JP2536503Y2 - 磁気テープカセット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ビデオ、テープレコーダなどに使用される
磁気テープカセットに関するものである。

〔従来の技術〕

従来、ビデオテープレコーダに用いられるテープカセ
ットでは、カセットケース前面の開口部に前蓋と後蓋、
いわゆるリッドが連動して開閉自在に軸支配備されてい
て、該前蓋及び後蓋はカセット不使用時にはバネの力を
受けて開口部を閉じ磁気テープを前面及び後面より保護
して、ケース前面側の開口部からケース内に塵埃が侵入
したり、取り扱いの際に誤ってテープに手を触れて傷を
つけたり、折りぐせをつけたり指紋や油付着などをつけ
たりすることがないように、ロック部材を介在配備して
リッドを閉じている構成とすることが知られている。

〔考案が解決しようとする課題〕

この従来の磁気テープカセットでは、ケースの前面を
閉じていた前蓋を開く際にロック部材６を旋回操作して
前蓋に設けた規制部材７からロック用係止部6₁を外すと
同時に前蓋は前記バネの力に抗してケース前面を開くも
のであるが、このロック用係止部6₁と規制部材７とは例
えば第６図に示すようにストレート同士の当接面で掛止
めることが試みられているが、掛止め操作上ロック部材
６の旋回動を許すためには当接面間の隙間ｄ（ガタ）を
大きくしなければならず、ガタが大きいと取扱いによっ
ては前蓋が開き加減となて防塵効果をあげられない場合
が多くなると共に、ガタついて不安定であり、防塵機能
をはたさなくなったりするし、前蓋の開閉操作に支障を
来すという問題点があった。

また、この従来例では前蓋を閉操作する途中で規制部
材７がロック部材６のロック用係止部6₁の下側に入り込
んでこれを押し上げる形態となって前蓋の閉操作が停止
しまい、テープカセットにショックを与えるなどして上
記引掛かりを解除しなければならないという問題点もあ
った。

本考案（請求項１）は、前記規制部材７を倒立Ｌ字状
に形成し、前記ロック用係止部6₁がこの規制部材７の斜
め下方から当接する掛止め形態として上記問題点を解決
したものであって、ロック力も強く前蓋とロック部材と
のガタを少なくし、磁気テープの保護を確実にし、前蓋
の開閉操作に伴う安全性を大幅に向上させると共に、円
滑な開閉操作をも保証しうる磁気テープカセットを構成
簡単で安価な形態で提供することを目的としたものであ
る。

また、請求項２の考案は、前記規制部材７の形体を更
に改良したものであって、前蓋３閉操作時に規制部材７
がロック部材６のロック用係止部6₁に係止されるのを防
止する連続ガイド壁7₃を前記倒立Ｌ字状部の上方に延設
することにより、上記前蓋閉操作時の問題点をも解決し
たものである。

〔課題を解決するための手段〕

請求項１の考案は、磁気テープ１を収容するケース２
に、そのケース前面を閉じて磁気テープ１を保護し、開
閉可能に軸支した前蓋３及び後蓋４と、該前蓋３を閉じ
方向に附勢するバネ12と、前記前蓋３に設けられた規制
部材７と、これに係脱するロック用係止部6₁のあるロッ
ク部材６とを備えた磁気テープカセットにおいて、前記
規制部材７を垂直壁7₁と水平壁7₂からなる倒立Ｌ字状に
形成し、前記ロック用係止部6₁を斜め上方に向う突出片
で形成して前記規制部材７の水平壁7₂に斜め下方から当
接するようにしたことを特徴とする磁気テープカセット
である。

請求項２の考案は、請求項１の磁気テープカセットに
おいて、前記規制部材７の水平壁7₂端部に連続ガイド壁
7₃を延設したものである。

〔作用〕

請求項１の磁気テープカセットは、保存時には前蓋３
がケース前面を閉じており、該前蓋３に添って後蓋４で
磁気テープ１を挟み込み封入して保護すると共に、この
前蓋３閉状態においては、ロックバネ16の附勢力により
ロック部材６のロック用係止部6₁が規制部材７の水平壁
7₂の下面にこれを斜め下方から突き上げるように当接し
ているので、規制部材７とロック用係止部6₁の間にはガ
タがなくなり、前蓋３閉状態におけるロック状態は完全
なものとなる。そして、前記ロック部材６のロック力は
十分強力なものであるから、振動，衝撃その他の外力が
作用しても前蓋３がみだりに開放しないように保持さ
れ、磁気テープ１を安全にケース内に収容することが可
能である。

また、前記規制部材７を倒立Ｌ字状に形成したので、
前蓋３の開操作時にはロック部材６のロック用係止部6₁
がそのまま円滑に規制部材７から離れてレリーズ状態と
なり、前蓋３と後蓋４が連動回動して前蓋３が開扉され
る。さらに、前蓋３閉操作時には、ロック用係止部6₁が
そのまま規制部材７の水平壁7₂に当接してロック状態と
なり前蓋３が閉扉されるものである。

請求項２の考案では、前記ガイド壁7₃が設けられてい
るため、前蓋３の閉操作時には規制部材７の水平壁7₂が
ロック用係止部6₁の下側に入り込んで引掛かることはな
いので、前蓋３が閉扉できなくなるおそれはないもので
ある。

〔実施例〕

（実施例１） 本考案の実施例を第１〜３図に基づいて説明すると、
磁気テープ１を巻装した一対の巻取用リール11をケース
２内に回転可能に備え、このケース２のケース前面を閉
じて磁気テープ１を前後から保護する開閉可能な前蓋３
と後蓋４と、該前蓋３を閉じ方向に附勢するバネ12と、
前蓋３に設けられた規制部材７と、これに係脱するロッ
ク用係止部6₁及びレリーズ用当接部6₂のあるロック部材
６を備え、前記規制部材７を垂直壁7₁と水平壁7₂からな
る倒立Ｌ字状に形成すると共に、前記ロック用係止部6₁
は斜め上方に向かう突出片で形成して、該ロック用係止
部6₁を前記前蓋３閉状態において規制部材７の水平壁7₂
に斜め下方から突き上げるように当接せしめたものであ
る。

前記ケース２は上ケースと下ケースとから成ってい
て、ビス止め結合され収容された磁気テープ１の通路が
仕切壁2₁で区画された凹所17の前面側開口部8,8の前側
を横切っていて、この磁気テープ１の前面を覆う前蓋３
と、後面を覆う後蓋４とでケース２の前面側底面からの
塵埃の侵入などを防止するようになっている。

前蓋３が閉状態を維持するための前記ロック部材６
は、ロック用係止部6₁及びレリーズ用当接部6₂とロック
バネ16を備えて、前蓋３が後蓋４と共にケースの前面を
閉じた時それら前後蓋をロック状態とし、開く時はレリ
ーズ状態とするもので、ロックバネ16はロック部材６が
絶えず前蓋３をロックするように作用し、ロック部材６
にその軸５を中心とする回転力を与えており、前記ロッ
ク用係止部6₁はロック部材６の一端に突出片として形成
され、またレリーズ用当接部6₂はハード側のロック解除
片（図示せず）と当接して操作できるように側面に突出
している。

しかして、この磁気テープカセットの前蓋３閉状態に
おいては、ロック部材６のロック用係止部6₁が規制部材
７の水平壁7₂下面に斜め下方から突き上げるよう当接し
てガタがなくなるものであり、また前蓋３の開操作時に
は前記ロック用係止部6₁が規制部材７からそのまま離れ
てレリーズ状態となり、閉操作時にはそのままロック用
係止部6₁が規制部材７の水平壁7₂に当接するものであっ
て、前蓋３の開閉操作を確実に行うことができるもので
ある。

（実施例２） 本考案の他の実施例を第４図および第５図に基づいて
説明すると、実施例１における規制部材７の形体を更に
改良し、規制部材７を垂直壁7₁および水平壁7₂からなる
倒立Ｌ字状部と、前記水平壁7₂の上方部に続く円弧状の
連続ガイド壁7₃とにより形成し、前記ロック用係止部6₁
は斜め上方に向かう突出片で形成して規制部材７の水平
壁7₂に斜め下方から当接可能としたものであり、その他
は実施例１のものと同一構造となっている。

しかして、この実施例では前蓋３の閉状態において第
４図に示す通り、ロックバネ16の附勢力によりロック部
材６のロック用係止部6₁が規制部材７の水平壁7₂に、こ
れを斜め下方から突き上げるように当接し、また前蓋３
の開操作時にはロック用係止部6₁が規制部材７の倒立Ｌ
字状部からそのまま円滑に離脱しレリーズ状態となって
前蓋３が開扉される。

さらに、前蓋３の閉操作時には、前蓋３と後蓋４の連
動回動の過程において前記ガイド壁7₃が防護壁となるた
め規制部材７がロック用係止部6₁の下方に入り込むこと
がないので前蓋３が閉扉できなくなるおそれはなく、そ
のままロック用係止部6₁が規制部材７の倒立Ｌ字状部に
入ってその水平壁7₂に当接しロック状態となって前蓋３
が閉扉される。そして、前蓋３開閉操作時の前記連動回
動は通常第５図の通り、ロック用係止部6₁がガイド壁7₃
と離間したまま継続されるものである。

〔考案の効果〕

請求項１の考案は、磁気テープを収容するケースに、
そのケース前面を閉じて磁気テープを保護し、開閉可能
に軸支した前蓋及び後蓋と、該前蓋を閉じ方向に附勢す
るバネと、前記前蓋に設けられた規制部材と、該規制部
材に係脱するロック用係止部のあるロック部材とを備え
た磁気テープカセットにおいて、前記規制部材を垂直壁
と水平壁からなる倒立Ｌ字状に形成し、前記ロック用係
止部を斜め上方に向う突出片で形成して前記規制部材の
水平壁に斜め下方から当接するようにしたことにより、
前蓋閉状態において規制部材とロック部材との間にガタ
がなくなり、ロック力も強く、閉蓋状態を的確に維持で
きて磁気テープの保護が確実となり、前蓋の開閉操作も
確実に行えるうえ、構成簡単で量産性に寄与できるなど
の効果がある。

請求項２の考案では、規制部材がガイド壁を備えてい
るので、前蓋の閉操作時に規制部材がロック部材のロッ
ク用係止部に係止されて前蓋の閉扉が困難になることが
なく、したがって前蓋の開閉操作を確実に行うことがで
きるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の分解斜視図、第２図は蓋部の
拡大内側面図、第３図はロック部材の斜視図、第４図お
よび第５図は他の実施例の蓋部の拡大内側面図であって
第４図は前蓋が閉状態にあるときのもの、第５図は前蓋
が開操作途中または閉操作途中にあるときのものであ
り、第６図は従来例の要部拡大内側面図である。 １…磁気テープ、２…ケース、３…前蓋、４…後蓋、６
…ロック部材、6₁…ロック用係止部、6₂…レリーズ用当
接部、７…規制部材、7₁…垂直壁、7₂…水平壁、7₃…ガ
イド壁。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】磁気テープ（１）を収容するケース（２）
   に、そのケース前面を閉じて磁気テープ（１）を保護
   し、開閉可能に軸支した前蓋（３）及び後蓋（４）と、
   該前蓋（３）を閉じ方向に附勢するバネ（12）と、前記
   前蓋（３）に設けられた規制部材（７）と、これに係脱
   するロック用係止部（6₁）のあるロック部材（６）とを
   備えた磁気テープカセットにおいて、前記規制部材
   （７）を垂直壁（7₁）と水平壁（7₂）からなる倒立Ｌ字
   状に形成し、前記ロック用係止部（6₁）を斜め上方に向
   う突出片で形成して前記規制部材（７）の水平壁（7₂）
   に斜め下方から当接するようにしたことを特徴とする磁
   気テープカセット。
2. 【請求項２】前記規制部材（７）の水平壁（7₂）端部に
   連続ガイド壁（7₃）を延設した請求項１記載の磁気テー
   プカセット。