JP2534103Y2 - シートのパワースライド機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、主として２ドア車な
どの車両におけるフロントシートのパワースライド機構
に関する。

【０００２】

【従来の技術】運転席、助手席等のフロントシートは、
車体フロアに対してシートが前後方向に移動調節できる
ようになっている。すなわち、図４に示すように、車体
フロア１にはロアレール２が固定され、このロアレール
２に対してアッパレール３が前後方向にスライド自在に
支持され、スライドレール４が構成されている。

【０００３】スライドレール４のアッパレール３にはシ
ートクッション５とシートバック６とからなるシート７
が支持され、シート７は前後方向に移動自在であり、シ
ートバック６は枢支軸８を支点として前倒できるように
なっている。

【０００４】また、パワースライド機構にあっては、一
対のスライドレール４間に電動モータからなる駆動機構
（図示しない）が設けられ、この駆動機構によってアッ
パレール３が前後方向に駆動され、この駆動機構は、図
５に示すように、通常はリミットスイッチ９によって制
御される。

【０００５】すなわち、リミットスイッチ９はアッパレ
ール３の側部に固定され、ロアレール２の側部にはリミ
ットスイッチ９と対向するスイッチ操作部１０が突設さ
れている。そして、アッパレール３を前方にスライドし
てリミットスイッチ９がスイッチ操作部１０に接触する
と、スイッチオフとなって駆動機構が停止する。

【０００６】したがって、リミットスイッチ９によって
シート７の前方への移動量、つまりスライドストローク
が規制され、シート７が過剰に前方へ移動することによ
る足はさみ等の事故を未然に防止する安全対策が図られ
ている。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】ところが、前述のよう
にシート７の前方への移動量が規制されていると、２ド
ア車の場合に、フロンドア１１を開放し、シートバック
６を前倒させても、シートバック６と車体のセンタピラ
ー１２との間の間隔が狭く、乗降性が悪いという問題が
ある。

【０００８】この考案は、前記事情に着目してなされた
もので、その目的とするところは、シートが過剰に前方
へ移動することによる足はさみ等の事故を未然に防止す
る安全対策を確保しつつ、シートバックとセンタピラー
との間の間隔を広くして乗降性を向上できるシートのパ
ワースライド機構を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この考案は、前記目的を
達成するために、アッパレールに駆動機構をオン・オフ
するリミットスイッチを設けるとともに、ロアレールに
前記アッパレールのスライドに伴って移動する前記リミ
ットスイッチの移動路上に対向し、かつ前後方向に離間
して前側および後側の一対のスイッチ操作部を有したシ
ーソ式に回動自在なリミット切換えブラケットを設け
る。

【００１０】また、シートバックにケーブルの一端を連
結し、ケーブルの他端を前記リミット切換えブラケット
に連結し、シートバックの前倒に伴って前記リミット切
換えブラケットを回動させて後側のスイッチ操作部を退
避させて前側のスイッチ操作部をリミットスイッチの移
動路上に突出させるように構成したことにある。

【００１１】

【作用】シートバックを前倒させると、ケーブルは引っ
張られ、このケーブルに連結されたリミット切換えブラ
ケットは回動し、後側のスイッチ操作部は退避して逆に
前側のスイッチ操作部がリミットスイッチの移動路上に
突出する。したがって、アッパレールに設けられたリミ
ットスイッチは前方に位置する前側のスイッチ操作部に
接触するまで前方へ移動し、シートバックとセンタピラ
ーとの間の間隔が広がる。

【００１２】

【実施例】以下、この考案の一実施例を図面に基づいて
説明するが、従来と同一構成部分は同一番号を付して説
明を省略する。

【００１３】図１〜図３に示すように、スライドレール
４を構成するアッパレール３の前端側近傍に位置する側
部には取付けブラケット１３を介してリミットスイッチ
１４が固定されている。

【００１４】ロアレール２の前端側近傍に位置する側部
には側方へ突出する取付けブラケット１５が設けられて
いる。この取付けブラケット１５の上面には支持台１６
が突設され、この支持台１６には枢支軸１７が横方向に
回転自在に軸支されている。

【００１５】枢支軸１７の一端部にはリミット切換えブ
ラケット１８が固定され、他端部にはアーム１９が固定
されている。前記リミット切換えブラケット１８は枢支
軸１７を中間として前後方向に延長しており、前端側に
は前側のスイッチ操作部２０が上方に突出し、後端側に
は後側のスイッチ操作部２１が上方に突出している。

【００１６】そして、リミット切換えブラケット１８は
枢支軸１７を支点としてシーソ式に回動自在であり、捩
りばね２２によって図１の実線で示す方向、つまり後側
のスイッチ操作部２１が上方へ突出する方向に付勢され
ている。

【００１７】また、リミット切換えブラケット１８が実
線で示す状態に傾倒しているときは、後側のスイッチ操
作部２１が前記リミットスイッチ１４に対向し、２点鎖
線で示す状態に傾倒しているときは、前側のスイッチ操
作部２０が前記リミットスイッチ１４に対向するように
なっている。

【００１８】また、前記アーム１９の先端部にはケーブ
ル２３の一端部が連結されている。このケーブル２３は
保護チューブ２４にスライド自在に挿通されており、保
護チューブ２４の一端部は前記取付けブラケット１５に
対して一体に突設された支持プレート２５に支持されて
いる。

【００１９】前記ケーブル２３および保護チューブ２４
はシート７の下部を通ってシート７の後方に延長され、
ケーブル２３の他端部は前記シートバック６の下端部
で、枢支軸８より上方に接続されている。また、保護チ
ューブ２４の他端部はシートクッション５の後端部の一
部に固定されている。

【００２０】次に、前述のように構成されたシートのパ
ワースライド機構の作用について説明する。シートバッ
ク６を図３の実線で示すように正規の状態に立位させた
状態においては、ケーブル２３に張力が加わっていな
い。したがって、リミット切換えブラケット１８は捩り
ばね２２の付勢力によって図１の実線で示すように、後
側のスイッチ操作部２１が上方へ突出してリミットスイ
ッチ１４の移動路上に位置し、前側のスイッチ操作部２
０が下方へ位置している。

【００２１】この状態で、駆動機構によってシート７を
前方へスライドさせ、リミットスイッチ１４が後側のス
イッチ操作部２１に接触すると、スイッチオフとなり、
駆動機構が停止してシート７の前方へのスライドストロ
ークが規制される。

【００２２】また、フロントドア１１を開放して後部座
席に乗車する場合あるいは後部座席から降車する場合
は、シートバック６を枢支軸８を支点として２点鎖線で
示すように前倒させる。シートバック６が前倒すると、
ケーブル２３はシートバック６によって引っ張られる。
このため、ケーブル２３に接続されたアーム１９は捩り
ばね２２の付勢力に抗して後方へ回動する。

【００２３】アーム１９に固定された枢支軸１７を介し
てリミット切換えブラケット１８も同方向に回動し、図
１の２点鎖線で示すように回動する。したがって、リミ
ット切換えブラケット１８の後側のスイッチ操作部２１
が下方へ退避し、前側のスイッチ操作部２０が上方へ突
出してリミットスイッチ１４の移動路上に位置する。

【００２４】この状態で、駆動機構によってシート７を
前方へスライドさせ、リミットスイッチ１４が前側のス
イッチ操作部２０に接触するまで前方へスライドし、リ
ミットスイッチ１４が前側のスイッチ操作部２０に接触
するとスイッチオフとなり、駆動機構が停止してシート
７の前方へのスライドストロークが規制される。

【００２５】したがって、シートバック６を前倒したと
きにはシート７を通常時より前方へスライドさせてシー
トバック６とセンタピラー１２との間の間隔を広げるこ
とができ乗降性が向上する。

【００２６】また、リミット切換えブラケット１８の前
後方向に離間した一対のスイッチ操作部２０，２１の間
隔を調整することにより、シート７の前方へのスライド
ストロークを任意に設定することができる。

【００２７】

【考案の効果】以上説明したように、この考案によれ
ば、シートが過剰に前方へ移動することによる足はさみ
等の事故を未然に防止する安全対策を確保しつつ、乗降
時にはシートを通常時よりも前方へスライドさせてシー
トバックとセンタピラーとの間の間隔を広くすることが
でき、乗降性を向上できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例に係わるパワースライド機
構の要部を示す側面図。

【図２】同実施例に係わるパワースライド機構の要部の
斜視図。

【図３】同実施例のシートの側面図。

【図４】従来の２ドア車の側面図。

【図５】従来のシートの側面図。

【符号の説明】

２…ロアレール、３…アッパレール、４…スライドレー
ル、５…シートクッション、６…シートバック、７…シ
ート、１４…リミットスイッチ、１８…リミット切換え
ブラケット、２０，２１…スイッチ操作部、２３…ケー
ブル。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロアレールとこのロアレールに対して前
   後方向にスライド自在なアッパレールとからなるスライ
   ドレールに、シートクッションとこのシートクッション
   に対して前倒可能なシートバックとからなるシートを支
   持し、前記アッパレールを駆動機構によってスライドさ
   せることにより、シートを前後方向に移動できるシート
   のパワースライド機構において、前記アッパレールに設
   けられ前記駆動機構をオン・オフするリミットスイッチ
   と、前記アッパレールのスライドに伴って移動する前記
   リミットスイッチの移動路上に対向し、かつ前後方向に
   離間して前側および後側の一対のスイッチ操作部を有し
   たシーソ式に回動自在なリミット切換えブラケットと、
   前記シートバックに一端が連結され他端が前記リミット
   切換えブラケットに連結され、シートバックの前倒に伴
   って前記リミット切換えブラケットを回動させて後側の
   スイッチ操作部を退避させて前側のスイッチ操作部をリ
   ミットスイッチの移動路上に突出させるケーブルとを具
   備したことを特徴とするシートのパワースライド機構。