JP2547119Y2 - エレベータの制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、エレベータのサービ
スする複数階床のうち、任意の階床へのサービスを切離
すためのサービス切離し階設定手段を備えたエレベータ
の制御装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】特に雑居ビルのように各階床毎に異なる
テナントが入っているような場合には、テナント毎に業
務が終了するとその階へはエレベータが停止しないよう
にする必要があり、またその他のビルでも防犯上或いは
種々の理由により、特定階へのかごの到着や特定階から
の呼びの登録を制限したい場合がある。

【０００３】このため従来から、スイッチと簡単な操作
により任意の階床をサービス切離し階（不停止階又は非
サービス階ともいう）として設定し、その階へのかご呼
びやその階からの乗場呼びを無効とすることのできる手
段が種々提案されている。

【０００４】例えば特開昭５８−２２２７２号公報に示
されるように、かご操作盤の管理ボックス内に各階床毎
の切替スイッチをそれぞれ設け、サービスを切り離した
い階に対応する切替スイッチを操作することにより、そ
の階の呼び登録を無効とする方法や、或いは、セット・
ノーマル・リセットの３点に切替え可能なサービス切離
し階設定用の切替スイッチをかご操作盤に設け、任意の
階床をサービス切離し階としたい場合には、切替スイッ
チをセットの状態にしてその階に対応するかご呼び釦
（行先釦）を操作することにより行う方法などが一般的
である。また、上記のようにかご内から設定するサービ
ス切離し階設定手段とは別に、特定階床のサービスをか
ご外から切離すための外部スイッチを、乗場や管理人室
などに設ける場合もある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】このサービス切離し階
の設定をかご内で行った場合、誤ってすべての階をサー
ビス切離し階に設定してしまうと、それ以後はかごへの
乗込手段やかごからの退出手段がなくなり、エレベータ
の運行不能やカンヅメといった事態を招く恐れがある。

【０００６】また、かご内からサービス切離し階を設定
する手段とは別に、外部スイッチが併設されているよう
な場合には、かご内での設定とかご外での設定との組合
せによって、予期せず全階がサービス切離し階となって
しまうことがあり、やはり上記と同様の事態を招く恐れ
がある。

【０００７】本考案は上記の問題点を解決するためにな
されたもので、誤ってすべての階をサービス切離し階に
設定してしまったとしても、エレベータの運行不能やカ
ンヅメといった事態に陥ることのないエレベータの制御
装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第１の考案は、かご内からサービス切離し階を設定
する手段を有するエレベータの制御装置において、サー
ビス切離し階に設定されていないサービス可能階の数を
検出する手段と、前記サービス可能階の数が所定数以下
になったことを検出すると、以後のサービス切離し階の
設定を無効とする手段を備えたものである。

【０００９】ところで、かご内からサービス切離し階を
設定することのできる手段とは別に、かご外から特定階
のサービスを切離すことのできる外部スイッチを併設し
ている場合、上記と同様にサービス可能階が所定数以下
になったことを検出すると、以後のサービス切離し階の
設定を無効とするようにしてもよいが、一般的にかご内
の設定手段によってサービス切離し階を設定する場合に
は、ランプ表示等によってどの階がサービス切離し階と
なっているかを一目で確認できるようになっているが、
外部の特定階サービス切離しスイッチには表示灯などを
設けていないことが多い。

【００１０】従って上記と同様に、サービス可能階が所
定数以下になったことを検出すると以後のサービス切離
し階の設定を無効にする、というようにすると、外部ス
イッチの操作の結果、サービス可能階が所定数以下にな
った場合には、その後の設定が無効になっていることが
分らず、従って外部スイッチによって特定階のサービス
を切離したつもりが、実際にはサービス可能階のままに
なっているといった事態の生じる恐れがある。

【００１１】そこで第２の考案では、かご内からサービ
ス切離し階を設定することのできる手段を有すると共
に、かご外から特定階床をサービス切離し階とすること
のできる外部スイッチを設けたエレベータの制御装置に
おいて、サービス可能階の数を検出する手段と、前記サ
ービス可能階の数が所定数以下になったことを検出する
と、前記外部スイッチによって設定された階を除くサー
ビス切離し階のうち、所定の階の設定を解除する手段と
を備えたことを特徴とする。

【００１２】

【作用】第１の考案では、かご内からサービス切離し階
を設定し、その結果、サービス可能階の数が所定数以下
になったとしても、その後のサービス切離し階の設定は
無効となるので、操作を誤った場合でも常に所定数のサ
ービス可能階が確保される。

【００１３】第２の考案では、かご内からサービス切離
し階を設定した後、外部スイッチの操作によりサービス
可能階の数が所定数以下になると、外部スイッチによる
サービス切離し階の設定はそのまま有効となり、その代
わりに外部スイッチにより設定された階を除くサービス
切離し階の中から、所定の階の設定を解除することによ
り、常に所定数のサービス可能階が確保される。

【００１４】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。なお、説明の便宜上、ここでは１０階床のビル
に本考案を適用した場合について説明するが、勿論これ
に限定されるものではない。

【００１５】図１は、本考案の全体構成を示すブロック
図で、図中、１１はセット，ノーマル，リセットの３点
に切替え可能であり、サービス切離し階の設定，解除を
行うための切替スイッチ、１２はかご操作盤、１３はか
ご呼び釦（行先釦）、１４〜１６はかご外から特定階の
サービスを切離すための外部スイッチで、ここではそれ
ぞれ、１４は８階用，１５は９階用，１６は１０階用で
あるものとする。１７及び１８は入力インターフェイス
回路、１９はサービス切離し階設定の処理等を行うマイ
クロコンピュータである。

【００１６】図２は、各階のサービス切離しの設定状態
を表わすサービスパターンデータを示す図で、マイクロ
コンピュータ１９内のＲＡＭ（図示せず）に記憶保持さ
れている。Ｆ₁ 〜Ｆ₁₀の各ビットはそれぞれ１階〜１０
階に対応し、「１」はサービス可能階、「０」はサービ
ス切離し階に設定されていることを示している。すなわ
ち図２の状態では、２階と３階及び７階と８階がそれぞ
れサービス切離し階に設定されている。

【００１７】以上の構成において、通常の運転時には切
替スイッチ１１はノーマルの位置にあり、かご呼び釦１
３を押すとその行先階のかご呼びが登録されるようにな
っている。ここで例えば１０階をサービス切離し階に設
定したい場合には、切替スイッチ１１をセットの位置に
し、１０階のかご呼び釦を押すと、図２のサービスパタ
ーンデータのうち、ビットＦ₁₀が「１」から「０」に書
き換えられて１０階はサービス切離し階となる。もしサ
ービス切離し階の設定を解除したい場合には、切替スイ
ッチ１１をリセットの位置とし、かご呼び釦を押すとそ
の階のサービス切離しの設定を解除することができる。

【００１８】なお、切替スイッチ１１をセット又はリセ
ットの位置としている場合は、サービスパターンデータ
の内容がかご操作盤に出力され、ビットが「１」の階、
すなわちサービス可能階に対応するかご呼び釦が点灯す
ることによって、どの階がサービス可能階であり、サー
ビス切離し階であるかが一目で分かるようになってい
る。

【００１９】また、特定階については上記のようなかご
内からの設定だけでなく、外部スイッチによってかご外
からサービス切離し階に設定することが可能である。例
えば８階をサービス切離し階としたい場合には、８階用
の外部スイッチ１４をＯＮにするとサービスパターンデ
ータのＦ₈ のビットが「０」に書き換えられ、以後８階
はサービス切離し階となる。すなわち特定階について
は、かご内による設定か、外部スイッチによる設定かの
何れか一方の操作でサービス切離し階とすることができ
る。

【００２０】次に、本考案におけるサービス切離し階設
定時の動作を図３及び図４により説明する。図３は、第
１の考案におけるサービス切離し階設定処理のプログラ
ムを示すフローチャートである。

【００２１】このプログラムは周期的に実行されてお
り、切替スイッチ１１がセットの位置にあることを認識
するとステップ２１からステップ２２へと進む。ステッ
プ２２では、図２のサービスパターンデータの内容を出
力し、かご呼び釦の点灯によりどの階がサービス可能階
であるかを表示する。そしてサービスパターンデータの
うち、「１」であるビットの数をカウントし（ステップ
２３）、すなわちサービス可能階の数をカウントし、そ
の数が所定数以下でなければステップ２５へと進む。

【００２２】ステップ２５ではかご呼び釦が押されたか
否かを判定し、押された場合はサービスパターンデータ
のその階のビットが「１」であるか否かを確認する（ス
テップ２６）。もしその階のビットが「１」であった場
合はそれを「０」に書き換え（ステップ２７）、すなわ
ちその階をサービス切離し階に設定してステップ２１へ
と戻る。もしステップ２６においてその階のビットが
「０」であった場合は、すでにその階はサービス切離し
階に設定されているので、そのままステップ２１へと戻
る。

【００２３】こうして切替スイッチ１１がセットの位置
にある間は上記の動作を繰り返し、サービス可能階の数
が所定数以下となるまでは、押されたかご呼び釦の階を
次々とサービス切離し階に設定していく。もしこのとき
操作を誤ってすべての階のかご呼びを押してしまったと
しても、サービス可能階の数が所定数（通常は１或いは
２とすることが多い）となった時点で、ステップ２４か
らステップ２１へと戻り、以後ステップ２５からステッ
プ２７は実行されないので、すべての階がサービス切離
し階に設定されてしまうことはない。なお、サービス可
能階が所定数になった以後、サービス切離し階の設定が
無効となったことは、かご呼び釦を押してもランプが消
灯しないことで容易に確認することができる。

【００２４】以上は、かご内からサービス切離し階を設
定する場合の説明であるが、次に外部スイッチを併設し
ている場合の動作について説明する。図４は、外部スイ
ッチを併設している場合の第２の考案におけるサービス
切離し階設定処理のプログラムを示すフローチャートで
ある。

【００２５】なお、この場合も図３のプログラムを備え
ており、外部スイッチによって特定階をサービス切離し
階に設定した後、かご内からの設定によってサービス可
能階の数が所定数以下となった場合は、前述と同様、図
３のプログラムによりそれ以後のかご内からの設定は無
効となる。しかし、もしかご内からサービス切離し階を
設定した後、外部スイッチによって特定階をサービス切
離し階とした結果、サービス可能階の数が所定数以下と
なる場合は図４のプログラムによって処理される。

【００２６】図４のプログラムは周期的に実行されてお
り、外部スイッチの１つでもＯＮになったことを認識す
るとステップ３１からステップ３２へと進む。ステップ
３２ではサービスパターンデータのその階のビットが
「１」であるか否かを確認し、もしかご内からの設定に
よってすでに「０」となっている場合はそのまま出口へ
と進むか、そうでない場合はその階のビットを「０」に
書き換え（ステップ３３）、すなわちサービス切離し階
に設定する。

【００２７】次にサービスパターンデータのうち、
「１」であるビットの数をカウントし（ステップ３
４）、その数が所定数以下でなければ、すなわちサービ
ス可能階の数が所定数以下でなければそのまま出口へと
進むが、サービス可能階の数が所定数以下となった場合
はステップ３６へと進み、所定の階のビットを「１」
に、すなわちサービス切離し階の設定を解除し、サービ
ス可能階に復帰させる。

【００２８】この場合、その外部スイッチによるサービ
ス切離し設定を無効とすることも考えられるが、そのよ
うにしないのは、一般的にこの外部スイッチには表示灯
などは設けられていないため、操作員が外部スイッチを
ＯＮにしてその階をサービス切離し階に設定したつもり
が、実際にはその設定が無効であり、操作員がそれに気
付かないという事態の生じる恐れがあるためである。従
ってステップ３６における所定の階の選択は、外部スイ
ッチがＯＮになっている階はすべて除くようにする。な
お、この所定の階については、予め固定しておいてもよ
いし、すべての階に優先順位を予め付けておき、ビット
が「０」の階の中からその優先順位に従って選択するよ
うにしてもよい。

【００２９】以上の説明では、サービスパターンデータ
はかご呼び釦による設定と外部スイッチによる設定とで
共通としているが、これをかご呼び釦による設定用のサ
ービスパターンデータと外部スイッチによる設定用のサ
ービスパターンデータとをＲＡＭ上に別々に作成し、そ
の論理和を実際のサービスパターンデータとするように
してもよい。

【００３０】

【考案の効果】本考案によれば、操作を誤ってかご内か
らすべての階をサービス切離し階に設定したとしても、
サービス可能階が少なくとも所定数だけは確保されるの
で、エレベータが運行不能になったり、かご内にカンヅ
メになるといった事態の発生を解消することができる。
しかもサービス可能階の数が所定数以下になったとき、
以後のサービス切離し階の設定が無効になったことは、
かご呼び釦のランプ表示によって容易に確認することが
できるので、操作者に誤解を与えることもなく、また操
作の誤りを気付かせることにもなる。

【００３１】また、外部スイッチを併設している場合に
おいては、かご内から設定した後で、外部スイッチの操
作によって、予期せずすべての階がサービス切離し階に
設定されたとしても、やはり上記と同様にサービス可能
階が少なくとも所定数は確保されるので何ら不都合の生
じることはない。しかもこのとき、外部スイッチによる
設定を優先し、外部スイッチによる設定以外のサービス
切離し階の中から所定の階をサービス可能階に復帰させ
るようにしたので、外部スイッチがＯＮになっているに
も拘わらずその階がサービス切離し階になっていないと
いった誤解の生じる恐れをなくすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の全体構成を示すブロック図である。

【図２】各階のサービス切離しの設定状態を表わすサー
ビスパターンデータを示す図である。

【図３】第１の考案におけるサービス切離し階設定処理
のプログラムを示すフローチャートである。

【図４】第２の考案におけるサービス切離し階設定処理
のプログラムを示すフローチャートである。

【符号の説明】

１１ 切替スイッチ １２ かご操作盤 １３ かご呼び釦 １４〜１６ 外部スイッチ １７，１８ 入力インターフェイス回路 １９ マイクロコンピュータ

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータがサービスする複数階床のう
   ち、任意の階床をかご内からサービス切離し階に設定す
   るためのサービス切離し階設定手段を有するエレベータ
   の制御装置において、 エレベータのサービス可能なサービス可能階の数を検出
   する手段と、前記サービス可能階の数が所定数以下にな
   ったことを検出すると、以後の前記サービス切離し階設
   定手段によるサービス切り離し階の設定を無効とする手
   段とを備えたことを特徴とするエレベータの制御装置。
2. 【請求項２】 エレベータがサービスする複数階床のう
   ち、任意の階床をかご内からサービス切離し階に設定す
   るためのサービス切離し階設定手段を有すると共に、特
   定階床をかご外からサービス切離し階とするための外部
   スイッチを設けたエレベータの制御装置において、 エレベータのサービス可能なサービス可能階の数を検出
   する手段と、前記外部スイッチの操作によって前記サー
   ビス可能階の数が所定値以下になったことを検出する
   と、前記外部スイッチによって設定された階を除くサー
   ビス切離し階のうち、所定の階の設定を解除する手段と
   を備えたことを特徴とするエレベータの制御装置。