JP2544698Y2 - 製氷機等のフィルター構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、製氷機等のフィルタ
ー構造に関し、更に詳しくは、内部に例えば空冷式凝縮
器を収納した製氷機等の筐体において、該筐体の空気吸
込部に塵埃捕集用のフィルターを容易に着脱可能とした
フィルター構造に関するものである。

【０００２】

【従来技術】例えば、筐体内部に冷凍機構および製氷機
構を備え、前記冷凍機構により冷却される製氷室や製氷
突起で多数の角氷その他の氷塊を製造する自動製氷機
が、喫茶店やレストランその他の厨房施設で好適に使用
されている。前記冷凍機構は、圧縮機、凝縮器、キャピ
ラリーチューブ、蒸発管等の諸部材から基本的に構成さ
れ、前記蒸発管は製氷機構における製氷部に配設され
て、該製氷部の冷却を行なう。また冷凍系を構成する凝
縮器は、一般に金属板からなる放熱用フィンを細間隙を
保持して多数並設すると共に、このフィンに冷媒凝縮チ
ューブを貫通させて成るフィンアンドチューブ形が好適
に用いられ、筐体内部に配設した冷却ファンによって、
該凝縮器を強制空冷する構成が採用されている。

【０００３】前述した空冷式の凝縮器を備える製氷機で
は、その筐体の下部に空気吸込口と吐出口とが開設され
る。すなわち、冷却ファンの回転により吸込口から吸引
された空気は、凝縮器に接触して熱交換による冷却を行
なった後、温度上昇した空気は前記吐出口を介して外部
に吐出される。この場合に、空気と共に塵埃も筐体内に
吸込まれるが、この塵埃が凝縮器に経時的に付着する
と、熱交換効率を低下させオーバーヒート等による故障
の原因となる。そこで、前記冷却ファンにより吸込まれ
た空気は、凝縮器に接触する以前に浄化して、空気中の
塵埃を除去しておく必要がある。このため製氷機には従
来より、塵埃捕集用のフィルターが筐体に開設した空気
吸込口に取付けられるようになっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】前記フィルターは、捕
集した塵埃により次第に目詰りを生ずるから、定期的に
交換またはフィルター洗浄を行なう必要があり、このた
め着脱可能な構造となっている。このフィルターの筐体
に対する取付構造としては、例えば実公昭６０−１７６
５０号公報に開示されるように、筐体に開設した吸込口
の一側に配設した金具にフィルターの一端を着脱自在に
支持させると共に、該フィルターの他端を、筐体の電気
部品収納部を被覆する蓋体で押えるようにしたものがあ
る。すなわちこの構造では、蓋体を筐体から取外せば、
フィルターを吸込口から取外すことができるものであ
る。

【０００５】前記構造では、蓋体が筐体にねじを介して
固定されるようになっているため、フィルターを取外す
際には、ドライバー等の工具を使用してねじを取外す必
要があり、手間と時間が掛かる欠点があった。また、必
要なときに工具が見当らず、これを捜すのに無用の時間
を費やすこともある、等の不便も指摘される。更に、前
記蓋体を取外した際には、電気部品収納部が開放される
ため、作業者が誤って電気部品に触れて感電等の事故を
起こす危険があった。

【０００６】

【考案の目的】本考案は、前述したフィルター構造に内
在している前記欠点に鑑み、これを好適に解決するべく
提案されたものであって、筐体にフィルターを簡単かつ
確実に装着し得る構造を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期
の目的を達成するため本考案は、空気吸込口から外部空
気を吸込んで空冷作用を営むよう構成した製氷機等の筐
体において、前記筐体の外面に、前記空気吸込口を囲繞
するよう配設されると共に、筐体外面との間に所要の隙
間を画成した保持部材と、前記保持部材と筐体外面との
間に着脱自在に挿入可能な寸法に形成され、内部に開設
した開口にフィルター部材を配設したフィルターと、前
記保持部材のフィルター挿入側の外方に臨む筐体に位置
して、前記フィルターの挿入方向に対し所要角度で傾斜
するよう形成した傾斜部と、前記フィルターにおける挿
入方向の後側に形成され、前記傾斜部より大きな角度で
同一方向に屈曲する弾性変形可能な支持部とからなり、
前記保持部材と筐体との間に前記フィルターを挿入した
際に、前記フィルター部材が空気吸込口を全面的に覆う
と共に、前記支持部が傾斜部に弾力的に当接し得るよう
構成したことを特徴とする。

【０００８】

【実施例】次に、本考案に係る製氷機等のフィルター構
造につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しな
がら以下説明する。

【０００９】図２は、実施例に係るフィルター構造が採
用される製氷機の全体的な構成を概略的に示す断面図で
ある。製氷機本体を構成する筐体１０の内部は、圧縮機
ＣＭや凝縮器１２等の冷凍機械が収納される下部機械室
１４と、その上方に位置し断熱材で囲われる貯氷庫１６
と、この貯氷庫１６の内部上方に配設される製氷ユニッ
ト１８とから基本的に構成されている。そして、製氷ユ
ニット１８で製造された氷塊は、貯氷庫１６に放出貯留
される。また機械室１４内には、凝縮器１２に近接して
冷却ファン(図示せず)が収納され、該凝縮器１２を強制
空冷するよう構成されている。

【００１０】前記筐体１０は、前記冷凍機械が配置され
る支持フレーム２０と、該支持フレーム２０に配置され
た冷凍機械および前記貯氷庫１６を囲繞するメインフレ
ーム２２と、このフレーム２２の前面に配設される前面
パネル２４とから構成される。そして、支持フレーム２
０における底面の各隅部に脚２６が突設され、製氷機を
据付ける床面と該底面との間に、外気吸込用の所要の隙
間を画成するようになっている。また、前面パネル２４
の高さ方向の略中間位置に、図４に示す如く、氷塊の放
出口２４ａが下方に向けて開設されると共に、この放出
口２４ａの下方に、コップ等の容器(図示せず)の載置部
２８が設けられている。そして、貯氷庫１６に配設した
氷塊放出装置３０により放出口２４ａまで搬送された氷
塊は、該放出口２４ａを介して載置部２８に載置された
容器に放出されるようになっている。

【００１１】前記パネル２４における載置部２８の下方
に位置する底面２４ｂは、図２に示す如く、前面側に向
かうにつれて上方傾斜するよう設定されており、該底面
２４ｂが、後述するフィルター３２の支持部３２ｃと協
働して該フィルター３２を定位置で保持するべく機能す
る。なお底面２４ｂの支持フレーム側端部の下端レベル
は、該フレーム２０における底面のレベルと一致するよ
う設定されている(図５参照)。

【００１２】前記支持フレーム２０の底面には、空気吸
込口３４として機能する長丸穴が多数穿設されると共
に、フィルター３２を保持する保持部材３６が着脱自在
に配設されている。すなわち保持部材３６は、図３に示
す如く、前記空気吸込口群が穿設される領域を囲繞可能
な寸法に設定されたフード状の本体３６ａと、該本体３
６ａの開放端縁部に形成されて外方に水平に延出するフ
ランジ部３６ｂとから基本的に構成され、このフランジ
部３６ｂを支持フレーム２０の底面にねじ止めすること
により、フレーム２０に保持部材３６が固定される。そ
してこのときに、支持フレーム２０の底面と本体３６ａ
の底面との間に、フィルター３２が挿入可能な間隙が画
成されるようになっている(図５参照)。また本体３６ａ
の底面には、前記空気吸込口群の穿設領域より僅かに大
きな寸法の開口３６ｃが開設され、この開口３６ｃを介
して外部空気が吸込口３４に吸込まれる。

【００１３】図１に示す如く、前記本体３６ａの前面側
(前面パネル２４を指向する側)に挿入口３６ｄが開設さ
れると共に、該挿入口３６ｄにおける支持フレーム２０
の底面から離間する下端縁部に、その開放端(前面側)に
向かうにつれて底面から離間するよう傾斜する案内部３
６ｅが所定長さだけ延出しており、フィルター３２の先
端を挿入口３６ｄに円滑に案内し得るよう構成される。
なお、本体３６ａにおける長手方向に沿う両開放端縁部
に形成されるフランジ部３６ｂは、本体内方に所定長さ
だけ延出し、フィルター３２を保持部材３６内に挿入す
る際に該フィルター３２の左右両縁部を案内するガイド
としても機能するようになっている。

【００１４】前記フィルター３２は、図３に示す如く、
前記保持部材３６に着脱自在に挿入可能な外径寸法に設
定された矩形状の枠体３２ａと、この枠体３２ａの内部
開口３２ｅに張設された塵埃捕集用の所定メッシュ寸法
のフィルター部材３８とから基本的に構成される。この
枠体３２ａの保持部材３６への挿入方向前端部には、図
３に示す如く、その左右両側部が開放端に向かうにつれ
て中央側に傾斜する(幅寸法が減少する)台形状の案内部
３２ｂが形成されており、当該フィルター３２を前記保
持部材３６の挿入口３６ｄに円滑に挿入し得るようにな
っている。そしてこの案内部３２ｂの先端が保持部材３
６の後端部に当接する位置までフィルター３２を挿入し
たときに、前記フィルター部材３８が前記本体３６ａに
開設した開口３６ｃと支持フレーム２０に穿設した吸込
口群との間に臨むように設定される。これにより、フィ
ルター部材３８で塵埃を除去した空気を、空気吸込口３
４を介して前記下部機械室１４に吸込むことができる。
なお、前記枠体３２ａは、例えば合成樹脂を材質として
形成され、所要の弾性変形可能になっている。

【００１５】前記枠体３２ａの案内部３２ｂが形成され
る側と反対の端部には、図１に示す如く、その開放端に
向かうにつれて上方に傾斜するよう屈曲された支持部３
２ｃが形成されている。この支持部３２ｃは、フィルタ
ー３２を前記保持部材３６の定位置まで挿入した状態
で、前記前面パネル２４の底面２４ｂと対応する位置に
臨むと共に、その傾斜角度は該底面２４ｂの傾斜角度よ
りも大きくなるよう設定されている。また支持部３２ｃ
は、枠体３２ａに一体的に形成されて、該枠体３２ａに
対して弾性変形可能になっている。これにより、フィル
ター３２を保持部材３６に挿入すれば、図６に示す如
く、支持部３２ｃが底面２４ｂに弾力的に当接し、フィ
ルター３２を定位置で保持することができる。なお支持
部３２ｃの開放端には、下方に突出する突部３２ｄが形
成され、保持部材３６からフィルター３２を引出す際
に、該突部３２ｄに手指を引掛けて容易に引出し得るよ
うになっている。

【００１６】

【実施例の作用】前述した構成に係るフィルター構造に
よれば、筐体１０の底面に配設した保持部材３６に、前
面パネル２４の下方からフィルター３２を挿入する。こ
のとき保持部材３６の案内部３６ｅおよびフィルター３
２の案内部３２ｂにより、該フィルター３２は保持部材
３６の挿入口３６ｄに円滑に案内挿入される。フィルタ
ー３２の案内部３２ｂが保持部材３６の後端部に当接す
る位置まで該フィルター３２を挿入すると、前記フィル
ター部材３８が前記支持フレーム２０の空気吸込群と保
持部材３６の開口３６ｃとの間に臨むに至る。従って、
前記下部機械室１４に配設した冷却ファンを回転させれ
ば、外部空気は開口３６ｃ，フィルター部材３８および
空気吸込口３４を介して機械室１４に吸込まれる。この
空気は、フィルター部材３８を通過する際に塵埃を完全
に捕集されているので、凝縮器１２に塵埃が付着するこ
とによる熱交換効率の低下およびオーバーヒート等によ
る故障の発生を未然に防止し得る。

【００１７】また、フィルター３２の枠体３２ａは保持
部材３６により位置規制されているため、保持部材３６
の挿入口３６ｄより前面側に位置する前記支持部３２ｃ
は、自身の弾性力により前面パネル２４の底面２４ｂに
弾力的に当接し、該フィルター３２は保持部材３６に挿
入された定位置で確実に保持される。すなわち、フィル
ター３２の定期的な清掃や交換等のメンテナンスに際し
ては、前記突部３２ｄに手指に引掛けて手前面に引出す
だけで、該フィルター３２を保持部材３６から取出すこ
とができる。またフィルター３２の取付けに際しては、
該フィルター３２を前面パネル２４の下方から保持部材
３６の挿入口３６ｄに挿入するだけで良い。しかも前面
パネル２４の底面２４ｂは、前面側に向かうにつれて床
面から離間しているので、フィルター３２の取付けおよ
び取外しを容易に行ない得る利点もある。

【００１８】なお本実施例では、製氷機にフィルター構
造を採用した場合につき説明したが、本考案はこれに限
定されるものではなく、筐体内部に外気を導入して空冷
作用を営む機器全般に広く使用し得るものである。

【００１９】

【考案の効果】以上説明した如く、本考案に係る製氷機
等のフィルター構造によれば、筐体に配設した保持部材
に挿入したフィルターは、該フィルターに形成した支持
部を筐体の傾斜部に弾力的に当接することにより定位置
で保持されるので、ねじ等の固定手段や工具等を使用す
ることなくフィルターを筐体に簡単に装着することがで
きる。またフィルターは容易に取外し得るので、フィル
ターの清掃や交換作業等のメンテナンスを短時間で容易
に行ない得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施例に係るフィルター構造を示す概略斜視
図である。

【図２】 実施例に係るフィルター構造が採用される製
氷機の概略縦断面図である。

【図３】 保持部材にフィルターを挿入する前の状態を
示す底面図である。

【図４】 製氷機の外観斜視図である。

【図５】 保持部材にフィルターを挿入する途中の状態
を示す説明図である。

【図６】 保持部材の定位置までフィルターを挿入した
状態を示す説明図である。

【符号の説明】

１０…筐体，２４ｂ…底面，３２…フィルター，３２ｂ
…案内部 ３２ｃ…支持部，３２ｅ…開口，３４…空気吸込口，３
６…保持部材 ３６ｅ…案内部，３８…フィルター部材

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気吸込口(34)から外部空気を吸込んで
   空冷作用を営むよう構成した製氷機等の筐体(10)におい
   て、 前記筐体(10)の外面に、前記空気吸込口(34)を囲繞する
   よう配設されると共に、筐体外面との間に所要の隙間を
   画成した保持部材(36)と、 前記保持部材(36)と筐体外面との間に着脱自在に挿入可
   能な寸法に形成され、内部に開設した開口(32e)にフィ
   ルター部材(38)を配設したフィルター(32)と、 前記保持部材(36)のフィルター挿入側の外方に臨む筐体
   (10)に位置して、前記フィルター(32)の挿入方向に対し
   所要角度で傾斜するよう形成した傾斜部(24b)と、 前記フィルター(32)における挿入方向の後側に形成さ
   れ、前記傾斜部(24b)より大きな角度で同一方向に屈曲
   する弾性変形可能な支持部(32c)とからなり、 前記保持部材(36)と筐体(10)との間に前記フィルター(3
   2)を挿入した際に、前記フィルター部材(38)が空気吸込
   口(34)を全面的に覆うと共に、前記支持部(32c)が傾斜
   部(24b)に弾力的に当接し得るよう構成したことを特徴
   とする製氷機等のフィルター構造。
2. 【請求項２】 前記保持部材(36)におけるフィルター挿
   入側の端部に、その開放端に向かうにつれて筐体外面か
   ら離間する案内部(36e)を形成すると共に、前記フィル
   ター(32)における挿入方向前端部に、その開放端に向か
   うにつれて幅寸法が減少する案内部(32b)を形成し、保
   持部材(36)と筐体(10)との間にフィルター(32)を容易に
   挿入し得るようにした請求項１記載の製氷機等のフィル
   ター構造。