JP2538867Y2 - 給紙装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は印字装置等に用紙を供給
する給紙装置に関するものであり、特に、ロール紙を供
給する装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ロール紙を供給する給紙装置として、ロ
ール紙を送る送り装置と、その送られるロール紙を給紙
経路に沿って案内する案内手段とを含むものがある。ロ
ール紙は、そのカール方向が、装着状態においてロール
紙の先端部が案内手段に接触する向きとなるように給紙
装置に装着される。ロール紙の装着後、作業者によりロ
ール紙が回転させられることにより、ロール紙の先端が
案内手段により給紙経路に沿って案内される。送り装置
の送りローラ同士が給紙経路中において互いに接触した
状態で待機させられる場合には、ロール紙の先端が送り
装置に到達した後は送り装置により印字装置等へ送られ
る。また、送り装置の送りローラ同士が互いに離間した
状態で待機させられる場合には、ロール紙の先端が送り
装置を通過して所定の位置に達した後、送りローラ同士
が接触させられてロール紙が保持され、送りが開始され
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記供
給装置において、ロール紙のカール方向が正常とは逆向
き、すなわちロール紙の先端が案内手段から離間する向
きにロール紙が装着されることがあった。この状態で作
業者によりロール紙が回転させられれば、ロール紙の先
端が給紙経路に沿わない状態のまま送り装置に到達し、
送り装置により送られることによって、紙詰まりが生じ
たり、給紙経路から外れた空間へ送られたりするという
問題があった。

【０００４】また、送り装置の送りローラ同士が互いに
離間した状態で待機させられる場合には、ロール紙が送
り装置により送られて紙詰まり等が生じる心配はないの
であるが、熱により発色するロール紙のように表裏があ
る場合には、カール方向が逆向きとなれば表裏も逆とな
るため、装着ミスに気付かないままロール紙が送られる
ことにより、ロール紙の裏面に印字が行われたりする不
都合が生じるという問題があった。

【０００５】本考案は上記問題に鑑み、ロール紙のカー
ル方向が正常とは逆向きに装着された場合の紙詰まり等
の送り不良やロール紙の裏面印字等を防止し得る給紙装
置を得ることを課題として為されたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そして、本考案の要旨
は、前記送り装置および案内手段を含む給紙装置におい
て、ロール紙の装着時に、ロール紙のカール方向が正常
である場合にはロール紙の先端が給紙経路中の予め定め
られた到達点に到達することを許容するが、カール方向
が正常とは逆向きである場合には到達点への到達を阻止
する到達阻止手段を設けたことにある。

【０００７】

【作用】上記のように構成された給紙装置においては、
給紙経路中に到達阻止手段が設けられ、ロール紙のカー
ル方向が正常とは逆向きである場合には、ロール紙の先
端が給紙経路中の予め定められた到達点に到達すること
が阻止される。例えば、送り装置の送りローラが接触状
態で待機させられる場合には、ロール紙の先端が送り装
置に到達することが到達阻止手段により阻止され、送り
ローラが離間状態で待機させられる場合には、給紙経路
中の予め定められた到達点に到達することが阻止される
のである。

【０００８】

【考案の効果】したがって、ロール紙のカール方向が正
常とは逆向きである場合の送り不良が良好に回避され
る。また、ロール紙の表裏が決められている場合には、
ロール紙の先端が予め定められた到達点へ到達しないこ
とにより作業者が異常に気付き、裏面印字等が防止され
る。

【０００９】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。図１において、１０は給紙装置の用紙保持
部である。用紙保持部１０には、ロール紙１２の中心穴
１４に挿通可能な支持軸１６が配設されており、支持軸
１６にロール紙１２が挿通されることにより、ロール紙
１２が用紙保持部１０に回転可能に保持される。

【００１０】給紙装置には、送り装置を構成する一対の
送りローラ（以下、単にローラという）２０，２２が設
けられている。ローラ２０は駆動軸２４と一体的に回転
する駆動ローラであり、ローラ２２は支持軸２６に回転
可能に支持され、ローラ２０の外周面に密着することに
より回転させられる従動ローラである。両ローラ２０，
２２は常に密着状態とされ、両ローラ２０，２２間にロ
ール紙１２の先端が挿入されることにより、ロール紙１
２がプラテン２８および印字ヘッド３０を備えた印字装
置３１へ送られる。プラテン２８はプラテン軸３２によ
りローラ２０と同じ周速で回転させられる。

【００１１】用紙保持部１０と一対のローラ２０，２２
との間には、案内手段たるペーパガイド３６が配設され
ている。ペーパガイド３６は給紙経路に沿った案内面３
８を有しており、支持軸１６に装着されたロール紙１２
の先端部が案内面３８によりローラ２０，２２間へ案内
される。また、４４はプラテン２８等を覆うカバーであ
る。

【００１２】また、用紙保持部１０と両ローラ２０，２
２との間には、ペーパガイド３６の案内面３８と対向す
る状態で到達阻止手段たる阻止部材５０が配設されてい
る。阻止部材５０は、案内部材３８に向かって開口する
複数の切欠５２を備え、鋸刃状の断面形状を有してい
る。これら各切欠５２の傾斜角度は、ロール紙１２が逆
向きに用紙保持部１０に取り付けられた状態でのカール
方向に合わせて決められている。

【００１３】以上のように構成された給紙装置におい
て、ロール紙１２を印字装置へ供給する場合には、支持
軸１６にロール紙１２を挿通した後、作業者がロール紙
１２の両端部を保持して手動でロール紙１２を回転させ
る。このとき、ロール紙１２のカール方向が正常な状態
で用紙保持部１０に装着された場合には、図２に二点鎖
線で示すように、ロール紙１２の先端部がペーパガイド
３６の案内面３８に沿って、一対のローラ２０，２２間
に案内される。ロール紙１２の先端が両ローラ２０，２
２間のくさび状の隙間に達した後、図示しないスイッチ
操作によりローラ２０を回転させれば、プラテン２８お
よびカバー４４と印字ヘッド３０との間の隙間から矢印
で示すようにロール紙１２の先端が突出させられる。

【００１４】それに対して、作業者の取付ミスにより、
ロール紙１２が、カール方向が正常とは逆向きの状態で
用紙保持部１０に装着された場合には、図１に示すよう
に、ロール紙１２の先端がペーパガイド３６の案内面３
８から離間する向きに延び出す。

【００１５】従来は、この状態のまま作業者がロール紙
１２を回転させることにより、ロール紙１２の先端部が
無理矢理両ローラ２０，２２に挟まれ、ロール紙１２が
送られることにより、紙詰まりが生じたり、ロール紙１
２がローラ２０とプラテン２８との間の隙間等から給紙
経路外の空間に送られたりする、所謂送り不良が生じて
いた。しかし、本実施例においては、ロール紙１２の先
端が阻止部材５０の複数の切欠５２のいずれかに進入さ
せられ、作業者によりロール紙１２が回転させ続けられ
ても、ロール紙１２の先端が両ローラ２０，２２間に到
達することが阻止される。したがって、紙詰まり等の発
生が良好に回避される。

【００１６】また、ロール紙１２を回転し続けているに
もかかわらず、両ローラ２０，２２間にロール紙１２の
先端が到達しないことから、作業者にロール紙１２のカ
ール方向が逆であったことが知らされる。

【００１７】本実施例においては、到達阻止手段が阻止
部材５０とされていたが、図３に示すような複数の板状
突起６０を備えたくし形の阻止部材６２や、図４に示す
ような複数の針６４を備えた阻止部材６６を使用するこ
とも可能である。これら阻止部材６２，６６において、
突起６０や針６４の傾斜角度は、前記阻止部材５０と同
様に、ロール紙１２が逆向きに用紙保持部１０に取り付
けられた状態でのカール方向に合わせて決められてい
る。

【００１８】また、図５に示すように、到達阻止手段と
して、平板状の阻止部材７０を配設してもよい。阻止部
材７０には逃がし穴７２が形成されており、ロール紙１
２が逆向きに装着された場合には、ロール紙１２の先端
部が両ローラ２０，２２間に到達する以前に、逃がし穴
７２から給紙経路外の空間に進入させられるようになっ
ている。したがって、ロール紙１２が両ローラ２０，２
２間に到達することが阻止される。

【００１９】さらに、図６および図７に示すように、ペ
ーパガイド３６の案内面３８の、上記阻止手段７０の逃
がし穴７２に対応する部分に、突部７４を形成するよう
にしてもよい。突部７４を設けることによって、ロール
紙１２が正常に装着された場合には、図６に二点鎖線で
示すように、ロール紙１２の先端が突部７４を乗り越え
て案内面３８に沿って両ローラ２０，２２間へ案内され
る一方、ロール紙１２が逆向きに装着された場合には、
図７に二点鎖線で示すように、ロール紙１２の先端が突
部７４に当接して逃がし穴７２から給紙経路外の空間に
進入させられる。ロール紙１２が逆向きに装着された場
合に、ロール紙１２の先端が送りロール２０，２２へ到
達してしまうことがより確実に阻止されるのである。な
お、これらの図において、図１と同様の部材には同一の
符号を付して、詳細な説明は省略する。

【００２０】また、図８に示すように、送り装置が、駆
動軸７８と一体回転させられるローラ８０と、半径方向
に移動可能な支持軸８１に回転可能に支持され、ローラ
８０に当接離間可能に配設されたローラ８２とから成る
ものとされ、作業者によりロール紙８４が回転させられ
る間、ローラ８２がローラ８０から離間させられた拡開
状態で待機させられる場合にも、上記阻止部材５０，６
２，６６，７０等を設けることが可能である。

【００２１】本実施例においては、ロール紙８４の先端
がプラテン２８と印字ヘッド３０との隙間を通過させら
れた状態で、両ローラ８０，８２が密着させられてロー
ル紙８４を保持するようにされている。したがって、ロ
ール紙８４の先端が拡開したローラ８０，８２間を通過
しても、これらローラ８０，８２によりロール紙８４が
送られることはなく、ロール紙８４がカール方向が逆向
きの状態で用紙保持部１０に装着されても、送り不良が
生じることはない。

【００２２】しかし、熱により発色するロール紙８４の
給紙を行う場合に、カール方向が逆向きの状態でロール
紙８４が印字装置３１へ送られれば、ロール紙８４の裏
面に印字が行われてしまい、印字不良が生じる。そこ
で、用紙保持部１０とローラ８０，８２との間に、例え
ば阻止部材５０を設ければ、ロール紙８４がカール方向
が逆向きの状態で装着された場合には、阻止部材５０に
よりロール紙８４の先端がプラテン２８と印字ヘッド３
０との間から外部へ突出することが阻止される。

【００２３】それにより、作業者がロール紙８４を回転
させ続けるにもかかわらず、ロール紙８４の先端が外部
へ突出するに到らないため、作業者がロール紙８４の装
着ミスを知ることができる。

【００２４】本実施例においてはペーパガイド３６の案
内面３８が案内手段を構成しており、プラテン２８と印
字ヘッド３０との隙間を通過した位置が予め定められた
到達点とされているのである。

【００２５】以上、本考案の各実施例について説明した
が、これらは文字通り例示であり、その他、当業者の知
識に基づいて種々の変形，改良を施した態様で、本考案
を実施することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例である給紙装置にロール紙が
逆向きに装着された状態を概念的に示す正面断面図であ
る。

【図２】上記給紙装置にロール紙が正常に装着された状
態を概念的に示す正面断面図である。

【図３】本考案の別の実施例である給紙装置を概念的に
示す正面断面図である。

【図４】本考案のさらに別の実施例である給紙装置を概
念的に示す正面断面図である。

【図５】本考案のさらに別の実施例である給紙装置を概
念的に示す正面断面図である。

【図６】本考案のさらに別の実施例である給紙装置にロ
ール紙が正常に装着された状態を概念的に示す正面断面
図である。

【図７】上記給紙装置にロール紙が逆向きに装着された
状態を概念的に示す正面断面図である。

【図８】本考案のさらに別の実施例である給紙装置を概
念的に示す正面断面図である。

【符号の説明】

１２ ロール紙 ２０ ローラ（送りローラ） ２２ ローラ（送りローラ） ３１ 印字装置 ３６ ペーパガイド ３８ 案内面 ５０ 阻止部材 ６２ 阻止部材 ６６ 阻止部材 ７０ 阻止部材 ８０ ローラ（送りローラ） ８２ ローラ（送りローラ） ８４ ロール紙

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロール紙を送る送り装置と、その送られ
   るロール紙を給紙経路に沿って案内する案内手段とを含
   む給紙装置において、 前記ロール紙の装着時に、ロール紙のカール方向が正常
   である場合にはロール紙の先端が前記給紙経路中の予め
   定められた到達点に到達することを許容するが、カール
   方向が正常とは逆向きである場合には前記到達点への到
   達を阻止する到達阻止手段を設けたことを特徴とする給
   紙装置。