JP2534822Y2 - 牽引フックのカバー構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は牽引フックのカバー構造
に関し、詳しくはバンパーフェイスにおける車体に取付
けられる牽引フックと対応する部位に形成された開口部
をカバー部材で覆う牽引フックのカバー構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記のような牽引フックのカバー構造と
しては、実開昭６１−３７０５２号公報に示されるよう
に、緩衝材よりなりヒンジ部を介して上部と下部とに分
割されたバンパーガードの上部を、その下部がバンパー
フェイスに形成された開口部を開閉自在に覆うようにバ
ンパーフェイスの表面に固定する構造のものが知られて
いる。

【０００３】ところが、上記牽引フックのカバー構造に
よると、バンパーガードがバンパーフェイスの表面側に
突出しているため、見栄えが良くないという問題があ
る。

【０００４】そこで、近時、カバー部材をバンパーフェ
イスと別体に設け、該カバー部材を、上記開口部をバン
パーフェイス表面側から覆うカバー部材本体と該カバー
部材本体の裏面に突設された係合爪とから構成し、カバ
ー部材本体が上記開口部を覆った状態で上記係合爪をバ
ンパーフェイスの裏面に係止せしめる牽引フックのカバ
ー構造が提案されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかるに、上記牽引フ
ックのカバー構造によると、カバー部材本体がバンパー
フェイスの開口部をバンパーフェイス表面側から覆う構
造であるため、車両が軽衝突を起こした場合、バンパー
フェイスが車体側へ移動する一方カバー部材は牽引フッ
クに当接して車体側への移動を阻止されるため、カバー
部材がバンパーフェイスから反車体側へ離脱して飛散し
てしまうという問題がある。

【０００６】また、上記牽引フックのカバー構造による
と、カバー部材の係合爪がバンパーフェイスの裏面に係
止されているため、牽引フックの使用時に、作業者がカ
バー部材の係止爪をバンパーフェイスの裏面から離脱さ
せてカバー部材をバンパーフェイスから取り外し、上記
開口部を開放するという作業が困難であるという問題が
ある。

【０００７】本考案は、上記の問題点を一挙に解決し、
車両の軽衝突時にカバー部材がバンパーフェイスから離
脱し難く且つ牽引フックの使用時にバンパーフェイスの
開口部を開放し易い牽引フックのカバー構造を提供する
ことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本考案は、カバー部材がバンパーフェイスの開口部
をバンパーフェイス裏面側から覆うと共に、バンパーフ
ェイスがカバー部材を水平方向へスライド自在に保持す
る構造にするものである。

【０００９】具体的に本考案が講じた解決手段は、車体
に取り付けられた牽引フックと対応してバンパーフェイ
スに形成された開口部と、上記バンパーフェイスと別体
に設けられ上記開口部をバンパーフェイス裏面側から覆
うカバー部材と、上記バンパーフェイス裏面における上
記開口部の上側及び下側に沿ってバンパーフェイス裏面
側へ一体に突出するように各々設けられ上記バンパーフ
ェイスの裏面とで上記カバー部材を水平方向へスライド
自在に保持する上側ガイド部及び下側ガイド部とを備え
ており、これら上側ガイド部及び下側ガイド部のうちの
少なくとも一方の一部を上下方向への可撓性を有する複
数に分割された小片により構成するものである。

【００１０】

【作用】上記の構成により、バンパーフェイスと別体に
設けられバンパーフェイスに形成された開口部をバンパ
ーフェイス裏面側から覆うカバー部材を備えているた
め、車両の軽衝突時にバンパーフェイスが車体側へ移動
した場合、カバー部材が牽引フックに当接して反車体側
へ相対移動しようとしても、カバー部材はバンパーフェ
イスの開口部周縁に当接して反車体側へ移動するのを阻
止される。

【００１１】また、カバー部材をバンパーフェイスの裏
面とで水平方向へスライド自在に保持する上側ガイド部
及び下側ガイド部を備えているため、牽引フックの使用
時にはカバー部材を水平方向へスライドさせることによ
りバンパーフェイスの開口部を容易に開放することがで
きる。

【００１２】さらに、上側ガイド部及び下側ガイド部の
うちの少なくとも一方の一部は、上下方向への可撓性を
有する複数に分割された小片により構成されており、可
撓性を有する小片よりなるガイド部材は上下方向へ容易
に撓むので、カバー部材をバンパーフェイスの裏面に容
易に組み付けることができる。

【００１３】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１４】図１は本考案の一実施例に係る牽引フック
のカバー構造が適用された自動車用バンパーＡの左部の
斜視構造を示し、図２は上記自動車用バンパーＡをバン
パーフェイス裏面側から見た分解斜視構造を示してい
る。

【００１５】同図において１０は自動車用バンパーＡを
構成するバンパーフェイスであって、該バンパーフェイ
ス１０は、車体に取り付けられる牽引フックと対応する
部位に形成された矩形状の開口部１２を有している。同
図において１４はバンパーフェイス１０と別体に設けら
れたカバー部材であって、カバー部材１４は上記開口部
１２よりも一回り大きい矩形状に形成されており上記開
口部１２をバンパーフェイス裏面側から覆うことができ
る。また、カバー部材１４の裏面には矩形状の補強リブ
１４ａ及び紐係止部１４ｂが各々設けられている。ま
た、１５は紐部材であって、一端が紐係止部１４ｂに他
端がバンパーＡ又は車体（図示せず）に連結されてい
て、カバー部材１４がバンパーフェイス１０から外れて
もカバー部材１４が紛失されないようにされている。

【００１６】図２に示すように、バンパーフェイス１０
における開口部１２の上側には上下方向への可撓性を有
する部材よりなる複数の上側ガイド部１６がバンパーフ
ェイス裏面側へ突出しており、各上側ガイド部１６の先
端部の下面には下方へ突出する係止爪１６ａが設けられ
ている。また、バンパーフェイス１０における開口部１
２の下側には複数の下側ガイド部１８がバンパーフェイ
ス裏面側へ一体に突出しており、各下側ガイド部１８の
上面には凹条溝１８ａが設けられている。そして、カバ
ー部材１４は、上部においてはバンパーフェイス１０の
裏面と上側ガイド部１６の係止爪１６ａとで挟持され、
下部においては下側ガイド部１８の凹条溝１８ａに嵌合
されており、これらによりカバー部材１４は、バンパー
フェイス１０の裏面と上側ガイド部１６及び下側ガイド
部１８とによって水平方向へスライド自在に保持され
る。

【００１７】図３（ａ）及び（ｂ）は図１におけるIII
−III 線の断面構造を、図４は図１におけるIV−IV線の
断面構造を各々示している。

【００１８】図３（ａ）及び（ｂ）に示すように、カバ
ー部材１４の表面における一側部には凸条の把手１４ｃ
が設けられていると共に、把手１４ｃの右側には第１の
突起１４ｄが、把手１４ｃの左側には第２の突起１４ｅ
が各々設けられている。また、バンパーフェイス１０の
裏面における開口部１２の右側には第１の係止用凸条１
０ａが、開口部１２の左側には第２の係止用凸条１０ｂ
が各々設けられており、図３（ａ）に示すように、カバ
ー部材１４が開口部１２を閉塞した状態では第１の突起
１４ｄが第１の係止用凸条１０ａに係止されて閉塞状態
が維持され、図３（ｂ）に示すように、カバー部材１４
が開口部１２を開放した状態では第２の突起１４ｅが第
２の係止用凸条１０ｂに係止されて開放状態を維持す
る。尚、図３（ａ）及び（ｂ）において、Ｂは車体に取
り付けられた牽引用フックである。

【００１９】図４はカバー部材１４をバンパーフェイス
１０に取り付ける状態を示しており、カバー部材１４の
下端部を下側ガイド部１８の凹条溝１８ａに嵌合させた
後、カバー部材１４の上端部をバンパーフェイス１０の
方へ押圧すると、上側ガイド部１６が上下方向への可撓
性を有しているため上方へ逃げるので、カバー部材１４
の上端部はバンパーフェイス１０の裏面と上側ガイド部
１６の係止爪１６ａとで挟持される。

【００２０】図５は、図２に対応した本考案の変形例を
示し、カバー部材１４が開口部１２を開けた位置で挟持
する上側ガイド部１９のみを上下方向への可撓性を有す
る部材で形成し、さらに、上記上側ガイド部材１９の先
端部に下方へ突出する係止爪１９ａを設け、他の上側ガ
イド部２０は、下側ガイド部１８と同様の形状であっ
て、その下面に凹条溝２０ａを設けたものである。

【００２１】上記変形例では、通常時（開口部１２を閉
塞した状態）で、カバー部材１４の上下両端部が共に上
下のガイド部２０，１８の凹条溝２０ａ，１８ａに嵌合
されるので、車両の軽衝突時にカバー部材１４がバンパ
ーフェイス１０から離脱し難くなる効果がより向上す
る。

【００２２】

【考案の効果】以上説明したように、本考案に係る牽引
フックのカバー構造によると、バンパーフェイスと別体
に設けられバンパーフェイスに設けられた開口部をバン
パーフェイス裏面側から覆うカバー部材と、バンパーフ
ェイスにおける上記開口部の上側及び下側に各々設けら
れカバー部材をバンパーフェイスの裏面とで水平方向へ
スライド自在に保持する上側ガイド部及び下側ガイド部
とを備えているため、車両の軽衝突時にバンパーフェイ
スが車体側へ移動した場合でもカバー部材はバンパーフ
ェイスの開口部の周縁部に当接して反車体側へ移動する
のを阻止されバンパーフェイスから離脱しないと共に、
牽引フックの使用時にカバー部材を水平方向へスライド
移動させることによりバンパーフェイスの開口部を容易
に開放することができる。

【００２３】また、上側ガイド部及び下側ガイド部のう
ちの少なくとも一方の一部を、上下方向への可撓性を有
する複数に分割された小片により構成したため、可撓性
を有する小片よりなるガイド部を上下方向へ撓ませるこ
とにより、カバー部材のバンパーフェイスへの組付作業
は極めて容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例である牽引フックのカバー構
造が適用された自動車バンパーの一部分の斜視図であ
る。

【図２】上記牽引フックのカバー構造におけるバンパー
フェイス及びカバー部材のバンパーフェイス裏面側から
見た斜視図である。

【図３】図１におけるIII −III 線の断面図である。

【図４】図１におけるIV−IV線の断面図である。

【図５】本考案の変形実施例を示す図２相当図である。

【符号の説明】

Ａ…自動車用バンパー Ｂ…牽引フック １０…バンパーフェイス １２…開口部 １４…カバー部材 １６…上側ガイド部 １８…下側ガイド部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 中村 浩一郎 広島県安芸郡府中町新地３番１号 マツ ダ株式会社内

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体に取り付けられた牽引フックと対応
   してバンパーフェイスに形成された開口部と、上記バン
   パーフェイスと別体に設けられ上記開口部をバンパーフ
   ェイス裏面側から覆うカバー部材と、上記バンパーフェ
   イス裏面における上記開口部の上側及び下側に沿ってバ
   ンパーフェイス裏面側へ一体に突出するように各々設け
   られ上記バンパーフェイスの裏面とで上記カバー部材を
   水平方向へスライド自在に保持する上側ガイド部及び下
   側ガイド部とを備えており、これら上側ガイド部及び下
   側ガイド部のうちの少なくとも一方の一部は上下方向へ
   の可撓性を有する複数に分割された小片により構成され
   ていることを特徴とする牽引フックのカバー構造。