JP2543636B2 - 冊子の頁めくり装置 - Google Patents

冊子の頁めくり装置

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JP2543636B2
JP2543636B2 JP3220390A JP22039091A JP2543636B2 JP 2543636 B2 JP2543636 B2 JP 2543636B2 JP 3220390 A JP3220390 A JP 3220390A JP 22039091 A JP22039091 A JP 22039091A JP 2543636 B2 JP2543636 B2 JP 2543636B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、預金通帳等の小冊子
の各紙葉体を自動的にめくり返すための冊子の頁めくり
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、金融機関等には、預金高などの記
帳をなす自動記帳装置が設置されている。この自動記帳
装置では、通帳挿入口へ挿入される通帳が複数の紙葉体
から構成されていることから、これを印字部へ送り出す
に際し、予め所定の頁を開き出すことが必要となり、そ
のためこの種の装置には従来より図16ないし図19に
示すような頁めくり装置が設けられている。
【0003】図において、1は通帳出入口Ioから図外
の印字部に至る通帳移動経路を形成する支持テーブルで
ある。2は固定軸2aによって回動自在に支持された第
1の従動ローラであり、前記支持テーブル1に設定した
第1の搬送位置P1の上方に位置している。3は回転駆
動軸3aにより前記第1の従動ローラ2に対向して設け
られた第1の搬送駆動ローラであり、前記回転駆動軸3
aは図外のモータによって正逆両方向へ回転するように
なっている。また、この回転駆動軸3aは所定の支持体
によって上下動可能に支持されると共に、常にはばね等
によって上方へ付勢されており、その付勢力によって第
1の搬送駆動ローラ3aが前記第1の従動ローラ2に圧
接するようになっている。
【0004】また、4は固定軸4aによつて回動自在に
支持された第2の従動ローラであり、このローラは、前
記第1の搬送位置P1から間隔Dを介して支持テーブル
1に設定した第2の搬送位置P2の上方に位置してい
る。なお、前記間隔Dは図20示すような通帳Tの複数
の紙葉体T1より若干小なる間隔に設定されている。5
は回転駆動軸4に固定した第2の搬送駆動ローラ(第2
の搬送ローラ)であり、このローラ5も前記第1の搬送
駆動ローラ(第1の搬送ローラ)3と同様に回転駆動軸
5aと共に上下動可能となっており、ばねによって常に
は第2の従動ローラに圧接するようになっている。ま
た、この第2の搬送駆動ローラ5の回転駆動軸5aは図
外のベルトによって第1の搬送駆動ローラ3の回転駆動
軸3aに連動させてあり、これによって両搬送駆動ロー
ラ3と5が互いに同期して回転するようになっている。
【0005】6は一端部を回動軸6aによって回動自在
に支持された第1のめくり腕であり、その他端部には、
第1のめくりローラ7が不図示のワンウェイクラッチを
介して、図中、反時計方向にのみ回転し得るよう取り付
けられている。そして、この第1のめくりローラ7は第
1のめくり腕6を図外のソレノイドによって昇降させる
ことにより、図19に示す最上昇位置Paから支持テー
ブル1上に載置された通帳Tの最上位の紙葉体T1上に
圧接する最下降位置Pbまで移動するようになってい
る。なお、この最下降位置は、第1の搬送位置P1の近
傍に設定されている。8は一端部を回動軸8aによって
回動自在に支持された第2のめくり腕であり、その他端
部には第2のめくりローラ9がワンウェイクラッチを介
して、図中、時計方向にのみ回転し得るよう取り付けら
れている。
【0006】次に上記構成を有する頁めくり装置の作用
を説明する。第1,第2の搬送駆動ローラ3,5は、そ
の回転動作によって通帳出入口Ioから挿入された通帳
Tを搬送し、通帳Tの前端部Ta(小口)が図16に示
すように、第1の搬送位置P1と最下降位置Pbとの間
の所定の位置に達した時点でその搬送動作を一時停止す
る。ここで、第1のめくり腕6が図外のソレノイドによ
って下降し、めくりローラ7は最下降位置Pbへと下降
して、通帳Tの最上位の紙葉体T1に圧接する。
【0007】この後、モータが再び駆動され、第1,第
2の駆動ローラ3,5が図中反時計方向へと回転する。
このローラの回転によって通帳Tは逆方向(B方向)へ
搬送されるが、このとき、最上位の紙葉体T1には、第
1のめくりローラ7が圧接しているため、その接触摩擦
力によって最上位の紙葉体T1の移動は阻止されて湾曲
した状態となる(図17参照)。そして、最上位の紙葉
体T1以下の紙葉体T2,T3…は順次第1の搬送ロー
ラ3の回転によって逆方向へと搬送されてゆき、その搬
送動作の進行に伴って最上位の紙葉体T1は図18に示
すように鋭角に屈曲する。
【0008】この屈曲動作によって、多くの場合には、
最上位の紙葉体T1とそれ以下の紙葉体T2,T3…と
がさばかれて分離するが、紙葉体の材質等によっては、
各紙葉体相互の接触摩擦力によって最上位の紙葉体T1
とそれ以下の紙葉体とが完全に分離せず、複数枚の紙葉
体が屈曲状態で保持されることもある。このため、この
従来の装置では、図16から図17に移る途中において
ソレノイドを瞬時的に作動・停止させて、ごく僅かな範
囲で第1のめくりローラ7を1回上下に振動させるよう
になっている。すなわち、この第1のめくりローラ7を
振動させることにより、そのローラ7によって大きな接
触摩擦力で保持されている最上位の紙葉体T1を除き、
それ以下の紙葉体を支持テーブル1上に振り落すように
なっている。
【0009】この後、第1のめくり腕6の上昇に伴って
第1のめくりローラ7が最上昇位置Paへ移動すること
により、最上位の紙葉体T1は上方へ跳ね上げられてめ
くり返され、以後、逆方向への搬送動作によってめくり
返された紙葉体T1は完全に開いた状態となり、めくり
動作は完了する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
冊子の頁めくり装置にあっては、第1のめくりローラ7
を微小に振動させ、その振動によって最上位の紙葉体T
1より下方の紙葉体T2,T3…を分離させるようにな
っているが、最上位の紙葉体T1以外を確実に分離させ
るようにするためには、上記振動を冊子の材質等によっ
て適宜調節する必要があった。すなわち、第1のめくり
ローラ7の振動によって、紙葉体に過大な衝撃が加わっ
た場合には、最上位の紙葉体T1までも第1のめくりロ
ーラ7から脱落してしまう可能性があり、また、紙葉体
に加わる衝撃力が小さ過ぎた場合には、最上位の紙葉体
T1とそれより下方の紙葉体とを完全に分離することが
できない可能性がある。このため、第1のめくりローラ
7の振動量を調整する必要があるが、このような調整を
使用される冊子毎に行うことは事実上不可能であり、十
分な汎用性が得られないという問題があった。
【0011】この発明は、上記従来技術の課題に着目し
てなされたもので、いかなる材質の紙葉体を用いた冊子
に対しても最上位の紙葉体のみを確実にめくり返すこと
ができる汎用性に優れた冊子の頁めくり装置の提供を目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、冊子を構成
する各紙葉体の幅以下の間隔を介して第1,第2の搬送
ローラを配設すると共に、所定の昇降駆動手段によって
第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとの間で昇降する
高摩擦部材を設け、前記第2の搬送ローラによって第1
の搬送ローラへ向けて搬送動作を行うと共に、その搬送
動作において高摩擦部材を冊子の最上位の紙葉体の前端
部に下降させることにより最上位の紙葉体の移動を阻止
して湾曲させ、その後前記高摩擦部材を最上昇位置へ上
昇させることにより湾曲した最上位の紙葉体を跳ね上げ
てめくり返すようにした冊子の頁めくり装置において、
前記昇降駆動手段によって最下降位置から上昇する高摩
擦部材を最下降位置より僅かに上方である準下降位置に
て一定期間係止する係止手段を設けると共に、この係止
手段による高摩擦部材の係止期間中前記第2の搬送ロー
ラを回転揺動させるローラ駆動制御手段を設けたもので
ある。
【0013】
【作用】この発明では、搬送動作中の冊子の最上位の紙
葉体に高摩擦部材を接触させてまず第1段階のさばき動
作を行い、さらに、より完全なさばき状態を得るために
第2段階のさばき動作を行う。この第2段階のさばき動
作では、昇降駆動手段によって最上昇位置まで上昇しよ
うとする高摩部材を係止手段によって最下降位置より僅
かに上方の準下降位置で係止すると共に、冊子に接して
いる第2の搬送ローラを回転揺動させる。このように、
高摩擦部材を準下降位置へ係止させることにより、紙葉
体の屈曲角度は緩和されて紙葉体には復元力が誘起され
ると共に、第2の搬送ローラを回転揺動させることによ
り紙葉体には振動力が加わり、これらの複合作用によ
り、最上位の紙葉体とその下方に位置する紙葉体とは、
確実に分離される。
【0014】
【発明の実施例】以下、この発明の一実施例を図1ない
し図15に基づき説明する。なお、前記従来技術と同一
部分には同一符号を付し、その説明の詳細は省く。この
実施例における冊子の頁めくり装置は、上記従来の技術
と同様に、支持テーブル1を始め、その支持テーブル1
上に載置された冊子Tを搬送する第1,第2の搬送駆動
ローラ3,5と、これらに対向して設けられた従動ロー
ラ2,4及び、第1,第2のめくりローラ7,8を有す
る第1,第2のめくり腕6,8などを備え、いずれの部
材も上記従来技術にて示したものと同様である。但し、
この実施例では、図1及び図2に示す機構によって、前
記第1のめくりローラ7を上記従来技術のような最上昇
位置Paと最下降位置Pbの2つの保持位置だけでな
く、最下降位置より若干上方の準下降位置にも係止し得
るようになっている。
【0015】すなわち、図1及び図2に示す機構におい
て、11は第1の搬送めくり腕6を回動自在に支持する
回動軸6aに固定したストッパであり、ストッパ11と
前記第1のめくり腕6との間には、引きばね12が掛け
渡されており、この引きばね12の付勢力によって常に
は前記第1のめくり腕6の下縁部が前記ストッパの屈曲
部11aに圧接するようになっている。このため、回動
軸6aの回動によって第1のめくり腕6も共に回動す
る。
【0016】また、13は前記回動軸6aに固定された
連結腕であり、その一端部には昇降リンク14の一端部
が回動自在に連結されている。15は支点軸16を中心
に回動自在に支持された回動リンクであり、その一端部
には、前記昇降リンク14の他端部が軸着されている。
17は前記第1のめくり腕6を昇降させる昇降駆動手段
としての昇降ソレノイドで、そのプランジャ17aの先
端部には、前記回動リンク15の他端部が回動可能に連
結されている。そして、このプランジャ17aが突出す
ることにより、前記回動リンク15は回動軸16を中心
に図中反時計方向へ回転し、その回転に伴って昇降リン
ク14が昇降し、連結腕13を介して回動軸6aが図中
反時計方向へ回転するようになっており、この回転によ
って第1のめくり腕6は上昇し、第1のめくりローラ7
は最上昇位置に保持される。また逆に、前記プランジャ
17aが没入状態となれば、各部材は上記動作とは逆方
向へ移動し、第1のめくり腕6は下降状態となって、第
1のめくりローラ7は最下降位置に保持される。
【0017】18は前記第1のめくり腕16の上昇を規
制する係止ソレノイドであり、そのプランジャ18a
は、係止リンク19の一端部に回動自在に連結されてい
る。この係止リンク19はその中間部を支点軸20によ
って回動自在に支持されると共に、他端部は前記昇降リ
ンク14に対向しており、前記昇降リンク14に突設さ
れた係止突部14aに対し係脱可能となっている。な
お、上記係止ソレノイド18及び係止リンクによって係
止手段が構成されている。
【0018】また、図3はこの実施例における各部の動
作制御を行う制御装置を示す図であり、図中、21は制
御装置を構成する周知のマイクロコンピュータで、制御
手段としてのCPU21a,ROM21b,21cなど
を備える。また、22は支持テーブルTに埋設した光セ
ンサであり、支持テーブル1の第1の搬送位置P1と前
記第1のめくりローラ7の下降位置Paとの間に配設さ
れており、この配設位置上に冊子Tが存在する時、前記
CPU21aにON信号を送出するようになっている。
なお、前記CPU21aとこの光センサ22とによって
冊子の前端部Taの位置を検出する検出手段を構成して
いる。また、23は種々の操作指令あるいはデータを入
力するための入力設定部、24は前記第1,第2の搬送
駆動ローラ3,5を駆動させる駆動モータ、17’は前
記第2のめくり腕8を昇降させる第2の昇降ソレノイド
である。
【0019】次に、上記構成を有するこの実施例の作用
を、図4ないし図15の作用説明図に基づき説明する。
通帳出入口Ioから通帳Tが挿入されると、通帳の後端
部Tb(背)の近傍が第1の搬送ローラ3と第1の従動
ローラ2との間に挟持され、それに応じてモータ24が
作動し、第1,第2の搬送駆動ローラ3,5が共に正方
向(時計方向)への回転を開始する。これにより、通帳
Tは、まず第1の搬送駆動ローラ3によって正方向(A
方向)へと移動し、その後、第2の搬送駆動ローラ5と
第2の従動ローラ4との間に受け渡されて、以後、第2
の駆動ローラ5によって搬送されて行く。そしてこの搬
送動作は、通帳Tの前端部Ta(小口)が第1のめくり
ローラ7の下降位置Pbから正方向へ所定距離移動した
時点で停止する(図4参照)。ここで、CPU21aに
より第1の昇降ソレノイド17のプランジャ17aが突
出状態から没入状態へと切り替わり、回動リンク15及
び昇降リンク14を介して回動軸6aが図中時計方向に
回転し、第1のめくりローラ7が支持テーブル1上の下
降位置Pbに圧接する(図5参照)。
【0020】次いで、CPU21aによって第2の搬送
駆動ローラ5が反時計方向へ回転し、通帳Tを逆方向へ
搬送する。これにより、通帳Tの前端部Taが下降状態
にある第1のめくりローラ7に当接し、その後さらに第
2の搬送駆動ローラ5が通帳Tを逆方向へ送り出すこと
により、通帳Tは図6に示す用に全体的に湾曲した状態
となる。この通帳全体を湾曲させる動作は、後に行われ
るさばき動作及びめくり動作を行い易くするため、定常
時においても通帳全体が湾曲形状をなすように癖を付け
るための癖付け動作であり、この後、図7に示すように
第2の搬送駆動ローラ5の時計方向への回転により通帳
Tを正方向へと搬送し、通帳Tの前端部Taと第1のめ
くりローラ7との当接状態を解除しても、通帳Tは完全
に平坦な状態とはならず、緩やかな湾曲形状に保たれ
る。また、この正方向への搬送動作が終了した時点で、
CPU21aは昇降ソレノイド17のプランジャ17a
を突出状態とし、第1のめくりローラ7を上昇させる
(図8参照)。
【0021】このようにして緩やかに湾曲した通帳T
は、第2の搬送駆動ローラ5の反時計方向への回転動作
によって再び逆方向へと搬送され、その前端部Taが第
1のめくりローラ7の下降位置Pbを通過し、光センサ
22の上方に達した時点で、CPU21aは第1の昇降
ソレノイド17のプランジャ17aを没入状態とする。
その結果、第1のめくりローラ7は通帳Tの最上位の紙
葉体(通帳の表紙)T1の前端部Taの近傍に下降する
が、このとき、第1のめくりローラ7は引きばね12の
付勢力によって所定の力で通帳Tを押圧する(図9参
照)。
【0022】次に、再び第2の搬送駆動ローラ5がCP
U21aに制御されて反時計方向へと回転し、冊子Tを
逆方向へと搬送して最上位の紙葉体T1を湾曲させる
(図10参照)。この動作は、最上位の紙葉体T1とそ
れより下方の紙葉体とをさばいて分離させることを目的
として行われる動作であるが、この段階では、紙葉体相
互の接触摩擦力によって最上位の紙葉体T1と他の紙葉
体とが完全に分離しない場合が多い。そこで、この実施
例では、上記のような言わば第1段階のさばき動作に続
き、以下のような第2段階のさばき動作を行う。
【0023】すなわち、図11に示すように冊子Tをあ
る程度湾曲させた時点で、まず、CPU21aは係止ソ
レノイド18のプランジャ18aを突出状態から没入状
態へと切り換えて係止リンク19の係止端部19aを昇
降リンク14へ向けて移動させ、次に、昇降ソレノイド
17のプランジャ17aが突出状態となるよう昇降ソレ
ノイド17の作動状態を切り換える。その結果、昇降リ
ンク14と共に第1のめくりローラ7には最上昇位置へ
向う付勢力が加わるが、昇降リンク14は僅かに上昇し
た時点で、その係合突起14aが係止リンク19の係止
端部に当接するため、それ以上の上昇は阻止される。こ
のため、第1のめくりローラ7も冊子押圧時の下降位置
(最下降位置)Pbより僅かに(例えば2〜3mm)上
昇した位置(準下降位置)Pcで保持され、冊子Tに対
する押圧力は解除される。
【0024】この押圧解除状態は一定期間保持され、そ
の間、最上位の紙葉体T1は高摩擦係数を有するめくり
ローラ7との接触摩擦力によって同ローラ7に保持され
るが、他の紙葉体T2,T3…には、逆方向へと滑り込
もうとする復元力が各紙葉体に発生し、多くの紙葉体は
最上位の紙葉体T1から離脱して支持テーブル上に落下
する。
【0025】このように、押圧解除状態を一定期間保持
することにより、殆どの場合、最上位の紙葉体T1とそ
れより下方の紙葉体とは分離されるが、これでもなお、
最上位の紙葉体T1と他の紙葉体とが分離されない場合
もある。このためこの実施例では、第1のめくりローラ
7が準下降位置Pcに保持されている間、CPU21a
がモータを正方向から逆方向へ連続して駆動させ、第2
の搬送ローラ5を時計方向及び反時計方向へ回転揺動さ
せるようになっている。これにより、冊子Tは正方向か
ら逆方向へ進退し、その振動によって最上位の紙葉体T
1以外の紙葉体は完全に支持テーブル上へ振り落とされ
る。なお、この冊子の正逆両方向への搬送動作量は、最
上位の紙葉体T1が第1のめくりローラ7から離脱しな
い距離範囲となるようCPU21aに入力しておく。
【0026】この後、CPU21aは昇降ソレノイド1
7のプランジャ17aを再び没入状態として第1のめく
りローラ7を冊子Tに圧接させると共に、係止ソレノイ
ド18のプランジャ18aを突出状態として昇降リンク
14から離間させる。これにより、第1のめくりローラ
7によって保持されていた最上位の紙葉体T1のみが湾
曲状態を維持し、その他の紙葉体はほぼ平坦な状態とな
り(図12参照)、以上によってさばき動作は完了す
る。
【0027】ここで、第1、第2の搬送駆動ローラ5は
反時計方向へ回転し、冊子Tを逆方向へと送り出して行
くが、第1のめくりローラ7に保持されている最上位の
紙葉体T1はその移動を阻止されるため、搬送動作の進
行に伴ってその湾曲状態は強められてゆく(図13参
照)。そして、図14に示すように、最上位の紙葉体T
1が鋭角に湾曲した時点で、CPU21aは昇降ソレノ
イド17のプランジャ17aを突出状態とし、第1のめ
くりローラ17を最上昇位置へ上昇させる。なお、この
動作において搬送動作は継続して行われる。この第1の
めくりローラ7の上昇により、屈曲状態で保持されてい
た最上位の紙葉体T1は上方へと跳ね上げられてめくり
返される(図15参照)。
【0028】この後、逆方向への搬送動作により、最上
位の紙葉体T1は支持テーブル上に落下して完全に見開
き状態となり、その状態で、第1,第2の搬送駆動ロー
ラ3,5により再び正方向へと搬送されて図外の印字部
に達し、ここで預金高等が記入された後、再び逆方向へ
と送られ、通帳出入口Ioから排出される。
【0029】なお、以上の説明では、通帳Tが閉じられ
た状態で通帳出入口Ioから挿入された場合のめくり動
作を例にとり説明したが、上記実施例に示した装置によ
れば、予め開かれた状態で通帳出入口Ioから挿入され
た通帳、あるいは上記めくり動作によって開かれた状態
の通帳Tに対し、逆送り方向前方に位置する頁のめくり
動作を行うことも可能である。
【0030】また、上記実施例では、第1のめくりロー
ラ7を用いて通帳Tのめくり動作を行うようにしたが、
第2のめくりローラに対しても係止ソレノイド及び係止
リンクからなる係止手段を設け、第2のめくりローラに
ついても準下降位置へ保持させ得るようにすれば、第1
のめくりローラ7によるめくり方向とは逆方向への頁め
くり動作を行うこともできる。
【0031】さらに、上記実施例では、第1,第2の搬
送駆動ローラを、通帳出入口Ioから離間する方向へ順
次配設したが、各搬送駆動ローラの配設順序を逆にする
ことも可能である。この場合、前述のように第2のめく
りローラを準下降位置へ保持させるようにするか、ある
いは上記実施例とは逆に、通帳Tを正方向へ送りながら
めくり動作を行うようにすれば良い。また、通帳Tの挿
入口と取り出し口とを別個に設け、挿入口側に第2の搬
送ローラを、取り出し口側に第1の搬送ローラを設けて
も良い。また、第1,第2の搬送ローラの駆動手段は、
各ローラ毎に独立して設けても良く、上記のように挿入
口と取り出し口とを別個に設けた場合には、第1の搬送
駆動ローラを一方へのみ回転させるようにしてもめくり
動作を実行することができる。但しこの場合には、上記
実施例のような癖付け動作を行うことはできないが、高
摩擦部材の係止時間を延長するなどして十分にさばき動
作を行えば、特に癖付け動作を行わなくとも上記実施例
と同様に良好なめくり性能を得ることができる。
【0032】また、以上の説明では、適用する冊子とし
て金融機関等に用いられる通帳Tを例に取り説明した
が、通帳T以外の冊子を適用し得ることは勿論であり、
この発明は特に上記実施例に限定されるものではない。
【0033】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明は、第2
の搬送ローラによって第1の搬送ローラに向けて冊子を
搬送させると共に、その冊子の最上位の紙葉体に昇降可
能な高摩擦部材を圧接させて湾曲させ、その後高摩擦部
材を最上昇位置へ上昇させることにより湾曲した紙葉体
をめくり返すようにした冊子の頁めくり装置において、
前記高摩擦部材が紙葉体との圧接する最下降位置から最
上昇位置へ上昇するに際し、その高摩擦部材を圧接位置
より僅かに上方の準下降位置で一定期間係止させるよう
にすると共に、その係止期間中前記第2の搬送ローラを
回転揺動させることにより紙葉体をさばくようにしたた
め、各紙葉体がいかなる材質からなるものであったとし
ても、最上位の紙葉体とそれより下方の紙葉体とを完全
に分離することが可能となり、めくり動作を1頁づつ確
実に実行することができる。このため、装置の信頼性及
び汎用性は大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例における昇降手段及び係止
手段を示す側面図である。
【図2】図1に示した昇降リンク及び第1のめくり腕6
の取り付け状態を示す斜視図である。
【図3】この発明の一実施例における制御装置を示すブ
ロック図である。
【図4】同実施例において、第1の搬送ローラにより正
方向へ搬送された通帳をさらに第2の搬送駆動ローラに
よって同方向へ搬送した状態を示す側面図である。
【図5】図4に示した状態から通帳を逆方向への搬送す
ると共に、第1のめくりローラを下降させた状態を示す
側面図である。
【図6】図5に示した状態からさらに通帳を逆送りした
状態を示す側面図である。
【図7】図6に示した状態から通帳を正送りした状態を
示す側面図である。
【図8】図7に示す状態から第1のめくりローラを最上
昇位置まで上昇させ通帳を逆送りした状態を示す側面図
である。
【図9】図8に示す状態から通帳に第1のめくりローラ
を圧接させた状態を示す側面図である。
【図10】図9に示した状態から通帳を逆送りした状態
を示す側面図である。
【図11】図10に示した状態から第1のめくりローラ
を準下降位置へ上昇させた状態を示す側面図である。
【図12】図11に示した状態から第1のめくりローラ
を通帳に圧接するよう下降させた状態を示す側面図であ
る。
【図13】図12に示した状態から通帳を逆方向へ搬送
した状態を示す側面図である。
【図14】図13に示した状態からさらに通帳を逆方向
へ搬送した状態を示す側面図である。
【図15】図14に示した状態から第1のめくりローラ
を上昇させた状態を示す側面図である。
【図16】従来の冊子めくり装置において、冊子を逆方
向へ搬送すると共に、第1のめくりローラを冊子に圧接
させた状態を示す側面図である。
【図17】図16に示す状態から逆送り動作を行った状
態を示す側面図である。
【図18】図17に示す状態からさらに逆方向への搬送
動作を行った状態を示す側面図である。
【図19】図18に示す状態から第1のめくりローラを
最上昇位置へ移動させた状態を示す側面図である。
【図20】頁めくり装置に適用される冊子としての通帳
を示す図である。
【符号の説明】
1 支持テーブル 3 第1の搬送駆動ローラ(第1の搬送ローラ) 5 第2の搬送駆動ローラ(第2の搬送ローラ) 7 第1のめくりローラ 17 第1の昇降ソレノイド(昇降駆動手段) 18 係止ソレノイド 19 係止リンク 21a CPU(制御手段) 22 光センサ 24 モータ(第1,第2のローラ駆動手段) T 通帳(冊子) T1 最上位の紙葉体 P1 第1の搬送位置 P2 第2の搬送位置 Pa 最上昇位置 Pb 最下降位置 Pc 準下降位置

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の幅を有する複数枚の紙葉体からな
    る冊子を支持する支持テーブルと、 前記支持テーブルに載置された冊子に圧接する第1の搬
    送ローラと、 前記第1の搬送ローラを少なくとも一方向へ回転させ、
    これに圧接する冊子を少なくとも正方向へ移動させる第
    1のローラ駆動手段と、 前記第1の搬送ローラの配設位置から正方向へ紙葉体の
    幅以下の間隔を介して配設されると共に、前記支持テー
    ブルに載置された冊子に圧接する第2の搬送ローラと、 前記第2の搬送ローラを両方向へ回転させ、これに圧接
    する冊子を正方向及び逆方向へ移動させる第2のローラ
    駆動手段と、 前記第1の搬送ローラと第2の搬送ローラとの間におい
    て前記支持テーブルに対して昇降可能に保持された高摩
    擦部材と、 前記高摩擦部材を昇降させ、冊子から上方に離間する最
    上昇位置と冊子の最上位の紙葉体に圧接する最下降位置
    とに選択的に位置させる昇降駆動手段と、 前記冊子の端部が高摩擦部材の最下降位置に達したこと
    を検出する検出手段と、を備え、 前記搬送ローラによって第2の搬送位置から第の搬送
    位置へ向けて搬送動作を行うと共に、その搬送動作過程
    において前記検出手段の検出結果に基づき前記高摩擦部
    材を最下降位置に保持させることにより冊子の最上位の
    紙葉体の移動を阻止して湾曲させ、その後前記高摩擦部
    材を最上昇位置へ上昇させることにより最上位の紙葉体
    をめくり返すようにした冊子の頁めくり装置において、 前記昇降駆動手段によって最下降位置から上昇する高摩
    擦部材を、最下降位置より僅かに上方である準下降位置
    にて一定期間係止する係止手段を設けると共に、 前記係止手段による高摩擦部材の係止期間中、前記第2
    の搬送ローラを回転揺動させるローラ駆動制御手段を設
    けたことを特徴とする冊子の頁めくり装置。
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