JP2538916B2 - 光磁気記録用媒体 - Google Patents

光磁気記録用媒体

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JP2538916B2 JP62104127A JP10412787A JP2538916B2 JP 2538916 B2 JP2538916 B2 JP 2538916B2 JP 62104127 A JP62104127 A JP 62104127A JP 10412787 A JP10412787 A JP 10412787A JP 2538916 B2 JP2538916 B2 JP 2538916B2
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政信 小林
睦己 浅野
仁典 前野
佳代子 大石
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明、光学的記録媒体における光磁気記録用媒体、
特に照射光の書込みエネルギーと消去エネルギーとをほ
ぼ等しくしてデータの書込みと消去が行える光磁気記録
用媒体に関するものである。
(従来の技術) 従来、このような分野の技術としては、特開昭52−31
703号公報、及び特開昭52−109193号公報に記載される
ものがあった。以下、その構成を説明する。
従来、特開昭52−31703号公報、及び特開昭52−10919
3号公報に記載されているように、光磁気記録用媒体は
希土類−遷移金属系合金の非晶質膜(以下、RE−TM膜と
いう)からなる光磁気記録層を、光透過性の基板上に形
成した構造をしている。
ここで、RE−TM膜は、具体的にREとしてガドリニウム
Gd、テルビウムTb、ジスプロシウムDy、ネオジムNd等、
TMとして鉄Fe又はコバルトCoを主成分としている。この
RE−TM膜はその膜面に対して垂直な磁化をもつ、いわゆ
る垂直磁化膜である。
このような垂直磁化膜を用いた光磁気記録用媒体の記
録方式を、第2図を参照しつつ説明する。
第2図は、図示しない透明の基板上に形成された垂直
磁化膜層1の断面図である。この垂直磁化膜層1には、
予め上方向に磁化しておき、データを書込む場合、マグ
ネットにより下方向に書込み磁界Haを与えると共に、光
を基板を通して垂直磁化膜層1の書込み箇所に照射して
その箇所をキュリー温度以上に加熱する。すると、書込
み箇所の保磁力が低下し、その箇所の磁極が書込み磁界
Haによって下方向に反転する。この磁極の反転により、
データの書込みが行われたことになる。記録されたデー
タを読出すには、光を基板を通して垂直磁化膜層1に照
射し、その垂直磁化膜層1における磁極の向きの差によ
る入射光の偏光面の回転角の差を利用してデータを読出
すようにしている。また、記憶されたデータの消去を行
う場合は、垂直磁化膜層1に対して上向きに消去磁界Hb
を加えると共に、消去箇所に光を照射してキュリー温度
以上に加熱する。すると、その加熱箇所の保磁力が低下
し、その箇所の磁極が消去磁界Hbによって上方向に反転
し、それによってデータの消去が行われる。
この種の垂直磁化膜層1を用いた光磁気記録用媒体で
は、1μmφ程度に絞られたレーザ及び外部磁界(Ha,H
b)を用いた前記のような熱磁気書込み方式によって、1
08bit/cm2というきわめて高密度な記録が可能で、しか
も原理的には無限回に近い消去及び再書込みができると
いう非常に優れた特長を有している。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、上記構成の光磁気記録用媒体では、垂
直磁化膜層1への記録の熱磁気書込みにおいて、データ
消去時の不完全性という問題が生じる。一般に、データ
の書込みよりもその完全消去では、余分のレーザ光エネ
ルギーを必要とする。つまり、書込みの場合よりも消去
の場合には、レーザパワー、印加する外部磁界、又はレ
ーザ照射時間のいずれかを余分に必要とする。そこで、
多くの場合、次の(i),(ii)のような理由によっ
て、例えば書込み時が7mWならば、消去時が8mWという具
合に、レーザパワーを制御している。
(i) レーザパワー制御の理由としては、位置ずれの
可能性である。レーザ光の書込みスポットの位置が少し
でもずれれば、書込みと同一エネルギーで消去する限
り、消し残しが出る。そのため、消去ではより大きなエ
ネルギーを必要とする。
(ii) 他の理由としては、印加する外部磁界(Ha,
Hb)以外の垂直磁化膜層1からの漏れ磁界の影響であ
る。第2図の破線で示すように、漏れ磁界は書込み時に
おいて書込み磁界Haの方向に向いており、書込みを助け
る。ところが、消去の場合にはその反対となる。そのた
め、消去時は書込み時よりも余分なエネルギーが必要と
なる。
そして、レーザパワーの最大値が一定の値に制限され
ると、その最大値に消去パワーを設定した場合には、そ
のパワーよりも書込みパワーが小さくなるため、記録特
性が劣化するおそれがある。さらに、レーザパワーを制
御するとなると、そのレーザ光を発生させるための装置
が複雑化してコスト高になる。
本発明は、前記従来技術が持っていた問題点として、
書込みと消去の際の光エネルギー量が異なるために、記
録特性が劣化すると共に、装置が複雑化してコスト高に
なる点について解決した光磁気記録用媒体を提供するも
のである。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、前記問題点を解決するために、垂直磁化膜
層が基板上に形成された光磁気記録用媒体において、前
記垂直磁化膜層が、記録層と一方向磁化層とで構成され
ている。
記録層は、所定のキュリー温度及び保磁力を有するRE
−TM膜からなり、レーザ光照射箇所において外部から印
加される書込み磁界又は消去磁界に応じて当該磁界と同
方向に磁化される層である。一方向磁化層は、前記記録
層のキュリー温度及び保磁力よりも高いキュリー温度及
び保磁力を有するRE−TM膜からなり、前記書込み磁界と
逆方向で、且つ前記消去磁界と同方向に予め磁化された
層である。そして、本発明では、前記一方向磁化層にお
ける磁界の方向を前記記録層の漏れ磁界と逆方向とし、
且つその磁界の大きさを前記記録層の漏れ磁界とほぼ同
一若しくはそれ以上の大きさとしている。
(作 用) 本発明によれば、以上のように光磁気記録用媒体を構
成したので、記録層の漏れ磁界と一方向磁化層の磁界と
が、それら相互間で磁界を打消すように働く。これによ
り、照射光の書込みパワーと消去パワーをほぼ同一にす
ることが可能となり、記録特性の向上と、照射光パワー
に対する制御の簡単化が図れる。従って、前記問題点を
除去できるのである。
(実施例) 第1図は、本発明の実施例を示す光磁気記録用媒体の
概略断面図である。
この光磁気記録用媒体は、片面記録型のものであり、
透明性と平滑性が良く、さらに複屈折が小さい等の光学
特性に優れた基板10を有している。この基板10上には、
スパッタ法等によって第1の誘電体層11、記録層12−1
と一方向磁化層12−2からなる垂直磁化膜層12、及び第
2の誘電体層13が順次形成されている。さらに、第2の
誘電体層13上には、接着層14を介してカバー基板15が接
着されている。
基板10は、レーザ光を透過させるものであり、ガラス
基板、ポリカーボネートやエポキシ等の樹脂基板のよう
に、種々の材料の基板で形成でき、第1図では例えばエ
ポキシ樹脂基板で構成されている。第1,第2の誘電体膜
11,13は、カー効果エンハンスメントの働き、あるいは
垂直磁化膜層12に対する保護の働きをするものであり、
種々の材料で形成できるが、第1図では例えば優れた保
護性能を有するAlSiN膜を用い、そのうち第1の誘電体
層11が膜厚80nm程度、第2の誘電体膜13が膜厚150nm程
度に形成されている。
垂直磁化膜層12は、記録層12−1及び一方向磁化層12
−2の2層で構成され、それらはRE−TM膜で形成されて
いる。RE−TM膜はRE−Fe−Co系合金や、RE−Fe−Co−M
系合金等で構成され、そのうちREはGd,Tb,Dy,Nd等の希
土類元素、MはFe,Co及び希土類元素以外のCr,Ti等の元
素である。記録層12−1及び一方向磁化層12−2は、種
々のRE−TM膜で形成できるが、そのうち記録層12−1は
例えば媒体面上で10mW以下のパワーを有する通常のレー
ザ光で熱磁気書込みができるRE−TM膜材で構成すると共
に、一方向磁化層12−2はキュリー温度が高く前記レー
ザ光で熱磁気書込みができないRE−TM膜材で構成するこ
とが望ましい。
例えば、第1図の記録層12−1は、温度範囲−20℃〜
+60℃において保磁力Hcが3KOe以上、キュリー温度Tc
150℃〜250℃の値を有する厚さ100nm程度のTb22Fe65Co8
Ti5合金膜で形成されている。また、一方向磁化層12−
2は、温度範囲−20℃〜+60℃において保磁力Hcが5KOe
以上、キュリー温度Tcが300℃以上の値を有する厚さ50n
m程度のTb20Fe40Co40合金膜で形成されている。
第2の誘電体層14上に接着層15を介して接着されるカ
バー基板15は、垂直磁化膜層12等を機械的及び化学的に
保護するためのものであり、片面記録型のために光学特
性の良否を問わず、ガラス基板、Al等の金属基板、セラ
ミック基板、ポリカーボネートやエポキシ等の樹脂基板
のように、種々の基板で形成できる。第1図ではカバー
基板15が、例えばエポキシ樹脂基板で形成されている。
以上のように構成される光磁気記録用媒体を用いた熱
磁気書込み方法を、第3図(1)〜(3)を参照しつつ
説明する。
第3図(1)〜(3)は第1図中の垂直磁化膜層12に
対する書込み及び消去の原理を説明するための断面図で
あり、第3図(1)は初期状態、第3図(2)は書込み
状態、及び第3図(3)は消去状態をそれぞれ示してい
る。
第3図(1)の初期状態において、マグネット等を用
いた強磁場により、予め一方向磁化層12−2を上方向に
磁化しておく。この時、記録層12−1も同様に上方向に
磁化される。
第3図(2)の書込み状態において、マグネットを用
いて下方向に書込み磁界Haを加え、さらに第1図の矢印
で示すように、下方向から例えば媒体上のパワーが7mW
程度のレーザ光を当てる。すると、このレーザ光は基板
10及び誘電体層11を通して垂直磁化膜層12に照射され、
その照射箇所が加熱される。ここで、記録層12−1のキ
ュリー温度は一方向磁化層12−2のキュリー温度よりも
低く設定され、しかもレーザ光による加熱温度は一方向
磁化層12−2のキュリー温度よりも低い温度に設定され
ているため、レーザ光照射箇所における記録層12−1の
みの保磁力が低下し、その箇所の磁極が第3図(2)の
反転部12−1aに示すように下方向に反転してデータが書
込まれる。
この際、反転部12−1aには下方向の書込み磁界Ha、記
録層12−1による下方向の反磁界(換言すれば、漏れ磁
界)H1、及び一方向磁化層12−2による上方向の磁界H2
が働く。ここで、一方向磁化層12−2の磁界H2は、記録
層12−1を漏れ磁界H1と同程度の値(即ち、H1≒H2)と
なるように設定している。従来の垂直磁化膜層1では、
一方向磁化層12−2による上方向の磁界H2が存在しない
ので、書込み時において下方向の磁界(Ha+H1)が働
く。これに対して本実施例の垂直磁化膜層12では、下方
向の磁界 Ha+H1−H2Ha (但し、H1≒H2であるため) が働くことになる。
このようにして書込まれたデータを読出すには、レー
ザ光を基板10及び誘電体層11を通して垂直磁化膜層12に
照射し、その垂直磁化膜層12中の記録層12−1における
磁極の向きの差による入射光の偏光面の回転角の差を利
用してデータを読出せばよい。
第3図(3)の消去状態において、マグネットを用い
て上方向に消去磁極Hb(=Ha)を加え、さらに書込み時
と同様にレーザ光による照射加熱を行うと、記録層12−
1における消去部12−1bの保磁力が低下して磁極が上方
向に反転復帰し、データが消去される。この際、消去部
12−1bには上方向の磁界 Hb+H2−H1Hb (但し、H1≒H2であるため) が働く。そのため、本実施例の垂直磁化膜層12では、書
込み時と消去時とでほぼ同じ程度の磁界Ha,Hbが働くこ
とになる。これに対して従来の垂直磁化膜層1では、消
去時において上方向の磁界(Hb−H1)が働くため、働く
磁界が書込み時に大きく、消去時に小さくなり、これが
書込みエネルギーと消去エネルギーの異なる原因となっ
ていた。ところが、本実施例では前記のように書込みエ
ネルギーと消去エネルギーをほぼ等しくすることができ
るため、書込み時と消去時とでレーザパワーを変えるこ
となく、完全消去を行うことが可能となる。なお、書込
みスポットと消去スポットと位置ずれのおそれがあれ
ば、上方向の磁界H2が記録層12−1の漏れ磁界H1よりも
大きめの磁界になるように、一方向磁化層12−2の材料
を選定すれば、位置ずれの問題を簡単に解決できる。
本実施例の利点をまとめれば、次のようになる。
(i) 第1図の光磁気記録用媒体を用いて光磁気記録
ディスクを作り、そのディスクの回転数900rpm、記録周
波数1MHZ、媒体上のレーザパワー7mWでデータの書込
み、及び消去を行い、データの完全消去を確認した。さ
らに、書込みデータの読出し(再生)において、キャリ
ア対雑音比(以下、C/Nという)として55dBという高い
値を得た。
(ii) 従来の光磁気記録用媒体では、書込み時に磁界
(Ha+H1)、消去時に磁界(Hb−H1)が働き、|Ha|=|H
b|とするとき、書込み時の磁界(Ha+H1)>消去時の磁
界(Ha−H1)、となる。ここで、レーザパワーが最大で
PmWに制限される時、その値PmWは消去パワーの最大値と
なり、従って書込みパワーをそれよりも低い値に抑えて
おく必要がある。これは、もし書込みパワーをPmWに設
定したとすると、消去パワーが最大値のPmWとなり、そ
れによってデータの消去ができなくなってしまうからで
ある。このように、書込みパワーを低い値に抑えなけれ
ばならないため、記録特性が劣化する。これに対して本
実施例では、書込みパワーも消去パワーも共に最大値Pm
Wとすることができ、書込みに有利になって記録特性が
向上する。
(iii) 従来は、レーザパワーとして書込みパワー、
消去パワー、及び読出しパワーの3種のレーザパワーが
必要であるため、3種のレーザパワーを1つの半導体レ
ーザ素子で出力する1レーザタイプの装置にしても、あ
るいはレーザパワー毎の半導体レーザ素子を有する多レ
ーザタイプの装置にしても、制御が複雑であり、それに
よって装置の複雑化とコスト高を招いていた。これに対
して本実施例では、書込みパワーと読出しパワーの2種
類のレーザパワーで良く、それによって制御の簡単化、
装置構造の簡単化、及び低コスト化が可能である。
なお、本発明は図示の実施例に限定されず、例えば誘
電体層11,13と垂直磁化膜層12との間に金属膜等の保護
膜を追加する等、第1図の断面構造を他の構造に変形し
たり、あるいはこの発明を両面記録型の光磁気記録用媒
体に適用する等、種々の変形が可能である。
(発明の効果) 以上詳細に説明したように、本発明によれば、RE−TM
膜からなる記録層とRE−TM膜からなる一方向磁化層との
2層構造で垂直磁化膜層を構成し、前述のように一方向
磁化層による磁界(例えば、H2)を記録層のデータ書込
み部に生じる漏れ磁界(例えば、H1)と同程度値に設定
し、しかも磁界の方向が逆方向であるため、互いに相殺
される。そのため、書込み磁界と消去磁界とが等しくな
り、照射光の書込みパワーと消去パワーをほぼ同一にす
ることが可能になり、記録感度の向上を図ることができ
る。ここで、照射光の書込みスポットと消去スポットと
の位置ずれのおそれがあれば、一方向磁化層の磁界
(H2)を記録層の漏れ磁界(H1)よりも少し大きめに設
定することにより、位置ずれの問題を簡単に解決でき
る。
また、一方向磁化層の保磁力は、記録層の保磁力より
高く設定されており、この一方向磁化層の保磁力を十分
高く設定し、書込み時の書込み磁界より高く設定してお
くことにより、書込み時に一方向磁化層に磁化反転が生
じることなく、的確にデータの書込みを行うことができ
る。
さらに、照射光のパワーも書込みと読出しの2種の制
御で良いので、照射光発生装置の構成を簡単化できると
共に、低コスト化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す光磁気記録用媒体の断面
図、第2図は従来の光磁気記録用媒体を説明するための
垂直磁化膜層の断面図、第3図(1)〜(3)は第1図
の書込みと消去の原理を説明するための図であって、同
図(1)は初期状態、同図(2)は書込み状態、同図
(3)は消去状態をそれぞれ示している。 10……基板、11,13……誘電体層、12……垂直磁化膜
層、12−1……記録層、12−2……一方向磁化層、14…
…接着層、15……カバー基板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大石 佳代子 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電 気工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−249952(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】垂直磁化膜層が基板上に形成された光磁気
    記録用媒体において、 前記垂直磁化膜層が、 所定のキュリー温度及び保磁力を有する希土類−遷移金
    属系合金の非晶質膜からなり、レーザ光照射箇所におい
    て外部から印加される書込み磁界又は消去磁界に応じて
    当該磁界と同方向に磁化される記録層と、 前記記録層のキュリー温度及び保磁力よりも高いキュリ
    ー温度及び保磁力を有する希土類−遷移金属系合金の非
    晶質膜からなり、前記書込み磁界と逆方向で且つ前記消
    去磁界と同方向に予め磁化された一方向磁化層とで、構
    成され、 前記一方向磁化層における磁界の方向を前記記録層の漏
    れ磁界と逆方向とし且つその磁界の大きさを前記記録層
    の漏れ磁界とほぼ同一若しくはそれ以上の大きさとした
    ことを特徴とする光磁気記録用媒体。
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