JP2537408Y2 - 歩行型田面作業機の車輪昇降用シリンダ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、田植機、施肥機、播種機等の歩行型田面作
業機の車両昇降用シリンダ装置に関するものである。

［従来技術及び考案が解決しようとする課題］ 一般に、この種歩行型の田面作業機においては、走行
機体の田面に対する姿勢を略一定に維持すべく、左右走
行車輪のスイングケースに連繋されるシリンダ装置の作
動により左右走行車輪を昇降可能に構成されている。

しかしながら従来のものは、シリンダ装置を、機体側
に固定したシリンダ筒に対してピストンロツドが出没移
動する片ロツド型シリンダとし、ピストンロツド先端に
スイングケースを連繋するようにしていたため、スイン
グケースを機体重量に抗して強制移動させようとした場
合、スイングケースから反力を受けるピストンロツドが
シリンダ筒に片持ち状に支持されてピストンロツドとシ
リンダ筒の連結部に大きな曲げ荷重が作用し、この結
果、シリンダ装置の円滑な作動が損なわれる不都合があ
つた。そこで従来のものは、上記反力に耐え得るよう殊
更強固で大型のシリンダ装置を採用していたが、この場
合には装置全体が大型化して機体の軽量化の妨げになる
等の問題が有る。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑み、これらの次点を一
掃することができる歩行型田面作業機の車輪昇降用シリ
ンダ装置を提供することを目的として創案されたもので
あつて、左右走行車輪のスイングケースを、車輪昇降用
シリンダ装置の作動で上下揺動させて左右走行車輪の昇
降を行う歩行型田面作業機において、前記シリンダ装置
を、ピストンロツド側が固定され、シリンダ筒側が油圧
操作に基づいて移動する両ロツド型シリンダとし、シリ
ンダ筒に前記スイングケースを連繋させて左右走行車輪
の昇降を行うべく構成する一方、ピストンロツドは、エ
ンジン側と、該エンジンの下側に配設されるトランスミ
ツシヨンケース側との間に一体的に介設されていること
を特徴とするものである。

そして本考案は、この構成によって、車輪昇降用シリ
ンダ装置の小型軽量化を計れる許りか、ピストンロツド
をトランスミツシヨンケースとエンジンの連結部材に兼
用できるようにしたものである。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。
図面において、１は歩行型の植機であつて、該田植機１
の伝動ケースを構成する機体フレーム1aの前端部にはト
ランスミツシヨンケース２が一体的に固定され、該トラ
ンスミツシヨンケース２の上部にエンジン３が搭載され
ている。そしてエンジン３からの動力は、動力伝動機構
４を介してトランスミツシヨンケース２の入力軸2aに伝
達され、ここから機体フレーム1aに内装される図示しな
い伝動機構を介して植付爪５に動力伝動がなされ、また
トランスミツシヨンケース２に隣接した横送り機構６か
ら横送り伝動軸７を経由して苗載台８の横送り伝動がな
され、さらにトランスミツシヨンケース２の前部に前端
部が支持されるスイングケース９を経由して左右走行車
輪10に対して動力伝動がなされるようになつている。

11は復動式の主シリンダ装置であつて、該主シリンダ
装置11は、ピストンロツド11a、シリンダ筒11b、ピスト
ン11c等の各種部材装置によつて両ロツド型シリンダに
構成されているが、この主シリンダ装置11は、トランス
ミツシヨンケース２およびエンジン３の前方に前低後高
状に急傾斜する殆ど縦姿勢に配設されている。しかも、
ピストンロツド11aの一端部がエンジン３の上端部に形
成されるシリンダヘツド部3aにブラケツト12を介して一
体的に固定され、また他端部がトランスミツシヨンケー
ス２の前端部に前方に突設したブラケツト13を介して一
体的に固定されていて、機体に対して不動の固定状態に
なつており、そして油圧操作に基づきシリンダ筒11bが
ピストンロツド11aに対してロツド長方向に向けて移動
する構成になつている。3bは気化器である。

14は左右方向に長い天秤アームであつて、該天秤アー
ム14の中間部（中央部）は、シリンダ筒11bの上端部に
ピン軸15によつて揺動自在に軸支されている。特にこの
ものにおいては、天秤アーム14のシリンダ筒11bへの軸
支位置を、筒上端のピストンロツド11aが揺動するヘツ
ド部となるように設定して、ピン軸15を螺入するための
螺子孔11dを、径方向に対してシリンダ室11eの内径を越
えて中心側に向けて穿孔できるように配慮されており、
これによつて、シリンダ筒11bが必要以上に太くならな
いように配慮してある。この天秤アーム14の左右両端部
には、連結ロツド16の上端部が揺動自在に軸支されてお
り、さらに連結ロツド16の下端部が、前記スイングケー
ス９の基端部に突出形成された揺動アーム9aに揺動自在
に連結されている。そして後述するように主シリンダ装
置11の作動に伴うシリンダ筒11bの上下移動に連繋して
天秤アーム14が平行姿勢状態で押し引き移動し、これに
よつてスイングケース９が同時的な上下揺動をして左右
走行車輪10を機体に対して同時に上下移動させる構成に
なつている。

一方、17は復動式の前シリンダ装置であつて、該副シ
リンダ装置17は、前記シリンダ筒11bの下端部一側（実
施例では機体進行方向右側）と天秤アーム14の該側部と
の間に介装されており、そして後述する副シリンダ装置
17の伸縮作動に基づいて天秤アーム14をピン軸15を支点
として揺動させ、これによつて左右走行車輪10の背反的
な上下動を行うようになつている。

18は前記両シリンダ装置11、17の作動を司る油圧の切
換え制御弁であつて、該切換え制御弁18を経由する油圧
によつてシリンダ装置11、17が作動することになるが、
その切換え作動は次ぎのようにして制御される。つまり
耕盤の凹凸によつて、左右の走行車輪10が同時に上下動
した場合に、機体は田面に対して浮沈（ピツチング）す
ることになるが、これによつて滑走フロート19が後方支
軸19aを支点として機体に対して下上揺動することにな
る。これが第一検知体20によつて検知されることとな
り、この第一検知体20による検知作動が検知ロツド21を
経由して前記切換え制御弁18に伝達され、これによつて
主シリンダ装置11への油圧の制御を行い、浮沈した機体
が元の適正な作業姿勢に復帰すべく主シリンダ装置11を
作動せしめて前述したように左右走行車輪10の同時上下
動を行う構成になつている。

また、耕盤の凹凸によつて左右走行車輪10が背反的に
上下動した場合に、機体は田面に対して左右に傾斜（ロ
ーリング）することになるが、これは錘式傾斜センサ22
が機体に対し左右揺動をすることで検知され、この検知
が切換え制御弁18に伝達され、これによつて副シリンダ
装置17への圧油の制御を行い、傾斜した機体が元の適正
な作業姿勢に復帰すべく副シリンダ装置17を作動せしめ
て前述したように左右走行車輪10の背反的な上下動を行
う構成になつている。

叙述のごとく構成された本考案の実施例において、前
述したように、田植機１は、機体の田面に対するピツチ
ングやローリング検知に対応して主、副両シリンダ装置
11、17を作動させ、これによつて田面に対する作業姿勢
を略水平な一定に維持する状態で圃場走行し、安定した
植付作業を行うことになるが、主シリンダ装置11は、両
端部が固定されて不動となつたピストンロツド11aと、
該ピストンロツド11aに対して移動するシリンダ筒11bと
からなる両ロツド型シリンダに構成されるものであるた
め、不動のシリンダ筒に対して出没移動するピストンロ
ツドの先端部に天秤アームを組付けたもののように、天
秤アームから反力を受けるピストンロツドがシリンダ筒
に片持ち状に支持されてピストンロツドとシリンダ筒の
連結部に大きな曲げ荷重が作用してしまうようなことが
ない。即ち、本考案の主シリンダ装置11においては、天
秤アーム14から反力を受けるシリンダ筒11bが、両端が
固定されるピストンロツド11aに両持ち状に支持される
ことになるため、シリンダ筒11bとピスロンロツド11aの
連結部に大きな曲げ荷重が作用することがなく、従つ
て、従来のものの様に大きな曲げ荷重に耐え得る殊更強
固で大型のシリンダを用いることなく、小型で軽量のも
のを採用できて、この結果、シリンダ装置全体の小型化
が計れ、延ては機体重量の軽減にも大いに寄与できるこ
とになる。

しかも、主シリンダ11のピストンロツド11aは、両端
部がそれぞれエンジン３側とトランスミツシヨンケース
２側とに一体的に固定されるものであるため、エンジン
３とトランスミツシヨンケース２を強固に連結する連結
部材に兼用することができる。

尚、本考案は、前記実施例に限定されないものである
ことは勿論であつて、例えば天秤アームを用いることな
く、左右各走行車輪を別々のシリンダ装置で昇降させる
ものにおいて実施しても同様の作用効果を奏することは
言うまでもない。また、主シリンダ装置、天秤アーム、
そして副シリンダ装置が組付けられたものを、機体中央
部のエンジンと苗植付部との間に配設した汎用型のもの
であつてもよいのである。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成されたもので
あるから、車輪昇降用シリンダ装置の作動によりスイン
グケースを上下揺動させて左右走行車輪の昇降を行うも
のでありながら、前記スイングケースは、ピストンロツ
ド側が固定され、シリンダ筒側が油圧操作に基づいて移
動する両ロツド型シリンダからなるシリンダ装置によつ
て移動せしめられるため、スイングケースから反力を受
けるシリンダ筒が、両端が固定されるピストンロツドに
両持ち状に支持されることになつて、シリンダ筒とピス
トンロツドの連結部に大きな曲げ荷重が作用することを
防ぐことができる。従つて、不動のシリンダ筒に対して
出没移動するピストンロツドの先端部にスイングケース
を連繋した従来のもののように、大きな曲げ荷重に耐え
得る殊更強固で大型のシリンダを用いることなく小型で
軽量のものを採用できることになり、この結果、シリン
ダ装置全体の小型化が計れて機体重量の軽減にも大いに
寄与できることになる。

しかも、シリンダ装置のピストンロツドは、エンジン
側と、該エンジンの下側に配設されるトランスミツシヨ
ンケース側との間に一体的に介設されるため、エンジン
とトランスミツシヨンケースを連結するための連結部材
に兼用できて、部品点数の削減並びに構造の簡略化も計
ることができることとなる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る歩行型田面作業機の車輪昇降用シ
リンダ装置の実施例を示したものであつて、第１図は歩
行型田植機の全体側面図、第２図は姿勢制御シリンダ装
置を切欠いた駆動制御部の側面図、第３図は歩行型田植
機の正面図、第４図は姿勢制御シリンダ装置部の拡大正
面図、第５図は主シリンダ装置の断面図、第６図は姿勢
制御シリンダ装置部の斜視図、第７図は錘式傾斜センサ
の正面図、第８図は姿勢制御シリンダ装置の作動説明図
である。 図中、１は田植機、２はトランスミツシヨンケース、３
はエンジン、10は走行車輪、11は主シリンダ装置、11a
はピストンロツド、11bはシリンダ筒、14は天秤アー
ム、17は副シリンダ装置である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭54−37421（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭54−183425（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−154829（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】左右走行車輪のスイングケースを、車輪昇
   降用シリンダ装置の作動で上下揺動させて左右走行車輪
   の昇降を行う歩行型田面作業機において、前記シリンダ
   装置を、ピストンロツド側が固定され、シリンダ筒側が
   油圧操作に基づいて移動する両ロツド型シリンダとし、
   シリンダ筒に前記スイングケースを連繋させて左右走行
   車輪の昇降を行うべく構成する一方、ピストンロツド
   は、エンジン側と、該エンジンの下側に配設されるトラ
   ンスミツシヨンケース側との間に一体的に介設されてい
   ることを特徴とする歩行型田面作業機の車輪昇降用シリ
   ンダ装置。