JP2545543B2 - 車輪の踏み付け装置 - Google Patents

車輪の踏み付け装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、路面と車輪との間に踏み付け部材を介在さ
せて、車輪の接地圧や該車輪と路面間の摩擦係数を変化
させる装置に関し、とくに、凍結した路面上での自動車
の車輪のスリップを防止する手段として好適な車輪の踏
み付け装置に関するものである。
〔従来の技術〕
車輪の接地圧や、該車輪と路面間の摩擦係数等を変化
させるには、車輪と路面間に介在物を挿入すれば良い。
従来から車輪のスリップ防止手段として使用されてい
るスパイクタイヤのスパイクやタイヤチェーン等は、タ
イヤ自体に支持される上記介在物の例であるが、該介在
物がタイヤ自体に支持されない構造の装置も、例えば特
開昭54-151202号公報、英国特許第110674号明細書、フ
ランス国特許第2036889号明細書、ドイツ国公告公報第1
162216号等によって提案されている。
上記各文献に記載の装置は、回転体の周部に複数の踏
み付け部材を放射状に配設し、それらの踏み付け部材の
少なくとも1つが車輪と路面間に介在されるように上記
回転体を車体に回転可能に支持させた構成を有する。
この種の装置では、車輪の回転に伴って前記介在物た
る各踏み付け部材が順次車輪と路面間に介在される。つ
まり、上記各踏み付け部材が上記回転体の軸線を中心と
して回転運動する。
〔従来の技術の問題点〕
ところで、車輪と路面間における上記踏み付け部材の
運動軌跡は円弧であるが、車輪の転動軌跡は円弧ではな
く直線である。
このように、上記装置では、踏み付け部材の運動軌跡
が車輪の転動軌跡と一致していないので、以下のような
実用上の問題を生じる。
上記踏み付け部材が車輪の転動方向から逸れる方向に
運動する。このため、とくに車輪が大きな接地圧を受け
て高速回転してる状況下においては、踏み付け部材に対
する車輪の踏み付け動作が確実かつ円滑に行われなくな
る。
踏み付け部材の摩擦係数を大きくする目的で該踏み付
け部材に爪を付設した場合、タイヤに踏まれた状態の爪
がその後の踏み付け部材の円弧運動に伴って側方に強制
引張される。このため、上記爪、踏み付け部材、前記回
転体およびその支持手段が無理な力を受けて変形損傷す
る虞れがあり、また、路面に上記爪による引っ掻き傷が
発生することになる。
なお、上記踏み付け部材の回転半径を大きく設定する
ほど、踏み付け部材の運動軌跡が直線に近付くことにな
るが、上記回転半径の増加は装置全体の大型化を招来す
るので、小型車両への適用が困難になるという不都合
や、装置の一部が路面の比較的小さな障害物にも接触す
る等の不都合が発生する。
本発明の目的は、かかる状況に鑑み、踏み付け部材を
確実かつ円滑に踏み付けることが可能な車輪の踏み付け
装置を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、多数の踏み付け部材を連結した無端状のチ
ェーンと、上記チェーンを巻掛けるスプロケットを備
え、上記チェーンをその一部が直線をなす態様で循環動
自在に保持する保持手段と、上記チェーンの直線部分が
車輪の転動方向に沿い、かつ、該直線部分に位置される
上記踏み付け部材が上記車輪と路面との間に介在される
態様で上記保持手段を車両に支承させる手段とで構成さ
れている。
〔作用〕 路面上に直線状に配列静止した踏み付け部材上を車輪
が転動することになり、この結果、車輪の踏み付け動作
が確実かつ円滑に行われる。
また、チェーンに付着したごみや氷片等の異物がスプ
ロケットの歯部によって取り除かれる。
〔実施例〕
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明す
る。
第1図に示す本発明の実施例は、無端状のチェーン1
(第4図参照)と、このチェーン1に連結された踏み付
け部材たる多数の羽根板2と、上記チェーン1が循環動
自在に巻き掛けられた一対のスプロケット3,3(第2
図、第5図参照)と、該スプロケット3,3を回動可能に
支承する保持部4(第3図参照)とを備えている。
上記各羽根板2は、ゴム等の弾性材料で形成してあ
り、それぞれの先端部がチェーン1の外側方に突出する
態様で該チェーン1に連結されている。
第5図から明らかなように、上記スプロケット3,3間
に巻き掛けられたチェーン1は、一方のスプロケット3
の回転中心から他方のスプロケット3の回転中心に至る
区間Lにおいて直線状をなしている。
上記区間Lに位置する各羽根板2は、互いに平行して
配列しており、チェーン1の移動に伴って同図の左右方
向に直線的に移動する。
上記保持部4は、上記チェーン1の直線状部分が第6
図に示す車輪7の転動方向(同図の紙面に垂直な方向)
に沿い、かつ、該チェーン1の車輪7側の直線状部分に
位置した各羽根板2が路面5と車輪7との間に介在され
るように、支持機構9を介して図示していない四輪自動
車等の車軸または車体の一部に取り付けられる。
第6図に示したように、スプロケット3,3は傾斜した
姿勢で保持されているので、路面5に接した羽根板2は
その途中が湾曲している。
以下、この実施例の作用について説明する。
上記車輪7が回転駆動されると、この車輪7に接した
羽根板2が車両後方側(後進時には車両前方側)に付勢
され、この付勢力はチェーン1を介してスプロケット3,
3を回転させる。
このとき、路面5上には上記チェーン1の区間Lに位
置する所定枚数の羽根板2が直線状に配列されることに
なるが、それらの羽根板2のスリップが無いとすると、
該各羽根板2と路面5の相対速度は零である。
それゆえ、車両は、路面5上に直線状に配列静止した
羽根板2上を車輪7が転動することによって走行するこ
とになる。
この実施例に場合、路面5上における羽根板2の配列
方向と車輪の転動方向とが一致しているので、羽根板2
に対する車輪の踏み付け動作が確実かつ円滑に行われ、
しかも、羽根板2に無理な力が作用しない。
また、チェーン1に付着したごみや氷片等の異物がス
プロケット3の歯部によって押し出されるので、チェー
ン1や該チェーン1とスプロケット3間に上記異物が堆
積することがなく、これによって、チェーン1の回転平
面が適正に保持される。
さらに、上記チェーン1はベルトに比して捩じれにく
い性質を持つので羽根板2の姿勢を安定に保持して、該
羽根板2を路面5と車輪7間に確実に位置させることが
できる。
以下、本発明のより具体的な実施態様について述べ
る。
a.上記羽根板2の材質や仕様は、上記実施例の利用目的
に応じて適宜選択される。例えば、凍結路でのスリップ
防止手段として利用する場合には、羽根板2の材料とし
て低温下での弾性に優れたものを使用するとともに、第
7図に示したように、超硬金属、セラミック等の耐磨耗
性硬質材料からなる爪6を羽根板2の先端部に適数個設
ける。
また、上記実施例を路面保護手段として用いる場合に
は、羽根板2の材料にゴムを使用して、その厚みを十分
大きく設定する。かくすれば、車両が接地圧の大きな硬
い車輪を有している場合でも、路面の損傷を防止するこ
とができる。
なお、上記実施例は、ブルドーザ等の履帯車両が一時
的に通常路や柔らかい路面を走行する場合の路面保護手
段としても有効である。
さらに、羽根板2を硬度の高い材料で大きく形成し
て、車輪の接地圧を小さくするようにすれば、泥濘地や
砂浜等での走行が可能になる。
b.材質や仕様の異なる羽根板2を連結した複数のチェー
ンユニットを用意して、それらを路面の状況に応じて取
換え使用することも可能であり、かくすれば、例えば山
野での車両の走行能率を向上することができる。
c.車両の走行中には、チェーン1、羽根板2あるいは保
持部4に路上の障害物が衝突することも考えられる。そ
こで、第1図に示したような緩衝装置8を保持部4とそ
の支持機構との間に設けて、上記衝突のショックを吸収
することが望ましい。
このような緩衝装置8を設ければ、上記各要素1,2お
よび3や上記保持部4の支持機構の耐久性を一層向上す
ることができる。
d.路面5の状況によっては、上記羽根板2を該路面5と
車輪7間に介在させる必要がない。
そこで、上記保持部4の支持機構にスライド機構等か
らなる出没手段を設け、例えば、凍結の無い路面状況で
チェーン1、羽根板2および保持部4を走行の邪魔にな
らない位置に格納し、凍結した路面状況で上記各要素1,
2および3を使用位置にセットするようにすることが望
ましい。
この場合、車両の運転席からワイヤー等を介して上記
出没手段の出没動作をコントロールする遠隔操作手段を
配設すれば便利である。
〔発明の効果〕
本発明によれば、路面上における踏み付け部材の配列
方向と車輪の転動方向とが一致する。したがって、踏み
付け部材に対する車輪の踏み付け動作が確実かつ円滑に
行われる。
また、踏み付け部材に無理な力が作用しないので、摩
擦係数を大きくする目的で該踏み付け部材に爪を付設し
た場合でも、該踏み付け部材、無端帯およびその支持手
段の変形損傷を防止することができ、かつ、路面に上記
爪による引っ掻き傷が発生するのを防止することができ
る。
さらに、チェーンの隙間にごみや氷片等の異物が侵入
しても、スプロケットの歯部がチェーンと噛み合ったさ
いに上記異物を押し出すので、チェーンや該チェーンと
スプロケット間に上記異物が堆積することがなく、これ
によって、チェーンの回転平面が常に適正に保持され
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例を示す斜視図、第2図は、
保持部を取り外した状態を示す実施例の斜視図、第3図
は、保持部によるスプロケットの保持態様を示す斜視
図、第4図は、チェーンに対する羽根板の取り付け態様
を示す斜視図、第5図は、実施例の平面図、第6図は、
実施例の使用態様を示す概念図、第7図は、爪を付設し
た羽根板を示す斜視図である。 1……チェーン、2……羽根板、3……スプロケット、
4……保持部、5……路面、6……爪、7……車輪、8
……緩衝機構。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多数の踏み付け部材を連結した無端状のチ
    ェーンと、 上記チェーンを巻掛けるスプロケットを備え、上記チェ
    ーンをその一部が直線をなす態様で循環動自在に保持す
    る保持手段と、 上記チェーンの直線部分が車輪の転動方向に沿い、か
    つ、該直線部分に位置される上記踏み付け部材が上記車
    輪と路面との間に介在される態様で上記保持手段を車両
    に支承させる手段と を備えることを特徴とする車輪の踏み付け装置。
  2. 【請求項2】上記各踏み付け部材は、上記チェーンの外
    側方に突出する弾性材料からなる羽根板である特許請求
    の範囲第(1)項記載の車輪の踏み付け装置。
  3. 【請求項3】上記各羽根板は、先端部に硬質材料からな
    る爪を備えることを特徴とする特許請求の範囲第(2)
    項記載の車輪の踏み付け装置。
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