JP2546589Y2 - 移動式クレーンの吊具の巻過警報装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】 本考案は、移動式クレーンの吊
具の巻過警報装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】 図２に示す如く、移動式クレーンは、
車輌上に旋回自在に搭載した旋回台（図示せず）に、起
伏自在に取り付けられたブーム１を備えおり、このブー
ム１の先端部のシーブ２を介して引き出された油圧駆動
ウインチ３からのワイヤーロープ４を介して、ブーム１
の先端部から吊具５を吊下している。前記油圧駆動ウイ
ンチ３は、四方向三位置型の油圧制御弁６ａを含む駆動
制御装置６によりその駆動速度および駆動方向を制御さ
れるようになっている。

【０００３】 この種の移動式クレーンには、吊具５を
巻き上げ駆動し過ぎてブーム１先端部に衝突するのを防
止するための巻過警報装置が取り付けられている。従来
の巻過警報装置は、ブーム１先端部に配置され前記吊具
５がブーム１先端部に近づいた警報位置にきた時これを
検出する警報スイッチ７と、当該警報スイッチ７の検出
結果で作動する警報器８を備えている。この警報スイッ
チ７はブーム１先端部に取り付けられたものであるが、
図２では、警報スイッチ７のブーム１先端部への配置が
省略されており、電気回路中に、吊具５が巻き上げられ
て警報位置にきたとき遮断される警報スイッチ７として
示されている。警報スイッチ７のブーム１先端部への取
り付け構成は周知のものである。警報位置における吊具
５とブーム１先端部の距離は、油圧駆動ウインチ３を最
高速度で巻き上げ駆動（吊具５を最高速度で巻き上げ駆
動）している状態の下で、警報器８の作動音を聞いたオ
ペレータが、油圧駆動ウインチ３の巻き上げ駆動を停止
操作して吊具５をブーム１先端部に衝突する前に停止せ
しめるに足る充分な時間的な余裕を持つ距離に設定され
ている。

【０００４】 以上のように構成した従来の巻過警報装
置は、警報位置における吊具５とブーム１先端部の距離
が、油圧駆動ウインチ３を最高速度で巻き上げ駆動（吊
具５を最高速度で巻き上げ駆動）している状態を想定し
て設定されているので大きくなり、それだけ移動式クレ
ーンの作業範囲が制限されるという問題があった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 本考案は、警報音を
聞いたオペレータが、吊具５の巻き上げ動を当該吊具５
がブーム１先端部に衝突する以前に停止せしめるに必要
な時間的余裕を確保しながら、警報位置における吊具５
とブーム１先端部との距離を小さく設定し以て移動式ク
レーンの作業範囲を拡大できる巻過警報装置を提供しよ
うとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成する
ため、本考案の移動式クレーンの吊具の巻過警報装置は
次の如く構成する。ブーム１先端部のシーブ２を介して
引き出された油圧駆動ウインチ３からのワイヤーロープ
４を介してブーム１先端部から吊具５を吊下してなる移
動式クレーンに用いられる巻過警報装置であって、ブー
ム１先端部に配置され前記吊具５がブーム１先端部に近
づいた警報位置にきた時これを検出する警報スイッチ７
と、当該警報スイッチ７の検出結果で作動する警報器８
を備えたものにおいて、前記油圧駆動ウインチ３の駆動
制御装置６に、その作動時に当該ウインチ３の駆動速度
を所定値以下に規制する駆動速度規制手段を取り付ける
と共に、ブーム１先端部に配置され前記吊具５とブーム
１先端部との距離が前記警報位置よりも遠い位置を検出
する速度規制スイッチを取り付け、速度規制スイッチの
検出結果で前記駆動速度規制手段を作動させるよう構成
したことを特徴とする移動式クレーンの吊具の巻過警報
装置。

【０００７】

【作用】 以上の如く構成した本考案の移動式クレーン
の吊具の巻過警報装置は、吊具５とブーム１先端部との
距離が警報位置よりも遠い位置で油圧駆動ウインチ３の
駆動速度が、最高速度以下に規制されるので、警報位置
における吊具５とブーム１先端部との距離を従来のもの
に比べて小さく設定して移動式クレーンの作業範囲を拡
大しても、警報音を聞いたオペレータが、吊具５の巻き
上げ動を当該吊具５がブーム１先端部に衝突する以前に
停止せしめるに必要な時間的余裕を確保できるのであ
る。

【０００８】

【実施例】 以下本考案の実施例を、図１に基づいて説
明する。本考案の移動式クレーンの吊具の巻過警報装置
は、従来の移動式クレーンの巻過警報装置に構成を一部
付加したものであるので、図２に示し上述した従来の移
動式クレーンの吊具の巻過警報装置の説明で用いた符号
およびその説明は、以下の説明においてそのまま援用す
るものとする。

【０００９】 図１において、９は、駆動制御装置６に
おける油圧切換弁６ａのポンプ油路６ｂに介装されその
作動時に当該ポンプ油路６ｂを流れる作動油量を制限す
る絞り弁である。絞り弁９の作動時には、油圧駆動ウイ
ンチ３の駆動速度を所定値以下に規制されるようになっ
ている。換言すれば、油圧駆動ウインチ３の駆動速度の
最高速度が小さくなるのである。１０は、ブーム１先端
部に配置され前記吊具５とブーム１先端部との距離が前
記警報位置（警報スイッチ７の検出位置）よりも遠い位
置を検出する速度規制スイッチである。この速度規制ス
イッチ１０は、その作動アーム１０ａにロープ１０ｂを
介して重錘１０ｃを吊り下げ、重錘１０ｃが吊具５によ
って持ち上げられた時を検出して閉成するように構成し
ている。速度規制スイッチ１０は、その検出結果で前記
駆動速度規制手段（絞り弁）９が作動するよう、駆動速
度規制手段９と電気的に接続されている。

【００１０】 なお、この実施例では、駆動速度規制手
段９をソレノイド操作式の絞り弁で構成した例を示した
が、この駆動速度規制手段９は例えば次のものに代替し
てもよいこと勿論である。 油圧ポンプ６ｃ（ポンプ油路６ｂを介して油圧切換弁
６ａへ作動油を供給する油圧ポンプ）を駆動するエンジ
ン（図示せず）のアクセル機構によるエンジン回転速度
の調整幅を、所定回転速度以下に規制するもの。 油圧制御弁６ａを電磁比例制御弁で構成したものにお
いては、当該電磁比例制御弁を操作するための操作用電
気信号の上限を規制することで、電磁比例制御弁の操作
量を所定値以下に規制するもの。

【００１１】 以上の如く構成した本考案の移動式クレ
ーンの吊具の巻 過警報装置は、吊具５が巻き上げ駆動さ
れた場合、吊具５とブーム１先端部との距離が警報位置
よりも遠い位置で速度規制スイッチ１０がこれを検出
し、この検出結果で駆動速度規制手段９が作動し油圧駆
動ウインチ３の駆動速度が最高速度以下に規制されるか
ら、警報器８が作動する警報位置では、吊具５の巻き上
げ速度が通常の最高速度になることがないのである。従
って、警報位置における吊具５とブーム１先端部との距
離を従来のものに比べて小さく設定して移動式クレーン
の作業範囲を拡大しても、警報音を聞いたオペレータ
が、吊具５の巻き上げ動を当該吊具５がブーム１先端部
に衝突する以前に停止せしめるに必要な時間的余裕を確
保できるのである。

【００１２】

【考案の効果】 以上の如く構成した本考案の移動式ク
レーンの吊具の巻過警報装置は、簡単な構成でありなが
ら、警報器の警報音を聞いたオペレータが、吊具５の巻
き上げ動を当該吊具５がブーム１先端部に衝突する以前
に停止せしめるに必要な時間的余裕を確保しながら、警
報位置における吊具５とブーム１先端部との距離を小さ
く設定し以て移動式クレーンの作業範囲を拡大できると
いう効果を達成することができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の移動式クレーンの巻過警報装置の説明
図。

【図２】従来の移動式クレーンの巻過警報装置の説明
図。

【符号の説明】

１ ブーム ２ シーブ ３ 油圧駆動ウインチ ４ ワイヤーロープ ５ 吊具 ６ 駆動制御装置 ７ 警報スイッチ ８ 警報器９ 駆動速度規制手段（絞り弁） １０ 速度規制スイッチ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブーム先端部のシーブを介して引き出さ
   れた油圧駆動ウインチからのワイヤーロープを介してブ
   ームの先端部から吊具を吊下してなる移動式クレーンに
   用いられる巻過警報装置であって、ブーム先端部に配置
   され前記吊具がブーム先端部に近づいた警報位置にきた
   時これを検出する警報スイッチと、当該警報スイッチの
   検出結果で作動する警報器を備えたものにおいて、 前記油圧駆動ウインチの駆動制御装置に、その作動時に
   当該ウインチの駆動速度を所定値以下に規制する駆動速
   度規制手段を取り付けると共に、ブーム先端部に配置さ
   れ前記吊具とブーム先端部との距離が前記警報位置より
   も遠い位置を検出する速度規制スイッチを取り付け、速
   度規制スイッチの検出結果で前記駆動速度規制手段を作
   動させるよう構成したことを特徴とする移動式クレーン
   の吊具の巻過警報装置。