JP2535664Y2 - スリッパシール - Google Patents

スリッパシール

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JP2535664Y2
JP2535664Y2 JP1991018044U JP1804491U JP2535664Y2 JP 2535664 Y2 JP2535664 Y2 JP 2535664Y2 JP 1991018044 U JP1991018044 U JP 1991018044U JP 1804491 U JP1804491 U JP 1804491U JP 2535664 Y2 JP2535664 Y2 JP 2535664Y2
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slipper seal
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Inventor
幸夫 谷川
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株式会社阪上製作所
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、流体圧シリンダ等の流
体圧機器のピストン部あるいはロッド部のシールに用い
られるスリッパシールに関する。詳述すれば、本考案
は、相手運動面に接触するシールリングと前記シールリ
ングに接触力を付与するバックリングとを組合せて構成
され、特に低摩擦特性および装着作業性に優れたスリッ
パシールに関する。
【0002】
【従来の技術】図6に示すように、従来からのスリッパ
シール21は、PTFEなどの軟質合成樹脂からなる略矩形断
面のシールリング22と、合成ゴム製の略矩形断面のバッ
クリング23とを組合せたシール装置で、バックリング23
をつぶすことによって、シールリングの相手運動面に対
する接触力を得るように構成された圧縮型のシール装置
である。
【0003】図7は同じく従来のスリッパシール21を示
すもので、この場合にはシールリング22の内側にバック
リング23が組合わされている。
【0004】従って、スリッパシール21のシール性を向
上させるには、バックリング23のつぶし量 (圧縮量) を
大きくして、シールリング22の相手面に対する接触力を
大きくする必要がある。
【0005】ところが、図6を例にとって説明すると、
バックリング23のつぶし量 (δ) は、シールリング22の
厚さ(T) とバックリング23の厚さ(t) の和と、装着溝の
深さ(W) の関係 (δ=T+t−W) であるから、シール
リング、バックリングの厚さのばらつきが、つぶし量の
ばらつきとなり、単体のシール (例えばOリングなど)
に比べばらつきの幅が必然的に大きくなってしまう。
【0006】つぶし量のばらつきは、摩擦特性、シール
特性に影響を与え、つぶし量が大きい場合は、摩擦抵抗
が大きくなり、スリッパシールの大きな特長である低摩
耗性を損ない、さらに、つぶし量が多すぎて、装着時に
バックリングのつぶされた体積の逃げがなくなると、機
器の組立てが困難になるなどの問題点があった。
【0007】そのため、シールリング22の厚さ(T) 、バ
ックリング23の厚さ(t) の製作公差は、シビアなレンジ
に規定しなければならず、要求特性によっては、寸法ラ
ンクによる組合せを行い、規定のつぶし量を得るなどの
工数を要していた。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】本考案の目的は、上述
したようにスリッパシールのシールリングの厚さおよび
バックリングの厚さを特別にシビアな寸法公差とした
り、さらには選別組合わせを行なわずとも、シール性、
低摩擦特性に優れ、しかも装着作業の容易なスリッパシ
ールを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】ここに、本考案の要旨
は、例えば合成樹脂、または合成ゴム等からなる略矩形
断面のシールリングと、該シールリングより軟質のゴム
状弾性体からなるバックリングとを組合せて構成し、バ
ックリング本体のシールリングとは反対側の固定側周面
に不連続突出部を有することを特徴とするスリッパシー
ルである。
【0010】本考案の1実施態様によれば、前記不連続
突出部は軸方向に延在する複数の突起から構成される。
【0011】あるいは前記不連続突出部は、周方向に不
連続に延設された凸状部から構成されていてもよい。
【0012】すなわち、本考案によればバックリングの
固定側周面に突出部を設けて所定のつぶし量を確保する
とともにそれを不連続形態とすることにより突出部をつ
ぶしたときの逃げ場を与え過度の摩擦抵抗の発生を防ぐ
ものである。
【0013】
【作用】ここで添付図面を参照して本考案をさらに具体
的に説明する。
【0014】図1および図2は本考案にかかるスリッパ
シール1を示すそれぞれ平面図および部分断面図であ
り、これはロッド部のシール装置としての構成を示すも
ので、バックリングの固定側周面が最外周面にくる。
【0015】図示例は不連続突出部として軸方向に延在
する複数の突起6を備えた場合を示す。
【0016】図示のように、本考案によれば、略矩形断
面のシールリング2の外周側に組合わされた略矩形断面
のバックリング本体4のシールリング2とは反対側の固
定側周面5には、軸方向に延在する複数の半円弧状の突
起6から成る突出部が設けられている。
【0017】シールリング2の材料としては、一般的に
はふっ素樹脂が使用されるが、流体の種類、圧力、温度
などの使用条件に応じて、各種の合成ゴム、合成樹脂、
熱可塑性エラストマーから選ぶことができ、バックリン
グ3は、前記シールリング2の材質より軟質のゴム状弾
性材料が使用され、これも、使用条件に合わせて選択使
用される。例えばアクリロニトリルゴムが例示される。
【0018】本考案のスリッパシール1は、図3に示す
ように、装着時においては、装着溝11の底面12に、バッ
クリング3の突起6が圧接してつぶされることによっ
て、シールリング2を相手運動面に向かって押圧する力
を得ている。
【0019】本考案におけるバックリング3の前記突起
6は、突起6の突出量、つぶし量および接触面積の設
定、さらにはゴム材質の選択により接触力を設定できる
ため、それらを適宜選択することによりスリッパシール
のシール性、摩擦特性においても、広い特性範囲のもの
を容易に得ることを可能としている。
【0020】本考案によるスリッパシール1の流体圧力
のシールは、シールリング2と相手運動面10の接触面
と、バックリング3の低圧側の側面と装着溝の側面13と
の接触面と、およびバックリング3とシールリング2と
の接触面との3か所で行っている。
【0021】したがって、バックリング3の前記突起6
の間の凹部8に、流体圧力が導入されてもバックリング
3からの漏れの発生はなく、高圧時においては、前記凹
部8に流体圧力を積極的に導入することにより、バック
リング3のシールリング2に対する押付け力を流体圧力
に比例的に上昇させて、シールリング2と相手運動面間
のシール性を高めるように作用するため、シール性の向
上に寄与する。
【0022】シールリング2の圧力側の側面には、図1
からも明らかなように、バックリング側に流体圧力を素
早く導入して、ブローバイを防止するための流体の流路
となる径方向の流通溝9を設けてもよい。
【0023】このように、シールリング2の流体圧力側
の側面に、外周面と内周面をつなぐ1ないし数個の流路
溝9を設けることは、高圧時あるいは圧力の変動が激し
い場合などには、バックリング3に流体圧力が作用する
ことを容易にし、これにより、より優れた圧力に対する
応答性が得られ、シール性を向上させることができる。
【0024】この径方向の流通溝9は、圧力変動の激し
い条件、あるいは、バッファシールとしての使用におい
ては不可欠なものであるが、ピストン部のシール装置と
して両方向からの流体圧力をシールする場合は、特に設
ける必要はないものである。
【0025】本考案のスリッパシール1は、前述したよ
うに不連続突出部の一部分のみをつぶすだけで、バック
リング本体4はつぶさないため、つぶし量を従来のバッ
クリングの場合に比べ相当に大きくしても摩擦力の増大
は防げ、かつ、長期の使用において材質の歪が発生した
場合においても、残留するつぶし量が確保されるので、
長期間シール性が維持される。
【0026】前述したように、つぶし量の許容範囲が拡
がることは、シールリング2、バックリング3の厚さの
製作公差の許容範囲が広く取れることを意味し、スリッ
パシールの製作上の利点も大きく、また、凹部8が装着
時につぶされる突起6の逃げ領域を提供するため、つぶ
し量が大きすぎることによる装着作業性の不都合も解消
される。
【0027】バックリング3の高さを、シールリング2
と同程度の寸法に設定しても、つぶされる突起6の逃げ
領域が確保されているため、装着作業における不具合の
発生はなく、バックリング3の装着溝内での軸方向の移
動量が少なくなるため、圧力方向の切替えによるスリッ
パシールの装着溝内での移動が早くなり、シール性の向
上をはかることができる。
【0028】図4および図5は、ピストン用として構成
した、本考案の他の態様を説明するそれぞれ側面図およ
び部分断面図であるが、バックリング3の内周面5に径
方向に突出し、周方向に不連続に延設された凸状部7
を、不連続部10の位相を互いにずらして2重に設けたも
のである。このときには凹部8ばかりでなく、不連続部
10も凸状部7をつぶしたときに逃げ領域を与える。
【0029】このような構成をとっても突出部を突起6
から構成した場合と同様の作用効果が得られるばかりで
なく、不連続部10の位相を互いにずらすことにより、シ
ールリング2への押圧力が均一になり、シール性が向上
する効果も得られる。
【0030】いずれにしても、本考案のスリッパシール
1の特徴は、バックリング2は、バックリング2の固定
側周面5に設けた、突起6または凸条7のみをつぶすこ
とによって、シールリングの相手運動面への接触力を得
るように構成していることにある。なお、不連続突出部
の例として突起6および凸状部7の例だけを掲げたが、
その他ランダムな配置の突起であってもさらには軸線に
対し傾斜させた配置の突起であってもよく、つぶし量と
逃げ領域が確保されれば特定形態のものに制限されな
い。
【0031】本考案のスリッパシールは、他のシール装
置と組合せてバッファーシールとして使用してもよく、
特にその場合、前記凹部8が流体圧の導入によるシール
性の向上と共に、低圧側の他のシール装置によりシール
され、圧力室の圧力が低圧に切替えられた際にこのシー
ル装置とスリッパシールとの間に溜った圧力流体 (背
圧) を戻す流路として作用し、シールリング2の側面の
流路溝9と協働して、圧力室側に逃がす流路が確保され
るため、保護用シール装置としても有効な作用効果を持
つものである。
【0032】このように、本考案のスリッパシールは、
バックリングの凹部8が、流体圧力の導入によるシール
性の向上と、背圧の流路としての効果を供えているた
め、一般的にかなり高圧条件下で使用される、バッファ
ーシールとしての使用においても、優れた効果が得られ
る。
【0033】
【考案の効果】以上詳述したように、本考案にかかるス
リッパシールは、従来からのスリッパシールと同様、往
復運動、回転運動、およびそれらの複合された運動をす
る、ピストン部、ロッド部に取付け、各種流体の圧力を
シールするシール装置として使用され、その場合寸法公
差などが厳しくなくてもよいため、製作・組立てが容易
となり、使用に当たっても高圧下で十分なシール性を確
保しながら摩擦力の増加を抑えることができるなど、す
ぐれた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案にかかるスリッパシールの平面図であ
る。
【図2】図1に示すスリッパシールの片側断面図であ
る。
【図3】本考案にかかるのスリッパシールの装着状態を
示す断面図である。
【図4】本考案の他の実施例を示す平面図である。
【図5】本考案の他の実施例を示す片側断面図である。
【図6】従来からのスリッパシールの断面図で、破線
は、装着溝を示す想像線である。
【図7】従来からのスリッパシールの断面図である。
【符号の説明】
1 : スリッパシール 2 : シールリング 3 : バックリング 4 : 本体 5 : 固定側周面 6 : 突起 7 : 凸状 8 : 凹部 9 : 流通溝 10 : 相手運動面 11 : 装着溝 12: 溝底面 13, 14 : 溝側面

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略矩形断面のシールリング2と、該シー
    ルリング2より軟質のゴム状弾性体からなるバックリン
    グ3とを組合せて構成し、バックリング本体4のシール
    リング2とは反対側の固定側周面5に軸方向に延在する
    複数の突起6から成る不連続突出部を有することを特徴
    とするスリッパシール。
  2. 【請求項2】 略矩形断面のシールリング2と、該シー
    ルリング2より軟質のゴム状弾性体からなるバックリン
    グ3とを組合せて構成し、バックリング本体4のシール
    リング2とは反対側の固定側周面5に周方向に不連続に
    延設された凸状部7から成る不連続突出部を有すること
    を特徴とするスリッパシール。
JP1991018044U 1991-03-25 1991-03-25 スリッパシール Expired - Lifetime JP2535664Y2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59180056U (ja) * 1983-05-19 1984-12-01 エヌオーケー株式会社 パツキン
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