JP2536336B2 - プラズマによる成膜方法 - Google Patents

プラズマによる成膜方法

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征夫 渡辺
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマCVD、ス
パッタ法等のプラズマによる成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラズマによる成膜方法、特にプラズマ
CVDは、アモルファスシリコン(a−Si)太陽電
池、液晶表示装置等の各種薄膜デバイスの形成に広く利
用されている。これらプラズマによる成膜方法では、
成膜基体上にダストが付着することを防止するため、装
置の成膜室への基体搬送系や成膜室における基の各配
置を、ダスト発生が少なくなるように工夫している。ま
た、ダスト発生を抑制するため、成膜条件を工夫した
り、成膜室への基体の設置時や装置の運転の合間に成膜
室内電極や基体搬送系等を清掃することも行われてお
り、これらによって例えば液晶表示基板上の成膜ではか
なりの効果があがっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例え
ば、プラズマCVD法により、SiHnラジカルを用い
て基体上にアモルファスシリコン(a−Si)の成膜を
行うと、たとえ前述の如く、ダスト発生の少ない条件を
設定しても、該成膜中に基体にダストが付着する。これ
は、本発明者の研究によると、たとえ、ダストが生成さ
れる最低のミニマムダストの条件で成膜しても、その成
膜中に、なお、基体に近い領域のプラズマにミニマムダ
ストが蓄積されるからである。
【0004】このプラズマ中のダスト蓄積の様子をレー
ザ散乱法(ミー散乱法)により観察したところ、図3に
示すように、成膜開始後、エレクトロン密度ED及びイ
オン電流ISCの急速な立ち上がり時にはダスト蓄積は
殆ど無いものの、時間の経過とともに次第に増大し、略
一定値に達することが分かった。さらに、成膜終了後、
プラズマ生成を停止し、基体から4mm、10mmの各
位置のダストがどのように振る舞うかをレーザ散乱法に
て測定したところ、図4に示すように、ダスト量が一時
的に増加したのち、基体へ向かうことが確認された。
【0005】このような成膜中におけるダストの発生
は、従来知られておらず、まして、プラズマ消滅後の数
秒程度の間に該ダストが基体へ衝突し、付着することに
ついては、まったく考慮されることはなかった。しか
し、かかるダストの付着によっても、最終的に得られる
デバイスに不良部が発生するので、これを無視すること
はできない。
【0006】そこで本発明は、プラズマによる成膜方法
において、成膜中に発生する気相中のダストの、成膜終
了後の、基体上に形成された膜への付着を抑制すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的に従
い、真空チャンバ内で成膜原料ガスをプラズマ化し、該
プラズマのもとに該チャンバ内の被成膜基体上に成膜す
るプラズマによる成膜方法であって、被成膜基体上への
成膜終了後、形成された膜表面とプラズマとの間に該真
空チャンバに設けたゲートバルブ部分から該チャンバ内
へ進入させた板体シャッタを配置することで該膜表面を
覆ってプラズマから遮断してからプラズマを停止させる
ことを特徴とするプラズマによる成膜方法を提供するも
のである。
【0008】この成膜方法においてプラズマ停止後の基
体の前記真空チャンバからの搬出は、前記板体シャッタ
を前記膜表面から後退させて、或いは前記板体シャッタ
で前記膜表面を覆ったまま行うことが考えられる。
た、本発明は前記目的に従い、真空チャンバ内で成膜原
料ガスをプラズマ化し、該プラズマのもとに該チャンバ
内の被成膜基体上に成膜するプラズマによる成膜方法で
あって、被成膜基体上への成膜終了後、プラズマを停止
させないまま、形成された膜表面とプラズマとの間に該
真空チャンバに設けたゲートバルブ部分から該チャンバ
内へ進入させた板体シャッタを配置することで該膜表面
を覆ってプラズマから遮断し、引き続き該板体シャッタ
で該膜表面を覆ったまま前記基体を前記真空チャンバか
ら搬出することを特徴とするプラズマによる成膜方法も
提供する。 なお、前記真空チャンバからの成膜後基体の
搬出は、該真空チャンバから取り出してしまうことのほ
か、該真空チャンバから次のプロセスチャンバへ移動さ
せることも考えられる。
【0009】
【作用】本発明成膜方法によると、成膜終了時、プラズ
マ停止前に被成膜基体の膜形成面とプラズマとの間がシ
ャッタにより遮断され、成膜中に発生する気相中のダス
トが、成膜終了時に付着しようとするのが抑制される。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は本発明方法の実施に用いる成膜装置の1例
の概略断面を示している。図示の装置は、プラズマCV
D装置であり、真空チャンバ1、該チャンバに電磁弁2
1を介して接続した真空ポンプ2、チャンバ1内に設置
した電極3、4、電極3上の基体支持トレー5に支持さ
れる被成膜基体6の前面を覆うためのシャッタ7、シャ
ッタ7の駆動装置8を備えている。チャンバ1には、さ
らに、成膜用ガス源9及びベントガス導入用電磁弁20
が接続されている。
【0011】電極3は接地電極であり、これには成膜温
度調節用のヒータ31が付設されている。電極4には高
周波電源41にて高周波電圧が印加される。これら電極
3、4は、基体6へのダスト付着を少なくするため、い
ずれも鉛直に配置してある。基体支持トレー5は、図2
に示すように、平坦な板状体のもので、表面に設けた四
つの凹所51のそれぞれに成膜すべき基体6を取り外し
可能に装着できる。
【0012】前記シャッタ7は、トレー5に支持される
基板を覆うに十分な面積の板体からなり、チャンバ1に
ゲートバルブ71を介して連設したシャッタ収容室72
に納められ、アーム73にて支持されている。ゲートバ
ルブ71は、閉じることによってチャンバ1と室72を
気密に隔て、開けると、チャンバ1及び室72間のシャ
ッタ往復を許すものである。シャッタ7を支持するアー
ム73は、シャッタ収容室72の壁721を、そこに設
けたシール装置74にて気密に、且つ、摺動自在に貫通
しており、室72の外へ出た部分が、駆動装置8に連結
されている。
【0013】駆動装置8は、ラックピニオン機構を介し
てアーム73を往復駆動できるモータからなる。なお、
駆動装置8については、このほかピストンシリンダ装置
等を利用したものでもよい。また、収容室72は電磁弁
22を介してポンプ2に接続されている。以上説明した
成膜装置により本発明方法を実施するにあたっては、
ず、成膜すべき基体6を装着したトレー5を電極3上に
設置する。しかるのち、チャンバ1内を電磁弁21の開
成とポンプ2の運転にて所定圧まで真空引きし、そのあ
と、成膜用ガス源9から成膜用ガスをチャンバ内に導入
する。次いで、電源41にてこのガスに高周波電圧を印
加し、プラズマ化させ、基体6上に成膜させる。
【0014】一方、成膜終了に先立って、シャッタ収容
室72内を、電磁弁22の開成とポンプ2の運転にてチ
ャンバ1内と同程度の圧力まで真空引きしておく。成膜
終了時、ゲートバルブ71を開き、駆動装置8を運転し
てシャッタ7をチャンバ1内へ進め、該シャッタで成膜
された基体6の表面を覆う。基体6の表面がシャッタ7
で覆われると、電圧印加、成膜用ガスの供給をそれぞれ
停止し、チャンバ1内を排気したのち、シャッタ7を室
72へ後退させ、ゲートバルブ71を閉じるとともに、
弁20を開けてチャンバ1内にN2 ガス等を導入してベ
ント処理し、基体6を取り出す。なお、チャンバ1内の
真空を維持したまま、且つ、シャッタ7を基体6を覆う
位置に置いたまま、基体6をトレー5ごと、次のプロセ
スチャンバへ移動させることも考えられる。
【0015】前記装置によると、プラズマ消滅時及びそ
の後の排気を行う間、基体6はシャッタ7で覆われたま
まであるから、成膜中にプラズマに蓄積されたダストが
基体上に形成された膜へ飛来、付着することが抑制され
る。また、基体6をシャッタ7で覆ったまま、トレー5
を次のプロセスチャンバへ移動させるときも、同様に、
基体上に形成された膜へのダスト飛来、付着が抑制され
る。
【0016】以上説明した装置により、10インチ角の
ガラス基板上にSiHnラジカルを用いてa−Siの成
膜を行ったところ、ダスト付着はほぼ見られなくなっ
た。なお、以上説明した方法はプラズマCVDである
が、本発明はその他プラズマによるスパッタ法等にも
用できる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、プ
ラズマによる成膜方法において、成膜中に発生する気相
中のダストの、成膜終了後の、基体上に形成された膜
の付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施に用いる成膜装置の1例の概
略断面図である。
【図2】図1に示す成膜装置の基体支持トレー及びシャ
ッタの正面図である。
【図3】プラズマ中にダストが蓄積される様子を示すグ
ラフである。
【図4】プラズマ中のダストがプラズマ消滅後、被成膜
基体へ移行する様子を示すグラフである。
【符号の説明】
1 真空チャンバ 2 真空ポンプ 20、21、22 電磁弁 3 接地電極 4 高周波電極 41 高周波電源 5 基体支持トレー 6 基体 7 シャッタ 71 ゲートバルブ 72 シャッタ収容室 73 シャッタ支持アーム 8 シッャタ駆動装置 9 成膜用ガス源

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空チャンバ内で成膜原料ガスをプラズ
    マ化し、該プラズマのもとに該チャンバ内の被成膜基体
    上に成膜するプラズマによる成膜方法であって、被成膜
    基体上への成膜終了後、形成された膜表面とプラズマと
    の間に該真空チャンバに設けたゲートバルブ部分から該
    チャンバ内へ進入させた板体シャッタを配置することで
    該膜表面を覆ってプラズマから遮断してからプラズマを
    停止させることを特徴とするプラズマによる成膜方法。
  2. 【請求項2】 真空チャンバ内で成膜原料ガスをプラズ
    マ化し、該プラズマのもとに該チャンバ内の被成膜基体
    上に成膜するプラズマによる成膜方法であって、被成膜
    基体上への成膜終了後、プラズマを停止させないまま、
    形成された膜表面とプラズマとの間に該真空チャンバに
    設けたゲートバルブ部分から該チャンバ内へ進入させた
    板体シャッタを配置することで該膜表面を覆ってプラズ
    マから遮断し、引き続き該板体シャッタで該膜表面を覆
    ったまま前記基体を前記真空チャンバから搬出すること
    を特徴とするプラズマによる成膜方法。
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