JP2540579Y2 - クランプ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、鉄骨などのフランジ部
（以降、板体部と称する）に足場用パイプや足場に付設
される手摺用パイプを取付けるのに使用されるクランプ
装置に関し、特に、前記板体部を咬持するコ型クランプ
と、これに揺動可能に連結されて前記パイプを抱持する
パイプクランプとを備え、前記パイプクランプの固定角
度を、前記コ型クランプに咬持される板体部の板面と平
行または垂直に固定できるクランプ装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来におけるこの種のクランプ装置とし
ては、コ型クランプとパイプクランプとを角根ボルトに
より枢支連結して、パイプクランプの連結角度を自在に
変更できるようにしたものがあるが、このクランプ装置
では、パイプクランプから角根ボルトに荷重がかかる位
置にパイプを支持したときに、その荷重が角根ボルトに
集中して、そのボルトの角根部分が変形するという問題
があった。

【０００３】上記の問題を解消するものとして、実公平
３−１０２８３号公報に記載されたクランプ装置があ
る。即ち、このクランプ装置は、鉄骨の板体部を咬持す
るコ型クランプの上部に、当該コ型クランプの外周面に
沿って９０度の角度範囲で揺動する連結具を軸着し、こ
の連結具の上端部にパイプクランプを連結し、この連結
部の下端部から角度調節片を延設し、この角度調節片の
外側縁を、前記コ型クランプの開口部内に咬持させた板
体部の水平面または垂直面に係止させて、前記パイプク
ランプを垂直または水平位置に固定するようにしたもの
であって、これによれば、パイプクランプからの荷重が
連結支軸に直接かかっても、この荷重を角度調節片によ
って前記板体部で支持できるため、当該連結支軸の変形
を防止することができる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報記載のクランプ装置では、コ型クランプに揺動可能に
取付けられる連結具の端部をコ型クランプ外周面の上面
部または側面部のそれぞれ所定位置に係止させることに
よって連結具の揺動範囲を９０度に位置規制するように
当該連結具をコ型クランプに取付けておいて、コ型クラ
ンプに嵌合させた板体部の垂直面または水平面を角度調
節片の外側縁に当接させたとき前記連結具の端部がコ型
クランプ外周面の上面部または側面部に係止するように
して、パイプクランプの連結角度を垂直または水平に固
定するものであるから、コ型クランプ外周面の製作誤差
によって当該外周面上における連結具端部の係止位置が
所定位置からずれていると、コ型クランプに対するパイ
プクランプの固定角度に狂いを生じたり、パイプクラン
プがガタついてパイプの支持が不安定となり、従ってク
ランプ外周面の加工精度が要求されると共に、連結具の
取付けの際の位置決めに非常な手間と時間がかかり、結
果的に製作コストが高くつくという問題がある。

【０００５】本考案は、上記の課題に鑑み、パイプクラ
ンプを、コ型クランプに咬持される板体部と平行または
垂直な向きで当該コ型クランプに正確且つ安定に固定で
きると共に、製作が容易でコストの低廉化を図ることの
できるクランプ装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案のクランプ装置
は、コ字形クランプ本体の対向両脚部の内の一方にクラ
ンプ用ねじを螺合貫通させたコ型クランプと、前記コ字
形クランプ本体の前記クランプ用ねじに対向する側の脚
部と両脚部をつなぐ底部との間のコーナー部またはその
近傍位置に、前記コーナー部の稜線方向と平行な支軸に
より扇動可能に枢着された可動台と、この可動台のクラ
ンプ取付け座に取付けられたパイプクランプとから成
り、前記コ字形クランプ本体のクランプ用ねじに対向す
る側の脚部と両脚部をつなぐ底部とにわたって前記可動
台の扇動方向と平行にスリットを設け、前記可動台に
は、前記スリットを貫通して前記コ字形クランプ本体内
に入る突出板部を設けると共に、この突出板部に、前記
クランプ取付け座が前記クランプ用ねじに対向する側の
脚部と略平行な向きにあるときに前記コーナー部の直角
内側面に略合致する第一の直角内隅部と、前記クランプ
取付け座が９０度回転して前記底部と略平行な向きにあ
るときに前記コーナー部の直角内側面に略合致する第二
の直角内隅部とを形成して成ることを特徴とする。

【０００７】

【実施例】実施例について図面を参照して説明すると、
図１〜図３は本考案に係るクランプ装置を示しており、
これらの図において、１は鉄骨などのフランジ部、即ち
板体部Ｆを咬持するコ型クランプで、相対向する両脚部
２，３とこれらをつなぐ底部４とから成るコ字形クラン
プ本体５を有し、前記両脚部２，３の内の一方の脚部２
にクランプ用ねじ６を螺合貫通させてあり、このねじ６
の先端部には皿ばね６ａが取付けてある。７は可動台
で、前記クランプ本体５のクランプ用ねじ６に対向する
側の脚部３と前記底部４との間のコーナー部５ａ（また
はその近傍位置）に、当該コーナー部の稜線方向と平行
な支軸８によって扇動可能に枢着されており、この可動
台７のクランプ取付け座７ａに、足場用などのパイプＰ
を抱持するパイプクランプ９が取付られている。

【０００８】前記コ型クランプ１のコ字形クランプ本体
５には、前記クランプ用ネジ６に対向する側の脚部３と
前記底部４とにわたって前記可動台７の扇動方向に延び
るスリット１０が設けられている。この可動台７は、前
記スリット１０を貫通して前記コ字形クランプ本体５内
に入る突出板部７ｂを有し、そしてこの突出板部７ｂに
は、前記クランプ取付け座７ａが前記クランプ用ねじ６
に対向する側の脚部３と略平行な向きにあるときに前記
コーナー部５ａの直角内側面５ｂに略合致する第一の直
角内隅部１１と、前記クランプ取付け座７ａが９０度回
転して前記底部４と略平行な向きにあるときに前記コー
ナー部５ａの直角内側面５ｂに略合致する第二の直角内
隅部１２とが形成されている。尚、この可動台７は、図
３に明示するように、前記クランプ取付け座７ａを形成
する板材と前記突出板部７ｂを形成する板材とをＴ字形
に突き合わせて溶接固着することにより構成したもので
ある。

【０００９】前記支軸８はボルトから成るもので、この
ボルト８を、図３に示すように、前記可動台７の突出板
部７ｂに貫設されたボルト挿通孔１３と、前記コ字形ク
ランプ本体５のコーナー部５ａの外隅部に固着された軸
承管１４とにわたるように挿通させて、その先端部にナ
ット１５を螺合締結することにより、前記可動台７を前
記クランプ本体５に対し扇動可能に枢着する。尚、この
可動台７は、図１、図２を参照して明らかなように、コ
型クランプ１が板体部Ｆを咬持していないときには１２
０度前後の角度範囲で扇動可能となる。

【００１０】前記パイプクランプ９は、それぞれの一端
部で互いに枢着された一対の抱持体１６，１７を有し、
両抱持体１６，１７間にパイプＰを抱持して、一方の抱
持体１６の他端部に軸支されたクランプ用螺軸１８の先
端部を他方の抱持体１７の他端部の係入溝１９に係入さ
せ、ナット２０を締付けることにより、パイプＰを抱持
固定するものである。しかして、このパイプクランプ９
の一方の抱持体１７には、図３示すようにボルト挿通孔
２１が設けてあって、この孔２１から、前記可動台７の
クランプ取付け座７ａ中央部から突出板部７ｂにわたっ
て埋設されたナット２２に段付きボルト２３を螺入締結
することにより、パイプクランプ９を可動台７のクラン
プ取付け座７ａに回転可能に取付ける。

【００１１】次に、上記のような構成より成るクランプ
装置の使用例について説明すると、鉄骨などの水平に延
びる板体部ＦにパイプＰを垂直に固定する場合には、図
１に示すように、突出板部７ｂがコ字形クランプ本体５
のスリット１０を貫通してその内部に突入した可動台７
を、そのクランプ取付け座７ａがコ字形クランプ本体５
の底部４と平行になるように位置保持した状態で、前記
コ字形クランプ本体５を前記板体部Ｆに嵌合させて、こ
の板体部Ｆの端部を当該コ字形クランプ本体５のコーナ
ー部５ａの直角内側面５ｂに当て付け、前記ねじ６を締
付けてコ字形クランプ本体５内に板体部Ｆを咬持させ
る。このとき、前記可動台７の突出板部７ｂに形成され
た第二の直角内隅部１２が前記板体部Ｆの板面（水平
面）と端面（垂直面）とに当接係止する。これによって
パイプクランプ９はこの板体部Ｆの板面と平行な向きで
コ型クランプ１に連結固定され、パイプＰを板体部Ｆに
対し垂直に固定できる状態となる。こうして固定された
パイプクランプ９にパイプＰを抱持させたとき、パイプ
Ｐからの荷重が可動台７に直接かかっても、その荷重は
前記第二の直角内隅部１２を介して板体部Ｆが負担する
ことになり、従って可動台７を軸支している支軸８が変
形するような虞がない。

【００１２】また、パイプＰを板体部Ｆに平行に固定す
る場合には、図２に示すように、前記可動台７を、クラ
ンプ取付け座７ａが前記コ字形クランプ本体５の脚部３
と平行になるように位置保持した状態で、前記コ字形ク
ランプ本体５を板体部Ｆに嵌合させて、この板体部Ｆの
端部を前記コーナー部５ａの直角内側面５ｂに当て付
け、前記ねじ６を締付けて板体部Ｆを咬持させる。この
ときは、前記可動台７の第一の直角内隅部１１が前記板
体部Ｆの板面（水平面）と端面（垂直面）とに当接係止
し、これによってパイプクランプ９は、この板体部Ｆの
板面と垂直な向きでコ型クランプ１に連結固定され、パ
イプＰを板体部Ｆに平行に固定できる状態となる。この
場合も、パイプクランプ１０に抱持させたパイプＰから
の荷重は第一の直角内隅部１１を介して板体部Ｆが負担
することになる。

【００１３】上述した実施例において、パイプクランプ
９は、可動台７のクランプ取付け座７ａに対し回転可能
に取付けているが、クランプ取付け座７ａに所定角度位
置に回転不能に固着してもよい。

【００１４】図４及び図５は可動台７の他の実施例を示
したもので、２枚の対称Ｌ字形板材２４，２４を互いに
重ねて溶接によりＴ字形に固着一体化し、両板材２４，
２４の重なり部２４ｂ，２４ｂで突出板部７ｂを形成
し、両側に張り出す両折曲翼部２４ａ，２４ａでクラン
プ取付け座７ａを形成し、またこのクランプ取付け座７
ａを形成する両折曲翼部２４ａ，２４ａの中央部から前
記突出板部７ｂを形成する重なり部２４ｂ，２４ｂにわ
たって断面円形の凹陥部２５を凹設して、この凹陥部２
５にナット２２を埋没状態に嵌合して溶接固着し、しか
してこのナット２２にパイプクランプ取付け用のナット
２３（図３参照）を螺合締結するようにしたものであ
る。

【００１５】

【考案の作用及び効果】以上のように本考案のクランプ
装置によれば、鉄骨の板体部にコ型クランプを嵌合固定
する際に、可動台を支軸の周りに回転させてパイプクラ
ンプで支持される仮設パイプの向きを、例えば上下垂直
向きと左右水平向きの何れかに選択することができるの
であるが、そのとき可動台の突出板部における第一の直
角内隅部と第二の直角内隅部を択一的にコ字形クランプ
本体のコーナー部の直角内側面に合致させ、係る状態で
前記板体部にコ字形クランプ本体を嵌合させて、前記コ
ーナー部に板体部を当て付けた状態でクランプ用ねじを
ねじ込んで板体部にコ型クランプを固定することによ
り、前記可動台が支軸の周りに回転するのを前記板体部
によって阻止することができる。

【００１６】即ち、本考案によれば、次のような格別の
作用効果が期待できる。 （ａ）可動台と共に支軸の周りに回転させて選択したパ
イプクランプの向きを、コ型クランプの板体部への嵌合
固定により自動的にロックすることができる。従って、
支軸の周りの可動台の回転を不能にするための締め付け
手段やその締め付け操作が不要なものでありながら、使
用時には、コ型クランプにパイプクランプが所定の向き
で固着されているタイプのものと同様に、パイプクラン
プで取り付けたパイプの向きを所定の向きにロックする
ことができ、しかも可動台の突出板部と板体部との嵌合
によりパイプクランプの向きをロックするものであるか
ら、振動や過大外力が当該パイプクランプに保持されて
いるパイプに作用しても、不測にそのロック状態が弛む
恐れは皆無であり、極めて安全に使用することができ
る。

【００１７】（ｂ）しかも、可動台は、従来装置（実公
平３−１０２８３号）の連結具のようにコ型クランプの
外周面とこのコ型クランプに挟持される板体部との両方
に係止されるものではなく、当該可動台の突出板部にお
ける第一の直角内隅部または第二の直角内隅部が板体部
にのみ当接係止するものであるから、この第一及び第二
直角内隅部のそれぞれの直角度が正確であれば、パイプ
クランプを前記板体部に対して、例えば図示のように上
下垂直向きまたは左右水平向きに正確に固定できる。し
かして、可動台の突出板部に第一及び第二の直角内隅部
を正確な直角度に形成することは容易に可能であり、し
かも従来のようにコ型クランプの外周面の加工精度が要
求されないため、製作が容易であり、さらにコ字形クラ
ンプ本体に設けたスリットから当該本体の内側に突出す
る突出板部に前記第一及び第二の直角内隅部を形成する
のであるから、可動台を最小限の材料でコンパクトに構
成することができ、装置全体を安価に実施することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るクランプ装置の実施例を示す側面
図で、パイプクランプを、コ型クランプで咬持される板
体部と平行な向きで当該コ型クランプに固定する場合を
示している。

【図２】図１と同様な側面図で、パイプクランプを、前
記板体部と垂直な向きでコ型クランプに固定する場合を
示している。

【図３】同上のクランプ装置の分解斜視図である。

【図４】他の実施例における可動台を示す斜視図であ
る。

【図５】図４のＡ−Ａ線断面図である。

【符号の説明】

１ コ型クランプ ２ 脚部 ３ 脚部 ４ 底部 ５ コ字形クランプ本体 ５ａ コ字形クランプ本体のコーナー部 ５ｂ コーナー部の直角内側面 ６ クランプ用ねじ ７ 可動台 ７ａ クランプ取付け座 ７ｂ 突出板部 ８ 支軸 １０ スリット ９ パイプクランプ １１ 第一の直角内隅部 １２ 第二の直角内隅部 Ｆ 板体部 Ｐ パイプ

Claims (4)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 コ字形クランプ本体の対向両脚部の内の
   一方にクランプ用ねじを螺合貫通させたコ型クランプ
   と、前記コ字形クランプ本体の前記クランプ用ねじに対
   向する側の脚部と両脚部をつなぐ底部との間のコーナー
   部またはその近傍位置に、前記コーナー部の稜線方向と
   平行な支軸により扇動可能に枢着された可動台と、この
   可動台のクランプ取付け座に取付けられたパイプクラン
   プとから成り、前記コ字形クランプ本体のクランプ用ね
   じに対向する側の脚部と両脚部をつなぐ底部とにわたっ
   て前記可動台の扇動方向と平行にスリットを設け、前記
   可動台には、前記スリットを貫通して前記コ字形クラン
   プ本体内に入る突出板部を設けると共に、この突出板部
   に、前記クランプ取付け座が前記クランプ用ねじに対向
   する側の脚部と略平行な向きにあるときに前記コーナー
   部の直角内側面に略合致する第一の直角内隅部と、前記
   クランプ取付け座が９０度回転して前記底部と略平行な
   向きにあるときに前記コーナー部の直角内側面に略合致
   する第二の直角内隅部とを形成して成るクランプ装置。
2. 【請求項２】前記可動台は、前記クランプ取付け座を形
   成する板材と前記突出板部を形成する板材とをＴ字形に
   突き合わせて溶接固着して成る、請求項１に記載のクラ
   ンプ装置。
3. 【請求項３】前記可動台は、２枚の対称Ｌ字形板材を互
   いに重ねてＴ字形に固着一体化し、その板材重なり部で
   前記突出板部を形成すると共に、両側に張り出す折曲翼
   部で前記クランプ取付け座を形成して成る、請求項１に
   記載のクランプ装置。
4. 【請求項４】前記突出板部を形成する２枚の板材間に、
   前記クランプ取付け座に対して埋没する状態にナットを
   嵌合固着し、このナットにパイプクランプ取付け用ボル
   トを螺合締結して成る、請求項３に記載のクランプ装置