JP2534524Y2 - エキスパンドメタルの取付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えば自動車のラジエタグリルに使用され
る鋼板（エキスパンドメタル）を、車体に確実かつ容易
に止着することができるエキスパンドメタルの取付装置
に関するものである。

〔従来の技術〕

従来のこの種のエキスパンドメタルの取付装置として
は、例えば第９図及び第10図に示す如き構造のものがあ
る。同図において、１はエキスパンドメタルであって、
このエキスパンドメタルは、素材である金属板に一定長
さである多数のスリットを平行かつチドリ状となるよう
に施し、次いでこの金属板を網目形状に合わした刃形
で、一定の刻の巾だけを拡開しつつ網目が引き伸ばされ
ることにより、形成される。このエキスパンドメタル１
を例えば自動車のラジェタグリル（（図示）せず）に固
定されるブラケット２に取付けるには、そのブラケット
２に取付ねじ３を介して取付けられる取付金具４によっ
て、そのエキスパンドメタル１の辺縁部をブラケット２
と取付金具４との間に挟持せしめているのが現状であ
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、このような従来のエキスパンドメタル取付
手段にあっては、そのエキスパンドメタル１の辺縁に対
応する額縁形状の平面的取付ブラケット２を用いるもの
であるために、そのエキスパンドメタル１が平面的な形
状であるものにあっては、その平面的取付ブラケット２
に対応して取付（挟持）けることが容易であるが、エキ
スパンドメタル１が三次元的立体形状ものにあっては、
該エキスパンドメタル１形状に合わせて取付ブラケット
２も複雑形状に設定しなければならず、その取付ブラケ
ット２の作成に費用がかかりコスト高の取付ブラケット
となる不具合があった。この不具合を解消するための手
段として、エキスパンドメタル１の周縁部が平面状とな
るように整形することも考えられるが、この場合エキス
パンドメタルの立体的表現に制約があって、複雑な立体
形状のエキスパンドメタルに設定することができないと
いう問題点があった。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、このような従来の問題点に着目してなされ
たもので、エキスパンドメタルの形状が立体的（三次元
形状）であり、しかも複雑な凹凸を有する場合であって
も、該エキスパンドメタルを所定の取付個所に容易かつ
確実に取付けることができる取付装置を開発することに
ある。

さらに本考案を具体的に述べればエキスパンドメタル
の辺縁部にくわえ保持し得る一乃至複数種の取付金具を
容易し、エキスパンドメタルを被取付体に取付けるに際
し、それら取付金具をエキスパンドメタルの辺縁形状に
マッチするものと選択し、この取付金具を介してエキス
パンドメタルを、ドライバー等の取付工具を一切使用す
ることなく、きわめて容易かつ確実に車体等の被取付体
に取付けることができるエキスパンドメタルの取付装置
を提供することにある。

〔実施例〕

以下に本考案を第１図乃至第８図に示す実施例に基い
て詳細に説明する。

11は自動車のフロント部すなわち、ラジエタグリルで
ある車体であって、この車体11にエキスパンドメタル12
を取付けるものとする。このエキスパンドメタル12を車
体11に取付けるには、取付金具13が使用されるものであ
るが、先ずこの取付金具13の構造について述べると、第
５図及び第６図に示すように、この取付金具13は、可撓
弾性を有する鋼板を素材として打抜き形成された一体部
品であって、その正面（第５図参照）において中央部に
横方向の隙間14を隔てて上下に隔設されかつ側面におい
て八字状に対設される一対の歯15と、これら歯15の上下
に連続する係合舌片16が形成されている。この係合舌片
16の両側には、該係合舌片16及び前記歯15の夫々に可撓
弾性を保有せしめるためにスリット17及び18が形成され
ている。上下の歯15の各左右両端には、夫々の当接片19
が連続形成されており、さらに各上下の当接片19は、側
面く字状に折り曲げられるつまみ部20によって連続され
ているものである。なお前記一対の係合舌片16先端間の
長さＬは、エキスパンドメタル12の菱形空間の短辺より
長くまたその長辺よりも短かくなるように設定されてい
る。

次にその作用について述べると、先ずエキスパンドメ
タル12に、取付金具13を止着するが、この止着手順は、
前記構成の取付金具13を、第７図及び第８図に示す如く
縦向きとなしてエキスパンドメタルの表面に当接片19が
当接するようにして当てがいしかも双方の係合舌片16
が、エキスパンドメタル12の菱形空間内に位置されるよ
うに位置する。次いでその取付金具13の当接片19をエキ
スパンドメタルの表面に押圧しながら、つまみ部20を指
にかけて時計方向又は反時計方向に90度回動することに
より（第３図参照）、双方の係合舌片16は、エキスパン
ドメタル12の裏側に位置されるため、その取付金具13の
当接片19と係合舌片16との弾圧作用によって該取付金具
13がエキスパンドメタル12に挟持固定されるものであ
る。かくして複数個の取付金具13を、エキスパンドメタ
ル12の適所に止着した後その各取付金具13の一対の歯15
相互間に、車体11に突設されている突起10を挿し込むこ
とにより、その突起10が一対の歯15によってくわえら
れ、エキスパンドメタル12が車体11に取付けられるもの
である。

このように本実施例の取付金具構造によれば、この取
付金具13をエキスパンドメタル12に止着する操作は、そ
のエキスパンドメタル12に当てがった取付金具13を90度
回動するといったワンタッチ操作でエキスパンドメタル
12に止着することができる。またこのエキスパンドメタ
ル12に止着した取付金具13の歯15に車体の突起部を挿し
込みくわえさせることにより該エキスパンドメタル12を
車体に取付けることができる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案は中央部に横長手方向に延びる間
隙14を隔てて対設され、かつ先端が鋸歯状をしてなる可
撓弾性の一対の歯15と、これら双方の歯15の後方へ延長
形成されると共に側面八字状となるように形成されて、
エキスパンドメタル12の裏面に当接し得る一対の係合舌
片16と、前記一対の歯15の夫々の両端部から、上記隙間
14を含む面と平行方向に延長形成されて、エキスパンド
メタル12の表面に当接し得る当接片19と、それら当接片
19を互に連続すると共に、前記歯15の延長方向と同方向
に突出する断面へ字状のつまみ部20が鋼板を素材として
打抜き形成されているエキスパンドメタルの取付装置で
あるから、これによれば、エキスパンドメタルを、該取
付装置を介して車体にワンタッチで取付けることがで
き、エキスパンドメタルの車体への取付作業性が著しく
向上し、さらには、その車体への固着が確保できるとい
う効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案よりなエキスパンドメタル取付装置の取
付態様を示した正面説明図、第２図はその側面概略図、
第３図は第１図におけるＡ部拡大正面図、第４図は第３
図におけるIV−IV線断面図、第５図は取付金具のみの正
面図、第６図はその側面図、第７図は取付開始状態の正
面説明図、第８図はその側面図、第９図及び第10図は従
来例の説明図及び断面図である。 10……突起、11……車体 12……エキスパンドメタル、13……取付金具 14……隙間、15……歯 16……係合舌片、17,18……スリット 19……当接片、20……つまみ部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】中央部に横長手方向に延びる隙間（14）を
   隔てて対設され、かつ先端が鋸歯状をしてなる可撓弾性
   の一対の歯（15）と、これら双方の歯（15）の後方へ延
   長形成されると共に側面八字状となるように形成され
   て、エキスパンドメタル（12）の裏面に当接し得る一対
   の係合舌片（16）と、前記一対の歯（15）の夫々の両端
   部から、上記隙間（14）を含む面と平行方向に延長形成
   されて、エキスパンドメタル（12）の表面に当接し得る
   当接片（19）と、それら当接片（19）を互に連続すると
   共に、前記歯（15）の延長方向と同方向に突出する断面
   へ字状のつまみ部（20）が鋼板を素材として打抜き形成
   されていることを特徴とするエキスパンドメタルの取付
   装置。