶接においては、逆極性の溶接に比べて給電不良によりアークが不安定になりやすい。しかしCuめっき厚を 0.6μm以上とすることによって、給電不良に起因するアークの不安定化を防止できる。なおCuめっき厚は、好ましくは 0.8μm以上である。また、このようにCuめっきを厚目付とすることによって、給電チップの損耗も低減できるという効果もある。一方、 溶接用ワイヤ中のCuを含めて、Cu含有量が 3.0質量%を超えると溶接金属の靭性が著しく低下する。したがって、Cuめっき厚は 0.6μm以上とし、かつ溶接用ワイヤ中のCuを含めてCu含有量が 3.0質量%以下となるようにCuめっき厚を調整するのが好ましい。 なおCuめっき厚は、より好ましくは 0.8μm以上である。
【0025】
また、給電の安定性を高めて、スパッタの発生を低減するために、溶接用ワイヤ表面の平坦度(すなわち実表面積/理論表面積)を1.01未満とすることが肝要である。溶接用ワイヤ表面の平坦度は、伸線加工におけるダイス管理を厳格に行なうことによって、1.01未満の範囲に維持することができる。
溶接用ワイヤの送給性を向上するために塗布する潤滑油は、溶接用ワイヤ10kgあたり0.35〜1.7 g以下とするのが好ましい。 溶接用ワイヤの送給性はロボット溶接を行なう際に重要である。
【0026】
また給電の安定性を高めるために、溶接用ワイヤ表面に付着した不純物を溶接用ワイヤ10kgあたり0.01g以下に抑えるのが好ましい。
【0027】
【実施例】
連続鋳造で製造した鋼素材(すなわちビレット)を熱間圧延して直径 5.5〜7.0mm の線材とした後、 冷間圧延(すなわち伸線加工)を施して直径 2.0〜2.8mm の鋼素線とした。この鋼素線に濃度2〜30質量%のクエン酸3カリウム水溶液を塗布した。塗布量は、鋼素線1kgあたり30〜50gとした。
【0028】
次いで鋼素線を露点−2℃以下のN2 雰囲気(O2 : 200体積ppm 以下,CO2 : 0.1体積%以下)で焼鈍した。焼鈍温度は 750〜950 ℃とした。
このとき、鋼素線の直径,クエン酸3カリウム水溶液の濃度,焼鈍温度および焼鈍時間を調整して、鋼素線の内部酸化によるO含有量とK含有量を所定の範囲に調整した。
【0029】
焼鈍の後、 鋼素線に酸洗を施し、さらにCuめっきを施した。次いで、冷間で伸線加工を施して直径 0.9〜1.6mm の溶接用ワイヤとした。この溶接用ワイヤの表面に潤滑油を塗布(塗布量:溶接用ワイヤ10kgあたり 0.4〜1.7 g)した。得られた溶接用ワイヤの成分とCuめっき厚を表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 0003941528
【0031】
これらの溶接用ワイヤを用いて炭酸ガスシールドアーク溶接試験を行ない、スパッタ発生量,ビード形状および希釈率(すなわち溶け込み)を評価した。その結果は表2に示す通りである。
【0032】
【表2】
Figure 0003941528
【0033】
(a) スパッタ発生量
厚さ3.2mm の鋼板にビードオン溶接を行ない、Cu製捕集治具を用いて、直径0.5mm 以上のスパッタを捕集し、スパッタ発生量を調査した。スパッタ発生量が溶着量 100gあたり0.20g以下を良(○), 0.2g超え〜 0.3g以下を可(△), 0.3g超えを不可(×)として評価した。なお、溶接時間は1min とした。
(b) ビード形状
厚さ3.2mm の鋼板にビードオン溶接を行ない、溶接後、溶接ビードの断面を観察し、ビード幅W(mm)とビード高さH(mm)を測定した。その結果、H/Wが 0.5以下を良(○), 0.5超え〜 0.7以下を可(△), 0.7超えを不可(×)として評価した。
(c) 希釈率(溶け込み)
厚さ3.2mm の鋼板にビードオン溶接を行ない、溶接後、溶接ビードの断面を観察し、余盛り面積G(mm2 )と溶け込み面積P(mm2 )を測定した。その結果、P/(G+P)が 0.4以上を良(○), 0.3g以上〜 0.4g未満を可(△), 0.3未満を不可(×)として評価した。
【0034】
なお、 (a)〜(c) の溶接試験に共通の溶接条件は表3に示す通りである。
【0035】
【表3】
Figure 0003941528
【0036】
表2から明らかなように、発明例ではスパッタ発生量が 0.3g/min 以下と少なく、スパッタ低減効果が発揮されるとともに、良好な形状のビードが得られた。特に REMを添加し、D値を 1.4以上とすることによって、スパッタ低減効果およびビード形状改善効果が一層顕著に現われた。一方、 成分が本発明の範囲を外れる比較例では、スパッタ発生量が多量(すなわち 0.7g/min 超え)に発生し、しかもビード形状が劣化した。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、正極性炭酸ガスシールドアーク溶接において、アークの安定性に優れ、 極低スパッタと溶け込み確保が達成できるので、薄鋼板から厚鋼板まで安定した溶接が可能となる。また溶落ち欠陥も低減でき、産業上格段の効果を奏する。

Claims (1)

  1. 正極性炭酸ガスシールドアーク溶接に使用する溶接用ワイヤであって、Cを0.20質量%以下、Siを0.25〜2.5 質量%、Mnを0.45〜3.5 質量%、希土類元素を 0.015〜0.100 質量%、Pを 0.002〜0.05質量%、Sを 0.002〜0.05質量%含有するとともに Ti 0.01 0.30 質量%、 Zr 0.01 0.30 質量%、 Al 0.01 0.50 質量%、 Cr 0.02 3.0 質量%の中から選ばれる1種または2種以上を含有するとともに、必要に応じて Ni 0.05 3.0 質量%、 Mo 0.05 1.5 質量%、 Cu 0.05 3.0 質量%、B: 0.0005 0.005 質量%、 Nb 0.005 0.05 質量%およびV: 0.005 0.05 質量%の中から選ばれる1種または2種以上を含有し、残部が Fe および不可避的不純物であり、かつ Si Mn 、希土類元素、 Ti Zr および Al の含有量から下記の (1) 式で算出されるD値が 1.4 3.0 の範囲内を満足することを特徴とする炭酸ガスシールドアーク溶接用ワイヤ。
    D=(〔 Si 〕/2)+(〔 Mn 〕/3)+〔 Ti 〕+〔 Zr 〕+〔 Al
    +( 10 ×〔 REM 〕) ・・・ (1)
    Si 〕 :溶接用ワイヤの Si 含有量(質量%)
    Mn 〕 :溶接用ワイヤの Mn 含有量(質量%)
    Ti 〕 :溶接用ワイヤの Ti 含有量(質量%)
    Zr 〕 :溶接用ワイヤの Zr 含有量(質量%)
    Al 〕 :溶接用ワイヤの Al 含有量(質量%)
    REM 〕:溶接用ワイヤの希土類元素含有量(質量%)
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