JP2541987B2 - 電磁石式燃料噴射弁 - Google Patents

電磁石式燃料噴射弁

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JP2541987B2
JP2541987B2 JP62157527A JP15752787A JP2541987B2 JP 2541987 B2 JP2541987 B2 JP 2541987B2 JP 62157527 A JP62157527 A JP 62157527A JP 15752787 A JP15752787 A JP 15752787A JP 2541987 B2 JP2541987 B2 JP 2541987B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電磁石式燃料噴射弁に係り、特に、小形軽
量で安価に製造でき、弁体の動作速度が早く安定してい
て、しかも広範囲な流動制御を行うのに好適な内燃機関
用の電磁石式燃料噴射弁に関するものである。
〔従来の技術〕
一般に、電磁的に作動してエンジンへ燃料を噴射供給
する電磁石式燃料噴射弁は、ハウジング内に設けた電磁
コイルに通電すると、この電磁コイルにより鉄心が磁化
され、この鉄心の磁化により可動コアに接合された弁体
が軸方向に移動して燃料噴射孔を開き、前記ハウジング
内に前記鉄心の中央部を通じて導入された所定圧力に保
たれている燃料を前記噴射孔から噴射するものである。
前記した弁体は、先端に細かい棒のついた、いわゆる
ピントル形と呼ばれるものであり、この棒を最適な形状
に加工して燃料の微粒化を促進せしめたものである。
この種の装置として関連する従来技術には、例えば特
開昭58−85360号公報記載のものが知られており、弁体
としてニードルを使用し、弁座とニードルとの当接面を
球面として小形で弁密性の優れた応答性のよい電磁石式
燃料噴射弁が開示されている。
ここに、上記の如き燃料噴射弁を組み込んだエンジン
制御システムの動作態様を第12図を参照して説明し、燃
料噴射弁に要求される課題を述べるとともに従来技術の
問題点について記述する。
第12図は、一般的な電磁石式燃料噴射弁を搭載したエ
ンジン制御システムの構成図である。
第12図において、エンジン100はガソリンを燃料とす
る周知の火炎点火式エンジンで、その吸気系はエアクリ
ーナー110,スロツトルボデイ120,吸気マニホールド130,
燃料噴射弁140から構成される。一方、排気系は排気マ
ニホールド150,排気ガス中の酸素濃度を測定する酸素セ
ンサ160,排ガス浄化用の三元触媒コンバータ170,図示し
ない消音マフラーから構成されている。
ここに、スロツトルボデイ120は、エアーフローセン
サ180,スロツトルバルブ190,スロツトルセンサ200から
構成されており、エンジン100に供給される空気流量を
正確に計量する。また、三元触媒コンバータ170は、理
論空燃比付近で運転されるエンジン100からの排気ガス
中のNOx,CO,HCを同時に高浄化率で浄化するものであ
る。
エンジン100は、点火プラグ210を臨ませて配設する燃
焼室220と、吸気孔230およびこの吸気孔230を開閉する
インテークバルブ240とを装備してなり、燃焼室220の側
部に水温センサ250,下部には回転センサ260を配して運
転状態を検出している。なお、270はイグナイタ、280は
デイストリビユータ、290は排気温度センサ、300はコー
ルドスタートインジエクタ、310はかかる部品装置を運
転制御する電子制御装置であり、図中の矢印は各々の入
出力系統を示している。
また、燃料噴射弁140は、インテークバルブ240の上流
で吸気マニホールド130の壁部に取り付けられ、インテ
ークバルブ240の弁座240a方向に噴射可能となつてい
る。
このようなガソリン機関では、吸入行程において燃焼
室220内に所定量の吸入空気が前記吸気系から吸入され
る。
燃料噴射弁140から、吸入空気量に対応した燃料が弁
座240a方向へ、微粒化性能おび噴射圧に対する応答性が
良好に噴射供給される。噴射された燃料は吸入空気と効
率よく均一に拡散混合される。燃焼室220では前記混合
気を吸入し圧縮工程にて圧縮したのち点火プラグ210に
より着火燃焼させ、燃焼を的確に行わせる。
エンジン100から排出される燃焼ガスは、前記排気系
から大気中に放出される。
いま、エンジン100の運転状態を水温センサ250および
回転センサ260等により検知すると、この運転状態に見
合う空気量が必要となるが、この空気量はスロツトルバ
ルブ190の開度によつて決定され、その空気量はエアフ
ローセンサ180によつて正確に計量される。この場合、
エアフローセンサ180あるいはスロツトルセンサ200の信
号に応じて、電子制御装置310は、燃料噴射弁140を駆動
する信号を発生し、この信号に応じて噴射量が決定され
る。
燃料と空気の混合気は、エンジン100の吸気孔230から
燃焼室220へ導かれ圧縮工程にて圧縮されたのち点火プ
ラグ210にて着火燃焼される。その燃焼状態は、排気マ
ニホールド150の集合部に設けた酸素センサ160で監視さ
れ、常に所定の混合比(空燃比)となるように当該酸素
センサ160の出力信号に応じて、電子制御装置310は燃料
噴射弁140の噴射量を補正する。これによつて、排気ガ
ス中のNOx,CO,HC三成分を同時処理する三元触媒コンバ
ータ170の浄化率が最高に保たれることになる。
ガソリン機関を様々の周囲環境条件下で、アイドル運
転から高速,高負荷運転までの幅広い運転条件に対応し
安定した燃焼状態を維持させたうえで、三元触媒コンバ
ータの浄化率を極めて高く保つためには、所定の燃焼を
時間を追つて精度良く行わなければならない。これを満
足するには、制御精度の面と加工精度の面との両面から
製作実施される必要がある。
すなわち、制御上からは、空燃比を検出するセンサ類
の精度を高めるとともに、燃料噴射弁140の噴射量の精
度を良くしなければならない。
一方、製造上からは、特に燃料噴射弁140について、
高精度な加工部品を使用し、しかも組立後の製造上の加
工バラツキを吸収修正するために、弁の開口高さや開口
時間間隔を微調整し噴射流量を目標精度範囲内に押えな
ければならない。
燃料噴射弁の噴射流量は、上記のように微調整が行わ
れて完成されるものであるが、燃料噴射弁を実車に搭載
した場合、幅広い周囲環境条件、例えば低温雰囲気下
(−30℃)から高温雰囲気下(140℃)にさらされるも
のであり、このような温度条件下でも性能を維持しなけ
ればならない。実験によれば、燃料温度60℃の高温雰囲
気中で燃料を噴射した場合、シート部下流の空間容積が
大きいと噴射流量が増加して要求される精度が満足でき
なくなる。この場合、エンジンの運転状態が不安定にな
つたり、無駄に燃料を消費してしまうことになる。また
一方、−30℃の低温雰囲気中で燃料を噴射すると、ピン
トル弁の場合、棒状噴霧となりほとんど微粒化が行われ
ない。この状態では、エンジンは始動着火されず、安定
した始動性を得るために、別の始動用噴射弁を設けなけ
ればならない。
そこで、電子制御燃料噴射装置用の燃料噴射弁に要求
される課題をまとめると次のようになる。
(1)微粒化特性の向上 燃料の微粒化を効率良く行うことによつて、エンジン
の運転を安定して、しかも高い燃焼効率で維持できれ
ば、従来に比べて少ない燃料で同程度もしくはそれ以上
の性能を得ることができる。
また、低温雰囲気中(−30℃)における燃料の微粒化
が良くなければ、始動用燃料噴射弁を用いる必要がなく
なる。
(2)噴射流量特性の向上 高温雰囲気中(140℃)の流量変動を抑制し、しかも
弁体の高速作動によつて幅広い流量制御が可能になれ
ば、エンジンの運転を安定して行い得ることは勿論であ
り、アイドル運転時の回転数をさらに下げることが可能
になり、社会的ニーズである燃料消費の低減を図ること
ができる。
(3)動作の信頼性向上 燃料噴射制御動作の信頼性を向上するには、弁体の計
量化を図って高速応答性を向上する必要がある。そのた
めには、弁体のスムースな往復動作による流量制御と弁
座のシート性の向上を図らねばならない。そして、弁体
を弁座方向に押圧する弾性部材の偏荷重を防止する必要
がある。
(4)低価格化 高精度な機械加工部品の点数を少なくすること、ある
いは加工箇所を少なくすること、加工精度を緩和するこ
となどにより製造工数の低減を図れば安価な燃料噴射弁
となる。
また、弁体およびノズル部の構成を単純化し計量化す
ることにより低価格化が実現できる。
さらに、始動用燃料噴射弁を用いる必要がなくなれ
ば、システム的に価格の低減を図ることができる。
さて、従来技術の例として提示した特開昭58−85360
号公報記載のものは、弁体と当接する弁座を球面に形成
したもので、ニードル弁体が倒れても弁先端の肩部はす
き間なく弁座の球面と当接し良好な油密が得られ、従来
よりニードルの摺動部長さを短かくすることができ、そ
の結果、ニードル弁を小さく軽くすることができ応答性
を向上できるものである。また、摺動部の加工精度を緩
和できるため、加工工数も低減できるものである。
また、例えば、特開昭57−176354号公報記載のもの
は、入口通路からの燃料が流入する室が内部に形成さ
れ、噴孔への通路がこの室に開口して設けられ、この開
口部に弁座が設置されている。弁体は、外周が球面のボ
ール状の弁として構成され、前記室内にあつて前記弁座
を開閉するよう構成される。これにより弁体は傾斜する
ことが可能で、その場合にも弁座を確実に開閉し得るよ
うになつている。弁体と結合される可動鉄心は、電磁コ
イルへの通電による確実な吸引のため円板状に形成さ
れ、固定鉄心の端面のほぼ全域と対面するようになつて
いる。また、入口通路からの燃料を上記室に導く通路は
弁体に形成され、固定鉄心と可動鉄心とで形成される磁
気回路を遮断することのないように構成されている。以
上のように開示されており、かかる構成において、弁体
は弁座に対して若干の傾斜は可動で、それによつても球
面状の外周面により弁座を良好に開閉することができ
る。
したがつて、弁体の外周面をある程度の精度に加工す
るだけで、燃料の噴射,停止の良好な作動を得ることが
でき、安価な構成になるというものであつた。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術のうち、前者に係る特開昭58−85360号
公報記載のものでは、前述のような効果はあるものの、
弁座の内面の球面加工がきわめて困難であることから加
工工数は大幅には減少されない。また、その長さは従来
より短いが、弁体の肩部より大径なる摺動部があること
と、弁の開口高さを規制するためのフランジ部を有する
こととから各々の加工が必要となることについて十分に
配慮されていなかつた。加えて弁体重量が軽減されず、
さらにコストダウンを図ること、および応答性を向上さ
せるうえで課題を残していた。
さらに、燃料噴射の微粒化形態は、従来のままであ
り、低温雰囲気中において燃料の微粒化が促進されず、
別に始動用燃料噴射弁が必要となることについて配慮さ
れていなかつた。
また、後者の従来技術に係る特開昭57−176354号公報
記載のものでは、弁座から下流において、ピルトル弁並
みのピン形状を中央部に配し、かつ外周に燃料旋回孔な
るものを有する部材と、噴孔を有する部材と、両者間に
挿入されたスペーサ部材が配設されているため、弁座
(シート部)下流の空間容積が大きい。したがつて、前
述したように、これを高速雰囲気下で作動させると、噴
射流量が増加し要求される精度が満足されず、安定した
噴射量制御が行えないという問題について配慮されてい
なかつた。
また、台座の下流に比較的長い噴射用通路を形成する
ことから、噴射の際の偏心(燃料の傾き)を防がねばな
らず、上記した各部材は同心性,平行性などを厳しく規
制したうえで組立てる必要がある。したがつて、価格を
安くするという点で不利な構成になつていることについ
て配慮されていなかつた。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためにな
されたもので、本発明の目的は、弁体の構成を簡単にし
て弁体の軽量化を図り、高精度な機械加工を削減するこ
と、また加工精度を緩和することなどにより製造工数の
低減を図るとともに、弁体の動作がスムースで、かつ安
定し、広範囲な流量制御を可能とする信頼性の高い電磁
石式燃料噴射弁を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明に係る電磁石式燃
料噴射弁の構成は、ハウジング上部に燃料供給手段を備
え、ハウジング下部に、導入された燃料に旋回力を付与
する燃料導入孔と、弁座および燃料噴射孔とを有するノ
ズル部を備え、ハウジング内部に、燃料通路を有する鉄
心と、電磁コイルと、弾性部材とを備え、前記電磁コイ
ルにより発生する磁力と、その磁力と相反する方向に作
用する前記弾性部材の付勢力とにより、前記弁座および
燃料噴射孔を開閉する弁体を備えてなる電磁石式燃料噴
射弁において、前記電磁コイル側の前記鉄心内の下部
で、前記弁体と前記弾性部材との間に、筒状のスリーブ
と該スリーブ内を軸方向に摺動しうるロッドとを設け、
前記弁体を、前記筒状のスリーブ内のロッドを介して、
前記弁座に押圧するようにしたものである。
〔作用〕
上記技術手段による働きを次に説明する。
弁体は従来弁の如き案内部、リフト量を規制するため
のフランジ部を持たない簡単な構成のものであり、弁体
の重量は大幅に軽減される。かかる弁体の摺動は、ノズ
ル部で支障をきたさない程度の同軸で、適正な隙間を有
する弁軸棒であること、ロツドを介して弾性部材の付勢
力により弁座に押圧されることによつて高速でしかも安
定した作動が得られる。
特に本発明では、電磁コイル側の鉄心内下部に設けた
筒状のスリーブ内を軸方向に摺動自在に設けたロッドを
介して、弁体をノズル部の弁座に押圧するようになって
おり、前記ロッドはスリーブに案内されているので、弁
体自身に案内部を必要とせず、弁体に偏荷重が加わるこ
とがない。すなわち、弾性部材の偏荷重を吸収できるの
で、弁体の動作は安定する。
以上のように、弁体の高速作動と高温雰囲気中におけ
る安定した流量制御とによつて、幅広い流量制御が可能
となるとともに、さらに精度の良い流量制御が実施され
る。
また、噴射孔から噴射される燃料は、流れ損失の低減
によつてより噴射圧を高められるとともに十分な旋回力
をもつため、低温雰囲気中においても優れた微粒化特性
で噴射供給される。
したがつて、エンジンの運転を安定してしかも高い燃
焼効率で維持できるとともに、さらに運転領域(アイド
ル回転数の低減)を広めることができる。これによつて
燃料消費の低減を図るという実用上の効果が得られる。
以上のように、弁体は従来弁の如き案内部、フランジ
部を持たない簡単な構成であるため、高精度な機械加工
を施す箇所が大幅に少なくなること、また加工精度を緩
和できることなどにより製造工数を大幅に低減できる。
したがつて、安価な燃料噴射弁を提供できる。また、低
温時の燃料の微粒化特性の改善によつて、従来のような
始動用燃料噴射弁を用いる必要がなく、システム的にも
安価にできるというものである。
〔実施例〕
以下、本発明の各実施例を第1図ないし第11図を参照
して説明する。
まず、第1図は、本発明の一実施例に係る電磁石式燃
料噴射弁の縦断面図、第2図は、第1図のA−A矢視断
面図、第3図は、第1図のB−B矢視断面図である。
第1図において、1は、この電磁石式燃料噴射弁の主
要作動部品を収容するほぼ筒状のハウジングで、このハ
ウジング1の下部に次に説明するノズルボデイ60を、か
しめ部1cを介して保持している。
60は、ノズル部を構成するノズルボデイで、このノズ
ルボデイ60には弁座61が形成され、その下部軸心に燃料
噴射孔62が穿設されている。また、63は、前記弁座61に
対向する円錐状傾斜面63aをこの弁座61に当接し挿入固
定されたノズル部を構成する弁座体で、この弁座体63の
円錐状傾斜面63aには燃料導入溝64が複数箇形設されて
おり、その軸心部には弁体4の摺動孔65が形成されてい
る。また、フランジ部63bには、燃料導入溝64の入口部
に対向して、その入口面積より十分大きい切欠部66が形
成されている。
第2図に示すように、前記切欠部66と前記燃料導入溝
64とは図のような関係位置となつており、前記燃料導入
溝64は半径方向に任意の角度傾けてあり燃料に旋回力を
付与している。
弁座体63は、そのフランジ部63bとハウジング1の支
承面1bとの間に挿入されるスペーサ部材9を介し、この
弁座体63の下方に配したノズルボデイ60とともに、ハウ
ジング1の下端部を、かしめ部1cを介して保持されてい
る。
3は、弁体4の主要部をなす弁部材に係る軸棒で、こ
の軸棒3の先端部には、曲面部に係る球面状の外周面3a
が形成されている。前記弁座体63は、軸棒3を軸方向に
遊動自在に収容しており、弁体4の先端部すなわち前記
外周面3aが弁座61に着座している場合に燃料噴射孔62を
閉じているが、前記外周面3aが弁座61から離れると燃料
噴射孔62を開く。また、前記弁座体63は、軸棒3と適正
な隙間を保ちしかも同軸性があり、軸方向のスムースな
摺動を行う。
9は、前記ハウジング1の支承面1bと、前記弁座体63
の支承面との間に挿入されるスペーサ部材で、このスペ
ーサ部材9は、前記ノズルボデイ60の弁座61に当接する
前記軸棒3の外周面3aの反対側の対応面3bの軸方向位置
を調整するものである。
ハウジング1内には、その中心部に位置して管状の鉄
心10が設けられており、この鉄心10は、ハウジング1の
上部1cをかしめることによつてハウジング1に固着され
ている。
鉄心10内の下端部には、円筒状のスリーブ11がかしめ
部10aを介して固着されている。このスリーブ11の内周
面には、軸方向に移動自在なるロツド12が挿入されてい
る。このロツド12の上端面には、弾性部材に係るばね13
の下端が当接している。ばね13の上端には、アジヤスト
パイプ14の下端に当接しており、ばね13のセツト荷重は
前記アジヤストパイプ14を鉄心10に対して嵌入固定され
る位置を調整することによつて設定される。したがつ
て、ばね13の付勢力はロツド12を介して、このロツド12
の下端面に当接する軸棒3の対応面3bに連絡され、軸棒
3の球面状の外周面3aを弁座61に着座させることにな
る。
一方、鉄心10の上端部は、燃料供給管(図示せず)に
接続されるコネクタ管15を形成しており、このコネクタ
管15には所定圧力に調整された燃料が供給されるもので
あり、これらで、ハウジング1の上部に具備された燃料
供給手段を構成している。
燃料は、フイルタ16を通り、鉄心10の中心部に設けら
れた燃料通路17を流れるようになつている。鉄心10の中
心部空間には前記アジヤストパイプ14が収容されてお
り、上記燃料通路17は、実質的にこのアジヤストパイプ
14の内部空間に相当している。
18は、鉄心10に設けた別なる燃料通路孔であり、この
燃料通路孔18は、鉄心10内の下端部にあるロツド12の上
面よりアジヤストパイプ14側に複数箇設けられており、
燃料はアジヤストパイプ14の内部空間を経てこの燃料通
路孔18から下流へと導かれる。
19は、可動コアであり、この可動コア19は、ハウジン
グ1内を、軸方向に移動自在となるように収容されてい
る。この可動コア19には、嵌合孔20が形成されるととも
に、その天井面に燃料通路孔21が開孔されている。
可動コア19の嵌合孔20には、前記軸棒3の突起部22が
嵌め込まれ結合される。これによつて、軸棒3と可動コ
ア19とは一体的に結合されて軸方向に一体に動くように
なつている。
軸棒3の突起部22は、第3図に示すように対向する面
取り部23,23′が形成されており、したがつて、可動コ
ア19の内周面とこれら面取り部23,23′との間に燃料通
過を許す隙間24,24′が確保されている。
ハウジング1の内周と鉄心10の外周との間に形成され
ている環状空間内には、ボビン25に巻回された電磁コイ
ル26が収容されている。前記ボビン25はOリング27およ
び28を介してハウジング1および鉄心10に液密を保つて
嵌着されている。
電磁コイル26は、ハウジング1と一体に形成された合
成樹脂製のコネクタ29内に取付けられた端子30に接続さ
れている。
この端子30は、コンピユータなどの電子制御装置(図
示せず)に接続され、この電子制御装置からのパルス信
号を受信するようになつている。
以上のような構成であつて、弁体4は、電磁コイル26
側に位置する可動コア19と、弁座61に対向し、先端に球
面状の外周面3aを、この外周面3aの球面直径に等しい直
径で前記電磁コイル26側に延長し、前記可動コア19の燃
料通路孔21から突出してなる対応面3bを具備する弁部材
に係る軸棒3とを一体構成した小形で軽量かつ簡単な構
造のものである。
この弁体4の軸方向における移動量(リフト量)は、
軸棒3の球面状の外周面3aに反対側の対応面3b上方に移
動した際に、鉄心10に設けたスリーブ11の下端面に設け
た衝突面11aに当つて規制されるようになつている。
このような構成の電磁石式燃料噴射弁の作用を次に説
明する。
所定圧力に加圧された燃料は、コネクタ管15を通じて
電磁石式燃料噴射弁内に供給される。この燃料は、フイ
ルタ16を介してアジヤストパイプ14内の燃料通路17を通
りばね13の周囲に至る。しかる後、鉄心10に設けた燃料
通路孔18から鉄心10の外周面とボビン25の内周面との間
に形成された空間を経て可動コア19に至り、可動コア19
の燃料通路孔21から可動コア19と軸棒3の突起部22の面
取り部23,23′との間の隙間24,24′を経て弁座体63の燃
料導入溝64から弁座61に至る。
そして、図示しない電子制御装置からパルス信号が電
磁コイル26に供給されていない場合、鉄心10が磁化され
ないので可動コア19と一体的に結合される軸棒3がロツ
ド12を介してばね13の付勢力すなわち押圧力を受けて押
し下げられており、弁体4は弁座61に密着して燃料噴射
孔62を閉じている。よつて燃料は噴射供給されない。電
子制御装置から電磁コイル26へパルス信号が印加される
と鉄心10が磁化され、これによつて、可動コア19がばね
13の弾撥力に抗して鉄心10に吸引される。このため、可
動コア19と一体化されている弁体4が上方にリフトさ
れ、弁座61から離れるので燃料噴射孔62を開き、止めら
れていた燃料を噴射させる。電磁コイル26へパルス信号
を印加するのを終了すると、鉄心10の磁化が消滅し、可
動コア19がばね13の押圧力を受けて下方へ移動され、し
たがつて弁体4が弁座61に着座するので燃料噴射孔62を
閉じ、燃料の噴射を終える。
本実施例における、燃料の微粒化特性、噴射量特性、
制御動作、および価格の点について、順次以下に説明す
る。
まず、燃料の微粒化は、弁座61の傾斜面に沿つて穿設
される複数箇の燃料導入溝64により十分な運動エネルギ
ーが付与されることによつて促進される。この燃料導入
溝64は、上記の如く弁座61の壁面に沿つて先端部の燃料
噴射孔62に連通されており、また、この燃料導入溝64の
出口部から弁シート部上流間の空洞体積がごく僅かにな
るように形成されていることから、燃料噴射孔62に至る
までの燃料の流れ損失が大幅に軽減され、十分な噴射圧
および旋回エネルギーを燃料の噴射初期(開弁直後)か
ら与えることができる。
したがつて、低温雰囲気下での燃料の微粒化は棒状噴
霧の形態でなく、膜状分裂の形態となる。また、噴射初
期から燃料に十分な旋回が与えられるため、その微粒化
が極めて良好な噴霧パターンとなる。これによつて、エ
ンジンの運転始動を確実,安定に行うことができるとと
もに、理想的な混合気を得て効率の良い燃焼が行われ、
燃料経済性の向上を図ることができる。
次に、噴射流量の制御は、弁体4を軸棒3と可動コア
19との一体化構成による小形で軽量なる構造としたこと
により、弁体4の高速作動が得られ、極めて細かく、か
つ精度の高い流量制御と幅広い流量制御が行われるもの
である。
また、前記弁体4の先端部の球面状の外周面3aと弁座
61との間に形成される空間と燃料噴射孔62とを含む空洞
体積を、燃料の通過を許し噴射させるに最適な隙間とし
たので、燃料温度が上昇した場合に問題となる流量変化
に対して、その増加量と減少量との割合いをほぼ等しく
することができ的確な流量制御を行うことができる。
ここに、本実施例に係る弁体4の挙動と燃料噴射弁の
噴射量特性について第4図および第5図を参照して説明
する。
第4図は、弁体4の応答波形図であつて、図における
上部の波形は電子制御装置より燃料噴射弁に供給される
駆動信号(パルス信号)を示し、この信号に基づいて弁
体4は図における下部の波形の如く挙動する。第4図
は、横軸に時間を、縦軸にリフトを示しており、弁体4
はパルス信号の印加によつて弁座61から離れ上方にリフ
トし鉄心10の下端部に配設したスリーブ11の衝突面11a
に衝突後僅かなバウンドののち安定する。一方、パルス
信号を解除すると残留磁気の消滅したのち、ばね10の押
圧力によつて即座に下方に押し下げられ弁座61に衝突し
バウンド後安定する。本実施例では、弁体4の小形軽量
化によつて立上り、バウンドともに速動,減衰してい
る。
第5図は、燃料噴射弁の噴射量特性図であつて、図に
おける横軸はパルス幅を、縦軸は噴射量を示している。
本実施例における調量範囲は、弁体4の高速作動によつ
て拡大され、従来品の約2倍の流量制御が可能となるも
のである。
このように、球面状の外周面3aと弁座61との間の空洞
体積の最適化、およびこの空洞に旋回流入する燃料のエ
ネルギー損失を押えた燃料導入溝64の穿設との相互作用
により、低温から高温にわたる幅広い温度雰囲気下にお
いて、良好な燃料噴射を行うことができる。
また、鉄心10下部に設けた筒状のスリーブ11内を軸方
向に摺動するロッド12を介して、弁体4の軸棒3を弁座
61に押圧するようになっており、前記ロッド12はスリー
ブ11に案内されているので、弁体4にばね13の偏荷重が
加わるようなことがなく、弁体4の動作が安定し、した
がって、弁体4の軽量化と相俟って動作速度が早く、か
つ安定した、幅広い流量制御が可能となる。
さらに価格の点では、弁体4を、球面部を有する軸棒
3と可動コア19とを一体化した小形で簡単な構成とした
ことによつて、従来弁の如き案内部、フランジ部の加工
や先端部の複雑なピン加工を施さなくて良く、製造コス
トが大幅に低減される。また、弁体4の球面部の自己調
芯作用によつて良好な液密が得られるので、加工精度を
緩和できるとともに、従来のピントル弁のように摺動部
長さを長くする必要がなく、弁体4を小さく、かつ軽く
することができ、その分加工工数を低減することができ
る。
このように、弁体4を簡単な構成としたことで高精度
な機械加工を施す箇所が少なくなること、また加工精度
の緩和によつて加工工数が大幅に低減されることによつ
て、安価な燃料噴射弁を製造できる。
なお、前述のように、低温時の噴射における微粒化特
性の改善によつて始動用燃料噴射弁を設ける必要がな
く、システム構成においてもコスト低減を図ることがで
きる。
本実施例においては、特に次のように製造上の利点が
ある。
すなわち、ノズルボデイ60の弁座61は、第1図の実施
例の如き摺動孔7を含まない円錐面部のみの加工仕上げ
であること、また、弁座体63の摺動孔65は貫通孔である
こと、しかも燃料導入部は孔でなく溝であること等から
加工が容易である。
このように、各部材の加工が容易になることによつて
その工数が低減され、加工における不良率の低減もあわ
せて、安価な燃料噴射弁の製造が可能になるものであ
る。
次に、本発明の他の各実施例を第6図ないし第11図を
参照して説明する。
以下の説明における各図において、第1図と同一符号
のものは、第1図の実施例と同一もしくは同等部を示す
ものとし、図示しない部分は、第1図と同一であるもの
とし、その説明は必要のない限り省略する。
第6図は、本発明の他の実施例に係る電磁石式燃料噴
射弁の要部拡大断面図、第7図は、本発明のさらに他の
実施例に係る電磁石式燃料噴射弁の要部拡大断面図で、
いずれも、第1図の実施例とは弁体の上部構造、これに
対向するロツド、これを案内するスリーブの構成が異な
るものである。
第6図において、40は弁体であり、この弁体40は、軸
棒41の上端部に平滑面41aを有し、また、軸棒41の突起
部42に可動コア19を一体的に固着してなるものである。
43は、鉄心10の下端部を、かしめ部10aによつて固着さ
れるスリーブで、このスリーブ43内には、ロツド44が軸
方向に摺動自在に配設されている。そして、このロツド
44の下端部は、球面状の外周面44aを形成し、この外周
面44aは、軸棒41の平滑面41aにばね13の押圧力によつて
当接され、軸棒41の偏心や傾きが生じても的確に結合で
きて、軸方向における摺動を確実にしかも安定して行い
得るという効果がある。
第7図において、50は弁体であり、この弁体50は、軸
棒51の上端部を球面状の外周面51aとなし、軸棒51の突
起部52に可動コア19を一体的に固着してなるものであ
る。外周面51aは次に説明するスリーブ53内に適宜挿入
されている。
53は、鉄心10の下端部をかしめ部10aによつて固着さ
れるスリーブであつて、このスリーブ53内には、ロツド
54を軸方向に摺動自在に配設している。このロツド54の
下端部は、ばね13の押圧力によつて軸棒51の外周面51a
に当接される。前記スリーブ53の内面下方部には鋭角な
テーパ面53aが形成されており、このテーパ面53a内に、
前記軸棒51の外周面51aが配設されている。したがつ
て、軸棒51に偏心や傾きが生じた場合に、外周面51aが
この鋭角なテーパ面53a内で自己調芯して安定した作動
を行うことができるものである。また、外周面31aがテ
ーパ面53aに衝突した際に受ける反力が半径方向の力成
分によつて緩和され、衝突時に起こるバウンドをも抑制
できるという効果がある。
次に、第8図は、本発明のさらに他の実施例に係る電
磁石式燃料噴射弁の要部断面図、第9図は、第8図に示
す弁座体を下方より見た平面図である。
第8,9図の実施例が第1図の実施例と異なるところ
は、燃料導入溝の上流側に燃料溜り部を設けたことであ
る。
第8図において、70はノズル部を構成するノズルボデ
イで、このノズルボデイ70の下部内面に弁座71が形成さ
れ、その下部軸心に燃料噴射孔72が穿設されている。
73は、前記弁座71に対向する円錐状傾斜面73aをこの
弁座71に当接し、前記ノズルボデイ70内に挿入固定され
た弁座体で、この弁座体73の円錐状傾斜面73aには燃料
導入溝74が複数箇形設されている。また、その軸心部に
は弁体4の摺動孔75が、弁体4と適宜な間隙を保って形
成されている。
76は、弁座体73の上端部に設けたフランジ部で、この
フランジ部76には、切欠部77が形成されている。78は、
フランジ部76の下部に設けた燃料溜り部で、弁座体73の
上方から流入する燃料は、フランジ部76の切欠部77から
この燃料溜り部78に至り、さらに下流の燃料導入溝74へ
と流れる。
前記燃料導入溝74は、第9図に示すように半径方向に
任意の角度傾けて形成されている。この燃料導入溝74に
よつて燃料は十分な旋回力を付与され、さらに下流の噴
射孔72へ至り噴射供給される。
前記弁座体73は、そのフランジ部76の上端面76aとハ
ウジング1の支承面1bとの間に挿入されるスペーサ部材
9を介し、この弁座体73に結合したノズルボデイ70とと
もにハウジング1の下端部を、かしめ部1cによつて固着
される。
第8図の実施例によれば、第1図の実施例と同様の作
用効果が得られ、また、各部材の加工上における利点が
大きい。
また、燃料溜り部78の作用によつて、前記フランジ部
76に設けた切欠部77が燃料導入孔74に規制されることは
ない。
このように、第8図の実施例では、各部材の加工工数
を低減し安価な部品を製造できる効果がある。
上記した各実施例は、弁体を構成する軸棒の上端面あ
るいは下端面が球面状をなす一体成形品によるものを説
明したが、剛球を溶着した場合においても弁体の構成が
可能である。
次に、弁体の製造工数の低減を図つた例を第10図ない
し第11図を参照し説明する。
ここに第10図は、本発明のさらに他の実施例に係る電
磁石式燃料噴射弁の要部断面図である。
第10図の実施例は、次に説明する軸棒81の上下端面の
いずれにも剛球82,83を溶接接合したものである。
第10図において、80は弁体であり、この弁体80の主要
部分をなす軸棒81の下端部には、弁座5に当接する剛球
82が、また、上端部にはロツド12に当接する剛球83が各
々溶接接合されている。また、この軸棒81の突起部84に
は、可動コア19が嵌め込まれ結合されている。
前記軸棒81の下端部に溶着した剛球82は、ノズル部を
構成するノズルボデイ2内の摺動孔7内に収容されてお
り、この剛球82は、ノズルボデイ2の弁座5に着座して
いる場合に燃料噴射孔6を閉じているが、前記剛球82が
弁座5から離れると燃料噴射孔6を開く。
本実施例の弁体80は、電子制御装置からのパルス信号
の印加,解除によつて前記摺動孔7内の軸方向を移動す
るが、軸線81の剛球82,83の自己調芯作用により弁体80
の傾きや偏心を修正し確実に作動する。
本実施例によれば、先の第1図の実施例と同様の効果
が気体されるほか、弁体80の製造を短時間に行いうると
いうコスト面での利点がある。すなわち、球面部の高精
度な機械加工を必要とせず、剛球82,83の溶接作業によ
つて大幅な工数低減を図ることができるものである。
したがつて、第10図の実施例によれば、より安価な電
磁石式燃料噴射弁を製造できるという効果がある。
次に、第11図は、本発明のさらに他の実施例に係る電
磁石式燃料噴射弁の縦断面図である。
第11図において、90は弁体であり、この弁体90の主要
部分をなす軸棒91の下端部には、弁座5に当接する剛球
92が溶接接合されている。
また、この軸棒91の上端部には円錐溝93が形成されて
おり、後に説明するロツド96の球面部96aが当接され
る。94は、前記軸棒91の突起部であり、この突起部94に
は、可動コア19が嵌め込まれて結合されている。
95はスリーブであり、鉄心10の下端部に配設され、こ
の鉄心10の下端部を、かしめ部10aによりかしめ固着さ
れる。このスリーブ95の下端部には球面状の外周部95a
が形成され、この外周部95aは弁体90が上方に移動した
際、弁体90の円錐溝93の偏心や傾きを修正する。したが
つて、弁体90は軸方向に確実に作動する。
96は、前記したロツドであり、このロツド96は前記ス
リーブ95内を軸方向に移動自在に収容されている。96a
はこのロツド96の下端部に設けた球面部であつて、前記
弁体90の円錐溝93に当接している。したがつて、ロツド
96はばね13の付勢力により弁体90を下方に押し下げ、弁
体90の剛球92を弁座5に着座させるものである。
第11図の実施例におけるその作用を説明すると、図示
しない電子制御装置からパルス信号が電磁コイル26に供
給されていない場合、鉄心10が磁化されず、可動コア19
と一体的に結合される軸棒91が、この軸棒91の偏心や傾
きを修正する球面部96aを有するロツド96を前記軸棒91
の円錐溝93に当接し、前記ロツド96に付勢されるばね13
の押圧力を受けて押し下げられ、弁体90は弁座5に密着
して燃料噴射孔6を閉じている。したがつて、燃料は噴
射供給されない。
一方、電子制御装置から電磁コイル26へパルス信号が
印加されると鉄心10が磁化され、よつて可動コア19がば
ね13の弾撥力に抗して鉄心10に吸引される。このため、
可動コア19と一体的に結合される弁体90が上方にリフト
され、剛球92が弁座5から離れて燃料噴射弁6を開き、
止められていた燃料を噴射させる。
ここに、弁体90は上方へリフトする際、ノズルボデイ
2の摺動孔7内を弁体90の剛球92によつて的確に移動
し、鉄心10の下端部に配設したスリーブ95の球面状の外
周面95aに衝突後、僅かなバウンドののち安定する。弁
体90は、この球面状の外周面95aに衝突する際、軸棒91
の円錐溝93によりその偏心や傾きが修正され安定した作
動を行う。また、スリーブ95内を軸方向に摺動するロッ
ド96を介して、弁体90の軸棒91を弁座5に押圧するよう
になっており、前記ロッド96はスリーブ95に案内されて
いるので、弁体90にはばね13の偏荷重が加わるようなこ
とがなく、弁体90の動作が安定し、したがって、安定し
た、かつ幅広い流量制御が可能となる。
弁体90のリフト量は、第1図の実施例と同様にハウジ
ング1の支承面1bと、前記ノズルボデイ2の支承面2aと
の間に挿入されるスペーサ部材9によつて規制される。
すなわち、このスペーサ部材9の着脱交換によつて弁体
90の円錐溝93と鉄心10の下端部に配設したスリーブ95の
球面状の外周面95aとの隙間を調整するものである。
電磁コイル26へのパルス信号を印加するのを終了する
と、鉄心10の磁化が消滅し、可動コア19がばね13の押圧
力を受けて下方へ移動され、弁体90の剛球92が弁座5に
衝突しバウンド後着座するので燃料噴射孔6を閉じ、燃
料の噴射を終了する。
このように、第11図の実施例によれば、第1図の実施
例と同様の作用効果が得られ、また第10図の実施例と同
様に弁体90の製造上の利点が大きい。
また、第11図における実施例が、第10図の実施例と異
なる円錐溝93、スリーブ95の球面状の外周部95aの作用
によつても弁体90の的確な作動が得られるものである。
したがつて、第11図の実施例においても、安価な電磁
石式燃料噴射弁を製造できるという効果がある。
なお、上記の各実施例において可動コア19は、機械的
なかしめによつて軸棒と一体結合させたものであつた
が、溶接接合しても差し支えない。
以上の各実施例で説明したところを総合すれば、燃料
の噴射圧を維持しつつ十分を旋回力を付与することによ
つて優れた微粒化特性が得られること、および弁体の小
形軽量化による幅広い流量制御と高速作動によるきめ細
かい噴射量制御によつて、エンジンの低速運転化(アイ
ドリング回転数の低下)が実現し、また、濃混合気と薄
混合気とを偏在させる層状燃焼が実現されて機関効率の
向上が達成される。したがつて、燃料消費量の低減が可
能になるという実用上の効果が大きい。
また、低温時の微粒化特性の改善によつて従来システ
ムのような始動用燃料噴射弁の必要がないこと、弁体の
簡単な構成により製造コストが大幅に低減されたことな
どによつて、システム構成の上でも安価になるという効
果がある。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明したように、本発明によれば、弁体の
構成を簡単にして弁体の軽量化を図り、高精度な機械加
工を削減すること、また加工精度を緩和することなどに
より製造工数の低減を図るとともに、弁体の動作がスム
ースで、かつ安定し、広範囲な流量制御を可能とする信
頼性の高い電磁石式燃料噴射弁を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例に係る電磁石式燃料噴射弁
の縦断面図、第2図は、第1図のA−A矢視断面図、第
3図は、第1図のB−B矢視断面図、第4図は、弁体の
応答波形図、第5図は、噴射量特性図、第6図は、本発
明の他の実施例に係る電磁石式燃料噴射弁の要部拡大断
面図、第7図は、本発明のさらに他の実施例に係る電磁
石式燃料噴射弁の要部拡大断面図、第8図は、本発明の
さらに他の実施例に係る電磁石式燃料噴射弁の縦断面
図、第9図は、第8図の弁座体を下方より見た平面図、
第10図は、本発明のさらに他の実施例に係る電磁石式燃
料噴射弁の要部断面図、第11図は、本発明のさらに他の
実施例に係る電磁石式燃料噴射弁の縦断面図、第12図は
一般的な電磁石式燃料噴射弁を搭載したエンジン制御シ
ステムの構成図である。 1……ハウジング、2……ノズルボデイ、3,41,51,81,9
1……軸棒、3a……球面状の外周面、3b……対応面、4,4
0,50,80,90……弁体、5,61,71……弁座、6,62,72……燃
料噴射孔、7,65,75……摺動孔、8……燃料導入孔、9
……スペーサ部材、11,43,53……スリーブ、12,44,54,9
6……ロツド、13……ばね、17……燃料通路、18,21……
燃料通路孔、19……可動コア、24,24′……隙間、26…
…電磁コイル、44a,51a……球面状の外周面、53a……テ
ーパ面、60,70……ノズルボデイ、63,73……弁座体、6
4,74……燃料導入溝、66,77……切欠部、78……燃料溜
り部、82,83,92……剛球、93……円錐溝、95……スリー
ブ、95a,96a……球面状の外周部。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハウジング上部に燃料供給手段を備え、 ハウジング下部に、導入された燃料に旋回力を付与する
    燃料導入孔と、弁座および燃料噴射孔とを有するノズル
    部を備え、 ハウジング内部に、燃料通路を有する鉄心と、電磁コイ
    ルと、弾性部材とを備え、 前記電磁コイルにより発生する磁力と、その磁力と相反
    する方向に作用する前記弾性部材の付勢力とにより、前
    記弁座および燃料噴射孔を開閉する弁体を備えてなる電
    磁石式燃料噴射弁において、 前記電磁コイル側の前記鉄心内の下部で、前記弁体と前
    記弾性部材との間に、筒状のスリーブと該スリーブ内を
    軸方向に摺動しうるロッドとを設け、 前記弁体を、前記筒状のスリーブ内のロッドを介して、
    前記弁座に押圧するようにしたことを特徴とする電磁石
    式燃料噴射弁。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載のものにおい
    て、電磁コイル側に設けたスリーブ内で摺動自在なるロ
    ッドの下端部を球面状の外周面に形成し、弁体の対応面
    に当接して弁体を軸方向下方に押し下げうるようにした
    ことを特徴とする電磁石式燃料噴射弁。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項記載のものにおい
    て、弁体は、ノズル部の弁座に対向し先端に鋼球を具備
    する弁部材と、この弁部材より電磁コイル側に延びる棒
    状部材と、この棒状部材と一体的に結合される可動コア
    と、この可動コアより電磁コイル側で前記棒状部材の端
    部のロッド当接面に形成された円錐溝部とから構成され
    たことを特徴とする電磁石式燃料噴射弁。
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